白ワインのカクテル「キール」とは?作り方やキール・ロワイヤルとの違いを紹介!
白ワインの代表的なカクテル「キール」を飲んだことはありますか?アルコール度数もさほど高くないため飲みやすく、食前酒として親しまれています。今回はキールの特徴や、おすすめの飲み方について紹介します。
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目次
キールとは? 白ワインをベースにした人気カクテル
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レストランなどでは、見た目の華やかさと飲みやすさで食前酒として人気のキール。ワインとカシスリキュールがあればかんたんに作れるため、自宅でも親しめるカクテルとして、幅広い層に人気です。
テーブルに映える透明感ある赤色が印象的なキールですが、ベースは赤ワインではなく白ワイン。独特の赤味はカシスリキュールの色で、白ワインと絶妙なハーモニーを奏でています。
キールの魅力はさわやかな飲み口と鮮やかな色味
キールの魅力は何といってもそのさわやかな飲み口です。ワインの酸味が苦手という人でも飲みやすいといわれるのは、独特のバランス。白ワインの果実味とさわやかな酸味にカシスリキュールの甘酸っぱい味わいが絡み合い、さっぱりとのどを潤します。
アルコール度数はベースとなる白ワインにもよりますが、辛口のものを使っても15度前後。近年人気の低アルコールワインであれば、10度以下に抑えることもできます。ベースとなるワインの種類や、カシスリキュールの分量によって度数や味わいを調節できるのも魅力といえます。
また、見た目の美しさも大きな魅力です。ワイングラスに注がれた魅惑的な赤色は、食卓だけでなく空間全体を彩ります。
キールに使われる「クレーム・ド・カシス」とは?
キールの決め手となるカシスリキュール「クレーム・ド・カシス」。
「クレーム・ド・カシス」とは、商品名ではありません。クロスグリ(仏名:カシス、英名:ブラックカラント)を原料とし、1リットルあたり400グラム以上の糖と15度以上のアルコール分を含んだカシスリキュール全般を指す分類名。甘味が強くてアルコール度数が高く、香り豊かなカシスリキュールだけに名乗ることが許された、品質規定なのです。
日本で手に入りやすい「クレーム・ド・カシス」の商品は、アルコール度数20度の「ルジェ・クレーム・ド・カシス」などが一般的です。
キールを「クレーム・ド・カシス」で作る場合は、ベースのワインよりもアルコール度数は高くなります。使用するワインや「クレーム・ド・カシス」との比率によって色味や味わい、アルコール度数が変わるので、自分に合った割合でたのしんでみてはいかがでしょう。
キールとキール・ロワイヤルの違いとは?
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キール と混同されがちなカクテルに、キール・ロワイヤルがあります。
キール・ロワイヤルとは、キールのベースである白ワインをシャンパンに置き換えたカクテルのこと。シャンパンの弾ける気泡とカシスの甘味が特徴の食前酒で、さっぱりとした爽快感が味わえます。
一般的に、ワイングラスで供されるキールに対し、キール・ロワイヤルはもう少し背の高いフルート型のシャンパングラスで飲まれます。
「王のキール」または「王室のキール」の異名をもつこのカクテルは、キールのレシピを基に、オーストリアの首都ウィーンにある「インターナショナル」という店で誕生したといわれています。
シャンパン(シャンパーニュ)以外のスパークリングワインを使用した場合、本来はキール・ロワイヤルを名乗れないはずですが、現代では便宜的に名乗ったり呼ばれたりしているのが現状です。
ブルゴーニュが発祥の地? キールのルーツと名前の由来
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キールの誕生の歴史と名前の由来について、かんたんに見ていきましょう。
キールの歴史
キールが生まれたのは、第二次世界大戦が終結した1945年のこと。フランス・ブルゴーニュ地方の中心都市で、ワインの産地として知られるディジョン市の市長が、当時売り上げが低迷していた地元産ワインの販促を図るべく生み出したのがキールでした。
当時のディジョン市長は、特産品の辛口白ワイン「アリゴテ」と、同じくこの地で栽培されるカシスを原料に造られたカシスリキュール「クレーム・ド・カシス」を使った、まったく新しいカクテルを考案。公式レセプションを開催するたびにアペリティフ(食前酒)としてふるまい、2つの特産品とそれらを合わせた新カクテル「キール」をPRしたのです。その魅力は、ディジョン市からフランス全土へ、また欧州圏へと伝わり、やがては日本を含む世界各地へと広まっていきました。
キールという名前の由来
「キール」というカクテル名は、当時のディジョン市長、キャノン・フェリックス・キール氏の名に由来しています。キール氏はこのカクテルの考案者で、食通としても知られる人物。本人が命名したわけではないようですが、自然と市長の名で呼ばれるようになったといわれています。
キールはどんなシーンで飲まれるカクテル?
