麦焼酎ってどんなお酒? 特徴や魅力、選び方、飲み方、おすすめ銘柄まで紹介します

麦焼酎ってどんなお酒? 特徴や魅力、選び方、飲み方、おすすめ銘柄まで紹介します
出典 : Shawn Hempel/Shutterstock.com

麦焼酎とは、麦が主原料の本格焼酎。麦焼酎発祥の地で知られる長崎県壱岐(いき)市と第2次焼酎ブームを先導した大分県を2大産地に、それぞれ異なる発展を遂げてきました。今回は、麦焼酎の特徴や選び方のポイント、おいしい飲み方、おすすめの銘柄などを紹介します。

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麦焼酎とは、そもそもどんなお酒?

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麦焼酎は、芋焼酎や米焼酎と並んで3大焼酎と呼ばれるメジャーなお酒。ここでは、おもな産地や特徴、魅力をみていきましょう。

麦焼酎のおもな産地と特徴

麦焼酎は、その名のとおり麦を主原料とした焼酎のこと。おもに長崎県の壱岐島(いきのしま)と大分県で造られ、それぞれ異なる味わいで人気を集めています。

壱岐島は麦焼酎造りのルーツとされる土地。そこで育まれる麦焼酎は「壱岐焼酎」と呼ばれ、熊本の「球磨焼酎(米焼酎)」、鹿児島の「薩摩焼酎(芋焼酎)」、沖縄の「琉球泡盛」と並んで、WTO(世界貿易機関)の「地理的表示」が認められています。
一方、大分県は二階堂酒造の「大分むぎ焼酎 二階堂」や三和酒類の「いいちこ」など、軽やかな味わいで麦焼酎をメジャーにした銘柄で知られています。

「壱岐焼酎」の一番の特徴は、麹の原料に米を使用し、麦と米麹を2:1で配合していること。壱岐は九州でも有数の穀倉地帯で、豊富にとれる麦と米を活かした麦焼酎造りが伝統的に行われてきました。
これに対して、「大分麦焼酎」は麦麹が主流。主原料も麹の原料も麦という麦100%の焼酎が登場したのは1970年代のことですが、1980年代には第2次焼酎ブームの牽引役として一時代を築き上げました。

麦焼酎の魅力はフルーティーな香りとキレのある味わい

フルーティーな香りと軽くキレのある味わいで飲みやすく、手頃な価格の銘柄が多く流通していることから、焼酎初心者にも人気の麦焼酎ですが、その魅力は産地によって異なります。

米麹を用いた「壱岐焼酎」は、やわらかな米の甘味と麦の香ばしさを活かした味わいが魅力。一方、麦麹を用いた「大分麦焼酎」は、麦だけで造られた雑味のないすっきりした味わいが魅力です。いずれも料理を選ばないことから、万能の食中酒として人気を集めています。

麦焼酎のなかには、麦の香ばしさを追求した「麦チョコ系」と呼ばれる銘柄も存在し、コアなファンの支持を集めています。

麦焼酎の選び方

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一口に麦焼酎といっても、その種類はさまざま。ここでは銘柄選びのポイントを紹介します。

麦の種類

麦焼酎の原料は大麦です。
麦を包む外皮がはがれやすいものを「はだか麦」、外皮がはがれにくいものを「皮麦(かわむぎ)」と呼び、それぞれに穂の形状が異なる「二条大麦」と「六条大麦」が存在します。
麦焼酎の主原料に使われるのは、おもに皮麦の二条大麦。六条大麦に比べて粒が大きくでんぷんを多く含む二条大麦は、ビールの原料としても有名です。

六条大麦はおもに麦茶や麦ごはんに、はだか麦はおもに麦みそや麦ご飯に使われますが、麦焼酎の原料として用いられることもあります。一般的な麦焼酎とは一味違った香ばしさやコク、旨味を味わえるので、飲み比べてみてはいかがでしょう。

麹の種類

麦焼酎選びでとくに重視されるのが麹の原料。国産米か輸入米か、あるいは主原料と同じ大麦を使用するかで、麦焼酎の個性は大きく変わります。まずは、米の甘味と旨味をとるか、麦らしさを優先するかの二択から入るとよいでしょう。

麹を造るには原料となる米や麦に麹菌を植えつけ繁殖させる必要がありますが、ここで使用する麹菌の種類も、麦焼酎の味わいを左右する重要な要素です。一般に、黒麹仕込みは原料由来のコクや旨味、香りが感じられる味わいに、白麹仕込みはすっきりとキレのある味わいに、黄麹仕込みはフルーティーな香りを持つ淡麗な焼酎に仕上がるといわれています。

