おいしい「ゆず酒」の作り方!ベースのお酒別レシピとおうちで果実酒を作るときの注意点
「ゆず酒」は、ゆず(柚子)の香りとさわやかな酸味が特長のリキュール。酒類にゆずの搾り汁を加えて造るタイプと、焼酎などに氷砂糖とゆずを漬け込む果実酒タイプがあり、後者は自宅でもかんたんに作れます。ここでは、ゆず酒の基本情報や作り方、自宅で漬け込む際の注意点などを紹介します。
- 更新日:
「ゆず酒」は誰でも手軽に作れるお酒ですが、自宅で作るには酒税法上の注意点があります。まずは材料に使うゆずの旬やアルコール度数、自宅で作るための条件などを確認しておきましょう。
「ゆず酒(柚子酒)」とはどんなお酒?
kasayon / PIXTA(ピクスタ)
「ゆず酒」とは、ゆず(柚子/ユズ)のさわやかな香りと酸味、かすかな苦味が特長のお酒で、酒税法上はリキュールに分類されます。
「ゆず酒」というと、焼酎などアルコール度数の高いお酒にゆずを漬け込んで作る、いわゆる果実酒を想像する人が多いかもしれませんが、酒造メーカーが日本酒や焼酎、ブランデーなどの酒類にゆずの搾り汁や甘味を加えて造ったお酒も「ゆず酒」と呼ばれています。後者は「ゆずざけ」と読むこともあります。
酒造メーカーが独自のお酒にゆずの搾り汁を加えて造るゆず酒は、造り手ごとにこだわりの製法で仕上げているため、王道レシピというものが存在しません。一方、蒸溜酒などのアルコール度数の高いお酒にゆずを皮ごと漬け込んだ果実酒は、自宅でも手軽に作ることができます。本記事では、ベースとなるお酒にゆずを漬け込んで作る果実酒の作り方をみていきます。
honobono / PIXTA(ピクスタ)
「ゆず酒」の旬はいつ?
ゆずは、奈良時代から栽培されている日本の伝統的な柑橘。原産は中国の長江上流とされていますが、日本でも高知県や徳島県、愛媛県、大分県など複数の県で作られています。ビタミンCやクエン酸、カリウムが豊富で、ゆず酒には果肉だけでなく果皮も利用します。
ゆずは1年を通じて流通していますが、夏に出回る皮が緑色の「青ゆず」よりも、11〜1月に旬を迎える「黄ゆず」のほうが、香りがよく果汁も豊富です。自宅でゆずの漬け込み酒を作る場合は、秋・冬に旬を迎える「黄ゆず」を使用しましょう。
自家製ゆず酒を作る場合は、ゆずの流通量が増える11月中に漬け込めば、年内にフレッシュなゆず酒を、年明けには熟成ゆず酒をたのしめそうですね。
「ゆず酒」のアルコール度数はどのくらい?
「ゆず酒」のアルコール度数は、酒造メーカーが造る市販のゆず酒と、焼酎などに漬け込んで作る自家製ゆず酒で異なります。
市販のゆず酒のアルコール度数は、6〜14度程度がボリュームゾーン。一方、自家製ゆず酒はベースに使うお酒のアルコール度数によって幅があり、35度のホワイトリカーを使用した場合は20度以上に仕上がります。
スムース / PIXTA(ピクスタ)
自宅で「ゆず酒」を作るには条件がある
「ゆず酒」はお酒です。ゆず酒は日本酒や焼酎、ブランデーなどのベースとなるお酒にゆず果汁を加えたり、ゆずを漬け込んで作りますが、お酒に水以外の物品を投入(混和)し、酒類に仕上げる場合、酒税法第43条「みなし製造」にあたります。酒類製造免許を持たない消費者がみなし製造を行うと、酒税法違反に問われる可能性があります。
ただし、これには特例措置が設けられていて、以下の条件を満たす場合は、自家製ゆず酒作りが認められます。
◇消費の直前に酒類と他の物品との混和をする場合(酒税法第43条 10)
◇上に該当するケースを除き、自ら消費するため酒類と酒類以外の他の物品との混和をする場合(酒税法第43条 11)
◇販売をしない(酒税法第43条 12)
ただし、混和できる酒類と物品には限りがあります。材料のゆずや氷砂糖はこの条件をクリアしていますが、ベースとなるお酒にはアルコール分が20度以上で酒税が課税済みのものしか使用できません。したがって、上の条件に以下が加わります。
◇ベースとなる酒類はアルコール分が20度以上で酒税が課税済のものに限る
ちなみに、「自ら消費するため」の「自ら」には同居の家族も含まれますが、法人は含まれません。
(参考資料)
国税庁|【自家醸造】
e-GOV 法令検索|酒税法
ゆずを丸ごと使用!おいしい「ゆず酒」の作り方
blanco / PIXTA(ピクスタ)
自家製「ゆず酒」を作る条件を確認したところで、ここから先はゆずを漬け込んで作る「ゆず酒」のレシピをみていきます。
ホワイトリカー(焼酎)で作る「ゆず酒」レシピ
「ゆず酒」のベースとしてよく使われるのが、「ホワイトリカー」と呼ばれる無味無臭の蒸溜酒です。ここでは果実酒用に販売されているアルコール度数35度のホワイトリカーを使ったレシピを紹介します。
<材料>
アルコール度数35度のホワイトリカー(甲類焼酎)…1.8リットル
ゆず…5個
氷砂糖…200グラム
※氷砂糖の量はお好みで増減してください。
<用意するもの>
