沖縄のお酒といえば「泡盛」 ほかの焼酎よりアルコール度数はやや高めです

沖縄のお酒といえば「泡盛」 ほかの焼酎よりアルコール度数はやや高めです
出典 : KOSEI.S/Shutterstock.com

「泡盛」は、沖縄県に伝わる日本最古の蒸溜酒。原料や仕込み法が独特で、アルコール度数も30度前後とやや高めですが、酒税法では「焼酎」に分類されています。ここでは一般的な焼酎との違いに触れながら、泡盛の定義や特徴、歴史、製法、代表銘柄などを紹介します。

  • 更新日:

泡盛とは?

jakavut patanapanlert/ Shutterstock.com

まずは泡盛の特徴やアルコール度数、歴史をみていきましょう。

泡盛の定義と名前の由来

泡盛は、沖縄県に古くから伝わる伝統的な蒸溜酒で、酒税法では「焼酎」に分類されています。焼酎は連続式蒸溜焼酎(甲類焼酎)と単式蒸溜焼酎(乙類焼酎)に大別されますが、単式蒸溜機で蒸溜される泡盛は乙類焼酎(本格焼酎)の仲間です。

泡盛に分類以外の法的な定義はありませんが、国税庁のサイトでは、独立行政法人酒類総合研究所からの引用として、泡盛を「沖縄県の伝統的な焼酎で、黒麹菌で造った米麹のみを原料としているため、香味成分が多く濃醇な味わいがあります。長期貯蔵(3年以上)したものは、クース(古酒)と呼ばれています」と説明しています。

泡盛という名前の由来には諸説ありますが、有力なのが「蒸溜酒のできばえを、器に注いだときの泡立ち具合で判断していた」という説です。品質のよい酒ほど泡が盛り上がったことから、「泡盛」という名前がついたのだとか。
このほかにも、かつては「米だけでなく粟(あわ)を原料にしていたから」という説や、サンスクリット語の「酒=アワムリ」が琉球諸島へ伝わる過程で「泡盛」になったという説など、さまざまな言い伝えがあります。

日本には現在、世界貿易機構(WTO)のトリプス協定で地理的表示(GI)が認められた産地呼称焼酎が4つありますが、泡盛もそのひとつです。世界に目を向けてみると、地理的表示が認められたお酒には、ワインのボルドーやシャンパン、ウイスキーのバーボンやスコッチ、ブランデーのコニャックなど名だたるブランドがズラリ。泡盛もこれらに引けを取らない品質で国内外の注目を集めているのです。

産地呼称焼酎や地域ブランド、素材ごとの産地など本場九州の焼酎事情を知ろう

泡盛の味わい

泡盛は、黒麹菌で造った米麹のみを原料としているため、香味成分が多く濃醇な味わいがあります。米麹由来の香りは多くの蔵元が表現に迷うほど複雑かつふくよかで、バニラのような甘い香りといわれることも。熟成酒が多いことも泡盛ならではの特徴で、深い旨味とコク、芳醇な香りが味わえます。

泡盛の香りや味わいの特徴を知るには、沖縄国税事務所と沖縄県工業技術センター、琉球大学、沖縄工業高等専門学校でまとめた「泡盛フレーバーホイール」が役に立ちます。

泡盛フレーバーホイール(国税庁サイト内)

泡盛のアルコール度数

本格焼酎の平均的なアルコール度数が20〜25度程度であるのに対して、一般的な泡盛のアルコール度数は30度前後とやや高め。なかには40度以上のものや、酒税法上の上限度数45度を超えて「焼酎」ではなく「スピリッツ」として販売される銘柄もあります。与那国島だけで製造されている「花酒」には60度という高アルコール度数の商品がありますが、冷凍庫で冷やしてストレートで飲むのが定番というから驚きです。

泡盛の歴史

「泡盛」の歴史は焼酎よりも古く、日本で最古の蒸溜酒だといわれています。
泡盛の伝来ルートには諸説ありますが、有力なのは、紀元前に西洋で始まった蒸溜酒造りは13世紀に西アジアで成熟し、15世紀ごろにシャム国(現在のタイ)を経由して琉球に伝わったという説です。九州で焼酎造りが始まったのは16世紀ごろとされているので、泡盛のほうが先ということになります。

