山形に行って飲んでみたい! おすすめの日本酒(地酒)【東北編】

山形に行って飲んでみたい! おすすめの日本酒(地酒)【東北編】
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山形は古くから日本酒造りがさかんに行われる県。「吟醸王国山形」とも呼ばれるこの土地では、良質の吟醸酒が豊富に造られていますが、その秘密は酒蔵同士のスムーズな連携と、官民一体となった酒造好適米開発への飽くなき探究心にありました。

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吟醸王国・山形を生んだのは、酒蔵同士の連携

吟醸王国・山形を生んだのは、酒蔵同士の連携

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山形県は、古くから日本酒造りがさかんな土地。創業400年以上の酒蔵もめずらしくはありません。国内有数の米どころですが、官民が一体となって酒造好適米の開発に取り組んでいるだけあって、その酒質はかなりハイレベルだと評価されています。

近年、山形の酒造りのレベルが向上した背景には、伝統的な杜氏(とうじ)制度の変革があります。酒造りの責任者が、季節労働の杜氏から、通年で携わることができる蔵元杜氏や社員杜氏に移行した酒蔵が次々に誕生したのです。

これにより、酒蔵同士の連携がスムーズになり、互いに意見を交わし合うことで酒造技術が著しく向上。酒質も飛躍的に高まりました。それにともない、生産する日本酒も、付加価値の高い吟醸酒へとシフトしていき、いつしか「吟醸王国山形」と呼ばれるようになったのです。

「亀の尾」や「出羽燦々」など酒造りに適した山形の米

「亀の尾」や「出羽燦々」など酒造りに適した山形の米

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山形は酒米作りにも意欲的な土地で、「出羽燦々」「出羽の里」「酒未来」「出羽誉」「亀粋」など、多数の良質な酒造好適米が開発されていますが、特筆すべきは、漫画『夏子の酒』のモデルになった幻の米「亀の尾」です。

「亀の尾」の歴史は古く、明治後期から昭和初期まで全国で作付けされ、一時は代表的品種のひとつに数えられていました。酒米だけではなく、飯米としても人気が高く、その遺伝子はコシヒカリやササニシキ、あきたこまち、ひとめぼれなど、多くの人気米に引き継がれています。

「亀の尾」は寒さに強く、「粒が大きく、食べてよし、酒に醸してよし」といわれる稀有な米として重宝されましたが、昭和以降、育てやすい優良品種が続々と登場したため作付けが激減し、姿を消してしまいました。しかし、近年になってこの米の魅力が見直され、官民の協力で復活。数々の吟醸酒を生み出しました。

山形県では、このほかにも、大粒でたんぱく質の含有量も少ない「出羽燦々」など、吟醸酒造りに適した酒米が県や民間の研究機関で開発されています。
このような米作りへの情熱が、山形の日本酒を支えているのはいうまでもありません。

山形の人気銘柄

山形の人気銘柄

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米どころ山形ならではの、米の旨味や甘味を活かした人気銘柄を紹介します。

一度は飲みたい幻の日本酒【十四代(じゅうよんだい)】

芳醇旨口ブームの火付け役となった幻の日本酒「十四代」。かつては古酒に使われていた銘柄が、高木酒造の若き15代目当主・高木顕統氏の手でプレミアムな酒へと生まれ変わりました。
高木酒造では、県内の酒米卸会社との共同開発にも注力しており、「山田錦」や「愛山」「龍の落とし子」「酒未来」などさまざまな酒米を使い分けて、酒の味を追求しています。なかでも、地元限定で販売される「朝日鷹」は、低温貯蔵で引き出されたさわやかな味わいが「十四代 本丸」に迫る味わいとの声も聞こえてきます。

製造元:高木酒造株式会社
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受賞歴多数の実力派【上喜元(じょうきげん)】

かつては米どころとして栄えた酒田の市街地に、唯一残る蔵元・酒田酒造。5つの蔵元が合併してできた蔵ですが、現在は量より質を重視し、吟醸以上の酒造りに力を入れています。
伝統的な「生酛造り」と、さまざまな酒米と酵母を使用するのが特徴で、大吟醸酒用に開発された酒造適合米「雪女神」を山形酵母で醸した「上喜元 純米大吟醸 雪女神」は、華やかな吟醸香と、すっきりとした飲み口が特徴の逸品です。

製造元:酒田酒造株式会社
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日本の食文化と向き合う酒【東光(とうこう)】

「東光」を醸す蔵元は、安土桃山時代に創業し、江戸時代には上杉家御用酒屋として栄えた小嶋総本店。「ばらつきのある天然原料を用い、複数の微生物が醸す酒造りには、蔵人の目と手仕事が不可欠」という哲学のもと、こだわりの酒造りに取り組んでいます。
定番の「東光 吟醸」は、果実やハーブを思わせる軽やかな香りと軽快な飲み口が特徴の、キレのよい辛口吟醸酒。コスパのよさにも大満足の1本です。

製造元:株式会社小嶋総本店
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愛され喜ばれる酒【初孫(はつまご)】

