「モンキーショルダー」は、世界初のブレンデッドモルトウイスキー

「モンキーショルダー」は、世界初のブレンデッドモルトウイスキー
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「モンキーショルダー」という、個性的な名前のウイスキーを知っていますか? スコットランド生まれの「モンキーショルダー」は、複数のモルト原酒をヴァッティング(ブレンド)して造られる100%ブレンデッドモルトウイスキーです。ここでは、「モンキーショルダー」の特徴や名前の由来、製造方法などについて幅広く紹介します。

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「モンキーショルダー」とは、どんなウイスキー?

「モンキーショルダー」とは、どんなウイスキー?

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「モンキーショルダー」は2005年誕生のモルトスコッチウイスキー

「モンキーショルダー」はスコッチの一大産地、スペイサイドで2005年に生まれた比較的新しい銘柄です。3種類のモルト原酒だけで造る「トリプルモルト」が特徴のウイスキーで、それぞれのモルトが調和した、軽やかでリッチな味わいに定評があります。クセが少なく飲みやすいので、ストレートはもちろん、カクテルにしてもおいしくたのしめます。

この繊細なブレンデッドモルトの味を決定づけるのは、製造元のウィリアム・グラント&サンズ社が所有する3つの蒸溜所から厳選した最高級のモルト原酒と、名モルトマスターの傑出したヴァッティング技術です。「モンキーショルダー」は、同社が長年積み重ねてきた伝統技術と知見のもとに生まれた、質の高いスコッチウイスキーなのです。

ウィリアム・グラント&サンズ社は創業100年を超える老舗ウイスキーメーカー

1903年創業のウィリアム・グラント&サンズ社は、グレンフィディック蒸溜所の創業者であるウィリアム・グラント氏の娘婿、チャールズ・ゴードン氏が中心となって設立した、スコットランドの独立系ウイスキーメーカーです。スペイサイドのほかにも複数の蒸溜所を抱えながら、代々家族経営を続けています。

同社は1960年代に世界初のシングルモルトを世に送り出したことで知られていますが、その開拓精神を受け継ぎ、新しい取り組みとして生まれたのが「モンキーショルダー」です。

「モンキーショルダー」に用いられるモルト原酒は、スペイサイドのグレンフィディック、バルヴェニー、キニンヴィの各蒸溜所から選ばれています。いずれも同社傘下の蒸溜所です。

「モンキーショルダー」のバリエーション

「モンキーショルダー」はクセが少なく飲みやすいので、ストレートはもちろん、カクテルにしてもおいしくたのしめます。

日本で販売されている商品は1種類のみ。基本は700ミリリットルボトルですが、4,500ミリリットル入りの大容量瓶「ゴリラボトル」という商品もあります。どちらも中身は同じですが、ゴリラボトルには、瓶を置くためのブランコ(クレイドル)型スタンドが付いているので、見せる収納も可能です。

このほか、ハイランド産ピート麦芽を使用した、日本未発売の「スモーキーモンキー」という商品もリリースされています。こちらは、通常のモンキーショルダーにほのかなピート香が加わった、新たな一面をたのしめるウイスキーです。

「モンキーショルダー」のこだわり

「モンキーショルダー」のこだわり

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「モンキーショルダー」は、手作業で麦芽を製造するところからはじまる

「モンキーショルダー」の原酒に使われている大麦麦芽(モルト)は、「モルトマン」と呼ばれる職人によって「フロアモルティング」で造られています。フロアモルティングとは、仕込み水に浸した大麦を床一杯に広げ、空気に触れさせることで発芽させる手法のこと。順調な発芽を促すために大麦を数時間おきにシャベルで攪拌させなければならず、その作業が重労働なので近年ではあまり見られません。しかしウィリアム・グラント&サンズ社では、伝統的な麦芽造りにこだわってモルトマンが地道な作業を続けています。

ちなみに「モンキーショルダー」の銘柄名は、この作業で生じる肩の痛みを“モンキーショルダー”と呼ぶことに由来しています。職人たちの労力に敬意を表して名づけられたこのボトルの肩に、印象的な3匹の猿があしらわれているのもそのためです。

フロアモルティングとは

「モンキーショルダー」は卓越したヴァッティングによって生まれる

「モンキーショルダー」は、グレンフィディック蒸溜所の名モルトマスター、ブライアン・キンスマン氏が、熟練の技で完成させたスコッチウイスキーです。モルトマスターとは、いわゆるブレンダーの最高責任者のこと。一般に、豊富な経験や高い知識を持ち、実績を積み重ねた逸材が、責任と栄誉ある最高位に選出されます。

