NHKプロフッショナル 仕事の流儀 伝説の杜氏「高橋藤一」氏が醸す日本酒「雪の茅舎」

NHKプロフッショナル 仕事の流儀 伝説の杜氏「高橋藤一」氏が醸す日本酒「雪の茅舎」

「雪の茅舎(ゆきのぼうしゃ)」を造る齋彌酒造店(さいやしゅぞうてん)は、全国新酒鑑評会で平成に入ってからだけでも19回の金賞受賞、秋田県No.1の実績を持つ、明治35年(1902年)創業の秋田県由利本荘市にある蔵元です。その酒造り、魅力の一端を紹介します。

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「雪の茅舎」をざっくりと理解しましょう。

茅ぶき屋根の民家が点在する雪深い地に、創業当時のまま残る蔵

茅ぶき屋根の民家が点在する雪深い地に、創業当時のまま残る蔵

「雪の茅舎」を造る齋彌酒造店は、長年「由利正宗」の銘柄で親しまれてきた酒蔵ですが、最近では「雪の茅舎」のほうがピンとくる人が多いかもしれません。明治35年に初代齋藤彌太郎氏が鳥海山を望む由利本荘市に創業、茅ぶき屋根の民家が点在する雪深い地に、創業当時のまま残る蔵や店舗などは国の登録有形文化財に登録された貴重な建造物。全国新酒鑑品会において数々の受賞歴を持つ秋田を代表する名蔵元です。

その酒造りは、まず「米作り」から。そして自然の力を大切にすること。うまい酒を造り上げるための「異様なまでのこだわり」や日々改善を続ける「終わりなき革命」を、簡単にまとめました。

齋彌酒造店の酒蔵の特徴とは

夏の「のぼり蔵」全景

夏の「のぼり蔵」全景

雪深い秋田の傾斜地に建てられた齋彌酒造店の酒蔵は、通称「のぼり蔵」と呼ばれる、自然の地形と重力、風通しの良さを利用した設計が特徴。蔵の高いほうに運ばれたお米は精米され、敷地内で湧き出す新山の伏流水で仕込み、高低差によって酒造りの過程で徐々に移動しながら日本酒となって下りてくるという、先人の知恵が活きた構造になっています。

酒造りの肝、麹作りの工程をおこなう麹室(こうじむろ)には、厚い秋田杉の板を全面に使用。杉の木材が呼吸をしながら湿度を調節し、麹にとって最適な環境を整えていることも特徴です。

齋彌酒造店の酒造り、その異様なまでのこだわり

麹造り、仲仕事

麹造り、仲仕事

酒造りは「まず田んぼから、米から」。「雪の茅舎」の原料米となる酒造好適米「秋田酒こまち」は、蔵人たち自身の手によって、地元で育てられた新米を使用しています。「のぼり蔵」上部で自家精米され、洗米、限定吸水、蒸米の工程を経たお米は「秋田杉の麹室」で麹となり、仕込み工程でもあえて櫂(かい)入れをしないなど、自然の力による酒造りを実践していることが最大の特徴です。

また、20年以上前から酒造りに使う酵母を自家培養し、長年にわたって選抜した酵母で独自の香味を生み出し、酒質が安定しているのも特色のひとつです。

ほとんどの製品は「櫂入れ」「濾過」「割水」をせず、自然の力、酵母の働きを尊重し、長い時間をかけてじっくりと醸したお酒をなるべくそのままの状態で味わって欲しいという、本当のお酒の味を大切にした酒造りが同蔵の特徴です。

伝説の杜氏「高橋藤一」氏の想い

「雪の茅舎」をぜひ味わってみてください。

「雪の茅舎」をぜひ味わってみてください。

齋彌酒造店の酒造りの総責任者は、地元秋田の「山内杜氏組合・組合長」でもある「高橋藤一」氏。昭和20年生まれの同氏は、ふだんは温厚で親しみやすい人柄も、酒蔵に入ると「酒造りの鬼」と化し、ひとつひとつの作業にも決して手を抜かず、常に試行錯誤を続けています。新しいチャレンジに踏み出す勇気で、終わりなき革命ともいえる酒造りシーズンを過ごすそう。

伝説の杜氏が造り出すお酒の特徴は「繊細で香り高いきれいな酒質。」さらに時代によって変化する消費者の嗜好に合わせ「家庭の団らんの中にあるお酒とはどんなものか」を考えた酒造りを大切にする齋彌酒造店の日本酒「雪の茅舎」、お店で見かけたら、ぜひ味わってみてください。

「雪の茅舎」蔵元:株式会社 齋彌酒造店
所在地:〒015-0011 秋田県由利本荘市石脇字石脇53
URL:http://yukinobosha.jp/

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