長崎・壱岐で伝統製法を守り続ける、重家(おもや)酒造【焼酎用語集】

長崎・壱岐で伝統製法を守り続ける、重家(おもや)酒造【焼酎用語集】
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麦焼酎発祥の地、長崎県壱岐(いき)島。その南東に蔵を構える重家酒造は、1924年(大正13年)に創業した老舗の蔵元です。初代・横山確蔵氏が創業し、4代にわたって焼酎造りを続けています。今回は、重家酒造のこだわりの焼酎造りについて紹介します。

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壱岐の焼酎の歴史を受け継ぐ蔵元

壱岐の焼酎の歴史を受け継ぐ蔵元

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壱岐は、麦焼酎発祥の地

アジア大陸にほど近く、日本の玄関口として多くの文化が流れ込んでくる国境の島、壱岐に蒸溜技術が伝わったのは、16世紀ごろといわれています。

長崎県北部にある壱岐は、穏やかな気候と豊かな自然に恵まれ、地下水も豊富な実りの島。米や麦などの穀物がよく育つ土地で、もともとは清酒文化が根づいていました。年貢で米を納めるようになってからは、麦で造るどぶろくがたのしまれていたそう。

そこへ蒸溜技術が伝わり、主食であった麦と米を使用した独自の麦焼酎が造られるようになっていったのです。

これが日本の麦焼酎のルーツであるとされ、壱岐は「麦焼酎発祥の地」として知られています。

壱岐の長い焼酎の歴史を受け継ぐ、重家酒造

壱岐で造られる麦焼酎は、「壱岐焼酎」と呼ばれます。「壱岐焼酎」は、平成7年(1995年)にWTO(世界貿易機関)のトリプス協定によって、「地理的表示の産地指定」を受けた4銘柄のうちのひとつで、世界が認めた日本を代表する焼酎ブランドです。

「壱岐焼酎」は、原料の大麦と米麹を2:1の割合で配合し、壱岐島のミネラル豊富な地下水で仕込むという、壱岐特有の製法で造られます。この「壱岐焼酎」を造る蔵は、壱岐島にある7つの蔵元のみ。重家酒造もそのひとつで、「壱岐焼酎」の伝統を受け継いでいます。

重家酒造の歴史と焼酎造りのこだわり

重家酒造の歴史と焼酎造りのこだわり

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重家酒造の焼酎は、伝統製法でていねいに醸されている

重家酒造は、1924年(大正13年)に創業した蔵元です。現在、焼酎杜氏を務めるのは、4代目の横山雄三氏。「現代に左右されず、初心に返り原点に戻るべし」という初代の想いを継ぎ、伝統的な酒造りを行っています。

米と麦を蒸すときに使うのは、創業当初から使われている木製の「こしき」。仕込みや貯蔵に使われるのは、蔵に代々伝わる伝統の「かめ壺」です。壱岐に古くから伝わる製法で手間暇かけることで、機械では醸すことのできない複雑な味わいの酒が造られています。

伝統を重んじる一方で、革新の焼酎造りも行っている

重家酒造では、伝統を大切にしつつも、革新的な製法にも挑戦しています。最新の機械を使い、あえて人の手を介在させずに醸すことで、透明感があってキレのある味わいに仕上がるのです。

革新の技術で造られる酒は、天然の麦由来の風味や芳香をそのまま感じられるうえ、スッとのどを通りすぎるときに、鼻から抜ける独特の旨さをたのしめるといいます。伝統製法で醸す焼酎と、ぜひ飲み比べてみてください。

重家酒造では日本酒にも力を注いでいる

重家酒造では創業当初から焼酎とともに日本酒も醸していましたが、さまざまな理由によって、平成2年(1990年)よりしばらくの間、日本酒造りから離れていた時期があります。

しかし、島の日本酒文化を途絶えさせてはならないと、現専務である横山太三氏が日本酒造りを再開。平成26年(2014年)に、再開後初の銘柄「横山五十(よこやまごじゅう)」を完成させます。ただ、醸造に使われた蔵は、山口県の蔵元・澄川酒造場の厚意で借り受けた蔵でした。

壱岐に念願の日本酒蔵を新設し、「よこやま」の仕込みを始めたのは平成30年(2018年)9月のこと。島内で、酒の命ともいえるよい水を探すため、約5年もの歳月をかけたといいます。酒造好適米の仕入れ先農家を探す際にも、苦労があったそう。

こうした努力によって、重家酒造で再び産声を上げた日本酒銘柄は、伝統の壱岐焼酎に肩を並べるような存在に成長していったのです。

重家酒造の代表銘柄

重家酒造の代表銘柄

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重家酒造を代表する焼酎酒銘柄

重家酒造では、本州向けの限定生産品と島内用の2タイプを造っています。代表的な銘柄を紹介します。

【ちんぐ 白麹仕込み】

「ちんぐ」とは、壱岐の方言で「大親友」を意味します。壱岐で育った素材を使い、常圧蒸溜焼酎と減圧蒸溜焼酎をブレンドした「ちんぐ 白」は、伝統と革新を融合させた銘柄。麦の香ばしさと果実のような甘味、すっきりとした余韻をたのしめます。オススメの飲み方は、水割り、ロック、炭酸割りです。

【ちんぐ 黒麹仕込み】

壱岐産の二条大麦と長崎県産の六条大麦をブレンドし、黒麹で仕込んだ銘柄。壱岐焼酎の伝統製法で造られた「ちんぐ 黒」は、麦の香ばしさと米の甘味が特徴です。とくにオススメの飲み方は、お湯割り。

【雪洲】

長年にわたって島民に愛される重家酒造の看板焼酎。アルコール度数35度、25度、20度の3種類で展開されています。いずれも、すっきりした飲み口で、飲みあきることのない絶妙な味わいが魅力です。蔵元推奨の飲み方は、水割りやロック。ちなみに、「雪洲」は壱岐島の別名です。

長崎の焼酎【雪洲(せっしゅう)】壱岐焼酎の伝統が息づく麦焼酎

重家酒造では、フルーティーな日本酒も製造

重家酒造では、しばらく途絶えていた日本酒造りを復活させ、壱岐から世界へ向けた日本酒銘柄も展開しています。

代表的な銘柄の「よこやまSILVER」には生タイプと火入れタイプがあり、いずれのタイプでも華やかな香りとフルーティーな味わいをたのしめます。また「横山五十WHITE」は、マスカットのような香りと、フルーツをかじったときのようなジューシーな味わいをたのしめます。いずれも、冷やしてワイングラスで飲むのがオススメ。

◇よこやまSILVER 生 純米吟醸
5種類の季節限定商品をラインナップ。

◇よこやまSILVER 火入 純米吟醸
通年商品2種類、季節限定商品3種類をラインナップ。

◇横山五十WHITE 純米大吟醸
通年商品、12~2月限定商品、3~5月限定商品の計3種類をラインナップ。

重家酒造の焼酎造りには、壱岐焼酎の伝統を守ろうという気持ちとともに、蔵元ならではの革新的なこだわりも感じられます。もうひとつの柱である日本酒造りにも、その姿勢がよく表れています。貴重な壱岐産の焼酎と日本酒の味わいを、ぜひ堪能したいですね。

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