北海道に行って飲んでみたい! おすすめの日本酒(地酒)【北海道編】

北海道に行って飲んでみたい! おすすめの日本酒(地酒)【北海道編】
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北海道のお酒と言えば、ビールやウイスキーの印象が強いかもしれません。北海道は冷涼で澄みきった空気と、清冽な雪解け水に恵まれた、日本酒造りの好適地でもあり、広い大地の各地で12の清酒蔵が地域の風土を活かした日本酒を造っています。ここでは、そんな北海道の日本酒について紹介します。

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北海道の日本酒は澄みきった空気と雪解け水に育まれる

北海道の日本酒は澄みきった空気と雪解け水に育まれる

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北海道の日本酒の魅力は冷涼な大地が育む

北海道の日本酒の特徴を一言で表現するなら、「清澄」という言葉がふさわしいかもしれません。
日本酒が造られる秋から冬にかけて、北海道では厳しい寒さが続きます。その寒気が、日本酒の味を引き締める清冽な雪解け水と、日本酒の熟成に適した澄みきった空気を生み、北海道の自然そのもののスッキリした、飲み飽きしない日本酒に結実しているのです。

北海道の日本酒が持つ多彩な魅力

北海道の日本酒は、スッキリとしてキレのよい“淡麗辛口”が主流と思われがちですが、近年では、濃厚でコクのある“芳醇旨口”の日本酒も増えています。
というのも、北海道の蔵元は、東は根室や釧路、南は札幌や小樽、北は旭川まで、広大な大地のあちこちに点在しており、それぞれ異なる風土を活かした日本酒造りを行っているからです。
「北海道の酒」と一括りにせず、蔵元それぞれの魅力を探るのも、日本酒のたのしみと言えるでしょう。

北海道産の酒造好適米「吟風」「彗星」「きたしずく」の魅力

北海道産の酒造好適米「吟風」「彗星」「きたしずく」の魅力

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北海道の日本酒は、米の旨味を活かした純米酒が魅力

北海道は、広い大地と豊かな水源を活かした大規模な米作りが盛んで、同じく米処として知られる新潟県と、毎年のように米の収穫量No.1の座を争っています。
量だけでなく、品質や安全性にも定評がある北海道の米。その魅力を最大限に引き出そうとするためか、北海道の日本酒は純米酒の比率が高いのが特徴です。

北海道の日本酒を支える、北海道生まれの酒造好適米

北海道には、日本酒造りに適した「酒造好適米」として「吟風(ぎんぷう)」「彗星(すいせい)」「きたしずく」の3品種が栽培されています。いずれも北海道の農家や酒造関係者が、試行錯誤を重ねて開発したもので、それぞれ異なる個性で北海道の日本酒造りを支えています。

【吟風(ぎんぷう)】

2000年に開発された、北海道産酒造好適米の先駆けにして代表格です。米の中心にある、麹菌の繁殖に適した「心白(しんぱく)」が大きく、はっきりしているのが特徴で、芳醇な日本酒が期待できます。

【彗星(すいせい)】

2006年に誕生した品種で、大粒で収穫効率の高さが特徴。タンパク質の含有率が低く、スッキリした淡麗な味わいの日本酒造りに適しています。

【きたしずく】

2014年に開発された品種で、寒さに強く、安定した生産が可能なことから、酒造好適米のさらなる普及への期待が高まっています。心白が大きいうえに雑味が少なく、やわらかい飲み口の日本酒を生み出します。

北海道の日本酒、人気銘柄

北海道の日本酒、人気銘柄

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酒処・伊丹の銘酒を受け継いだ北海道の酒【男山(おとこやま)】

「男山」は、もともと兵庫・伊丹の蔵元・木綿屋(もめんや)が造る日本酒で、江戸時代には歌舞伎や浮世絵にも登場するほどの人気銘柄でした。明治20年(1887年)に北海道・旭川に創業した山崎酒造は、よりよい日本酒を造ろうと、昭和43年(1968年)に木綿屋から「男山」を継承。後に社名も銘柄に揃えて改名しました。
江戸時代から続く伝統の酒造りと、北海道の自然の恵みが融合した「男山」は、日本酒として初めてモンドセレクション金賞に輝くなど、北海道を代表する銘柄として、北の大地に根ざしています。