保存容器(果実酒用の密封瓶/4リットル)
消毒用アルコール(あれば)
<作り方>
(1)保存容器をよく洗います。耐熱ガラスの場合は、大きな鍋を使って煮沸消毒するのがおすすめ。洗い終えたら、容器を逆さにして自然乾燥させます。
(2)消毒用アルコールで保存容器の内側を消毒します。耐熱ガラスでない場合は念入りに行いましょう。
(3)ゆずをよく洗い、皮をむきます。苦味のもととなる白い綿の部分はできる限り削ぎ落とし、実は横半分にカットします。
(4)ゆずの皮(3個分)と実を氷砂糖と一緒に保存容器に投入し、ホワイトリカーを注ぎ入れます。
(5)冷暗所に保存し、1週間後に皮を取り除きます。
(6)さらに1週間漬け込むと飲みごろを迎えますが、2カ月ほど熟成させるとまろやかな味わいに仕上がります。ただし、じっくり熟成させる場合は、漬け込んでから1カ月後に残った実を取り出します。
NOV / PIXTA(ピクスタ)
日本酒やブランデーを使った「ゆず酒」の作り方
「ゆず酒」のベースに日本酒を使う場合は、アルコール度数20度以上のものを使用します。果実酒の仕込み用に造られた日本酒も流通していますが、度数の条件をクリアしていれば、お好みの日本酒を使用してかまいません。
材料や作り方はホワイトリカーを使用した場合と同じでOKですが、日本酒には米の甘味がある分、甘めに仕上がる可能性があります。使用する日本酒によっては、氷砂糖の量を減らしてもよいかもしれません。
ブランデーをベースにする場合は、アルコール度数35度の果実酒用ブランデーベースリキュールを使うとよいでしょう。ホワイトリカーを使用したときに比べて、芳醇でコクのある味わいに仕上がります。材料や作り方はホワイトリカーのケースを参考にしてください。
お好みのブランデー銘柄でも「ゆず酒」を作ることができますが、アルコール度数が40度程度と、果実酒用に比べてやや高めなので、「ゆず酒」の度数もやや高めに仕上がります。水や炭酸水などで薄めて飲む場合は、適宜氷砂糖の量を調整しましょう。
おいしさの決め手は保存方法
「ゆず酒」をおいしく作るポイントは、保存方法です。
ゆず酒を漬け込んだら、保存容器を密封し、温度変化の少ない冷暗所に保存します。ちょうどいい場所が見つからない場合は、常温でもかまわないので、直射日光が当たらない保存場所を探しましょう。
「ゆず酒」は漬け込んでから2週間ほどで飲めるようになりますが、その間は、毎日、数回保存容器ごと軽く揺すって糖分を均等になじませましょう。皮から苦味が出るため、1週間後には忘れずに取り除きます。
「ゆず酒」のおいしい割り方
Caito / PIXTA(ピクスタ)
ホワイトリカーやブランデーベースリキュールに漬け込んで作る「ゆず酒」は、日本酒やワインに比べてアルコール度数がやや高め。ロックで飲んでもおいしいですが、水割りや炭酸割りにしてアルコール度数を下げて飲むのがおすすめです。もちろん、トニックウォーターやジンジャーエールで割ってカクテル風にアレンジしてもおいしくたのしめます。
ゆずの香りを存分にたのしみたいときは、お湯割りもおすすめ。ゆずの香り成分には血行促進効果があるといわれているので、体がポカポカに温まりそうですね。
市販の「ゆず酒」もおすすめ
一度は飲んでみたいのが、酒造メーカーが手がける「ゆず酒」。原料と製法にこだわったおすすめ銘柄を紹介します。
出羽桜 ゆずと日本酒だけ|極甘口の日本酒で作ったゆず酒
Need Swanya / Shutterstock.com
貴醸酒と呼ばれる希少価値の高い極甘口の日本酒と国産のゆず果汁だけで作ったリキュール。独特の甘味とゆずの酸味が見事に調和した、さわやかな味わいが魅力です。
アルコール度数は8度。食事のお供にも最適。
製造元:出羽桜酒造株式会社
公式サイトはこちら
商品詳細はこちら
焼酎柚酒 月柚 (Yuzumoon)|こだわりの粕取焼酎がベース
出典:吉田酒造株式会社サイト
純米、純米吟醸、純米大吟醸の絞り粕を減圧蒸溜したフルーティーな粕取焼酎「RIZOPPA」に、島根県産ゆずの果汁を混ぜ合わせたこだわりのゆず酒。まろやかな酸味とやさしい甘味が特長で、ゆずのさわやかな風味がたのしめます。
アルコール度数は8度。
製造元:吉田酒造株式会社
公式サイトはこちら
商品詳細はこちら
さらりとしたゆず酒|アルコールが苦手な人でも飲みやすい
出典:チョーヤ梅酒株式会社サイト
四国産のゆずを皮ごと搾った果汁を使い、果実感たっぷりの香味に仕上げたゆず酒。さわやかな香りと酸味、スッキリとした口当たりがクセになる、初心者にも飲みやすい1本です。
アルコール度数は7度。
製造元:チョーヤ梅酒株式会社
公式サイトはこちら
商品詳細はこちら
「ゆず酒」はゆずの香りとさわやかな酸味が魅力のリキュール。自宅でも手軽に作れるうえ、水や炭酸水などで薄めてもおいしいので、お酒が好きな人はもちろん、アルコールを飲み慣れていない人もぜひ味わってみてください。