山形の日本酒【上喜元(じょうきげん)】飲めば上機嫌になる喜びの酒
「上喜元(じょうきげん)」は、その名のとおり、飲めば誰もが上機嫌になる日本酒です。酒好きの心をくすぐる名前だけでなく、日本酒の品評会などでも高く評価されている、山形を代表する銘柄「上喜元」の魅力を紹介します。
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上喜元を世に送りだした蔵、酒田酒造
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「上喜元」を製造する酒田酒造は、戦後間もない昭和22年(1947年)、地域にあった5つの蔵が合併して誕生しました。米どころである酒田市にあって、現在、唯一残る蔵元で、その生産量の約8割が特定名称酒(本醸造以上)という蔵元です。
上喜元という印象的な名前の由来は「酒は人のかたわらにあって喜びをさらに喚起するもの。このお酒を飲めば誰もが上機嫌になるように」という願いを込めてつけられたそうです。
酒田酒造で杜氏を務める佐藤正一氏は、酒造りの基礎を東京農大醸造科で学んだのだとか。このため、「職人」タイプというよりは、酒が育っていく過程を緻密に計算する「学者」タイプ。その確かな酒造りの技で、県内を代表する名杜氏との評価をされています。
上喜元は新酒鑑評会で15度の金賞を獲得
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「上喜元」を生んだ酒田酒造では、吟醸酒がブームになる以前から吟醸造りに取り組んでいましたが、市販はせず、あくまで蔵元が個人的なたのしみとして造っていたそうです。当然ながら、取引のある販売店からは「酒質のレベルが高いので、ぜひ商品化してほしいと」いの要望があり、それが「上喜元」誕生のきっかけになったとのだか。
吟醸造りの経験と技術が活かされた「上喜元」のおいしさは、日本酒品評会などでの数々の受賞によって証明されています。なかでも「全国新酒品評会」では金賞の常連です。岩手県の「あさ開き」が20回獲得という記録がありますが、上喜元はこれに次ぐ15度獲得を誇ります。
全国新酒品評会は、100年以上も続く権威ある日本酒コンクールで、全国的な調査・研究によって日本酒の製造技術や酒質の品質向上を図る目的で開催されています。
審査の主眼は、料理との相性などではなく、あくまで「日本酒醸造技術」。そこで金賞を受賞するということは、酒田酒造の醸造技術が抜きん出て高いということの証明でもあるのです。
上喜元の魅力は多彩な米の個性を引き出した旨味
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「上喜元」は少量・高品位生産を基本としており、吟醸や純米吟醸に強いこだわりがあります。
さらに特筆すべきは、原料として使用する酒米の豊富さです。地元の「美山錦」「出羽燦々」「山形酒4号」をはじめ、「山田錦」「五百万石」「雄町」「玉栄」「こいおまち」「夢錦」など、20種類以上の酒米を使用。使用する米に合わせて酵母も使い分け、それぞれの個性を最大限に引き出す組み合わせを研究し続けているのだとか。
それゆえ、上喜元のラインナップを飲み比べてみると、原料とする酒米によって、酒の味わいがこんなにも違うのかと驚くはずです。日本酒の奥深さ、幅広さをたのしむには、絶好の銘柄といえるでしょう。
上喜元を生んだ佐藤氏が「これからの酒造りには、数値的な視点も必要」が語っているように、上喜元の繊細な味は、緻密でていねいな酒造りによって支えられています。ぜひ、その味わいを確かめてください。
製造元:酒田酒造株式会社