秋田のおすすめの日本酒(秋田の地酒)【東北地方】

秋田のおすすめの日本酒(秋田の地酒)【東北地方】
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秋田は「美酒王国」の異名を持つほど日本酒の消費量が多い県。この地に酒蔵が誕生したのは、今から500年以上も前といわれています。秋田で日本酒が愛され続ける背景には、酒造りに適した豊かな土壌と、歴史に裏付けられた理由がありました。

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秋田の酒造りは、豊かな土壌に支えられたもの

秋田の酒造りは、豊かな土壌に支えられたもの

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日本最長の山脈である奥羽山脈と世界自然遺産・白神山地、そして丁岳(ひのとだけ)山地に囲まれた秋田県は、自然に恵まれた土地。名水の産地でもあり、厳しい冬が育むその水質は、日本の平均的な水と比較してもかなりやわららかく、酒造りに適しています。

また、秋田は国内有数の米どころとしても知られる県。豊かな土壌と日照時間の長さ、清冽な水、四季折々の風により豊富に育まれる米を利用して、この地では古くから酒造りがさかんに行われてきました。

良質の水と米。日本酒の原材料に恵まれた秋田県では、古くから大小さまざまの蔵が誕生し、その製法に磨きをかけてきました。2016年の時点で、秋田県の酒造場は37社あり、その約半数が秋田県の南側に広がる米の産地・横手盆地に集中しています。

秋田県は、日本酒生産量では全国5位(2016年度国税庁データより)ですが、「秋田酒こまち」や「美山錦」といった酒造好適米の生産量は東北圏内でも群を抜いており、酒米の開発や改良にも意欲的。県立の醸造試験場では、酵母や麹の開発も進められています。

秋田の酒造りの特徴は、米作りとのバランスがよい酒米自給自足タイプ。県内産の酒米にこだわる酒蔵が多く、みずから米作りに関わる酒蔵も増えています。また、近年では、若手蔵元が集まり共同醸造酒を開発するなど、新しい試みにも注目が集まっています。

秋田が「美酒王国」と呼ばれる理由は、全国1、2位を争う日本酒の消費量

秋田が「美酒王国」と呼ばれる理由は、全国1、2位を争う日本酒の消費量

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秋田は冬が厳しく、積雪の季節が長く続くこともあって、昔からお酒が多く飲まれる土地でした。成人1人あたりの日本酒消費量は今も全国1、2位を争うほどですから、「美酒王国・秋田」と呼ばれるのも納得です。

秋田では古くから酒造業がさかんで、現在まで続いている酒蔵の多くは創業100年を超えています。なかには500年以上もの歴史をもつ酒蔵もあるほど。
ちなみに、県内最古の酒蔵は、にかほ市にある「飛良泉本舗」で、創業は室町時代中期にあたる1487年。昔ながらの山廃仕込みにこだわるこの蔵は、全国でも指折りの歴史をもつ酒蔵として知られています。

秋田の日本酒消費量が急増したのは1800年代のこと。県内の鉱山に炭鉱が開発され、多くの鉱夫が集まってきたのをきっかけに、酒造業は大いに盛り上がりました。

明治時代には国立醸造試験所が設立されたのをきっかけに、秋田県産の日本酒の質が飛躍的に向上。さらに秋田の酒蔵「新政酒造」から、初の寒冷地酵母である「きょうかい6号」が分離されてからは、秋田はもちろん、東北全体の酒造りが大きく進化しました。

秋田の人気銘柄

秋田の人気銘柄

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秋田の日本酒には、米の甘みがたのしめる名酒が豊富。ここでは、人気の5銘柄をご紹介します。

純米蔵の挑戦【山本(やまもと)】

明治34年創業の山本合名会社は、2010年以降は純米、純米吟醸、純米大吟醸に特化したという純米蔵。杜氏制を廃止した6代目蔵元みずから酒米の栽培に携わり、「蔵人みんなで造る酒」をめざして酒造りに取り組んでいます。
「山本」は「白瀑(しらたき)」につぐセカンドブランドで、目下の主力銘柄。白神山地の自然が生んだ天然湧水と、仕込み水で栽培したこだわりの米が育む酒は、多くの人々から注目されています。定番の「潤黒 ピュアブラック」は柑橘系のジューシィな酸味と鋭いキレ味が特徴。

伝統と秋田の自然が育む酒【新政(あらまさ)】

新政酒造は嘉永5年(1852年)創業の老舗蔵。現存する最古の「きょうかい酵母」で知られる「きょうかい6号」が新政の醪(もろみ)から採取されたのは、昭和初期のこと。現在も、この6号酵母のみを使った酒造りが行われています。近年では「添加物は一切使わない」「原料米を秋田県産に限定」など、さまざまな改革が実施され、酒質がさらに向上。そのこだわりはスタイリッシュなボトルデザインにも活かされ、幅広い層の支持を集めています。

純米大吟醸は世界レベル【鳥海山(ちょうかいざん)】

秋田県でもっとも日本酒消費量の多い町、由利本荘市矢島町で酒造業を営む天寿酒造は、明治7年(1874年)の創業です。こだわりの酒「天寿」で知られるこの蔵の最大の特徴は、なでしこやマリーゴールドなどの花々から分離した花酵母を使用していること。国内外の愛好家が絶賛する純米大吟醸「鳥海山」では、なでしこ酵母がもつ華やかな香りと、美山錦の特上米のやわらかな甘味をたのしめます。この純米大吟醸は「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」をはじめ、国内外のコンクールで多数の賞を獲得した人気銘柄。一度は飲みたい逸品です。

