佐賀の日本酒【天山(てんざん):天山酒造】原材料にこだわって造られる絶品の酒

佐賀の日本酒【天山(てんざん):天山酒造】原材料にこだわって造られる絶品の酒
出典 : 天山酒造公式インスタグラム

「天山」は、「七田(しちだ)」で知られる佐賀県小城(おぎ)市の蔵元、天山酒造の主要ブランドです。焼酎などもラインナップされていますが、ここでは日本酒「天山」にフォーカス。蔵元の歴史や原材料、米へのこだわりなども含め、「天山」の魅力に迫ります。

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「天山」の蔵元の歴史

「天山」の蔵元の歴史

出典:天山酒造公式フェイスブック

「天山」は「九州の小京都」で醸される酒

「天山」は、佐賀県のほぼ中央に位置する小城(おぎ)市の蔵元、天山酒造の日本酒銘柄です。

天山酒造が蔵を構える小城市小城町は、悠久の歴史と文化を感じさせる町で、「九州の小京都」と呼ばれています。蔵の北西には、蔵と酒名の由来となった秀峰、天山がそびえ、すぐそばには、毎年初夏になるとゲンジボタルが舞う祇園川が流れるなど、自然にも恵まれています。

天山酒造は、文化と自然が融合する豊かなこの小城の地で、「天山」をはじめ「七田」や「岩の蔵」など、数々の銘酒を醸しています。

「天山」を醸す蔵元の歴史

天山酒造のルーツは、江戸時代末期の文久元年(1861年)に遡ります。当主の七田家はこの年に、水車を使った製粉・製麺業を開始し、酒米の精米も請け負っていました。

明治8年(1875年)になり、初代蔵元となる七田利三氏が、廃業する造り酒屋から蔵と道具一式を購入しました。これがきっかけとなって酒造業をスタートさせたのです。

現在、国の登録有形文化財(建造物)となっている「明治蔵及び大正蔵」「昭和蔵」「旧精米所立型水車及び水路」は、2代目七田秀一氏が整備したもので、佐賀県遺産にも認定されています。日本酒「天山」は、「品質第一の酒造り」を続けてきたこれらの蔵で、6代目七田謙介氏の時代となった今も変わらず、心を込めて醸されています。

「天山」がこだわる原材料

「天山」がこだわる原材料

出典:天山酒造公式フェイスブック

「天山」の味わいを生む仕込み水

「天山」の仕込み水には、天山山系伏流水が使われています。標高1,046メートルの高さを誇る天山の中腹から、清冽な湧き水を専用の水道を使って、蔵まで運んでいるのです。

この水は硬水で、酵母など微生物の栄養分となるマグネシウムや、酵素の生産や安定化を助けるカルシウムといったミネラル分が多く含まれています。その一方で、酒質に悪影響をおよぼす鉄分が含まれていないのが特徴です。

佐賀の日本酒は、ミネラル分が少ない軟水を使った甘口の「女酒」が多くを占めていますが、そのなかで、硬水で醸される「天山」は、しっかりとした味わいで絶品の「男酒」として、存在感を放っています。

「天山」の蔵元は米にこだわる

「天山」には、「山田錦」「愛山(あいやま)」「出羽燦々(でわさんさん)」など、さまざまな米が使われています。天山酒造は、昔から米にこだわり、良質の米作りを追求してきました。

昭和21年(1946年)には、3代目蔵元・七田秀一氏(2代目「秀一」を襲名)が、農業を専門に学ぶ「天山高農塾」を、私財を投じて創立。昭和30年代には、当時、希少米だった「雄町(おまち)」を自らの田んぼで栽培するなど、米作りからこだわる日本酒造りを行いました。

その志は、先代の5代目蔵元・七田利秀氏にも受け継がれます。平成10年(1998年)、自社田での「山田錦」の栽培を開始。平成17年(2005年)には、生産農家と「山田錦」の勉強会などを行う「天山酒米栽培研究会」を立ち上げました。こうした取り組みは、現在も続けられています。

ほかにも、天山酒造では、消費者が米作りと日本酒造りを体験し、世界にひとつだけのオリジナル日本酒を造ることができる「人・米・酒(じんまいしゅ)プロジェクト」を、平成15年(2003年)から開催し、多くの人に好評を得ています。※2020年は休止しています。

