「シングルカスク」が“至高”とされる理由を知っていますか? 【ウイスキー用語集】
「シングルカスク」あるいは「シングルバレル」と呼ばれるウイスキーを知っていますか? いずれも貴重な限定品として販売されるウイスキーで、愛好家にとっては垂涎の的。今回は「シングルカスク」の定義や、その特徴、代表的な銘柄などを紹介します。
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シングルカスクの定義
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「シングルカスク」とは「単一の樽」から生まれるウイスキー
「シングルカスク」とは、「シングル(単一)」の「カスク(樽)」という言葉どおり、単一の樽で熟成されたウイスキー原酒のみをボトリングした商品のこと。
単一の蒸溜所で造られたモルトウイスキーのみをボトリングしたものが「シングルモルト」と呼ばれ、蒸溜所の個性が際立ったウイスキーとして人気ですが、それでも複数の樽から混ぜ合わせて味や品質を調整しています。
「シングルカスク」は、そうした調整を一切せず、造り手が選りすぐった“最高の一樽”の個性をダイレクトにたのしめるウイスキーとして、マニアの注目を集めています。
シングルカスクはプレミアムな限定品
シングルカスクを店頭で見かけることは、滅多にありません。と言うのも、ひと樽から採れるウイスキーは、ボトル1本750ミリリットルとして、せいぜい数百本しかありません。
通常の商品と同じように流通させられる数ではないため、その蒸溜所のプレミアムボトルとして限定販売されるのが一般的。入手困難なうえに、値段もそれなりに高額ですが、ウイスキー愛好者にとっては、まさに垂涎の存在です。
シングルカスクとシングルバレル、カスクストレングス
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シングルカスクとシングルバレルは、基本的に同じもの
「シングルカスク」とよく似たウイスキー用語に「シングルバレル」があります。
「カスク(cask)」と「バレル(barrel)」は、辞書を引くとどちらも「樽」という日本語訳が出てくるように、基本的には同じもの。両者とも単一の樽のウイスキーを意味しています。
どちらを使っても間違いではないのですが、「シングルカスク」はスコッチ、「シングルバレル」はアメリカンウイスキーの主力であるバーボンの用語として使われることが多いようです。
シングルカスクと混同しやすいカスクストレングスとは?
「シングルカスク」と混同されがちな言葉に「カスクストレングス」があります。
ウイスキー用語でカスクストレングスと言えば、もともとは樽のなかで熟成のピークを迎え、瓶詰めされる際のアルコール度数を意味しています。そこから転じて、樽から出されたままのアルコール度数で、加水されずに出荷されるウイスキーのことも「カスクストレングス」と呼びます。
シングルカスクには加水する場合もあり、カスクストレングスも複数樽の原酒を混ぜることがあります。決して「シングルカスク=カスクストレングス」ではありませんが、加工していない原酒のままの味わいをたのしむ“マニア向け商品”という意味では共通していると言えるかも知れません。
シングルカスクのオススメ銘柄
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シングルカスクは“売切御免”の入手困難なものばかり
シングルカスクやシングルバレルは、基本的に数量限定品のため、入手できるとは限りません。たとえばニッカウヰスキーでも「シングルモルト余市」のシングルカスクを発売していましたが、現在ではすべて完売しています。
ここでは、比較的、現在も入手しやすい銘柄を紹介します。
※2019年9月時点の情報です。
【ザ・グレンリベット シングルカスク2019】
甘く芳醇な飲み口から「シングルモルトのお手本」とも称される「ザ・グレンリベット」は、近年、定番商品に加えてシングルカスクの販売にも力を入れています。2019年も、21年ものの長期熟成樽から瓶詰めした「ザ・グレンリベット シングルカスク2019」が日本国内470本限定で発売されました。
【ブラントン】
バーボンウイスキーの代表銘柄である「ブラントン」は、なんとすべてがシングルバレル。樽ごとの熟成度合に応じて、マスター・ディスティラー(最高蒸溜責任者)が「ブラントン」として世に出せるかどうかを厳しく選定。このチェックにパスした樽の原酒のみを、混ぜ合わせることなくボトリングしています。
【マルスモルト ル・パピヨン】
焼酎やウイスキー、梅酒、ワインなどを生産する鹿児島の総合酒類メーカー・本坊酒造が造る「マルスウイスキー」は1980年代の第一次地ウイスキーブームを牽引した人気銘柄です。
同社が1985年に建設した信州蒸溜所では、シングルカスク「マルスモルト ル・パピヨン」シリーズを展開。ウイスキーの熟成に欠かせない自然環境を象徴する蝶をモチーフとしたシリーズで、2019年には最新作「マルスモルト ル・パピヨン ギフチョウ」が576本限定で発売されました。
シングルカスクやシングルバレルは、ウイスキーマニアの「その本質に迫りたい」という情熱に応えて造られた、まさに至高の一本。手に取る機会があれば、その幸運を理解したうえでたのしむことをオススメします。