製造元:男山株式会社
北海道の日本酒【男山(おとこやま):男山】江戸時代の銘酒の正統を受け継いだ旭川の地酒

その名のとおりの並ぶものなき銘柄【国士無双(こくしむそう)】

「国士無双」を造る髙砂酒造は、冷涼な空気と大雪山の雪解け水に恵まれ、かつては“北の灘”と呼ばれたほどの酒処・旭川を代表する蔵元です。明治32年(1899年)の創業以来、地元に根ざした日本酒造りを続けてきましたが、昭和50年(1975年)に誕生した「国士無双」によって、全国区の存在に。
「国士無双」とは、中国史における「漢」の時代の英雄で、「天下に双つとない」とないと讃えられた英雄・韓信(かんしん)の異名。インパクトのある銘柄名のとおり、淡麗辛口ブームを先駆けた日本酒として、独特の存在感を発揮しています。

製造元:髙砂酒造株式会社
北海道の日本酒【国士無双(こくしむそう):髙砂(たかさご)酒造】比類なき高品質の辛口日本酒

国際スキーリゾート地を代表するニセコの地酒【二世古(にせこ)】

「二世古」を造る二世古酒造は、国際スキーリゾート地として知られるニセコを代表する蔵元です。大正5年(1916年)の創業以来、ニセコワイス山系の雪解け水と、羊蹄山からの「噴出し湧水」を用いて、豪雪地帯ならではの低温発酵による酒造りを続けています。
普通酒から吟醸酒、期間限定酒まで、多彩なラインナップのなかでも、こだわりが強いのが加水調整しない原酒。「彗星」「吟風」「きたしずく」といった北海道産米の魅力をダイレクトに味わえます。

製造元:有限会社二世古酒造
北海道の日本酒【二世古(にせこ):二世古酒造】北海道の水と米で醸される良酒

豊かな海産物とともにたのしみたい増毛の地酒【国稀(くにまれ)】

「国稀」は、まだ北海道の日本酒が本土産に頼っていた明治15年(1882年)、いち早く道内での酒造りに挑戦した国稀酒造の代表銘柄です。当初の銘柄名は「国の誉(くにのほまれ)」でしたが、日露戦争の英雄として知られる乃木希典陸軍大将にちなんで改名。「希」をそのまま使うのを遠慮して「稀」の字を用い、「国に稀なよいお酒」との意味も込めたと伝えられています。
江戸末期からニシン漁で栄えた増毛(ましけ)の地にふさわしい、海の幸を引き立てる淡麗辛口の「国稀」は、増毛の地酒として地域の人々に愛され続けています。

製造元:国稀酒造株式会社
北海道の日本酒【國稀(くにまれ):国稀酒造】ニシン漁で栄えた増毛(ましけ)の地酒

冷涼な水と空気を活かした釧路の地酒【福司(ふくつかさ)】

「福を司(つかさど)る」という縁起のよい名を持つ「福司」は、大正8年(1919年)に創業した釧路の蔵元、福司酒造の代表銘柄です。現在は釧路で唯一の蔵元だけあって、釧路の地だからこそできる酒造りを追求。道東の大自然を源流とし、長い年月をかけてろ過された伏流水を仕込み水に、冬場に厳しい寒さのもとで「寒造り」で醸した日本酒を、夏場の冷涼な空気のなかで熟成させています。
近年では、北海道で初めて花酵母を使った純米酒「花華(はなはな)」や、北海道産ヨーグルトを使った清酒リキュールを開発するなど、新たな挑戦で注目を集めています。

製造元:福司酒造株式会社
北海道の日本酒【福司(ふくつかさ):福司酒造】釧路で唯一の蔵元が醸す「釧路の地酒」

北海道の日本酒、そのほかの注目銘柄

北海道の日本酒、そのほかの注目銘柄

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札幌の地酒「千歳鶴(ちとせづる)」の蔵元が造る大吟醸【吉翔(きっしょう)】

