滋賀のおすすめ地酒10選【滋賀の日本酒】

滋賀のおすすめ地酒10選【滋賀の日本酒】
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滋賀県には、小規模ながらも質の高い日本酒を造り続けている蔵元が多数あります。それぞれの蔵元が醸し出すお酒には個性があり、いずれも高い評価を得ているのです。ここでは、滋賀県の日本酒造りの特徴や、おすすめの銘柄を紹介します。

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滋賀の地酒は淡水の魚介類との相性もバッチリ

滋賀の地酒は淡水の魚介類との相性もバッチリ

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滋賀県には、現在、40近くもの日本酒の蔵元が各地で操業しています。いずれも規模こそ大きくないものの、それぞれ個性豊かな日本酒を造り続けている魅力的な蔵元です。滋賀県内では、蔵元同士が競い合うというよりは、互いに刺激を与え、高め合いながら、地域のお酒の品質を引き上げているのです。

滋賀県は、日本酒造りに欠かせない水や米に恵まれた地でもあります。周囲を取り囲む山々を源とする清流は、地域の土壌を豊かにしながら、琵琶湖に流れ着きます。とくに山間部は酒造好適米の栽培に適した土地となっており、こうした環境のもとに、良質なお酒が造られています。

また、滋賀県が誇る日本最大の湖、琵琶湖では、淡水魚が豊富に獲れ、お酒のつまみとしてもよく用いられます。たとえば、鮒(ふな)とご飯を発酵させて造る「鮒ずし」をはじめ、鯉の筒煮、スジエビと豆の煮ものである「えび豆」などは、滋賀県ならではの魚介料理です。
滋賀県産の日本酒は、こうした淡水魚介料理との相性が抜群。酒米の旨味を活かした酒と、淡水魚の淡白な味は、互いの味を引き立て合う絶妙の取り合わせです。

滋賀の“幻の酒米”と呼ばれた「滋賀渡舟」が復活

滋賀の“幻の酒米”と呼ばれた「滋賀渡舟」が復活

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滋賀県の日本酒に用いられる主要な酒造好適米は4種類。まずは全国的に用いられている「山田錦」、そして辛口のお酒に仕上がる「玉栄」、これら2つをかけあわせた「吟吹雪」、最後に「山田錦」のルーツといわれる「滋賀渡船(しがわたりぶね)6号」です。

なかでも滋賀県ならではの酒米として注目されているのが「滋賀渡船6号」です。この酒米は「山田錦」のルーツにあたる日本古来の品種のひとつですが、約半世紀前に姿を消し“幻の酒米”となっていました。
近年になって、地元農協である「JAグリーン近江」の職員が、滋賀県が全国に誇る酒米として復活させることを提案。農業技術振興センターから譲り受けたわずか50グラム程度の籾種からスタートさせ、試験栽培を重ねて復活を遂げました。

復活した「滋賀渡船」の品質は「山田錦」に劣らぬもので、今では滋賀県を代表する酒米として、県内8つの蔵元が使用しています。

滋賀の人気銘柄

滋賀の人気銘柄

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滋賀県の酒は、この地の酒造りの伝統を守りながらも、蔵元独自の工夫を加えたものが多数あります。そのなかでも、人気の5銘柄を紹介しましょう。

低精白純米を使った穀物感のある味わい【七本槍(しちほんやり)】

「七本槍」は、戦国時代から脈々と歴史を紡ぐ蔵元、冨田酒造の銘柄です。「七本槍」という名前は、天正11年(1583年)に羽柴秀吉と柴田勝家との合戦で活躍した7人の武将「賎ケ岳の七本槍」に由来します。
冨田酒造では、江戸時代から受け継がれた酒蔵で昔ながらの製法による酒造りを行っています。原料となる酒米には、精米の際にできるだけ米を削らず、米本来の味わいを活かした「低精白純米」を使用。芯のしっかりした穀物感のある日本酒となっています。

製造元:冨田酒造有限会社
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「吟吹雪」の旨味とキリッとした酸味が魅力【三連星(さんれんせい)】

「三連星」を造る美冨久(みふく)酒造は、大正6年(1917年)創業の蔵元。伝統的な製法である「山廃造り」による酒造りを続けています。代表銘柄である「三連星」は、この蔵元の若手蔵人により開発されたもの。その印象的な名前は、純米大吟醸と純米吟醸、純米酒の3種、また定番と特別限定、季節の酒の3種、そして3代にわたる当主への敬意を示すとともに、「連なって輝く星」という意味も込められているのだとか。「三連星」はラインナップも豊富ですが、とくに酒米として地元滋賀県産「吟吹雪」を使用した純米酒は、豊かな旨味とキリッとした酸味で人気の定番酒です。

製造元:美冨久酒造株式会社
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穏やかで豊かな自然の恵み【萩乃露(はぎのつゆ)】

「萩乃露」は、江戸時代中期の寛永年間(1748~51年)に創業という歴史をもつ老舗蔵、福井弥平商店の定番銘柄。「萩乃露」という名前は、琵琶湖沿岸の勝野が浜に咲く萩にちなんだものだとか。
蔵を取り囲む穏やかで豊かな比良山系の自然のなか、「萩乃露」はやわらかな口当たりの伏流水と、良質な米の恵みを受けて造られます。その味わいは旨味にすぐれ、すっきりとしたあと味が特徴。じっくりとたのしむ酒にふさわしいでしょう。

製造元:株式会社福井弥平商店
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全国でも数少ない木槽天秤しぼりの酒【不老泉(ふろうせん)】

