【福岡の日本酒】おすすめ10選!じつは山田錦の名産地、福岡県の絶品地酒をご紹介

【福岡の日本酒】おすすめ10選!じつは山田錦の名産地、福岡県の絶品地酒をご紹介
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福岡が日本酒の酒造好適米「山田錦」 の名産地であることをご存知ですか?今回は、福岡の地酒の歴史と、おすすめ銘柄をご紹介します。日本屈指と言われる環境を活かした日本酒をぜひ味わってみてみましょう。

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福岡の地酒は五代将軍・徳川綱吉の時代から評判

福岡の地酒は五代将軍・徳川綱吉の時代から評判

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福岡の日本酒のおいしさは、江戸幕府の五代将軍・徳川綱吉の時代から文献に残されています。宝永6年(1709年)に筑前藩、つまり現在の福岡の儒学者だった貝原益軒がまとめた『筑前国続風土記』には、この地の酒について「優良、上国の佳産に勝るもの」と称賛の言葉が綴られているほどです。

明治10年(1877年)の西南戦争の際には、政府軍の前線において、士気高揚のために福岡の日本酒が振る舞われたと言います。

さらに、明治30年(1897年)には福岡県が酒造業を重要物産に指定したことで販路が拡大。パリでの万国博覧会で入賞を果たすなど、福岡の日本酒文化は国内外から注目されるようになりました。

福岡は酒造好適米「山田錦」 の名産地!

福岡は酒造好適米「山田錦」 の名産地!

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福岡の日本酒がおいしい理由のひとつに、原料となる米の質が関係しています。
福岡は国内でも早くから稲作が始まった土地で、米作りに適した環境や技術は日本屈指とも言われています。福岡の気候、とくに福岡市の糸島地区付近は、昼夜の温度差がちょうど稲穂の成長に適しているとして、盛んに栽培されるようになりました。

酒造好適米の代表とも名高い「山田錦」を先駆けて生産したのは、兵庫と大阪、そして福岡です。その山田錦の生産量は現在、兵庫、岡山、山口に次いで福岡が全国第4位となっています(2017年度農林水産省データより)。

また、日本酒といえば「寒造り」と言われるように、寒い地域で造られる印象が強いですが、福岡は温暖な九州にあっても冬場の寒さは厳しく、その点も酒造りに適しています。

そんな恵まれた環境で育まれる福岡の日本酒は、もつ鍋や水炊きなどの郷土料理と相性抜群。すっきりとした口当たりの淡麗辛口であることが特徴です。

福岡の日本酒、人気銘柄

福岡の日本酒、人気銘柄

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福岡の日本酒には、ツウをもうならせる美酒がたくさんあります。福岡の日本酒のなかでも、とくに人気を集めている銘柄を紹介しましょう。

豊かな自然を活かし、米造り酒造りと真摯に向き合う【喜多屋(きたや)】

喜多屋は文政年間(1818~1830)に創業した、約200年の歴史ある老舗蔵です。代表銘柄名でもあるその屋号は「酒を通して多くの喜びを伝えたい」との想いから命名されたものだとか。「主人自ら酒造るべし」の家憲のもと、代々、当主自らが杜氏となって日本酒を醸し、現在の7代目も踏襲しています。1996年からは日本酒の輸出も行い、現在では17カ国に進出。さらに2000年には「喜多屋米作り委員会」を発足し、それまで酒造好適米の生産実績がほぼなかった八女地区にて米造りを開始するなど、チャレンジ精神にあふれた蔵元です。
地元産の酒造好適米「山田錦」を使用した「大吟醸極醸 喜多屋」は2013年度の「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)」SAKE部門で世界一の栄誉を獲得。「全国新酒鑑評会」や「福岡国税局酒類鑑評会」でも入賞常連の実力派です。

