佐賀に行って飲んでみたい! おすすめの日本酒(地酒)【九州編】

佐賀に行って飲んでみたい! おすすめの日本酒(地酒)【九州編】
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佐賀県は、有明海に面した佐賀平野での米作りが盛んで、県の南北にある山地を水源とする伏流水にも恵まれています。おいしい日本酒を造るための条件が揃っていることから、多くの蔵元を擁しています。ここでは、佐賀県の酒造りの特徴や、おすすめの銘柄を紹介します。

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佐賀は古代から米作りが行われてきた、隠れた名醸地

佐賀は古代から米作りが行われてきた、隠れた名醸地

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佐賀県は、弥生時代から稲作が行われてきた米処

佐賀県東部の吉野ヶ里(よしのがり)遺跡は、日本に稲作が始まったとされる弥生時代(紀元前3~5世紀)の集落跡が残される大規模な遺跡です。
この遺跡が物語るように、佐賀の地では古代から米作りが盛んで、現在も九州随一の米処です。

米と水に恵まれた佐賀は、日本酒造りが盛んな地

佐賀県では、良質な米に加え、名水にも恵まれた、まさに酒造りに最適な土地柄。北の背振山(せふりさん)と南の多良岳(たらだけ)という2つの山系がもたらす良質な伏流水を水源として、古くから酒造りが盛んに行われてきました。
とくに江戸時代には、佐賀藩主である鍋島家が日本酒造りを奨励し、最盛期には700を超える蔵元があったのだとか。

日本酒好きの佐賀県民に育てられた「濃醇甘口」の酒

現在では、蔵元の数こそ減ったものの、佐賀県民の日本酒好きは健在。2012年には、1世帯あたりの日本酒購入額で佐賀市が全国首位 になったほど。
そんな佐賀県の日本酒の大きな特徴が「濃醇甘口」。近年、日本酒と言えば「淡麗辛口」が好まれる傾向がありますが、佐賀の地酒は、玄界灘と有明海からもたらされる“海の幸”、佐賀平野に育まれた佐賀牛などの“山の幸”に合わせた、芳醇な味わいが大きな魅力となっています。

佐賀県産原料を100%使用した「The SAGA認定酒」をたのしむ

佐賀県産原料を100%使用した「The SAGA認定酒」をたのしむ

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佐賀の地酒の品質を支える「佐賀県原産地呼称管理制度」

佐賀県では、「佐賀の地酒」の魅力を全国に発信するため、佐賀県産原料を使った純米酒と本格焼酎を対象とした「佐賀県原産地呼称管理制度」により、その品質を検証しています。
この制度は、県と酒造組合が一体となって運営するもので、基準をクリアした銘柄は「The SAGA 認定酒」として認められます。

佐賀県産原料100%で造られる「The SAGA認定酒」

「The SAGA認定酒」の認定を得るには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
(1)佐賀県産材料を100%使用していること
(2)佐賀県内の蔵元で製造したもの
(3)「佐賀県原産地呼称管理委員会」による審査に合格すること
認定会で認定を得られると、1年間の有効期間中、「The SAGA認定酒」であることが保証されるため、消費者にとっては良質な佐賀の地酒を探すうえで重要な目安となっています。

佐賀の日本酒、人気銘柄

佐賀の日本酒、人気銘柄

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佐賀県の日本酒は、味わいはもちろん、由来や歴史も個性的な銘柄が豊富。まずは、佐賀県を代表する5銘柄を見ていきましょう。

世界的評価も獲得した佐賀トップクラスの地酒【鍋島(なべしま)】

大正末期創業の富久千代(ふくちよ)酒造が、1998年に誕生させた銘柄です。「鍋島」という名は、江戸時代に佐賀を統治した鍋島家に由来し、「佐賀、九州を代表する地酒」をめざして公募によって決められたもの。
「鍋島」の味わいは、佐賀の地酒らしく濃醇甘口ながら、上品かつフルーティー。2011年の「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)」のSAKE部門において、「鍋島 大吟醸」が最優秀賞を獲得したことで、その人気は確固たるものになりました。

「鍋島(なべしま)」は、佐賀を代表する地酒

創業者の名を冠した新たな挑戦の酒【七田(しちだ)】

天山酒造は、蔵の建物が国の有形登録文化財に登録されるほどの歴史ある蔵元です。代表銘柄は蔵と同名の「天山」とは別に、2001年に限定流通品として開発したブランドが「七田」。蔵を運営する七田家の名を冠したことからも、この銘柄に対する造り手の思い入れの深さがわかります。
「七田」は、酒造好適米「山田錦」の旨味を存分に引き出した、飲み口がよく、かつインパクトのある旨味がたのしめる酒。季節限定酒や数量限定酒など、バラエティ豊かなライナップも魅力です。

幻の日本酒【七田(しちだ)】米本来の旨味を感じる酒

吟醸造りにこだわった珠玉の酒【東一(あずまいち)】

「東一」を造る五町田(ごちょうだ)酒造のモットーは、地元に愛される日本酒造り。それゆえ原料も佐賀県産にこだわります。“酒造好適米の王様”と言われる「山田錦」の自家栽培に、佐賀県内の蔵元としてはいち早く取り組み、これを原料にした大吟醸が「全国新酒鑑評会」で金賞を獲得したことで、一躍脚光を浴びました。
また、酵母が活動しにくい低温発酵での吟醸造りも、五町田酒造の挑戦のひとつ。「東洋一をめざす」という志が込められた酒名に恥じぬよう、五町田酒造の飽くなき挑戦は続きます。

製造元:五町田酒造株式会社
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21世紀に復活した老舗蔵元の酒【東鶴(あずまつる)】

