「ベルジャンホワイト」はどんなビール?原料や味の特徴、ヴァイツェンとの違い、おすすめ銘柄まで紹介

「ベルジャンホワイト(Belgian White)」とは、ベルギーのヒューガルデン村で発祥した、伝統的な小麦のビール。苦味が控えめで飲みやすく、フルーティーでスパイシーな風味がたのしめます。今回は、ベルジャンホワイトの原料や味の特徴、ヴァイツェンとの違い、おすすめ銘柄などを紹介します。
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ベルジャンホワイト(ベルジャン・ホワイト)は、ベルギーで古くから親しまれてきたホワイトビール。フルーティーな香りと、苦味の少ないさわやかな味わいで、ビールを飲み慣れていない人からも支持を集めています。
ベルジャンホワイトとは?

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「ベルジャンホワイト」は、原料に小麦を使用した上面発酵ビール(エールビール)。副原料のコリアンダーシードとオレンジピールが、香りや味わいに個性を添えています。
ベルギー発祥のホワイトビール
「ベルジャンホワイト」は、ベルギーの首都ブリュッセルの東に位置するヒューガルデン村で発祥した上面発酵のホワイトビール(白ビール)。15世紀に修道院で誕生し、19世紀には人口2,000人ほどの小さな村に35もの醸造所が存在し、そのすべてがホワイトビールを造っていたというほど人気を集めていました。
ところが、19世紀中ごろになると、ドイツの隣国チェコでピルスナーが誕生し、その飲みやすさから、ヨーロッパを席巻。勢いに圧されたベルジャンホワイトの人気は、風前の灯に。20世紀に入ると、酒税の引き上げもあいまって、ベルジャンホワイトを手がける醸造所は次々と廃業に追い込まれ、1957年には最後の醸造所も閉鎖されました。
救世主が現れたのは、1966年のこと。ヒューガルデン村に生まれ、勤務していたビール醸造所が閉鎖となった後は牛乳店を営んでいたピエール・セリス氏は、ホワイトビールを惜しむ声を聞き一念発起。醸造所を設立し、ベルジャンホワイトを復活させます。セリス氏が造った「ヒューガルデン ホワイト」はまたたく間に人気の的となり、現在もベルジャンホワイトの代表的な銘柄として世界中で愛されています。

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白濁した見た目は小麦に由来
「ベルジャンホワイト」をはじめとするホワイトビールは、白濁した見た目が特徴的。多くの商品にみられる白くにごった色合いは、原料に使われる小麦と、無ろ過という製法に由来します。
ビールは一般的に、大麦麦芽(モルト)とホップと水を主原料に、またはそこに副原料(麦その他の政令で定める物品)を加えて、発酵させて造られますが、ホワイトビールは大麦麦芽と小麦を使用します。小麦は大麦よりもタンパク質を多く含んでいるため、白くにごるといわれています。
なかでも、ベルジャンホワイトのようなベルギーのホワイトビールは、麦芽化していない(発芽していない)生の小麦を使っていることため、小麦麦芽を使用しているホワイトビールに比べて白濁しやすいという特徴があります。また、無ろ過で仕上げるのが一般的で、酵母の浮遊もにごりの理由に挙げられます。
ベルジャンホワイトは、別名「ウィットビール(Witbier)」とも呼ばれています。Witは「白」、bierは「ビール」、いずれもオランダ語で、組み合わせると白ビールという意味になります。

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副原料にコリアンダーシード、オレンジピールを使用
「ベルジャンホワイト」の個性を特徴づけているのは、副原料のコリアンダーシードとオレンジピール。いずれも煮沸の際に投入され、スパイシーかつフルーティーな風味を添えています。
コリアンダーシードは、古代エジプト時代から調味料や薬用に使われてきたスパイスで、パクチーの種子のこと。お酒のほかにも、カレーやお菓子に使われることがあります。スパイシーな香りとさわやかな甘味が特長で、ジンの風味づけにも使われます。
一方、オレンジピールはオレンジの果皮のこと。一般的には乾燥させたり、シロップ漬けにして用いられ、柑橘系の甘くさわやかな風味、心地よいほろ苦さが特徴です。ハーブティーやフルーツケーキ、ポプリなどに使われるほか、ジンのフレーバーに採用されることもあります。
なお、日本の酒税法(第3条12ハ)によると、ビールと名乗るには「副原料の重量が麦芽の重量の5%を超えないものに限る」という条件があります。ベルジャンホワイトのなかには、風味を最大限に引き出すために、コリアンダーシードやオレンジピールを贅沢に使用している商品もあります。酒税法の条件を満たしていないものは日本では「ビール」ではなく「発泡酒」として販売されます。
ベルジャンホワイトは苦味控えめのフルーティーな味わいが魅力

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「ベルジャンホワイト」の魅力は、控えめな苦味とフルーティーかつスパイシーな風味、クリーミーな泡となめらかな口あたりにあります。小麦のビールならではの泡持ちのよさも特長で、軽くなめらかな口あたりがたのしめます。
ベルジャンホワイトは、華やかな香りと苦味の少なさから、飲みやすいビールスタイルのひとつに挙げられることが多く、日ごろビールを飲まない人からも一定の支持を集めています。
ベルジャンホワイトとヴァイツェンの違いは?