製造元:株式会社喜多屋

小規模だからこそできるフットワークの軽さを活かした酒造り【三井の寿(みいのことぶき)】

代表銘柄である「三井の寿」の一部をひらがな表記にした社名が特徴的な蔵元「みいの寿」は、大正11年(1922年)の創業。その名前は蔵を構える福岡県三井郡にある、酒造りに適した3つの湧水に由来しています。
現在は能登杜氏に学んだ4代目当主が蔵元杜氏となって、年間800石という小規模さを活かし、ていねいに仕込んでいます。全生産量の99%を占めるのは純米酒。米の味わいを活かした日本酒造りを追求しています。
ワイン造りに影響を受け、35年前から低温貯蔵を始めるなど、新技術の導入にも積極的。海外にもファンが多く、「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)」SAKE部門では2年連続で「リージョナルトロフィー」を受賞しています。

製造元:株式会社みいの寿

自社栽培した山田錦で挑む酒造り!米の旨味を活かした1本【庭のうぐいす(にわのうぐいす)】

「庭のうぐいす」で知られる久留米の老舗蔵、山口酒造場の歴史は、天保3年(1832年)に有馬藩から酒造業の許可を得たことからスタートします。風情豊かな代表銘柄の名は、うぐいすが蔵の庭の湧き水でのどを潤す様子を見た創業者が、湧き水の清らかさを活かした日本酒を生み出したというエピソードに由来します。
以来、180年にわたる歴史を持つ伝統蔵ですが、近年では大規模設備を排して付加価値の高い特定名称酒に注力するとともに、酒造好適米「山田錦」の自社栽培にも着手。海外への輸出も開始するなど、革新的な動きを続けています。
「庭のうぐいす 純米吟醸」は、米の香りと酸味のバランスに優れた爽快感のある味わい。和食だけでなく洋食との相性もよい1本に仕上がっています。

製造元:合名会社山口酒造場

チャレンジ精神にあふれる蔵元が率いる日本酒の新たな挑戦【美田(びでん)】

「三井の寿」を醸す蔵元、みいの寿のもうひとつの柱となる銘柄が「美田」です。「三井の寿」の魅力がキリッとした切れ味であるのに対し、「美田」はその名のとおり、現地・福岡の美田から採れる米の旨味にこだわった日本酒。伝統的な山廃造りによる、力強くて深みのある口当たりが特徴で、余韻にもクリーミーな米の香りが漂います。
「美田」シリーズには、甘味と酸味のバランスが絶妙な「豊醸(ほうじょう)」や、超辛口の「辛醸(しんじょう)」、熟成によりまろやかさを増した「古醸(こじょう)」といったラインナップがあり、それぞれを飲みくらべるたのしさもあります。

製造元:株式会社みいの寿

姉弟で酒造りを盛り上げるアグレッシブな蔵元【若波(わかなみ)】

大正11年(1922年)創業の若波酒造は、3代目当主を、製造責任者である娘と専務である息子の姉弟が支える、家族の絆を中心とした蔵元です。蔵近くを流れる筑後川のように、「若い波を起こせ」という願いを込めて命名された若波酒造。その名を冠した代表銘柄「若波」は、さわやかで軽やかな飲み口がおかわりを誘います。
そんな「若波」の魅力を支えているのが米へのこだわり。地元産の「山田錦」や福岡独自の酒造好適米「夢一献」に加え、両者の交配種である「壽限無(じゅげむ)」を県内でもいち早く採用しています。また、日本酒ベースのリキュールブランドを立ち上げるなど、アグレッシブに挑戦を続けています。

製造元:若波酒造合名会社

福岡の日本酒、そのほかの注目銘柄

福岡の日本酒、そのほかの注目銘柄

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福岡県には、まだまだ個性豊かな蔵元や銘柄があります。注目の銘柄をピックアップして紹介しましょう。

完全手造りにこだわる昔ながらの日本酒造り【繁桝(しげます)】

高橋商店は享保2年(1717年)に創業した、300年という長い歴史を持つ蔵元です。「山田錦」「雄町」「吟のさと」「夢一献」など、福岡県産の酒造好適米を使用した日本酒造りに取り組んでいます。
代表銘柄の「繁桝」は、大正末期に会社組織としての体制を整えた10代目当主、高橋繁太郎の名前から1字を取って、「酒を量る桝がますます繁栄するように」との願いを込めて命名されました。
生産量は年間約3,000石と、福岡県内では比較的小規模な蔵元ですが、完全手造りで醸される酒は県内外で評判に。上品でまとまりのある味わいとコストパフォーマンスのよさから、「繁枡」は福岡を代表する銘柄のひとつとなっています。

