滋賀の日本酒【萩乃露(はぎのつゆ)】日本の原風景、里山の恵みを活かした酒造り
「萩乃露」は、江戸中期の寛延年間創業という歴史を持つ老舗蔵、福井弥平商店が造る近江の地酒です。里山に広がる棚田をはじめ、琵琶湖畔の自然豊かな風土に根づいた酒造りは、「地酒とはかくあるべし」と、全国の地酒ファンから熱い視線を集めています。
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「萩乃露」は琵琶湖畔の情景に由来する美しい酒
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「萩乃露」の蔵元が醸すのは、近江の風土を活かした地酒
「萩乃露」の蔵元、福井弥平商店は、江戸中期の寛延年間(1748~51)に創業して以来、260年以上にわたって酒造りの歴史を重ね続けてきた近江きっての老舗です。
「酒は風土を映す鏡」と言われますが、福井弥平商店の酒造りも、風土との調和が基本。関西きっての米処・近江の良質な米と、比良(ひら)山系から流れ出る甘味のある軟水を用いて、まろやかで旨味があり、後味のスッキリした酒造りを続けています。
「萩乃露」という銘柄は、琵琶湖畔にそよぐ萩にちなんだもの
福井弥平商店が蔵を構える高島市勝野は、琵琶湖の西岸に位置する風光明媚な地山紫水明の地。なかでも、蔵近くの勝野が浜は、「萩の浜」とも呼ばれるように、かつては萩の名所でした。
「萩乃露」という銘柄名は、創業当時の藩主から、湖畔にそよぐ萩にちなんで命名を賜ったと伝えられています。
風情あるその名にふさわしく、「萩乃露」は四季豊かな里山の情景を思い起こさせるような、じっくりと味わえる日本酒に仕上がっています。
「萩の露」がこだわる棚田の米
出典:福井弥平商店サイト
酒造好適米や“幻の米”、飯米まで、多様な米を原料に
「萩乃露」の魅力のひとつが多彩な原料米で造り分けた豊富なラインナップ。「山田錦」や「吟吹雪」といった酒造好適米をはじめ、一度は栽培が途絶えた“幻の米”を復活させた「滋賀渡船六号」「山田穂」、さらには一般的には酒造りに用いない「コシヒカリ」「夢みらい」といった飯米まで、じつに幅広い米を使っています。その根底には、酒造りに欠かせない良質な米を育てる農家への信頼と共感があります。
良質な米を育む近江の米作りを守るために
「萩乃露」の原料米の多くが、滋賀県の農家との契約栽培によるもの。とくに地元・高島の契約農家では、滋賀県が認証する「環境こだわり農産物基準」による低農薬・低化学肥料での栽培に取り組んでいます。
さらに、「近江の棚田」として知られる豊かな里山を守るため、さまざまな活動を展開。棚田で栽培される「コシヒカリ」を用いた酒造りもその一環で、試行錯誤を重ねて完成した日本酒は「里山」と命名されています。
「萩の露」の新たなチャレンジ、日本酒リキュール
出典:福井弥平商店サイト
「萩乃露」の蔵元の新たな挑戦、果実リキュール
「萩乃露」の蔵元、福井弥平商店は、歴史ある老舗でありながら、新しい領域へのチャレンジ精神を絶やしません。その象徴とも言えるのが、国産果実を用いた日本酒リキュールの開発です。
2010年に開発した「和の果のしずく」は、日本酒の可能性をさまざまな形で広げたいとの想いから始まったもの。米農家と同様、厳しい環境のもとで品質や安全性を追求する果実農家とのタッグによって、さまざまな日本酒リキュールが誕生しています。
滋賀の地酒と国内産の良質で安全な果実との出会い
「和の果のしずく」の第一弾は、和歌山県産の完熟南高梅を使った「うめ酒」。焼酎で漬け込んだ梅酒とは一味違った、口当たりのやわらかさがたのしめます。
その開発のために赴いた和歌山での国産レモンとの出会いが、第二弾の「れもん酒」につながります。輸入レモンにはない、やさしい酸味が、日本酒との融合によって新たな魅力をもたらしています。
さらに、2015年には愛媛県産のみかんを用いた「みかん酒」、2017年には京都産のゆずを用いた「ゆず酒」も加わり、ラインナップが充実しています。
「萩乃露」の蔵元、福井弥平商店の酒造りには、伝統と挑戦という2つの特徴が見られます。両者は相反するように見えますが、その根底には、良質な地酒造りに欠かせない地元・近江の風土や農業を守りたいという一途な想いが共通しています。「萩乃露」が多くの地酒ファンに愛されるのは、そうした蔵元の想いが飲み手にも伝わっているからかもしれません。
製造元:株式会社福井弥平商店
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