「モンキーショルダー」はこの老練のモルトマスターが、ブレンドのための樽を選び、バーボン樽に詰めたモルト原酒の成熟期間を計るなど、徹底した品質管理のもとで造られています。そうして熟成を終えた27樽のバッチを、絶好のタイミングでボトリングし、完成度の高いブレンデッドモルトとして出荷されているのです。

「モンキーショルダー」の味は、3つの厳選したキーモルトから造られる

ブレンデッドモルトウイスキーは多くの場合、4種類以上のモルト原酒をヴァッティングして造られます。個性の強いモルト原酒を合わせて親しみやすい味に仕上げるには、さまざまな原酒をブレンドしたほうが調整しやすいからです。しかし「モンキーショルダー」では、キーモルトを3つに厳選し、絶妙な配合で味を表現することにこだわっています。

この、通常より少ないモルト原酒をヴァッティングする試みは、2005年に初めてリリースされた当時はチャレンジングなことでした。しかし現在は原酒不足により、ほかのモルト原酒を混ぜることもあるようです。

「モンキーショルダー」のキーモルトを製造する3蒸溜所の特徴

「モンキーショルダー」のキーモルトを製造する3蒸溜所の特徴

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「モンキーショルダー」に彩りを添える3つの蒸溜所の特徴

【グレンフィディック蒸溜所】

創業者ウィリアム・グラント氏が設立したグレンフィディック蒸溜所は、「シングルモルトの先駆け」として名高いスコットランド最大の蒸溜所。グレンフィディックはゲール語で「鹿の谷」を意味する言葉で、ボトルにはトレードマークの鹿が刻まれています。

創業者の9人の子どもたち、そして1人の石工職人とともに築いたこの蒸溜所で、スコッチの最初の一滴が滴り落ちたのは1887年のクリスマスのこと。生涯の夢を掛け、約1年に渡る綿密な下準備のもとで誕生したウイスキーに、グラント氏の喜びもひとしおだったことでしょう。創業時の信念は時代を経ても、脈々と受け継がれています。

「グレンフィディック(Glenfiddich)」はシングルモルトのパイオニア

【バルヴェニー蒸溜所】

バルヴェニー蒸溜所は、グレンフィディックと同じ敷地内にある姉妹蒸溜所のひとつ。1892年、グレンフィディックの2番目のモルト蒸溜所として、ウィリアム・グラント氏が創業しました。バルヴェニーとはゲール語で「山の麓の集落」の意味で、スペイサイドのダフタウンに建つ古城「バルヴェニー城」に由来しています。

バルヴェニーのモルトウイスキーは、グレンフィディックと同じ原料で造られていますが、その味わいは全く異なります。仕込み水や蒸溜器、製造方法などを変えることで、グレンフィディックとは一味違う、個性豊かな味わいに仕上げられているのです。

シングルモルトウイスキー「バルヴェニー」は伝統の職人技が生んだ逸品

【キニンヴィ蒸溜所】

1990年に創設されたモルト蒸溜所で、こちらもグレンフィディックなどと同じ敷地内に建っています。ほかの2つの蒸溜所と異なる点は、キニンヴィで造られるウイスキーはおもにブレンド用のモルト原酒であるということ。キニンヴィの原酒は、グループ内はもちろん、他社のブレンデッドウイスキーにも用いられていますが、基本的にバルヴェニーのモルト原酒と混ぜて出荷されるのが特徴です。

キニンヴィのシングルモルトはほとんど市場に出回っていませんが、稀に瓶詰めされて出荷されることもあります。しかしその希少性から、手に入りにくい銘柄であることに違いはありません。

「モンキーショルダー」は、受賞歴の多いシングルモルト

「モンキーショルダー」は、ウィリアム・グラント&サンズ社が抱える3蒸溜所の見事な職人技と、同社に蓄積されてきた豊富な知見を集結させることで誕生した銘柄です。味わいにも定評があり、世界的なコンペティションで高い評価を受けています。

「インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション(IWSC)2015」でトロフィー(優勝)を受賞、「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション(SWSC)2013」 ではダブルゴールドメダルを獲得、「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)2013」ではゴールドメダルに輝くなど、数多くの賞が授与されています。

グレンフィディック蒸溜所は、ブレンデッドウイスキーが主流の時代に世界で最初の「シングルモルト」を販売したパイオニア。その開拓精神を受け継ぎ、新たな試みのもとに生まれたのが「モンキーショルダー」です。世間をうならせる新しい味わいを、ぜひたのしんでみてください。

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