明治5年(1872年)に創業した日本清酒は、現在では札幌で唯一の蔵元。「北海道新酒鑑評会」では毎年のように金賞を、「全国新酒鑑評会」でも14年連続で金賞を獲得するなど、全国でもトップクラスの実力を誇ります。
代表銘柄「千歳鶴」は、北海道産米へのこだわりが特徴ですが、なかには例外もあります。「千歳鶴 大吟醸 吉翔」は、“酒造好適米の王様”と呼ばれる兵庫県産の「山田錦」を精米歩合40%まで磨き上げて醸した逸品。フルーティーで華やかな香りと、さわやかな余韻が魅力で、札幌市内の直営居酒屋の店名にもなっている看板銘柄です。

製造元:日本清酒株式会社
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「千歳鶴」蔵元の創業者を讃える記念碑的な銘柄【柴田(しばた)】

「千歳鶴」で知られる日本清酒は、明治5年(1872年)に創業した柴田酒造店が、明治30年(1897年)に近隣の同業者を束ねて札幌酒造として再編。さらに昭和3年(1928年)に同業8社を統合して、現在の社名に改めました。
柴田酒造店を創業した柴田與次右衛門氏は、北海道の日本酒造りのパイオニアとして知られています。この先駆者の心意気を現在に継承すべく、2012年に開発された銘柄が「柴田」。現在、3商品がラインナップされていて、なかでも「からくち純米 柴田」は、北海道産米の旨味を活かしながら、スッキリとした飲み口に仕上げています。

製造元:日本清酒株式会社
公式サイトはこちら

炭鉱地の人々を支え続けた夕張の地酒【北の錦(きたのにしき)】

「北の錦」を造る小林酒造は、明治11年(1878年)に夕張の地に創業した、北海道酒造業の先駆けのひとつ。北海道の中央部に位置する夕張は、かつて炭鉱地として栄え「北海道で錦を飾ろう」という人々が全国から集いました。「北の錦」はそんな人々の需要に応える夕張の地酒として愛され続けてきた銘柄です。
小林酒造が現在、蔵を構える夕張郡栗山町は、北海道でも有数の米処。蔵人の大半が地元農家の後継者であり、「造る人・米・水のすべてが北海道」をキャッチフレーズにした酒造りで、地元の信頼を集めています。

製造元:小林酒造株式会社
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日本最東端の蔵元が醸す根室の地酒【北の勝(きたのかつ)】

「北の勝」を造る碓氷勝三郎(うすいかつさぶろう)商店は、日本の最東端にある根室市で唯一の蔵元です。明治20年(1887年)、新潟県から移住してきた碓氷勝三郎氏が、この地で酒造りを始めるにあたり、自身の名と北海道の大地にちなんで「北の勝」と命名したのだとか。
間近にオホーツク海が広がる根室の地ならではの、透きとおった空気のもと、酒造りの基本に徹して醸す「北の勝」は、根室の居酒屋では必ず飲めるほど地元に根づいた、まさに根室の地酒です。

製造元:碓氷勝三郎商店
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地元産の純米酒にこだわる新たな蔵元【上川大雪(かみかわたいせつ)】

「上川大雪」は、その名のとおり、大雪山系の麓にある上川町が、地方創生の一貫として生み出した日本酒です。造り手となる上川大雪酒造は、2017年に誕生したばかりの新しい蔵元。大雪山系からもたらされる良質な天然水と、北海海道産米にこだわった酒造りをめざし、上川町や地元農家など多くの関係者の支援のもと、上川初の、そして唯一の蔵元として誕生しました。
生産量は少ないながら、伝統的な手造りの手法で一本一本ていねいに醸す「上川大雪」に、北海道はもちろん、全国の地酒ファンからの期待が寄せられています。

製造元:上川大雪酒造株式会社
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北海道の日本酒は、厳しい寒さのなかで生まれた清澄な味わいがたのしめる逸品ぞろい。広大な北海道のあちこちで、それぞれ個性ある銘柄が造られていますので、北海道を訪れた際は、ぜひ、その地の地酒をたのしんでみてください。

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