蒸溜方法

麦焼酎の蒸溜方法には、「常圧蒸溜」と「減圧蒸溜」の2種類があります。

通常の気圧下で行う常圧蒸溜で蒸溜すると、原料の個性が生きた深みのある香り豊かな焼酎に仕上がります。90〜100度の高温でもろみを熱するため、アルコールと一緒に雑味などの成分も抽出されますが、その分複雑で飲みごたえのある味わいに。

一方、気圧を下げて行う減圧蒸溜では、約40〜50度と低めの温度でもろみを沸騰させることができるため、雑味成分の多くはもろみと一緒に残り、軽快でクリアな味わいの焼酎に仕上がります。クセのない飲みやすい麦焼酎がお好みの人は、減圧蒸溜焼酎を選ぶとよいでしょう。

貯蔵と熟成

貯蔵・熟成の一番の目的は、刺激臭のもととなる揮発成分を飛ばし、劣化のもととなる油分を取り除くために浮かび上がらせることですが、貯蔵期間や使用する容器によっては焼酎の味わいに大きな変化をもたらします。

一般的な焼酎の貯蔵・熟成期間は1〜3カ月程度と、ウイスキーやブランデーと比べると短めですが、なかには何年もかけて熟成される焼酎もあります。

熟成期間が長いほど焼酎の味や香りは落ち着き、深みが増します。また、水とアルコールがよくなじむため、まろやかな味わいに変化します。常圧蒸溜で抽出されたクセのある原酒も、熟成の時を経ることで酒質が落ち着き、より深みのある口当たりのいい麦焼酎に仕上がるのです。

本格焼酎の熟成には、おもにタンクや甕(かめ)が使われますが、麦焼酎の場合はウイスキーやシェリー酒などの熟成に使われた樫樽が用いられることもあります。
タンク貯蔵は安定した環境下で熟成が進むのが特徴で、クリアで飲みやすい麦焼酎に仕上がる傾向があります。昔ながらの甕貯蔵は、麦焼酎にまろやかな風味をもたらします。一方樽熟成は、樽から溶け出す色素や香りが独特の個性を添え、スモーキーな香りを持つ琥珀色の麦焼酎に仕上げます。

麦焼酎のたのしみ方

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麦焼酎のおいしい飲み方を紹介します。

麦焼酎はシンプルにたのしむ

麦焼酎は割り方のバリエーションがとりわけ豊富な本格焼酎ですが、銘柄本来のおいしさを味わうなら定番の飲み方がおすすめです。

◇ストレート
氷や水を加えず、麦焼酎だけをグラスに注いで味わう飲み方。焼酎本来の風味や香りをたのしむことができます。

◇オン・ザ・ロック
氷と麦焼酎だけで味わうシンプルながら奥深いたのしみ方。作りたては焼酎本来の風味が押し寄せますが、氷が溶けるごとにアルコールの刺激がやわらぎ、水割りのようなまろやかな口当たりに変化します。

◇水割り
好みの濃度とやわらかな口当たりで麦焼酎の風味をたのしみたいときは、水割りがおすすめ。氷を使用する場合は最初に氷をグラスに入れ、麦焼酎、水の順で注ぎます。最後に軽くかき混ぜれば完成です。

◇お湯割り
麦焼酎ならではの香ばしい香りをたのしみたいときはお湯割りがおすすめ。器にお湯を注ぎ、あとから麦焼酎を注ぐのがおいしく飲むポイントです。かき混ぜる必要はありません。

◇炭酸割り
「焼酎ハイボール」「乙ハイ」の呼び名でおなじみの飲み方。弾ける炭酸とともに麦焼酎の香りが広がり、心地よい刺激とさわやかな喉ごしがたのしめます。

麦焼酎の初心者におすすめの飲み方

麦焼酎初心者におすすめしたいのが、麦のほのかな香りと爽快な喉ごしがたのしめる炭酸割りです。最初は薄めで、慣れてきたら好みの濃度に調整して味わうとよいでしょう。

甘いお酒が好きな人は、フレッシュジュース割りやソーダ割りを試してみては? 氷を入れたグラスに麦焼酎を注ぎ、割り材を加えるだけと作り方もかんたんです。味にこだわるなら、オレンジやグレープフルーツなどの果物を丸ごと搾った生搾り割りもおすすめです。

麦焼酎おすすめの銘柄

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麦焼酎の一度は飲みたいおすすめ銘柄を紹介します。

むぎ焼酎 壱岐

玄海酒造株式会社公式サイト

明治33年(1900年)創業の老舗・玄海酒造の代表銘柄「壱岐」。白麹菌と減圧蒸溜で仕上げた定番の「むぎ焼酎 壱岐」は、麦の軽快な香りと米麹由来の自然な甘味、まろやかな味わいが特徴です。芳醇で華やかな香りをたのしみたい人は、「むぎ焼酎 壱岐」をホワイトオーク樽で貯蔵・熟成させた琥珀色の麦焼酎「壱岐スーパーゴールド」もおすすめ。

