ウイスキーの分類、モルトグレーンに次ぐシングルカスク&バレルとは?

ウイスキーの分類、モルトグレーンに次ぐシングルカスク&バレルとは?

ウイスキー愛好者が世界中に増えるなか、ウイスキーの種類も広がりをみせています。とくにシングルモルトなど蒸留所の個性が色濃く反映されるジャンルの延長上で注目を集めているのが、「シングルカスク」「シングルバレル」といわれるプレミアムなボトル。今回はその“シングル”の意味と価値を紐解いてみます。

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まずはウイスキーの種類を知ろう!

まずはウイスキーの種類を知ろう!

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ウイスキーの分類にはいくつかの切り口がありますが、もっともベーシックな区分が「原料」と「製法」によるもので、大きく分けると「モルトウイスキー」と「グレーンウイスキー」に分類されます。モルトウイスキーは、ウイスキーの源流ともいえるもので、原料はモルト(大麦麦芽)のみ。ポットスチルと呼ばれる単式蒸留器を使って蒸留し、その蒸留器の形がウイスキーの酒質にダイレクトに影響して個性的なウイスキーを生み出します。

一方、グレーンウイスキーの原料は、モルトのほかにトウモロコシや小麦などの穀物をプラスしたもの。短時間で大量生産できる連続式蒸留機を使って蒸留し、クセのないクリーンな味わいのウイスキーを生み出します。

この「モルトウイスキー」と「グレーンウイスキー」を混ぜて作られたものが、「ブレンデッドウイスキー」。現在のウイスキー市場のメインはこのブレンデッドで、香りも味わいもボディも幅広い銘柄が揃います。

一方、ウイスキー愛好者に近年、注目を浴びているのが「シングルモルト」や「シングルカスク」、「シングルバレル」といわれる蒸留所の個性を色濃く出したウイスキー。「シングルモルト」は、ひとつの蒸留所で作られた複数樽のモルト原酒を混ぜたもので、現在のウイスキーブームを牽引しているもの。

「シングルカスク」と「シングルバレル」はさらに個性を際立たせたもので、“ひとつの蒸留所のひとつの樽”から瓶詰めしたウイスキー。ウイスキーは同時に蒸留した原酒でも樽によって熟成具合が異なるため、シングルバレルやシングルカスクは、樽の個性をそのままたのしめる飲み方として注目されています。

“カスク”も“バレル”も“樽”のことを指しますが、シングルカスクはスコッチウイスキーで、シングルバレルはバーボンで使われることが多い手法のようです。

シングルカスクとシングルバレルの価値

シングルカスクとシングルバレルの価値

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連続式蒸留機でつくるグレーンウイスキーとは異なり、単式蒸留器でつくるモルトウイスキーは蒸留量に限界があるうえ、蒸留を2~3回行うため大量生産には向いていません。また、モルトウイスキーは、ブレンデッドウイスキーの原料として世界のウイスキーメーカーのもとへ旅立つものが多く、そのうえ各蒸留所から製品化されるシングルモルト分を除くと単一蒸留所の単一樽からボトリングされるシングルカスク&バレルは、どの蒸留所でもほんの一握り。もちろん、シングルカスクとして製品化される樽は成熟度がもっともよいとされるタイミングのもので、選び抜かれた上質なもの。

そのうえ、ひとつの樽から瓶詰されるウイスキーは750ミリリットルボトルで450本弱程度。非常に希少価値の高いものであり、ウイスキー愛好者にとってはまさに垂涎の存在といえるでしょう。

“シングル”を飲む

フォアローゼズのシングルバレルは、同社のマスターディスティラー、ジム・ラトリッジ氏が数ある熟成庫の中から蒸留年度や熟成年、樽が置かれた位置などから最高の状態の樽を厳選してボトリング。ひとつの樽から瓶詰めできるのは235本で、ボトリングからラベル張り、箱詰めまですべて1本1本手作業で行われています。多くの「シングルカスク」よりは手に入りやすいとはいえ、流通量自体は多くないので、見つけたらすぐ手に入れたいですね。

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カスクやシングルバレルにも力を入れる傾向があります。とはいえ、何しろ本数が限られる場合がほとんどなので、簡単に手に入らない銘柄が多いのも事実。

たとえば、シングルモルトでも人気の高いニッカウヰスキーの「余市」。余市蒸留所限定で「5年」ものから「25年」ものまで5種類のシングルカスクが販売されていましたが、今では在庫が完売し、オークションなどでしか手に入りません。

また、2014年に一般発売された「シングルカスク余市2014」など一般発売製品もありますが、当然その人気は相当なもの。抽選販売を行うケースが多く、こちらも簡単には手に入りません。

一方、シングルのなかでは比較的、手に入りやすいといわれているのが、バーボンを代表する「フォアローゼズ」のシングルバレル。バーボンの場合、生産地であるケンタッキー州は、年間の気温差があるうえ、高く積み上げるラック式で熟成させる場合が多いため、樽による仕上がりの差がほかのウイスキーよりも出やすいといわれています。

フォアローゼズのシングルバレルは、同社のマスターディスティラー、ジム・ラトリッジ氏が数ある熟成庫の中から蒸留年度や熟成年、樽が置かれた位置などから最高の状態の樽を厳選してボトリング。ひとつの樽から瓶詰めできるのは235本で、ボトリングからラベル張り、箱詰めまですべて1本1本手作業で行われています。多くの「シングルカスク」よりは手に入りやすいとはいえ、流通量自体は多くないので、見つけたらすぐ手に入れたいですね。

このように手塩にかけて育てられたシングルカスクやシングルバレルのおすすめの飲み方は、やはり個性をダイレクトに味わえるストレートかロック。ボトルで手に入れるのは難しいかもしれませんが、ウイスキーの品ぞろえが良いバーなどでぜひトライしてみたいものです。

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