徹底解説! スコッチウイスキーにはどんな種類がある?
ウイスキー通のなかでも、スコッチウイスキーにこだわる愛好家は少なくありません。なぜならスコッチウイスキーは産地ごとに異なる個性を持ち、さまざまな魅力があるからです。今回は、そんなスコッチウイスキーの種類について紹介していきます。
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産地で選ぶスコッチウイスキーの種類
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スコッチウイスキーの定義
まずは、スコッチウイスキーの定義を復習しましょう。
スコッチウイスキーはイギリスの法律によって、以下のような条件を満たすものと規定されています。
◇スコットランド国内で製造すること
◇穀類を原料として、酵母により発酵させていること
◇アルコール分94.8%未満で蒸溜すること
◇700リットル以下のオーク樽で最低3年以上熟成させていること
◇アルコール分40度以上で瓶詰めしていること
スコッチウイスキーの生産地と種類
スコッチウイスキーの産地は、以下の6つに分けられます。それぞれで、特徴的なシングルモルトが造られています。
◇スペイサイド(スペイサイドモルト)
◇ハイランド(ハイランドモルト)
◇キャンベルタウン(キャンベルタウンモルト)
◇ローランド(ローランドモルト)
◇アイラ(アイラモルト)
◇アイランズ(アイランズモルト)
同じスコットランドで造られたモルトウイスキーであっても、産地によって個性はさまざま。それでは、各生産地の特徴とウイスキーの特徴を掘り下げて見ていきましょう。
スコッチウイスキーの6つの産地の特徴
【ハイランド】
スコットランドの北部に広がる広大な地域。山や谷が多いハイランドには、古くから多くの蒸溜所でウイスキーが造られていました。現在もスコットランドの蒸溜所のうち、約3分の1がハイランドにあるといわれています。
ピートの香りが穏やかなウイスキーが多い傾向にありますが、地域が広いため、さまざまな特徴を持ったウイスキーがあります。
【スペイサイド】
スコットランド北東部、ハイランド地方の一部です。スペイ川という川の流域にたくさんの蒸溜所が集中していることから、ハイランドとは別に分類されています。
スペイサイドには、日本でも有名なウイスキーの蒸溜所が複数あります。また、安定的に高品質のウイスキーを生産できる体制が整っている蒸溜所が多いことから、もっともスタンダードなスコッチウイスキーの生産地として位置づけられています。
【キャンベルタウン】
キャンベルタウンは、スコットランド南方の海岸沿いに広がる港町です。人口約5,000人という小さな町に、3つの蒸溜所があります。
キャンベルタウンで造られるスコッチウイスキーの特徴は、港町ならではの潮の香り。ほのかな塩気と甘味が入り混じる華やかな風味は、女性にも人気があります。
【ローランド】
平地の多いローランドで造られるスコッチウイスキーの特徴は、通常2回行われる蒸溜を3回行っていること。これにより、初心者にも親しみやすい、まろやかでライトな口当たりを造り出しています。
また、エジンバラやグラスゴーなどの大都市に近いこともあり、見学施設が充実している蒸溜所が多いのも、ローランドの特徴です。
【アイランズ】
スコットランドは700を超える島々からなる地域です。そのなかでも西側の、北部から南西部にかけて点在する島を、まとめてアイランズ地方といいます。
アイランズは、スコッチウイスキーの6大生産地のなかでも、とくに個性派が揃った生産地です。その理由として、それぞれの島特有の気候の厳しさが挙げられます。天候が変わりやすく雨の多いスカイ島や、入り組んだ海岸線が特徴のマル島など、島ごとに異なる風土を活かした個性あふれるウイスキーが造られています。
【アイラ】
アイラ島は、スコットランドの西南に位置する島ですが、アイランズのなかに括られることなく、独立した分類となっています。小さな島ながら8つを超える蒸溜所があり、それぞれで個性豊かな銘柄が生み出されていることから、ウイスキー愛好家に「スコッチの聖地」として親しまれています。