製造元: 株式会社高橋商店
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「全国鑑評会」で金賞常連!飲むほどにおいしい、飽きない味わい【綾花(あやか)】

旭菊(あさひきく)酒造の創業は明治33年(1900年)。当初からの代表銘柄である「旭菊」は、「旭のように勢いのあるキレのよい酒」を願って命名されたもので、戦後になって会社組織にする際に、その銘柄名を社名としました。
平成になって福岡県の蔵元有志とともに「福岡銘酒会」を立ち上げ、吟醸造りや純米酒造りに注力。地元で契約栽培した「山田錦」を使った新銘柄「綾花」を開発しました。山田錦ならではのやわらかなコクとやさしい香りは、飲めば飲むほどクセになると評判で、「全国新酒鑑評会」の金賞常連の銘柄となりました。
2010年には仕込み蔵から貯蔵庫までが全焼しましたが、その危機を乗り越え、翌年には新築した仕込み蔵で酒造りを再開。新たな環境のもとで、さらなる進化が期待されています。

製造元:旭菊酒造株式会社
公式サイトはこちら

親子でブランドのブラッシュアップを図る旨味の1本【駿(しゅん)】

ひらがな表記の社名が印象的な「いそのさわ」は、うきは市(合併前は浮羽郡)で現在、唯一の蔵元です。うきは市は「水道のない町」とも呼ばれ、多くの世帯が井戸または山水を利用しているほど水資源に恵まれ、名水100選、棚田100選にも選ばれた豊かな環境が整っています。
蔵の歴史は明治26年(1893年)に始まり、創業時は250石だった生産量が、現在は年間4,000石まで成長しています。代表銘柄には蔵名でもある「磯の澤」や「伝承」「磯吉」などがありますが、地酒ファンの注目は、1993年に限定流通銘柄として開発された「駿」。酒造好適米「山田錦」を9号系酵母で醸した、米の味わいがずっしりと感じられる1本で、福岡の郷土料理と好相性です。

製造元:株式会社いそのさわ
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自家培養酵母と福岡産米で挑む蔵元の酒【池亀(いけかめ)】

池亀酒造の歴史は明治8年(1875年)、筑後川のほとりで始まりました。初代当主は、筑後川の水を使用した醸造法を考案し、自ら杜氏を養成、筑後地方のほかの蔵元へ派遣するなど、この地の酒造りの発展に貢献した存在として知られています。
原料米には、福岡県独自の酒造好適米「夢一献」や、現地産の「山田錦」を採用。これらを自家培養した酵母で醸しています。
蔵の名を冠した「池亀」は、創業当初から続く代表銘柄。なかでも大吟醸に特徴的なのが「雫搾り」という製法です。酒袋に醪(もろみ)を詰め、圧力を加えずに重力のみでじっくりと採取。時間をかけて抽出された「池亀 大吟醸」は、果実のように華やかな香りと米本来のふくよかな旨味が堪能できます。

製造元:池亀酒造株式会社
公式サイトはこちら

田んぼに囲まれた環境抜群の蔵元【田中六五(たなかろくじゅうご)】

安政2年(1855年)創業の老舗、白糸酒造が蔵を構えるのは、酒造好適米の代表格「山田錦」の名産地として知られる糸島市です。
白糸酒造の蔵も、周囲が田んぼに囲まれた環境にあり、地元産「山田錦」を醸した醪(もろみ)を、昔ながらの「ハネ木搾り」でていねいに搾っています。
代表銘柄である「田中六五」は、白糸酒造を経営する田中家の姓というだけでなく、蔵の恵まれた環境も意味しています。これに、精米歩合を意味する「65」を加えて、独特の名がつけられました。なめらかな質感を感じつつ、キレと軽やかさをたのしめる1本として、地酒ファンの注目を集めています。

製造元:有限会社白糸酒造
公式サイトはこちら

酒造好適米の名産地である福岡県では、五代将軍・徳川綱吉の時代から現在まで変わらず、おいしい日本酒が生み出され続けています。日本屈指の環境を活かした日本酒を、ぜひ味わってみてください。

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