泡盛は一般的な焼酎以上に長い歴史を持つものの、現在のように沖縄の庶民に親しまれるようになったのは、近代になってからのことです。
というのも、琉球王朝時代、泡盛は江戸幕府や中国王朝への献上品とされていて、首里城付近の限られた蔵にしかその製造が認められていませんでした。売買も厳しく管理されていたため、時が明治に移り、琉球が沖縄県になるまで一般の人々の手には届かなかったのです。

一般的な焼酎と泡盛の違い

sunabesyou/ Shutterstock.com

一般的な焼酎と泡盛の違いは、泡盛の原料や製法にあります。

ほかの焼酎と少し違う泡盛の特徴

泡盛は、九州以北の焼酎造りとは異なる独自の進化を遂げてきました。基本的な製造法は一般的な焼酎と共通していますが、黒麹をまぶした米麹を原料に、一度の仕込みで発酵させる「全麹仕込み」を採用することで、泡盛独特の個性を引き出しています。

泡盛には、ほかの焼酎と異なる以下のような特徴があります。

◇原料に米を用いる
◇種麹に黒麹菌を用いる
◇仕込みは一度きり、全麹仕込みで行う

この3点が、泡盛独特の味わいを生み出す要因といわれています。

焼酎全般と比較するときは、上記に「蒸溜には単式蒸溜機を使う」という特徴が加わることがありますが、これは乙類焼酎(本格焼酎)に共通した特徴なのでここでは割愛しました。
以下では、泡盛と同じく単式蒸溜機で蒸溜された米焼酎をはじめとする本格焼酎との違いを詳しくみていきます。

原料

泡盛の主原料はお米です。お米から造られる焼酎に米焼酎がありますが、九州以北で作られる米焼酎がおもに国産米(ジャポニカ米)を使用するのに対して、泡盛は伝統的にタイ米(インディカ米)を使います。これは大正時代に始まり、昭和になって定着したもので、その理由としては、米麹の作りやすさ、温度管理のしやすさや、作業のしやすさ、アルコール収穫量の多さなどが挙げられます。

種麹には「黒麹菌」を使うのが泡盛の大きな特徴です。黒麹菌は、雑菌の繁殖を抑えるクエン酸を発酵段階で大量に生成します。沖縄の高温多湿な環境下で腐敗させることなく安定した酒造りを行うには、この黒麹菌が欠かせない存在なのです。

ちなみに、米焼酎では白麹、黒麹、黄麹をめざす酒質に合わせて使い分けるのが一般的。黒麹仕込みの米焼酎も流通しているので、機会があったら泡盛と飲み比べてみてください。

仕込み

九州以北の焼酎の仕込みは、麹に水と酵母を加えて発酵させる「一次仕込み」と、一次もろみに米や芋などの主原料を加えて発酵させる「二次仕込み」の2段階で行うのが一般的。対する泡盛は、原料のタイ米をすべて米麹にし、一度に発酵させる「全麹仕込み」で造られています。

仕込みを二度に分けず、雑菌が繁殖する前に短期間で発酵を終わらせるのは、高温多湿な地域ならではの知恵。泡盛独特の重厚な香りと深みのある味わいは、この「全麹仕込み」によって引き出されているのです。

「全麹仕込み」で造る焼酎の旨さに迫る

泡盛の種類

Neography/ Shutterstock.com

熟成させて飲まれることが多い泡盛は、「古酒(クース)」と「新酒(一般酒)」に大別されます。

古酒(クース)

泡盛は、琉球王府の庇護のもとで「宮廷酒」として発展してきたお酒。ほかの焼酎と同様に、酒質を安定させるためにしばらく貯蔵したものを味わいますが、沖縄には貯蔵に南蛮甕(なんばんがめ)を用い、年単位で寝かせた長期熟成酒を味わう文化があります。

泡盛では一般的に、蒸溜して3年以内のものを「新酒」、全量を3年以上貯蔵・熟成させたものを「古酒(クース)」と分類します。熟成を重ねるほど味と香りが甘くなり、まろやかさを帯びていく「古酒」ですが、なかには100年を超えるものもあるそうで、おいしく育まれた「古酒」は年代物のウイスキーやブランデーさながらの評価を得ています。

