「はな垂れ(ハナタレ/初垂れ)」は華やかな香りの希少な焼酎!味わいの特徴やおすすめ銘柄も紹介
「はな垂れ(初垂れ/端垂れ/はなたれ)」は、蒸溜初期に垂れてくる溜出液だけを集めた焼酎。「ハツダレ」「初留取り(初溜取り)」とも呼ばれ、華やかな香りと凝縮した旨味が特長です。ここでは「はな垂れ」の基本情報や味わい、アルコール度数、おいしい飲み方、おすすめ銘柄などを紹介します。
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「はな垂れ」とはどんなお酒なのか、まずは基本情報から確認していきます。
「はな垂れ(初垂れ)」とはどんな焼酎?
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「はな垂れ」とは、本格焼酎の蒸溜初期に垂れてくる溜出液だけを集めた希少なお酒。あとから出てくる「本垂れ」や「末垂れ」に比べて華やかな香気成分が豊富で、一度の仕込みで抽出できる量がごく少量であることから、愛飲家の間で珍重されています。
「はな垂れ」は蒸溜の初期段階で垂れてくる「初留」だけを集めたもの
「はな垂れ」は、蒸溜の初期段階に抽出される溜出液を集めた希少な焼酎。蒸溜機から最初に垂れてくることから、「初垂れ」「端垂れ」と表記する場合もあります。いずれも読みは「ハナタレ」ですが、「初垂れ」は「ハツダレ」と読むこともあります。また、蒸溜開始後すぐに垂れてくる液体「初留(初溜)」だけを集めることから、「初留取り(しょりゅうどり)」も呼ばれることもあります。
焼酎はもろみ(醪)を蒸溜して造られるお酒です。もろみのなかには沸点の低いものや高いもの、蒸発しないものなどさまざまな成分が含まれていますが、蒸溜が始まってすぐに高純度のアルコールとともに垂れてくるのが、比較的沸点の低い香気成分です。
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蒸溜機から垂れてくる溜出液の特徴は、蒸溜の段階ごとに変化します。
初留のアルコール度数は70度程度ですが、蒸溜が進むにつれて度数は下がり、そこに溶け込んだ香気成分も減少していきます。また、蒸溜機内の温度上昇にともなって油臭などの要因となる成分が生成され、もろみ中の沸点の高い成分がアルコールとともに抽出されるようになります。
「はな垂れ」が抽出されたあとに垂れてくる溜出液を「本垂れ(ホンダレ)」と呼びます。本格焼酎の多くはこの「本垂れ(ほんだれ)」です。そして蒸溜後期の溜出液を「末垂れ(スエダレ)」といいます。「末垂れ」は焼酎に甘い香りやコク、幅を持たせる役割を担っていますが、溜出液のアルコール度数が低くなると「末垂れ臭」と呼ばれるにおいが強くなることから、10度程度で蒸溜を終了するのが一般的です。
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「初留」は蒸溜初期にわずか数パーセントしか抽出できない
本格焼酎の蒸溜初期に垂れてくる初留には、香気成分(エステル類)が多く含まれています。比較的沸点の低いこれらの成分は高濃度のアルコールとともに出てきたあと、急激に溜出量が減少していきます。
この貴重な香気成分を含む初留だけを集めた「はな垂れ」は、一度の蒸溜で得られる原酒の1〜3パーセント程度しか取れないことから、希少価値の高いお酒として注目されています。
「はな垂れ」の特徴
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希少な香気成分を含んだ「はな垂れ」の魅力は、なんといっても華やかでフルーティーな香り。高めのアルコール度数がもたらす独特の口あたりも特徴です。
「はな垂れ」はフルーティーな味わいが魅力
「はな垂れ」は、華やかな香気成分を含む初留だけを集めた希少な焼酎。その魅力は、バナナやパイナップルを思わせるフルーティーな香りにあります。
「はな垂れ」に含まれる香気成分の筆頭に挙げられるのが、酢酸イソアミルと酢酸エチル。酢酸イソアミルは、「バナナやメロンのような香り」と表現される吟醸香の香気成分のひとつ。酢酸エチルは「パイナップルのような香り」「リンゴのような香り」といわれる成分です。
芋や麦、米などの原料や製法によって香りの印象は変わってきますが、華やかな香気成分を含んでいるだけに、同じ銘柄の定番商品よりも濃厚な香りがたのしめそうですね。
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アルコール度数は高め
蒸溜開始直後に抽出されるアルコールの度数は、約70度。初留のアルコール度数も70度程度ありますが、「はな垂れ」として出荷される前に割り水をして45度以下に調整されます。
「はな垂れ」のアルコール度数に決まりはありませんが、その特長を活かすためにも、酒税法で定められたアルコール度数の上限(「単式蒸留焼酎」の場合は45度以下)に近い度数で製品化しているケースが多いようです。
とろっとした口あたり
アルコール度数にもよりますが、アルコール度数が高い「はな垂れ」は、とろっとした口あたりが特長。冷凍庫で冷やすと、さらにとろっとした感触と濃厚な味わいがたのしめます。
「はな垂れ」のおいしい飲み方