アイラ島で造られるウイスキーを特徴づけるのが、独特な「潮っぽさ」。蒸溜所のほとんどが海沿いに建っているうえ、アイラ島のピートには、海風が運んできた海産物が多く含まれています。この立地とピートが、「海藻のような塩の香り」などと形容される、強烈な個性を造り出しているのです。その個性は多くのファンを魅了しています。
スコッチウイスキーの種類
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スコッチウイスキーの原酒の種類
スコッチウイスキーの原酒には、大きく分けて2つあります。
【モルトウイスキー】
大麦麦芽(モルト)のみを原料としたウイスキー。原料の風味が残りやすい「単式蒸溜機(ポットスチル)」で蒸溜するため、複雑な香りや味わいに仕上がるのが特徴です。「同じ味わいのものは2つとない」といわれるほど、蒸溜所ごとに個性の強いモルトウイスキーが造られていることから、「ラウド(声高な)ウイスキー」と呼ばれます。
【グレーンウイスキー】
とうもろこしや小麦、ライ麦など、大麦以外の穀物を原料としたウイスキー。雑味などがほとんど取り除かれる「連続式蒸溜機(パテントスチル)」で蒸溜するため、モルトウイスキーに比べてクセが少なく、すっきり飲みやすい味わいに仕上がるのが特徴です。穏やかな風味なので、「サイレント(寡黙な)ウイスキー」と呼ばれます。
グレーンウイスキーは通常、ブレンデッドウイスキーに用いられます。
スコッチウイスキーの、瓶詰め後の種類
完成したスコッチウイスキーの種類はおもに3種類あります。
【シングルモルトウイスキー】
単一の蒸溜所で造られたモルトウイスキーだけを瓶詰めしたもので、蒸溜所ごとの個性が色濃く表れるウイスキーです。また、シングルモルトウイスキーのなかでも、ひとつの樽のウイスキーのみを瓶詰めしたものを「シングルカスク」といいます。
【ブレンデッドモルトウイスキー】
複数の蒸溜所で造られたモルトウイスキー同士を混ぜ合わせて瓶詰めしたもので、ブレンダーの個性が出やすいウイスキーといわれています。なお、かつては「ヴァッテッドモルト」と呼ばれていましたが、2005年にスコッチウイスキー協会より、「ブレンデッドモルト」と表記するよう通達されています。
【ブレンデッドウイスキー】
モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドして瓶詰めしたもの。ブレンダーが、複数種類のウイスキーを絶妙に混ぜ合わせ、それぞれの長所を引き出すことで、バランスよくまろやかな味わいに仕上げられているのが特徴です。ブレンデッドウイスキーは、世界のウイスキー販売量の約9割を占めています。
スコッチウイスキーはこうやって選ぼう
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スコッチウイスキーの個性をたのしみたいならコレ
スコッチウイスキーの多彩な個性をたのしみたい場合は、生産地や蒸溜所の特徴で選ぶとよいでしょう。とくに、シングルモルトウイスキーは、蒸溜所ごとの個性やこだわりが表れやすいのでおすすめです。それぞれの土地の気候や立地環境などの影響を受け、はっきりとした個性を感じることができます。
なかには、「クセが強くて飲みにくい」と感じられる銘柄もあるかもしれませんが、それも魅力のひとつです。
スコッチウイスキーのブレンダーの技をたのしみたいならコレ
ブレンダーの卓越した技を堪能したいなら、ブレンデッドウイスキーがおすすめです。「シングルモルトは風土が造る、ブレンデッドは人が造る」といわれるように、ブレンダーは自らの鼻と舌で原酒をきき分け、絶妙な加減で調合を行って、ブレンデッドウイスキーを生み出しています。バランスよく整えられているので、飲みやすいのもポイント。
また、ブレンデッドモルトウイスキーは、ブレンダーの個性が表れやすいウイスキーです。こだわりの味わいをたのしんでください。
気になるスコッチウイスキーを見つけたら、そのタイプや生産地を調べてみるのもよいでしょう。造り方や生産地の風土を調べていくうちに、新たなスコッチウイスキーの魅力に気づかされるかもしれませんよ。