テキーラのアルコール度数はどのくらい? 原料や味わいの特徴、おすすめ銘柄も確認
テキーラのアルコール度数は35〜55度。ほかの蒸溜酒より突出して高いわけではありません。今回は、メキシコのテキーラ規制委員会で厳しく管理されているアルコール度数をはじめ、テキーラの基本情報やラベルを見ただけでわかるテキーラの種類、おすすめ銘柄を紹介します。
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テキーラの基本情報をおさらいしながら、アルコール度数や味わい、おすすめ銘柄などをみていきましょう。
テキーラは世界4大スピリッツのひとつ
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テキーラは日本の酒税法による酒類の定義でいうと、「蒸留酒類」のなかの「スピリッツ」に分類されるお酒。ウォッカ、ジン、ラム(ラム酒)と並ぶ「世界4大スピリッツ」のひとつとされています。
「蒸留酒類」とは、糖化・発酵させた原料(醸造酒/発酵液)からアルコール分を分離・濃縮する「蒸溜」という技術で造られるお酒全般を指します。「蒸留酒類」のなかで「ウイスキー、ブランデー、焼酎、原料用アルコールを除く、エキス分が2度未満のもの」が「スピリッツ」と定義されていて、テキーラはウォッカ、ジン、ラムと同じくこのカテゴリーに含まれています。
テキーラは「ブルーアガベ(アガヴェ)」というリュウゼツラン属の植物の球茎を原料とし、これを加熱して糖化・発酵させた液を蒸溜して造られます。
ちなみに「テキーラ」という名称はシャンパーニュ地方の「シャンパン」のように原産地呼称制度で守られていて、メキシコのテキーラ規制委員会「Consejo Regulador del Tequila (CRT)」が管理するメキシコ公式規格「NORMA Oficial Mexicana(NOM)」の厳しい基準をクリアしたものだけが「テキーラ」を名乗ることができます。
原料や産地、使用する器具や樽、ボトリングの方法、ラベルの表記など内容は多岐にわたりますが、おもな規定には以下のようなものがあります。
◇メキシコ国内の指定5州(ハリスコ州、グアナファート州、タマウリパス州、ナヤリ州、ミチョアカン州)で生育したブルーアガベのみを使用し、製造、蒸溜も指定5州内で行うこと
◇原料にブルーアガベを51%以上使用すること
◇最低2回以上は蒸溜すること
テキーラのアルコール度数は高い?
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「テキーラのアルコール度数」の話題の前に原産地呼称制度を紹介したのは、テキーラのアルコール度数もまた、メキシコのテキーラ規制委員会CRTによってしっかり定められているからです。
テキーラのアルコール度数は35〜55度と決まっている
テキーラのアルコール度数は、メキシコのテキーラ規制委員会CRTの規則で次のように決められています。
◇絶対温度293K(20℃)におけるアルコール度数: 35度〜55度
この規定のなか、市販されている一般的なテキーラのアルコール度数は40度前後。バーや酒屋さんでよく見かける「クエルボ」や「サウザ」といったメジャーな銘柄も40度です。一方、ほかのお酒のアルコール度数はおおむね以下のような数値です。
◇ビール:5度前後
◇ワイン:9〜15度程度
◇日本酒:13〜15度程度(原酒は16〜20度程度)
◇焼酎:20〜25度程度
◇ウイスキー:40〜43度程度
◇ブランデー:40〜50度程度
◇ウォッカ:40〜60度(90度を超える銘柄も)
◇ジン:40〜50度程度
◇ラム:40〜50度(75度を超える銘柄も)
世間的には、テキーラというと「アルコール度数の高いお酒」というイメージがあるようですが、比べてみるとテキーラのアルコール度数はビールやワイン、日本酒などの醸造酒や焼酎よりは高いものの、ウイスキーやブランデー、ほかのスピリッツ類と同程度。突出して高いわけではないということがわかります。
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テキーラのアルコール度数が高いイメージは、ショットで飲むスタイルから
ではなぜ、「テキーラはとくにアルコール度数の高いお酒」という感覚があるのでしょうか。
テキーラがとてつもなく強いお酒と思われる理由、それはおそらく、テキーラといえば「ショットで一気飲み」というイメージがあるからでしょう。たのしい飲みの場でついついショットがすすめばあっという間に酔っ払ってしまうわけで、「短時間で酔う」→「度数の高いお酒」というイメージが定着したのかもしれません。
またテキーラの原産地メキシコには、有名な「死者の日」という行事があります。2008年にユネスコの世界無形文化遺産に登録された「死者の日」は、亡くなった人々への愛と敬意を示すお祭りで、色鮮やかな花々やレースペーパーのなか、祭壇に供えるパンや砂糖細工、パレードを彩る人形やコスチューム、メイクなど、いたるところに骸骨や頭蓋骨のモチーフが登場します。
メキシコの人々の死生観や世界観を象徴するこのモチーフは、メキシコを代表するお酒テキーラのボトルデザインやラベルに使われることも多いため、もしかしたら「ドクロ」→「危険なお酒」のようなイメージにつながったのかもしれません。
節度をもってたのしむテキーラは「強すぎるお酒」でも「危険なお酒」でもないので、ショットに限らず、さまざま飲み方で味わってみたいものです。
テキーラの種類と味わい
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ここからは、テキーラをたのしむためのいくつかの指標を紹介します。
テキーラには「原料による分類」と「熟成期間による分類」という2つの指標があり、それぞれの味わいがあります。これを知っておくと、テキーラのラベルを見ただけでどんなカテゴリーのテキーラなのかがわかり、テキーラ選びがよりたのしくなるでしょう。