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「ベルジャンホワイト」に似たビールスタイルに、「ヴァイツェン」があります。両者の違いをさまざまな角度からみていきましょう。
◆ベルジャンホワイト
発祥国:ベルギー
おもな原料:大麦麦芽、小麦、ホップ、水、コリアンダーシード、オレンジピール
小麦の扱い:麦芽化していない小麦を使用
発酵方法:上面発酵
ろ過:基本的に行わない
◆ヴァイツェン
発祥国:ドイツ
原料:大麦麦芽、小麦麦芽、ホップ、水、酵母のみ
小麦の扱い:麦芽全体の50%以上は小麦麦芽を使用
発酵方法:上面発酵
ろ過:する場合としない場合がある(無ろ過のものを「ヘーフェヴァイツェン」と呼ぶ)。
「ベルジャンホワイト」と「ヴァイツェン」の顕著な違いは、副原料の有無と小麦の扱いにあるといえます。
ドイツでは、ビールの原料が法律で定められているため、麦芽とホップ、水、酵母以外のものは原則として使用できません。ヴァイツェン独特のバナナのような甘い香りやクローブを思わせるスパイシーな香りは、酵母に由来するものです。
小麦の扱いや使用割合も大きく異なります。「ベルジャンホワイト」は麦芽化(発芽)していない生の小麦を使用。対する「ヴァイツェン」は、麦芽の50%以上に小麦麦芽を使用しています。
「ベルジャンホワイト」と「ヴァイツェン」の間には、白濁した見た目や苦味の少なさ、なめらかな口あたりなど、ちょっとした共通点はありますが、香りや味わいの傾向は異なります。機会があったらぜひ飲み比べてみてください。
ベルジャンホワイトのおすすめ銘柄
日本で飲める「ベルジャンホワイト」の人気銘柄のなかから、編集部が厳選。本場ベルギー・アメリカ・日本で人気のイチオシ銘柄を紹介します。
ヒューガルデン ホワイト|元祖ベルジャンホワイトともいうべき有名銘柄

出典:ヒューガルデン公式サイト
一時はピルスナーの人気に淘汰されたベルジャンホワイトを復活させた、世界的人気商品。15世紀に修道士がたどりついた黄金レシピを500年の時を超えて再現した、ベルジャンホワイトの元祖ともいうべき銘柄です。
その魅力はなんといっても、コリアンダーシードのスパイシーさとオレンジピールのほろ苦いフルーティーさ。コリアンダーシードとオレンジピールの絶妙なコンビネーションが織りなす自然な苦味と清涼感、小麦由来の甘味は、ビールを飲み慣れていない人の味覚も満足させてくれそう。
アルコール度数は5%。お酒に弱い人には、ノンアルコールの「ヒューガルデン ゼロ」もおすすめ。
国内販売元:AB InBev
ブランドサイトはこちら
BLUE MOON(ブルームーン)|アメリカで大人気のさわやかなビール

出典:白鶴酒造株式会社ホームページ
1995年アメリカ・コロラド州デンバーで誕生し、世界25カ国以上で親しまれているベルギースタイルホワイトビール。ベルギーの伝統的な製法にヒントを得て、独自のレシピを開発。小麦、オーツ麦、オレンジピールの組み合わせが、ほのかな柑橘系の甘さを生み出し、コリアンダーのぴりっとした香味がアクセントを与えます。
日本では、兵庫・灘五郷の日本酒メーカー、白鶴酒造が販売を手がけており、日ごろビールを飲まない人からも人気を集めています。
アルコール度数は5%以上6%未満。
国内販売元:白鶴酒造株式会社
商品詳細はこちら
ブランドサイトはこちら
水曜日のネコ|ビールの苦味が苦手な人におすすめ

出典:よなよなエール公式サイト
ネコのイラストが描かれたパッケージが目をひく日本発のベルジャンホワイト。青リンゴを思わせるアロマとオレンジピールのさわやかな香り、控えめな苦味、スッキリとした飲み口が魅力です。
製造を手がけるのは、「よなよなエール」でおなじみのクラフトビールメーカー、ヤッホーブルーイング。クラフトビール好きはもちろん、ビールを飲み慣れていない人にもおすすめの1本です。一部のスーパーやコンビニで取り扱っているので、みかけたらぜひ味わってみてください。
アルコール度数は5%。
国内販売元:株式会社ヤッホーブルーイング
商品詳細はこちら
「ベルジャンホワイト」は、野菜やシーフードと相性がよく、ベルギー料理はもちろん、酸味の生きたアジア料理にもマッチします。果物やドライフルーツ、ナッツ類ともよく合うので、好みのおつまみと合わせて、とっておきのペアリングを探してみてください。

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ビア検(日本ビール検定)情報
