「不老泉」の造り手である上原酒造は、幕末の文久2年(1862年)に創業した老舗の酒蔵。米本来の旨味にこだわり、伝統的な「山廃仕込み」や、今や全国的にも珍しい「木槽天秤しぼり」を用いた酒造りを行っています。
「木槽天秤しぼり」とは、木槽と呼ばれる器材にもろみ袋を積んで、上から天秤で絞り出す手法。これにより、雑味を排したクリアな飲み口の日本酒となります。
代表銘柄である「不老泉」は、蔵内の井戸から地蔵が出てきたという伝承が由来。酒米のコクが活きた、さわやかなあと味で人気を集めています。

製造元:上原酒造株式会社
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深みのある味とレトロなラベルがたのしめる【旭日(きょくじつ)】

「旭日」は、江戸時代後期の天保2年(1831年)から続く老舗蔵、藤居本家を代表する銘柄です。藤居本家は、宮中行事である「新嘗祭(にいなめさい)」の御新酒を献上している由緒正しき蔵元。当主である藤居家の主屋や書院は登録有形文化財にも指定されています。
こうした歴史と伝統を背景に生まれた「旭日」は、上品ながら深みのある味わいをもち、蔵元の風格を感じさせる日本酒です。レトロな雰囲気をたのしめるラベルは、力強さのあるロゴとともに銘柄を印象づけています。

製造元:藤居本家
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滋賀のそのほかの注目銘柄

滋賀のそのほかの注目銘柄

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滋賀県には、ここまで紹介した銘柄以外にも、注目したい酒が多くあります。滋賀県を訪れたときには、ぜひ、味わってほしい銘柄を紹介します。

フルーティな渋味と上品な甘味【一博(かずひろ)】

「一博」は、昭和23年(1948年)創業の蔵元、中澤酒造の代表銘柄です。旧中山道の風情を残す街並みにたたずむ蔵元は、2000年にいったん休業しましたが、現当主の手によって2015年に復活。その際に生まれた銘柄が「一博」です。
「一博」の名は、現当主に酒造りを教えた2人の杜氏の名前をとって命名されたもの。フルーティな味わいに加えて上品な甘味をもち、さらにほどよい酸味がキリッときいています。独特の旨味が心地よく、長く飲み続けるのにぴったりです。

製造元:中澤酒造有限会社
公式サイトはありません

お米の味を醸し出す昔ながらの酒【金亀(きんかめ)】

「金亀」の蔵元、岡村本家は幕末の「安政の大獄」で知られる彦根藩主、井伊直弼から命じられて安政元年(1854年)に創業したという歴史ある蔵元。以来、150余年にわたり、鈴鹿山系から湧き出す清冽な伏流水と、質の高い近江米にこだわり、ていねいな酒造りを続けてきました。
代表銘柄である「金亀」は、もろみをそのまま絞ることで米の旨味を存分に引き出す、昔ながらの製法で造られます。できあがった酒は、ほんのりと色づいているのが特徴。米の磨き具合によって色合いが変化するため、好みの味をその目で確かめることができます。

製造元:株式会社岡村本家
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ふくらみのある香りと純米の旨味をもつ酒【道灌(どうかん)】

「道灌」は、明治7年(1874年)に創業した太田酒造の代表銘柄です。太田酒造を営む太田家は、江戸城を創建したことで知られる太田道灌の系譜を受け継いでおり、銘柄もその名にちなんでいます。
「道灌」の特徴的は、口のなかでふくらむ豊かな香り。さらに吟醸米の旨味をしっかりと感じられ、まろやかな風味がたのしめます。あと味はキレがよく、適度な酸味や苦味がアクセントになったバランスのよい1本です。

製造元:太田酒造株式会社
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原酒の力強さが際立つ酒【大治郎(だいじろう)】

「大治郎」は大正3年(1914年)、八日市(現東近江市)に創業した蔵元、畑酒造の銘柄です。かつては「喜量能(きりょうよし)」という銘柄で知られていましたが、現当主が蔵を継ぐにあたって2010年に開発したのが「大治郎」。これは蔵元の創業者の名前であり、また現当主の名前でもあります。
「大治郎」は、滋賀県産米100%で造った原酒を、ろ過せずに瓶詰めしており、米本来の力強い旨味と素朴な風味を味わえます。その芯の強さには、確かな飲みごたえを感じられます。

製造元:畑酒造有限会社
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甘口をコンセプトにした独創的な味わい【笑四季(えみしき)】

「笑四季」は、明治25年(1892年)に創業した笑四季酒造の主力銘柄です。もともとは地域に根ざした小規模な蔵元でしたが、現当主が就任して以降、革新的な酒造りで全国の地酒ファンから注目を集める存在となりました。
「笑四季」のコンセプトは、その名の通り「四季の移ろい」を表現すること。地元滋賀県産の酒米にこだわり、その魅力を引き出すため「香り」よりも「甘味」を軸にとして酒質を設計しているのだとか。「笑四季モンスーン」「笑四季Sensation」など名前やラベルデザインも個性的な「笑四季」の酒造りに、これからも目が離せません。

製造元:笑四季酒造株式会社
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ここに紹介した銘柄のほかにも、滋賀県では「松の司(まつのつかさ)」など、全国的な知名度をもつ銘柄が豊富に揃っています。

滋賀県の日本酒は、蔵元独自の個性が発揮された、多種多様な特徴をもっています。そのバラエティ豊かな味わいは、「滋賀の酒」とひとくくりにするのは難しいほど。伝統と革新がバランスよく共存しているのが、滋賀県の日本酒の魅力です。

滋賀県酒造組合

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