約43度前後とアルコール度数は高いものの、長期熟成酒ならではの芳醇な香りと深みのある味わい、まろやかな口当たりは、一度飲むとクセになります。

貴重な古酒を育むのは、この地に根づいた「仕次(しつ)ぎ」と呼ばれる独特の貯蔵・熟成方法です。

その方法は、まず「親酒(おやざけ)」と呼ばれる一番古い古酒とともに、さらにそこから一定間隔の年数を経た古酒を用意します。おいしく育った熟成年数の長い「親酒」を飲んでいきますが、減った分は2番手の古酒で補充。その2番手の減った分を3番手、3番手の分を4番手、といったように順番に補充していきます。こうすることで親酒の量を減らさず、かつ一定の酒質を長く保つことができるというわけです。
貯蔵に適した冷暗所があれば、自宅でも古酒を育てることも可能です。

クース(古酒)ってどんなもの? 沖縄で長年愛され続けてきた地酒とは【焼酎用語集】

新酒(一般酒)

一般的な焼酎の「新酒」というと、蒸溜して間もないフレッシュで荒々しい酒質のものをイメージしますが、泡盛では熟成年数が3年以内のものを「新酒」と呼んで「古酒」と区別しています。「一般酒」と表記されていたり、単に「泡盛」と呼ばれたりすることもあります。

新酒のアルコール度数は約30度前後。泡盛らしさを引き出した個性の強いものから、フルーティーで飲みやすい銘柄まで幅広く揃っています。

泡盛の代表銘柄

Decha Somparn/ Shutterstock.com

泡盛の代表的な銘柄を紹介します。

残波(ざんぱ)

有限会社比嘉酒造サイト

昭和23年(1948年)設立の比嘉酒造が、「泡盛が苦手な人にもおいしく飲んでもらいたい」という想いから、オリジナルの蒸溜機を開発して創り上げたこだわりの泡盛ブランド。「ザンシロ」の愛称で親しまれる「残波ホワイト25度」は、泡盛初心者におすすめの飲みやすい1本。フルーティーな香りとすっきりクセのない味わいが特徴です。「ザンクロ」の名で知られる「残波ブラック30度」は、幅広い層に愛されるロングセラー商品。フルーティーな香りとすっきりとしたキレのある味わいがたのしめます。

製造元:有限会社比嘉酒造
公式サイトはこちら
「残波(ざんぱ):比嘉酒造」は世界で評価される、飲みやすい琉球泡盛

瑞泉(ずいせん)

造り手の瑞泉酒造は、琉球王朝時代から泡盛造りの伝統を受け継いできた老舗蔵元。「瑞泉」は、首里城内にこんこんとわき出る泉のように清冽(れつ)で芳醇な酒造りをめざして誕生した、幅広いラインナップを展開する泡盛ブランドです。
定番の「30%瑞泉新酒(古酒10%入)」は、淡麗でまろやかな味わいが人気の1本。また、戦前から生き続ける黒麹菌を使用した「30%瑞泉『御酒(うさき)」もおすすめです。独自の低温発酵と通風製麹法で育まれた白梅のような香りとまろやかな味わいが魅力です。

製造元:瑞泉酒造株式会社
公式サイトはこちら
「瑞泉」の製造元は、琉球時代からの泡盛・古酒造りの伝統を受け継ぐ蔵

久米仙(くめせん)

久米仙 一升瓶25度

久米仙酒造株式会社提供

昭和27年(1952年)創業の久米仙酒造は、泡盛業界初の卓上ボトルや「泡盛珈琲」など一歩進んだ泡盛造りで知られる蔵元です。「久米仙」の新酒は30度、25度、20度と泡盛にしては低めのアルコール度数で展開。なかでも「久米仙25度」は、熟れたバナナを思わせる香りとまろやかな味わいが特徴で、フルーティーで飲みやすいと定評があります。柑橘系との相性が抜群なので、カクテルやチューハイのベースにしてもおいしくいただけます。
なお、「久米島の久米仙」という泡盛の人気ブランドが存在しますが、こちらは別物です。

製造元:久米仙酒造株式会社
公式サイトはこちら
沖縄の焼酎(泡盛)【久米仙(くめせん)】「一歩進んだ泡盛造り」の代表銘柄

泡盛は「琉球泡盛」と産地呼称されるように、かつての琉球王朝時代から連綿と続く沖縄のアイデンティティーとも言えるお酒。焼酎の一種というより、沖縄ならではの伝統のお酒と捉え、その歴史も含めて味わってみてはいかがでしょう。

おすすめ情報

関連情報

焼酎の基礎知識

日本ビール検定(びあけん)情報

イベント情報

おすすめ情報

Ranking ランキング

おすすめの記事