「十四代」の遺伝子をもつ酒【花邑(はなむら)】

「花邑」は、「幻の酒」と呼ばれる山形の名酒「十四代」の高木社長による異例の技術指導を受けて生まれた日本酒です。高木酒造は日本一入手困難といわれる「十四代」を生んだ名酒蔵ですが、「花邑」の製造元である両関酒造もまた、1874年の創業当初から「品質第一主義」を掲げて酒造りを続ける老舗蔵。「花邑」はその完成度の高さから話題となり、限定酒ゆえに入手は困難ともいわれています。

100年以上愛され続ける食中酒【春霞(はるがすみ)】

「春霞」を造る栗林酒造がめざすのは、「ごはんのおかずとも相性のよい食中酒」。日常の食事とともにたのしめ、料理をしっかり引き立てる、毎日でも飲める味に仕上がっています。おいしさの秘密は、六郷の名水と原料の米。なかでも多く使われているのは栽培が難しいといわれる「美郷錦」で、蔵をあげて契約栽培に取り組んでいるというこだわりぶり。この「美郷錦」と「きょうかい9号」酵母で醸した定番の「純米赤ラベル」は、やわらかく素直な香りと透明感のある味わいが心地よく、どんな料理にも合わせられます。

秋田のそのほか注目銘柄

秋田のそのほか注目銘柄

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秋田にはやわらかな水と米の甘味を活かした、飽きのこない日本酒がずらり。おすすめの5銘柄を紹介します。

秋田流寒仕込みで醸す酒【阿櫻(あざくら)】

「阿櫻」の蔵元、阿桜酒造はかまくらの町・秋田県横手市で明治19年(1886年)に創業された伝統ある酒蔵。原料米には地元秋田産のみを使用し、長期低温発酵の秋田流寒仕込みで醸した「阿櫻」は、華やかな香りとまろやかな味わいが絶妙に調和した、飽きのこない日本酒です。「美郷錦」を38%まで磨き上げて醸した数量限定の純米大吟醸原酒「阿櫻 寒仕込」は、芳醇な香りと味の広がり、キレのよい飲み口と三拍子そろった逸品です。

製造元:阿桜酒造株式会社
公式サイトはこちら

毎日飲んでも飽きない日本酒【高清水(たかしみず)】

古くは江戸時代から酒造りをしてきた酒造家24人が結集し、太平洋戦争中の昭和19年(1944年)に誕生したのが「高清水」の酒蔵、秋田種類製造(現在は12酒蔵が残る)。戦後、心機一転して酒名を公募し、5,000点以上の応募のなかから選ばれたのが「高清水」と「千秋桜」でした。米の質にとことんこだわり、精米などは「高清水」専用の精米工場で行うほどの徹底ぶり。また、コストや手間よりも味を重視し、麹をふんだんに使用。特有のふっくらとした味わいと後味のよさを実現しました。

製造元:秋田酒類製造株式会社
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海外でも人気の日本酒【刈穂(かりほ)】

刈穂酒造は出羽鶴酒造の兄弟蔵として大正2年(1913年)に創業。戦後は高品質酒に特化し、本醸造以上の特定名称酒を手がけています。山廃仕込みで造られる「刈穂」の最大の特徴は、伝統の酒槽(さかふね)搾り。無理な圧力をかけずにゆっくりと搾られた酒は、力強い味わいときめ細やかな旨味のバランスが絶妙。最高峰の純米大吟醸酒「刈穂 嘉永」は、瓶貯蔵で一定期間熟成した香り高い逸品です。

製造元:刈穂酒造株式会社
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ずっと飲んでいたい酒【太平山(たいへいざん)】

名峰の名を冠した「太平山」を手がける小玉醸造は、明治12年(1879年)の創業当初は醤油や味噌の醸造を行っていました。酒造りに着手したのは、大正初期のこと。以来、「太平山」は著名人をはじめ、多くの人々に愛されてきました。
昭和8年(1933年)には、全国初の冷酒用「玲琅太平山」を発売。翌年には全国種類品評会で1位に輝き、秋田を代表する日本酒に。手間暇かけた秋田流生酛造りで醸される酒は、コクと深みのある味わいとすっきりとした飲み口が特徴で、食中酒としても最適です。

製造元:小玉醸造株式会社
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NHK連続テレビ小説から生まれた銘柄【まんさくの花】

「まんさくの花」は、元禄2年(1689年)創業の老舗蔵・日の丸醸造が、NHK連続テレビ小説『まんさくの花』をきっかけに造った銘柄です。それまで、重みのある日本酒「日の丸」を主力銘柄として展開していた日の丸醸造が新たにめざしたのは「きれいでやさしい酒質」。多種多様な酒米や酵母を用いながらも、飲み飽きしないおいしさを追求しています。

製造元:日の丸醸造株式会社
公式サイトはこちら

豊かな自然と地元産米が育む秋田の日本酒。機会があったら、とことん飲み比べてみたいものです。

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