「天山」は海外でも高く評価されている酒

「天山」は海外でも高く評価されている酒

出典:天山酒造オンラインストア

「天山」は海外の品評会で高評価

「天山」は、海外の品評会でも高く評価されている日本酒です。

イギリスのロンドンで開催されている「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)」では、幾度となく入賞。平成26年(2014年)には、「天山 純米吟醸 おりがらみ」がスパークリングの部でトロフィーを受賞しています。

令和2年(2020年)には、フランスで行われている「Kura Master(クラ・マスター)」の純米酒部門で、「天山 純米吟醸」が「七田 純米吟醸」とともに金賞に輝きました。

「天山」ブランドでは「飛天山(ひてんざん)」や「七田」なども海外で多くの賞を受賞するなか、蔵元はアメリカ、カナダ、香港、台湾、韓国、シンガポール、ベルギー、イギリスなどに販路を拡大。世界に「Tenzan」の名を広めています。

「天山」ブランドの定番ラインナップ

天山酒造は、先人たちから受け継いだ「知恵」を大切にする一方、昭和40年代に、4代目蔵元の七田直男氏が、ほかに先駆けて純米酒を醸造するなど、時代の流れに合わせて新しい日本酒のあり方を提案してきた、「チャレンジ」する蔵元でもあります。

「天山」ブランドにも、オーソドックスな商品から、世界に挑戦する商品まで幅広くラインナップされています。そのなかからまず、定番酒を3本紹介しましょう。

【天山 特別純米】
米の旨味と酸味のバランスが絶妙な「天山」ブランドの看板商品。地元で栽培した佐賀県生まれの酒造好適米「さがの華」を、60%まで磨いて使用しています。冷やしてよし、常温よし、ぬる燗よしの1本ですが、とくにお燗がおすすめです。

【天山 純米大吟醸】
「天山酒米栽培研究会」所属の地元佐賀県の生産者が手掛けた、契約栽培「山田錦」を45%まで磨いて使用。バナナのような穏やかな香りとまろやかな味わいが特徴のお酒で、食中酒としてもおすすめです。

【天山 大吟醸】
東北・山形県生まれの酒造好適米「出羽燦々」を45%まで磨いて使用。華やかで気品あふれる吟醸香と、包み込むような豊かな甘味、そしてさわやかなキレが、絶妙なハーモニーを奏でるお酒です。

「天山」の海外でも人気のラインナップ

「天山」には海外でも人気の商品がたくさんあります。受賞歴のある商品を含めていくつか紹介しましょう。

【天山 純米吟醸】
「Kura Master 2020」純米酒部門金賞受賞酒。「天山酒米栽培研究会」所属の地元生産者による契約栽培「山田錦」を、精米歩合55%で使用しています。南国のフルーツを思わせる香り、すっきりとした甘味と酸味がバランスよく広がる「天山」ブランド随一の人気商品です。

【地酒 天山】
佐賀県産「さがの華」を精米歩合60%で使用した純米原酒。濃醇でまろやか、かつリッチな味わいは、NYをはじめ海外でも大人気です。竹の皮を1本ずつ巻いた、個性的なパッケージも話題。

【天山 純米吟醸 おりがらみ】
「山田錦」を55%まで磨いて使用。毎年3月に発売される季節限定微発泡スパークリング酒で、華やかな香りとさわやかな弾ける味わいが魅力です。「IWC 2014」スパークリング部門トロフィー受賞酒。

【天山 スパークリング】
余計なものを入れず、酒造好適米と天山山系伏流水だけで醸した「Dosage Zero(ドサージュ・ゼロ)」のスパークリング日本酒。じっくり瓶内で2次発酵させて澱(おり)を引き、熟練の技でていねいに仕上げた極上の1本です。世界へ向けて日本酒の新たな扉を開いたラグジュアリーな乾杯酒で、米味が活きるドライで繊細な味わいと、きめ細やかな発泡が織り成す絶妙なバランスがたのしめます。


米にこだわって醸される「天山」は、地元佐賀をはじめ、海外からも高い評価を得ている銘柄です。米味の活きた純米酒から、海外向けに開発されたスパークリングまでさまざまな種類があるので、味わいの違いを堪能してみてはいかがでしょう。


製造元:天山酒造株式会社
公式サイトはこちら

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