◇原料による分類
1.「100%agave(100%アガベ)」
ブルーアガベ以外の原料を一切使わずに発酵・蒸溜したもの。このカテゴリーの製品には
「100% de agave」
「100% puro de agave」
「100% agave」
「100% puro agave」
のいずれかが表示されます。
近年「プレミアムテキーラ」として人気を集めているのも、アガベ本来の豊かな風味や香りを堪能できるブルーアガベ100%タイプが多くなっています。
2. 「Tequila(テキーラ)」
ブルーアガベを51%以上使用しつつ糖蜜や砂糖などを加えて発酵・蒸溜したもので、「100%agave」以外のものはすべてスタンダードな「Tequila」と表示されます。なお、ラベルに表記されることはないものの、分類上「Mixto(ミクスト|ミックスのスペイン語)」と呼ぶこともあります。「Tequila」のまろやかな味わいは、ショットはもちろんさまざまなミックスドリンクやカクテルのベースにもおすすめです。
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◇熟成期間による分類
(「→」は英語に言い換える場合の表示法)
1.「Blanco(ブランコ)」「Plata(プラタ)」→「Silver(シルバー)」
熟成しない(熟成しても2カ月以内の)もの。
ピュアでフレッシュなアガベの風味を感じられます。
2.「Joven(ホーベン)」「Oro(オロ)」→「Gold(ゴールド)」
ブランコに熟成度の高いレポサド以上を混ぜたもの、もしくはブランコにカラメル色素などで着色したもの。
3.「Reposado(レポサド)」→「Aged(エイジド)」
最低2カ月〜1年未満熟成したもの。
樽熟成によるほのかな香りが加わることでアガベと樽香のバランスのよい味わいが生まれます。
4.「Añejo(アネホ)」→「Extra-aged(エクストラエイジド)」
容量600リットル以下の樽で最低1年〜3年未満熟成したもの。
樽からの木の香りや、カラメルやバニラなどの風味が加わり、複雑な味わいをたのしめます。
5.「Extra Añejo(エクストラアネホ)」→「 Ultra-aged(ウルトラエイジド)」
容量600リットル以下の樽で最低3年以上熟成したもの。
長期の樽熟成によって香りや味わいがより複雑になり、深く豊かな味わいを感じることができます。またメキシコという高気温の環境では、ウイスキーやブランデーの世界で「エンジェルズシェア(エンジェルシェア)|天使の分け前(天使の取り分)」と呼ばれる「樽熟成時の蒸散」が多いため、エクストラアネホは貴重で高価な原酒となります。
テキーラのおすすめ銘柄
国内で比較的入手しやすいテキーラのおすすめ銘柄を紹介します。
クエルボ(ホセ・クエルボ)
出典:アサヒグループホールディングスホームページ
クエルボの創業は1795年。200年以上にわたり自社栽培のブルーアガベとクエルボ家に伝わる伝統製法、門外不出の酵母によってていねいに造られてきた芳醇な味わいのテキーラは、現在世界90カ国以上で愛されています。
メインブランド「エスペシャル」のほか、ブルーアガベ100%の「トラディショナル」、3年以上の長期熟成原酒をブレンドした「レゼルヴァ・デ・ラ・ファミリア」、8〜12年もののブルーアガベのみを使用した「1800テキーラ」など、豊富なラインナップを誇ります。
アルコール度数:40度(トラディショナルのみ38度)
国内販売元:アサヒビール株式会社
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サウザ
出典:サントリー株式会社ホームページ
「サウザ」は「クエルボ」と並ぶ有名メーカー。1873年の創業から続く情熱は、自家農園のブルーアガベと、アガベ本来の風味を活かす独自の抽出・発酵・蒸溜法とともに受け継がれ、常に高品質なテキーラを世界に提供し続けています。
また「サウザ」は1974年、メキシコ政府に働きかけてテキーラの原産地呼称制を成立させ、メキシコのテキーラのクオリティ維持に尽力したことでも知られています
「サウザ」のラインナップは「シルバー」と「ゴールド」、100%ブルーアガベの「ブルー」と「ブルー レポサド」の4タイプ。いずれも上質なブルーアガベの風味を最大限引き出した逸品です。
アルコール度数:40度
国内販売元:サントリー株式会社
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オルメカ
出典:ペルノ・リカール・ジャパン株式会社ホームページ
「オルメカ」というブランド名はテキーラの原型とされる原始的なアガベのお酒「プルケ」を生んだとされるメキシコの古代文明にちなんだもの。
「オルメカ」にはおもに2つのラインがあり、ひとつはミクストの「オルメカ」で、「シルバー」と「レポサド」の2種類があります。もうひとつが100%ブルーアガベ、環境に配慮した生産プロセスにも力を入れている「アルトス」です。このラインのスタートには2人の著名なバーテンダーも関わっていて、カクテルのベースはもちろんストレートでも味わい深い「プラタ」と「レポサド」を生み出しています。
アルコール度数:オルメカ40度、アルトス38度
国内販売元:ペルノ・リカール・ジャパン株式会社
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「オルメカ」のブランドサイトはこちら
「アルトス」のブランドサイトはこちら
テキーラのアルコール度数はおおむね40度前後。原料となるブルーアガベの割合や熟成期間、また造り手ごとのこだわりによって多彩な個性を感じることができます。ときにはゆっくり、その味わいをたのしんでみてください。