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発祥地であるフランス・ブルゴーニュ地方では、公式レセプションの食前酒として提供されていたキール。今でもパーティーなどの華やかな席に登場し、祝い酒として飲まれることが多いようです。
もっとカジュアルに、プライベートシーンでも根強い人気があります。キールの透明感ある鮮やかな赤味は、レストランの照明に映え、これからの時間がたのしくなることを予感させてくれます。また、暖色ライトに彩られたダイニング空間やおしゃれなバーカウンターにもよく映えます。
シンプルなレシピなので、家飲み派にも気軽にたのしめるカクテルとして人気です。そのときの気分によって白ワインとカシスリキュールの配合を変えて、自分好みの味わいをたのしるのも魅力。
なお、キールは食前酒として飲まれるのが一般的ですが、カシスリキュールの量を増やせばより濃醇な味わいとなり、食後酒としてたのしむこともできます。
キールの上手な作り方
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キールの材料と、基本的な作り方を紹介します。
キールの材料
本格的なキールの材料は、前述のとおり、ブルゴーニュ産の白ワイン「アリゴテ」とカシスリキュール「クレーム・ド・カシス」の2つです。
ブルゴーニュ地方原産の辛口の白ワインといえば「シャルドネ」を思い浮かべますが、キールの材料としては、上品で穏やかな酸味が特徴の「シャルドネ」ではなく、キリッとした酸味を持つ「アリゴテ」が指定されているそうです。
なお、ブルゴーニュ地方では、「アリゴテ」以外の白ワインを用いたキールを「ブラン・カシス」や「ブラン・カス」と呼び、正式由来のキールと区別されていているようです。しかし、一般的には、そのような縛りはなく、白ワインとカシスリキュールをミックスしたカクテル全般が「キール」と呼ばれています。
キールの基本的な作り方
キールの作り方はいたってシンプル。よく冷えた白ワインとカシスリキュールをワイングラスに注ぎ、軽く混ぜれば完成です。
白ワインとカシスリキュールの比率は4:1くらいが定番ですが、甘口が好みならカシスリキュールの量を増やす、辛口が飲みたいときはカシスリキュールの量を減らすなど、適宜加減してみてください。
また、使用する白ワインによっても味わいのバランスやアルコール度数が変化します。いろいろ試して、好みの味わいを見つけてみてください。ただし、カシスリキュールの割合が多くなると甘味とともにアルコール度数も高くなるので、飲みすぎにはご注意を。
キールのバリエーションをたのしもう
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キールにはバリエーションがあります。基本のキールとともに、飲み比べをたのしむのもおすすめです。
シャンパンで作る「キール・ロワイヤル」
キール・ロワイヤルの材料は、シャンパンとカシスリキュールです。シャンパンの代わりにスパークリングワインを使用しても構いません。カシスリキュールは、キールで使うのと同じように、甘味の強い「クレーム・ド・カシス」がおすすめです。
作り方は、よく冷えたシャンパンとカシスリキュールを4:1くらいの割合でシャンパングラスに注ぎ、軽く混ぜるだけ。材料の比率はあくまで目安なので、好みに合わせてカシスリキュールの分量を増減してくださいね。
赤ワインで作る「キール・カーディナル」
キールのベースである白ワインを赤ワインに変えると、キール・カーディナルという深みのある真紅のカクテルになります。
こちらも、適度に冷やした赤ワインと「クレーム・ド・カシス」を、4:1の比率を目安にグラスに注いで混ぜるだけと、自宅でもかんたんに作ることができます。材料の比率はお好みで加減しましょう。
ちなみに、カーディナルとは、「枢機卿(すうききょう・すうきけい)」という意味。ローマ教皇に次ぐカトリックの高位聖職者が身にまとう赤いケープに見立てて、この名前がつけられたといわれています。
キール・カーディナルは、単に「カーディナル」と呼ばれることもあります。レシピによっては、材料の赤ワインがボジョレーの赤に限定されていますが、個人でたのしむ分には一般的な赤ワインを使ってもよいかもしれません。
キールを原点としたカクテルいろいろ
キール・ロワイヤルやキール・カーディナルのほかにも、白ワイン×カシスリキュールのカクテル「キール」を原点としたカクテルは多数あります。ここではその一部を紹介します。
【キール・ブルトン】
キールの白ワインをシードルに変えると「キール・ブルトン」が完成します。シードルとは、リンゴから造られるスパークリングワインのこと。おもな産地にフランスのブルターニュ地方やノルマンディー地方が挙げられますが、キール・ブルトンはブルターニュ地方での呼び名です。ノルマンディー地方では、「キール・ノルマン」の名で親しまれているようです。
【キール・インペリアル(キール・アンペリアル)】
キールを原点としたキール・ロワイヤルから派生したカクテルで「キール・インペリアル」は、シャンパン(またはスパークリングワイン)と、ラズベリーのリキュールであるフランボワーズリキュールで作ります。
キール・ロワイヤルが「王のキール」ならば、キール・インペリアルは「皇帝のキール」。いずれも、キールから生まれたカクテルのなかでも、トップに君臨するカクテルといえます。
【キール・ペーシュ】
こちらも、キール・ロワイヤルのようにシャンパン(またはスパークリングワイン)を使ったカクテルです。リキュールはカシスやフランボワーズではなく、桃のリキュール「クレーム・ド・ペーシュ」を使います。キールより淡いロゼ色は、見た目にもかわいらしく、桃の優しい甘味が口に広がります。
【マルキ】
キールに使う白ワイン「アリゴテ」をフランスのロワール地方で造られる白ワイン「ミュスカデ」に変え、カシスリキュールの代わりにフランボワーズリキュールを使用すると、「マルキ」というカクテルになります。マルキとはフランス語で「公爵」を指します。木苺の香りと甘酸っぱさが漂うさわやかな飲み口。ミュスカデではなくシャブリを使う場合もあります。
さわやかな甘さが魅力のキール。「アリゴテ」×「クレーム・ド・カシス」で本家本元の味にこだわるもよし、バリエーションをたのしむもよし。オリジナルで、辛口の白ワインにほかのフルーツリキュールを合わせてみれば、新しい発見があるかもしれませんよ。