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「はな垂れ」はロックや水割り、炭酸割り、お湯割りなど、好みの割り方でたのしめますが、アルコールに強い人には、「パーシャルショット」という飲み方がイチオシです。
パーシャルショットは、アルコール度数の高いお酒を瓶ごと冷凍庫に入れ、キンキンに冷やして飲むたのしみ方。アルコール度数が40度を超えるお酒は、家庭用冷凍庫の温度では凍りません。キンキンに冷やすことでとろみが増すうえ、アルコール感がやわらぎ飲みやすくなります。「はな垂れ」を入手した際は、最初の一口だけでもぜひパーシャルショットでとろっとした感触を堪能してみてください。
「はな垂れ」のおすすめ銘柄
「初垂れ」ならではの魅力がたのしめるおすすめ銘柄を、芋焼酎、麦焼酎、米焼酎、黒糖焼酎のなかから厳選して紹介します。季節限定や数量限定で発売されるケースもあるので、購入時は蔵元の公式サイトで発売時期等をチェックしてください。
黒木本店「爆弾ハナタレ」|芋焼酎
芋焼酎「㐂六(きろく)」や麦焼酎「百年の孤独」で名高い宮崎県の老舗蔵元・黒木本店が手がける芋焼酎の「はな垂れ」。華やかで強い香りとフルーツ感、凝縮した味わいが特長です。
「爆弾ハナタレ」はどんな飲み方でもたのしめますが、華やかでフローラルな風味と甘やかな飲み心地に浸るなら、水割りがおすすめ。お湯で割れば、フローラルでバナナのニュアンスを感じさせる華やかな香りをより強く味わえます。
※冬季限定商品
容量:360ml
アルコール度数:44度
製造元:株式会社黒木本店
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光武酒造場「芋焼酎初留取り 魔界への誘い」|芋焼酎
出典:MITSUKETA produced by 光武酒造場
佐賀県で酒蔵を営む元禄元年(1688年)創業の光武酒造場。代表銘柄「魔界への誘い」は、黒麹のダークなイメージと、魔界に誘われてしまうかのような飲みやすさが特徴の芋焼酎シリーズ。その初留だけを集めた「芋焼酎初留取り 魔界への誘い」は、香気高く旨味成分が凝縮したレアな一品です。
容量:720ml
アルコール度数:43度
製造元:合資会社 光武酒造場
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福徳長酒類「本格焼酎 博多の華 むぎ 初垂れ 44%」|麦焼酎
出典:オエノングループホームページ
九州・久留米で誕生した本格焼酎「博多の華」シリーズは、麦焼酎をはじめ、芋焼酎、そば焼酎、米焼酎など幅広いラインアップを展開しています。
麦焼酎「博多の華」の蒸溜工程の最初に出てくる初留だけを取り出した「本格焼酎 博多の華 むぎ 初垂れ 44%」は、花が咲いたような華やかな香りと軽快な口あたりが特長です。
容量:500ml
アルコール度数:44度
製造元:福徳長酒類株式会社(オエノングループ)
商品情報はこちら
西の誉銘醸「麦一味 初垂れ」|麦焼酎
出典:西の誉銘醸株式会社ホームページ
麦焼酎「麦一味」、芋焼酎「芋一味」のほか、キャラクター焼酎でも注目を集める大分県の蔵元、西の誉銘醸。「麦一味 初垂れ」は、高精白50%磨いた大麦を原料に造る麦100%焼酎の、減圧蒸溜段階の最初に抽出される初留を集めた、シリアルナンバー入りの数量限定商品。濃厚な香りとコクが魅力です。
容量:720ml
アルコール度数:40度
製造元:西の誉銘醸株式会社
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寿福酒造「杜氏きぬ子 44度」|米焼酎
出典:寿福酒造場ONLINE SHOP
造り手は、球磨焼酎「武者返し」で名高い常圧蒸溜一筋の蔵元、寿福酒造場。「杜氏きぬ子 44度」は熊本県産の米を使用し、蒸溜の最初に垂れてくるアルコール度数が高い部分のみを瓶詰め。仕上げのろ過を最小限に抑えることで、米の旨味をそのまま残しています。
数量限定商品で、2023年分は100本限定。希少な品ですが見つけた際は迷わず手に取って、華やかでフルーティーな香りと、濃厚でリッチな味わいをたのしんでください。
容量:500ml
アルコール度数:44度
製造元:合資会社寿福酒造場(壽福酒造場)
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朝日酒造「南の島の貴婦人」|黒糖焼酎
チリーズ / PIXTA(ピクスタ)
黒糖焼酎「朝日」で知られ、奄美群島最古の歴史を持つ朝日酒造の黒糖初留。黒糖らしい華やかな香りとまろやかな甘味が際立った逸品です。「南の島の貴婦人」の異名を持つオオゴマダラ蝶をあしらったボトルデザインも秀逸。キンキンに冷やして食後酒として味わったり、バニラアイスにかけたりと、お気に入りの飲み方で味わって。
容量:300ml
アルコール度数44度
製造元:朝日酒造株式会社
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「はな垂れ」は、一度の仕込みでほんの少ししか抽出できない希少価値の高い焼酎。本格焼酎好きな人へのギフトにも重宝しますが、お気に入りの銘柄の「はな垂れ」を見つけたら、ぜひ味わってみてくださいね。