東鶴酒造は、天保元年(1830年)創業という歴史を持つ老舗蔵ですが、杜氏の高齢化などから、1989年に休業していました。それから20年後、6代目にあたる現蔵元が「自分の手でおいしい日本酒を造りたい」との想いで復活させ、現在は家族経営で切り盛りしています。
蔵名と同名の主力銘柄「東鶴」は、口当たりのよい芳醇な味わいが魅力。昔ながらの生酛(きもと)造りや、生きた酵母を閉じ込めたスパークリングなど、造り手の想いや個性を感じる日本酒がたのしめます。

製造元:東鶴酒造株式会社
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無農薬の米と花酵母が醸す極上の酒【天吹(あまぶき)】

天吹酒造は、元禄年間創業という約300年の歴史を持つ老舗蔵。代表銘柄の名でもある「天吹」は、蔵の北東に位置する天吹山から命名されました。
「天吹」が原料とするのは、田んぼに放った合鴨が害虫駆除や肥料供給の役割を果たすことで、農薬や化学肥料を排除した「合鴨農法」で育てられた佐賀県米。この良質な米を、脊振山から流れる良質な伏流水と、花から抽出した花酵母で醸した、華やかな味わいが魅力です。

製造元:天吹酒造合資会社
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佐賀の日本酒、そのほかの注目銘柄

佐賀の日本酒、そのほかの注目銘柄

Wako Megum/ Shutterstock.com

佐賀県では歴史ある蔵元が伝統を守りつつも、次々と新しい酒を生みだしています。佐賀の日本酒を語るなら、ぜひ知っておきたい銘柄を紹介しましょう。

蛍舞う清冽な伏流水を使った酒【天山(てんざん)】

「天山」は、先に紹介した「七田」の蔵元、天山酒造の代表銘柄です。「天山」という名は、佐賀県の中央に位置する名峰・天山にちなんだもの。天山を水源とする祇園川は、蛍が舞う清流として知られていて、「天山」もその伏流水を使って造られます。
ミネラル豊富な硬水で仕込んだ「天山」は、米の旨味と、酸味とのバランスが絶妙な、しっかりした味わいが特徴。佐賀はもちろん、日本を代表する銘柄として、2018年にANA国際線のファーストおよびビジネスクラスの機内酒に採用されました。

製造元:天山酒造株式会社
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「佐賀らしい甘口の酒」をめざした老舗蔵の銘酒【能古見(のごみ)】

「能古見」を造る馬場酒造場は、有明海に面した鹿島の地で、寛政7年(1795年)に創業した、200年以上の歴史を持つ老舗。「お客様に信頼される蔵元」を信念に、規模を追うことなく、誠実な酒造りを続けています。
地元・鹿島産の「山田錦」と、多良岳山系の伏流水を使って醸す「能古見」は、「佐賀らしい甘口の酒」をめざした日本酒。低温発酵により、普通酒の約2倍の日数をかけて造り出される「能古見」は、やわらかい香りと豊かな味わいが魅力。じっくりと、ていねいに味わいたい1本です。

製造元:有限会社馬場酒造場
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元証券マンの杜氏が手掛ける手造りの酒【万齢(まんれい)】

小松酒造は、佐賀県でも観光地として人気のある唐津の地で、江戸末期以来の歴史を重ねてきました。海軍御用達酒「宣揚」などで知られる名酒蔵でしたが、日本酒消費量の縮小を受け、1990年から休業。その歴史を8年ぶりに復活させたのが、証券マンから転身した蔵の長男でした。
蔵の復活を期し、蔵元自らが杜氏として手掛けた「万齢」は、自然豊かな環境を活かし、機械に頼らず全行程を手造りで行った酒。初年度から「福岡国税局酒類鑑評会」で優等賞に輝き、新たな歴史を刻み始めました。「万の齢まで長生き」との願いが込められた「万齢」とともに、長い歴史を重ねていくことでしょう。

製造元:小松酒造株式会社
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夫婦が力をあわせて醸す佐賀の地酒【古伊万里(こいまり)】

佐賀県は「有田焼」「伊万里焼」などの陶器が有名ですが、その特産品にちなんで名づけられたのが、古伊万里酒造の代表銘柄である「古伊万里」です。
明治42年(1909年)に創業し、現在は4代目となる当主夫妻を中心に、真心のこもった酒造りを続けています。そんな古伊万里酒造が「前へ進んだ新しい佐賀の酒」をめざし、地酒専門店用ブランドとして立ち上げたのが「古伊万里 前(さき)」。佐賀県の人々がこよなく愛する「濃醇甘口」をベースに、吟醸香を兼ねそなえた、さらりとした味わいが特徴です。

製造元:古伊万里酒造有限会社
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佐賀県産「山田錦」にこだわった酒造り【東長(あずまちょう)】

「東長」は、寛政元年(1789年)の創業以来、200年以上の歴史を持つ老舗蔵、瀬頭(せとう)酒造の代表銘柄。大正9年(1920)に法人化した際に、平民宰相として知られる当時の首相・原敬の言葉「アズマの国のオサをめざす」から命名されました。
多良岳山系の清水を仕込み水に、肥前杜氏の技で造られる「東長」の最大のこだわりは米。同じく佐賀の蔵元、五町田酒造とともに、酒造好適米「山田錦」の栽培にいち早く取り組み、自社栽培に成功しました。良質な米を自家精米して醸した「東長」は、キレのよい「濃醇甘口」の酒として、地酒ファンの支持を集めています。

製造元:瀬頭酒造株式会社
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佐賀県は、有田や唐津など人気の観光地とともに、豊かな自然に育まれた料理も魅力。佐賀を訪れた際には、食事とともに、個性豊かな日本酒の数々を堪能してください。佐賀らしい甘口の味わいに、ほっと心が和むはずです。

佐賀県酒造組合

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