港町・酒田で回船問屋を営んでいた初代蔵元が明治26年(1893年)に生み出した名酒。当初は「金久」という銘柄でしたが、長男の誕生を機に「みんなに愛され喜ばれるような酒にしたい」との願いを込め、銘柄を「初孫」に変更しました。
創業以来、一貫して、手間と時間のかかる伝統手法「生酛造り」による酒造りを行っており、力強くしっかりとした酒質が特徴。なかでも「大吟醸 仙寿」は、山田錦を自家精米で磨き上げた入魂の日本酒です。

製造元:東北銘醸株式会社
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辛口好きにはたまらない!【ばくれん】

東北地方を代表する名酒「くどき上手」で知られる亀の井酒造が造り出した新銘柄「ばくれん」は、日本酒度+20の超辛口吟醸酒。限られた特約店しか取り扱うことができない希少な日本酒です。
「ばくれん 吟醸酒」はフルーティな吟醸香とまろやかでキレのいい味わいが特徴。その進化形である「白・ばくれん」は、播州産の「山田穂」を原料米に用いた超辛口吟醸で、「ばくれん」のキレは健在ながら、やわらかくなめらかな旨味も楽しめる人気の1本です。

製造元:亀の井酒造株式会社
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山形のそのほか注目銘柄

山形のそのほか注目銘柄

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山形には、これまで紹介した日本酒以外にも、全国で広く愛されている注目銘柄が多数あります。そのいくつかを紹介しましょう。

米どころ庄内を代表する酒【大山(おおやま)】

銘柄の由来となっている鶴岡市大山は、「米どころ・庄内」と呼ばれる土地柄を背景に、将来江戸時代初期から酒造りが始まった土地。かつては数十軒もの酒蔵が軒を連ね、「東北の小灘」とも呼ばれていたそうです。現像する酒蔵は数件ほどですが、その代表格となるのが明治5年(1872年)創業した加藤嘉八郎酒造です。
東北の多くの酒造家が学んだという、この老舗蔵の信念は、人と酒、人と人の「調和」を醸すような酒造り。その信念が結晶した「大山」は、大山の地を代表するだけでなく、東北地方を代表する日本酒のひとつとして愛され続けています。

製造元:加藤嘉八郎酒造株式会社
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「純粋発酵」が生み出す味わい【山法師(やまほうし)】

「山法師」の蔵元、六歌仙は1972年に地域の5つの酒蔵が集まり創設されました。六歌仙とは、平安時代の有名な歌人6名の総称ですが、彼らが詠んだ和歌のように、人の心にやさしく響きわたる日本酒を造りたいとの想いから、蔵の名にしたのだとか。
「山法師」は、蔵元と同名の人気銘柄に続くブランドで、六歌仙がテーマとする「純粋醗酵」によって造られた日本酒。酒造りに不可欠な微生物の力を最大限に発揮させることで、豊かな味わいを生み出しています。

製造元:株式会社六歌仙
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江戸以来の伝統を海外にも【出羽桜(でわざくら)】

出羽桜酒造は、江戸時代末期の安静2年(1855年)創業という歴史をもつ老舗蔵です。その信念は、お酒のプロでなくとも、他の日本酒との違いがわかる「圧倒的な差がある酒質の酒造り」。広告費やパッケージなどの経費を省いて、ただ優れた酒質を求めるストイックな姿勢が、多くの日本酒愛好家から支持されています。熟練の蔵人と若手技術陣の連携のもと、伝統と技術の融合によって生み出される味わいは絶品! 近年では日本食への関心が高まる海外への出荷にも力を入れており、日本酒の魅力を世界に発信しています。

製造元:出羽桜酒造株式会社
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「樽平」と並ぶ老舗の看板銘柄【住吉(すみよし)】

元禄時代(1695年頃)の創業以来、300年以上の歴史をもつ樽平酒造は、伝統的な製法で「本物の日本酒」を守り続ける老舗蔵。昭和初期、東京神楽坂に郷土料理の居酒屋店としては元祖となる「樽平」を開店し、この店名を蔵名にも冠するようになりました。
代表的な銘柄「樽平」は、辛口樽酒でありながら辛味を感じさせない旨口の酒。これに対し、「住吉」はまさに辛口の飲みごたえある日本酒。この両ブランドを軸とした、飲み飽きない個性ある日本酒造りで信頼を集めています。

製造元:樽平酒造株式会社
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世界中を魅了する日本酒をめざす【楯野川(たてのかわ)】

「楯野川」の由来は、蔵が創業した江戸末期にまでさまのぼります。献上された酒を喜んだ荘内藩主酒井公が、蔵がある土地が「楯山」と呼ばれていたことから、「その地を流れる川のような酒になれ」との意をこめて「楯野川」と命名したのだか。
吟醸王国山形でも初めて全量純米大吟醸の蔵元となるなど、米にこだわった酒造りに定評がありましたが、近年では、世界中の人々を魅了する「Sake」造りをめざす「TATENOKAWA100年ビジョン」を掲げて海外への情報発信を強化。その存在感をさらに高めています。

製造元:楯の川酒造株式会社
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これらのほかにも、「秀鳳(しゅうほう)」「山形正宗(やまがたまさむね)」「雅山流(がさんりゅう)」「白露垂珠(はくろすいしゅ)」など、山形には個性豊かな銘柄が盛りだくさんです。

うまい酒に意欲をそそられた人々が新たな酒米を生み、また、良質な米に触発された酒造り職人たちがさらなる美酒を生む。そんな吟醸王国山形の酒から、今後も目が離せません。

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