【テキーラ編】スピリッツの飲み方を紹介

テキーラといえば「強いお酒」の代表格として知られており、ショットグラスで一気飲みするイメージが定着しています。近年では、じっくり味わうお酒としても人気が高まりつつあるテキーラについて、その歴史や、おいしい飲み方を紹介しましょう。
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テキーラが「メキシコの地酒」から「世界で愛されるお酒」に成長するまで

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テキーラは、メキシコ原産の「アガベ」を原料とした蒸留酒です。アガベは竜舌蘭(りゅうぜつらん)という多肉植物のことで、薬用として知られるアロエの仲間といえばイメージしやすいでしょう。
メキシコでは、古くからアガベの汁を発酵させたお酒「ブルケ」が親しまれていました。16世紀にスペイン人がこの地を発見した際に、ヨーロッパから蒸留技術が持ち込まれ、ブルケを蒸留した「メスカル」が誕生しました。
このメスカルのなかでも、特定の地域で、その地域産のアガベを主原料としたものだけが「テキーラ」と名乗ることを許されます。まさに「地酒」と呼ぶにふさわしいお酒といえるでしょう。
では、メキシコの一地方でしか造られない、ある意味でローカルな存在だったテキーラが、どのようにして世界的な人気となったのでしょうか?
「テキーラ・サンライズ」「マルガリータ」などカクテルの人気や、1950年代に全米で大ヒットした名曲「テキーラ」の影響もあったはずです。しかし、もっとも大きなきっかけは、1968年に開催されたメキシコオリンピックでしょう。
メディアを通じてメキシコ文化が世界に発信されるなかで、テキーラの魅力が世界中を駆け巡り、またたく間に4大スピリッツの一角を占めるまでになったのです。
なかでもテキーラ人気が高いのは、お隣のアメリカで、いまや消費量はメキシコをしのぐほど。最近では、ハリウッドセレブの間で、アガベ100%の「プレミアムテキーラ」が大ブームなのだとか。
テキーラの飲み方指南。「ショットグラスで一気飲み」だけではもったいない

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テキーラの飲み方といえば、日本では、冷凍庫でキンキンに冷やしたテキーラを、ショットグラスで一気飲みというイメージが定着しているようです。
場を盛り上げるための「罰ゲーム」のような扱いをされることもあるようですが、これは少しもったいないというもの。
テキーラは、てっとり早く酔っ払うためのものではなく、本来は、じっくりと味わうおいしいお酒です。
テキーラ本来の味をたのしみたいなら、冷やしたものよりも、常温のテキーラをフルートグラスでゆっくり飲むのがおすすめです。
アガベに特有の、少し青っぽい甘味が、独特の魅力となっていることがわかるはずです。
テキーラといえば強いお酒というイメージがありますが、じつは、アルコール度数は35~55%と、スピリッツのなかでは、比較的おとなしめです。とはいえ、ストレートで飲むとさすがにキツいかも?
そこで、おすすめなのが、テキーラ専用のチェイサー「サンゲリータ」と一緒にたのしむこと。トマトジュースとオレンジジュースをミックスしたもので、その酸味がテキーラの甘さにぴったりです。
テキーラの分類法を知って、より深くたのしもう!

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テキーラの分類法としては、透明なものを「シルバー」、琥珀色になったものを「ゴールド」と呼ぶように、色で区別するのがポピュラーです。
この色の違いは、ウイスキーなどと同様に、樽で熟成される際に色づくことで生まれたもの。つまり「樽熟成していないのがシルバーで、樽熟成したのがゴールド」と思われがちですが、実際には、単に色を付けただけのテキーラをゴールドとしているケースもあるので注意が必要です。
テキーラの熟成度合いを正しく把握したいなら、色ではなく、「ブランコ」「レポサド」「アネホ」「エクストラ・アネホ」という分類を覚えておきましょう。
熟成期間のもっとも短いのがブランコ。アガベ本来の味をたのしむには、こちらがおすすめですし、カクテルに使用されるのも、基本的にはブランコです。
レポサドとは2カ月ほど熟成させたもので、樽の香りが移って、やや落ち着いた味わいになります。
アネホの熟成期間は約1年、エクストラ・アネホになると3年以上になり、その分、色味は濃く、お値段も高額に!
なかには1本5万円もするものもあり、初心者にはなかなか手が出ないかもしれませんが、一度は味わってみたいものですね。
