クース(古酒)ってどんなもの? 沖縄で長年愛され続けてきた地酒とは【焼酎用語集】

クース(古酒)ってどんなもの? 沖縄で長年愛され続けてきた地酒とは【焼酎用語集】
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「クース」とは、泡盛の「古酒」のこと。沖縄が誇る伝統の名産品クースは、時代を越えて受け継がれ、沖縄の人たちに愛され育まれてきました。今回は、泡盛のなかでもクースに注目して、定義や製法、味の特徴、代表銘柄などについて紹介しましょう。

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クースの定義

クースの定義

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「クース」とはどんなお酒? クースの定義

クースとは、泡盛の「古酒」のこと。「古酒」と書いて「クース」と読みます。クースは、泡盛を長期貯蔵・熟成させたもので、クースと名乗るには、「全量を3年以上貯蔵させる」という条件を満たす必要があります。

一方、乙類焼酎(単式蒸溜焼酎)にも「古酒」がありますが、こちらの読みは「こしゅ」です。古酒は、「長期貯蔵酒」や「長期熟成酒」と呼ばれることもあります。

乙類焼酎で古酒と名乗るには、「3年以上貯蔵したもので、ブレンド後の総量が50%以上」という条件をクリアする必要があります。かつてはクースも焼酎と同じ条件でしたが、平成27年8月1日より前述のような基準に変更されました。

泡盛は新酒と古酒(クース)に分類される

泡盛は、熟数年数によって大きく2種類に分類されます。

◇新酒(一般酒)
熟成期間3年以内。アルコール度数約30度前後。
◇古酒(クース)
蒸溜後3年以上長期熟成。アルコール度数約43度前後。

古酒は、新酒よりもアルコール度数が高いものの、熟成させることでまろやかで深い味わいになるのが特徴です。また、古酒には30年ものや50年もの、なかには100年を超えるものも存在します。なお、現存する最古のものとしては、約150年ものが確認されています。

クースの年数表記

クースのなかにはブレンドして造られるものもあります。基本的に、クースを10%以上ブレンドしたものは「混合酒」「ブレンド酒」と表記することができます。

なお、ブレンドしたものに年数を表記する場合は、以下のようなルールを守る必要があります。

◇クースとクース
クース同士を混ぜる場合は、もっとも若い年数を表記することと定められています。たとえば、5年ものと10年ものを混ぜる場合は、「5年」と表記しなければなりません。

◇新酒とクース
新酒とクースを混ぜる場合は、クースの混合割合を表記することと定められています。そのため、「古酒10%」や「古酒20%」などと表記する必要があります。

泡盛の古酒(クース)は沖縄の宝!

クースの味わいを格上げする沖縄伝統の手法

クースの味わいを格上げする沖縄伝統の手法

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クースを育てる「仕次ぎ(しつぎ)」とは?

古酒は、沖縄に古くから伝わる「仕次ぎ」という手法によって、何年何十年と育てていくことが可能です。この方法があるからこそ、100年を超す古酒が存在するといえます。

仕次ぎは、熟成中のもっとも古い甕(親酒)から少量(1合分くらい)を取り、代わりに2番目に古い甕のクースを取って1番目の甕に継ぎ足し、3番目の甕から2番目の甕へ、4番目の甕から3番目の甕へと、継ぎ足しを繰り返していく手法です。もっとも若い甕には、仕次ぎに適したクースを用意して、そこから継ぎ足します。これを1年に1度程度繰り返すことで、甕の中の泡盛が攪拌されて劣化防止となり、古酒を育てていけるのです。

かつて沖縄ではこの手法が一般家庭でも日常的に行われていて、家宝としてクースを育てている家庭が多かったそうですが、残念ながら近年はあまり見られなくなりました。

なお、親酒から取り出した古酒は、1年に1度だけ味見することができる、たのしみとされていたようです。

クースのちょっと変わった保存場所

クースは、琉球王国の時代から「南蛮甕(なんばんかめ)」という素焼きの甕に入れて貯蔵されてきました。この甕で保管することで、良好な状態で熟成が進み、クースがよりいっそうおいしくなるといわれています。

一般家庭の場合、クースを入れた甕は、基本的に自宅内で保管されますが、なかにはお墓の中に保管することもあります。沖縄では「亀甲墓(かめこうばか)」というお墓がよく見られますが、その中には甕を置けるスペースがあるそう。ひんやりとした冷暗所なので、クースの保管に適しています。

また、日が当たらず冷たい場所ということで、水深10メートルほどの海中に寝かせることもあるそうです。

焼酎の「古酒」って何? その味わいを左右する要素をチェック 【焼酎用語集】

クースの味わいと代表銘柄

クースの味わいと代表銘柄

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クースの味わいの魅力

泡盛は、貯蔵して年月が経過するとともに熟成が進み、香味がよくなっていくお酒です。3年以上熟成させるクースでは、熟成によるまろやかな口当たりや芳醇な味わい、豊かに香る甘い香りをたのしめます。さらに、10年20年と熟成が進むほど、琥珀色に色づき、深みが増していきます。寝かせれば寝かせるほど、おいしくなっていくのです。

そんなクースの魅力は、19世紀に琉球王国を訪れたペリー一行にも伝わっていたようで、クースの味に触れ、「まるでフランスのリキュール(ブランデー)のようだ」と驚いたというエピソードが残っています。

クースの代表銘柄

クースは、熟成年数や混合割合によってさまざまな風味をたのしめます。飲み比べにもおすすめの代表銘柄を紹介します。

【30% 瑞泉(ずいせん)King crown 10年古酒】

明治20年(1887年)創業の瑞泉酒造が手がける10年もののクース。上質なクースで、とくにロックで飲むと、まろやかな舌触りと繊細な味わいを堪能できます。

瑞泉酒造株式会社
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【菊之露(きくのつゆ) VIPゴールド】

昭和3年(1928年)創業の菊之露酒造が手がけるクース。8年貯蔵酒をベースにしたもので、芳醇な風味と膨らみのある極上の味わいに特徴があります。水割り、ストレート、ロックがおすすめ。

菊之露酒造株式会社
公式サイトはこちら

【残波(ざんぱ)プレミアム5年】

昭和23年(1948年)創業の比嘉酒蔵が手がけるクース。5年以上熟成させた古酒をブレンドしたもので、芳醇な香りとコクをたのしめます。おすすめの飲み方は、水割り、ロック、お湯割りなど。

有限会社比嘉酒造
公式サイトはこちら

【樫樽3年熟成古酒 くら】

昭和36年(1961年)創業のヘリオス酒造が手がける、沖縄限定のクース。甕ではなく専用の樫樽で3年間熟成させ、芳醇な香りとまろやかな味わいに仕上げられています。ウイスキーのように、ロックやハーフロックで飲むのがおすすめ。

ヘリオス酒造株式会社
公式サイトはこちら

「泡盛」ってどんなお酒? 原材料や製法から見えてくる魅力【焼酎用語集】

熟成すればするほどおいしくなるというクース。何十年も熟成させたものは手に入りにくいですが、10年ものくらいまでなら入手しやすいでしょう。クースの味わいは、製造条件や熟成年数、混合割合によって異なります。ぜひ飲み比べて、自分の好みの味を見つけてみてくださいね。

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