製造元:玄海酒造株式会社
公式サイトはこちら

壱岐の華

株式会社壱岐の華公式サイト

造り手は、常圧蒸溜と熟成にこだわる明治33年(1900年)創業の株式会社壱岐の華。大麦と米麹の個性をしっかり引き出した「壱岐の華」は、芳醇な香りと和みのある旨味、なめらかな口当たりが魅力の人気商品です。

製造元:株式会社壱岐の華
公式サイトはこちら

壱岐っ娘(いきっこ)

壱岐の蔵酒造公式通販サイト

6つの蔵元が結集した壱岐の蔵酒造が、飲みやすさにこだわり造り上げた初心者に一押しの壱岐焼酎。やさしい口当たりとフルーティーな味わいが魅力のすっきりと飲みやすい1本です。イラストレーター長岡秀星氏によるラベルが目を引きます。

製造元:壱岐の蔵酒造株式会社
公式サイトはこちら

いいちこ

三和酒類株式会社公式サイト

「下町のナポレオン」のキャッチフレーズでおなじみの「いいちこ」は、第二次焼酎ブームを率いた麦100%麦焼酎。まろやかで飲み飽きしない味わいで、麦焼酎ファンの 絶大な支持を集めています。アルコール度数やブレンド技術、熟成期間の違いなどによる バリエーションも豊富。海外からの評価も高い一押しの銘柄です。

製造元:三和酒類株式会社
公式サイトはこちら

大分むぎ焼酎 二階堂(にかいどう)

二階堂酒造有限会社公式サイト

麦100%焼酎の草分けにして、第二次焼酎ブームの牽引役としても知られる二階堂酒造。その代表銘柄「大分むぎ焼酎 二階堂」は、減圧蒸溜で焼酎独特のクセを抑えながら麦独特の甘味と芳醇な香りを引き出した人気商品です。「二階堂」をじっくり熟成させた「吉四六(きっちょむ)」は、ギフトに重宝する逸品。

製造元:二階堂酒造有限会社
公式サイトはこちら

中々(なかなか)/百年の孤独

株式会社黒木本店公式サイト

麦本来の香ばしさをたのしむなら、明治18年(1885年)創業の黒木本店が手掛ける「中々(なかなか)」がおすすめ。キャラメルのような風味とほどよく軽やかな味わいが堪能できます。

熟成の魅力を味わうなら、ホワイトオークの樽で長期熟成させたプレミアム麦焼酎「百年の孤独」が一押し。ウイスキーを想わせる琥珀色の雫は、オークやシガーなど樽熟成ならではの香りや凝縮感のあるまろやかな味わいが魅力です。

製造元:株式会社黒木本店
公式サイトはこちら

閻魔(えんま)シリーズ

老松酒造株式会社公式サイト

造り手の老松酒造は、江戸時代中期の寛政元年(1789年)に創業した老舗中の老舗。「閻魔」はその代表ブランドです。常圧蒸溜で麦の個性を引き出した「常圧閻魔」、樽熟成でまろやかに仕上げた「閻魔(樽)」、キレのある深い味わいの全量麹仕込み焼酎「黒閻魔」をはじめ、個性派がズラリ。

製造元:老松酒造株式会社
公式サイトはこちら

兼八

四ツ谷酒造有限会社公式サイト

麦本来の風味や香りを余すところなく引き出した「麦チョコ系」の代名詞。麦チョコのようなロースト感のある香りと深みのある味が特徴です。製造量が少ないことから、幻の焼酎と呼ばれることも。チャンスは逃さず入手したいものです。

製造元:四ツ谷酒造有限会社
公式サイトはこちら

泰明(たいめい)

藤居醸造合資会社公式サイト

むろ蓋や木桶など伝統的な道具を使い、完全手造りの製法を貫く藤居醸造の麦焼酎シリーズ。定番の「泰明」は、常圧蒸溜と減圧蒸溜のブレンドタイプ。ほどよく引き出された麦の風味をさっぱりとした飲み口でたのしめます。
人気は100%常圧蒸溜の「特蒸泰明」。麦本来の香ばしい香りと重厚感のある飲みごたえにハマる人続出。

製造元:藤居醸造合資会社
公式サイトはこちら

麦焼酎は、初心者から上級者までたのしめる本格焼酎。すっきり飲みやすいものから麦らしさを存分に引き出した個性派までバリエーションも豊富なので、好みにぴったりの銘柄を探してみてください。

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