福岡の日本酒【美田(びでん):みいの寿】ていねいに醸す山廃(やまはい)仕込み中心の日本酒ブランド

福岡の日本酒【美田(びでん):みいの寿】ていねいに醸す山廃(やまはい)仕込み中心の日本酒ブランド
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「美田」は、「三井(みい)の寿」を醸す福岡県三井郡の蔵元、みいの寿の日本酒ブランドです。福岡県糸島産の「山田錦」を使った山廃仕込みの純米酒を中心とする限定流通酒で、個性に富んだ「山廃純米」がたのしめます。日本酒「美田」の魅力を紹介します。

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「美田」に使われているおもな米

「美田」に使われているおもな米

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「美田」の原料米の中心は糸島産の「山田錦」

「美田」は、福岡県三井郡大刀洗町(たちあらいまち)に蔵を構える、みいの寿の日本酒銘柄です。

筑後平野にある蔵の周りに広がるのは美しい田園風景。そこから命名されたという「美田」の原料米は、地元福岡県の糸島産「山田錦」が中心となっています。

「山田錦」は兵庫県で生まれた酒造好適米で、米の中心部の「心白」が大きいなど、酒米としてとても優れた性質を持っています。

糸島は、稲穂が育つ時期の昼夜の温度差が「山田錦」の栽培に適しているといわれ、良質な「山田錦」の産地として知られています。みいの寿の蔵人は、糸島で毎年田植えを手伝い、苗から育つ「山田錦」の成長を見守って、収穫期とそれに続く酒造りのシーズンの到来を待っています。

「美田」に使われている幻の米

「美田」には、希少米を使用した酒もラインナップされています。「穀良都(こくりょうみやこ)」を使った「美田 古醸(こじょう) 山廃純米」もそのひとつです。

「穀良都」は、明治期に山口県で開発された酒米で、かつて九州北部一帯でも栽培され、大刀洗町のある筑後(ちくご)地方の酒造りに使われていました。しかし、栽培がとても難しく、いつしか作り手がいなくなり、姿を消しました。その幻の米「穀良都」を、わずか12粒の種もみから復活させて造ったのがこの日本酒です。

このほか「美田」には、「穀良都」と同じように栽培が難しく、非常に高価な「愛山(あいやま)」という酒米を使った「美田 愛醸(あいじょう) 山廃純米吟醸」もラインナップされています。

「美田」の特徴「山廃仕込み」とは

「美田」の特徴「山廃仕込み」とは

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「美田」の醸造で行われる「山廃仕込み」とは

「美田」の特徴である山廃仕込みとは、「山廃酛(やまはいもと)」という酒母で仕込む、日本酒造りの製法のことを指します。

酒母とは、微生物の一種である酵母を培養したもので、アルコール発酵に欠かせない原料のひとつ。酒母には乳酸が含まれていて、雑菌の繁殖を抑える働きもしています。

酒母は「生酛(きもと)系」と「速醸酛(そくじょうもと)系」の大きく2種類に分けられますが、山廃仕込みで使う「山廃酛」は前者の生酛系の酒母です。

生酛系の酒母はさらに、「生酛」と「山廃酛」に分けられます。

「生酛」は、蒸米と麹をすり潰す「山卸(やまおろし)」という工程を経て、蔵内に生息する自然の乳酸菌を取り込み、時間をかけて乳酸を得るという伝統製法で造られます。この生酛造りの工程から、「山卸」を省いて造られる酒母が「山卸廃止酛」=「山廃酛」です。

現在は乳酸を添加して造る「速醸酛」が主流ですが、蔵元は伝統的な生酛系の酒母にこだわり、酒造りに活かしています。

「美田」の蔵元の山廃仕込みへの取り組み

「美田」の蔵元、みいの寿が、九州のほかの蔵に先駆けて山廃仕込みに取り組み始めたのは、今から20年以上も前のことです。

みいの寿は現在、杜氏を招かず蔵元自ら酒を醸す蔵元杜氏の蔵として知られていますが、当時は石川県の老舗蔵、菊姫で経験を積んだ能登杜氏のもとで酒造りが行われていました。

この能登杜氏が得意としていたのが、山廃仕込みの酒造りだったのです。そのころ九州では、山廃仕込みに通じた杜氏がほとんどいなかったので、さまざまな蔵の杜氏たちが学びに来ていたほどだったそう。

現在、能登杜氏から受け継いだ山廃仕込みの技術はさらに磨かれ、「美田」をはじめとする、みいの寿の日本酒に欠かせない個性の土台のひとつとなっています。

「美田」は個性あふれるブランド

「美田」は個性あふれるブランド

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「美田」の個性あふれるラインナップ

「美田」ブランドは、山廃仕込みの日本酒がほとんどを占めていますが、画一的ではなく、それぞれの商品に個性があります。そのラインナップのなかから、いくつか紹介しましょう。

【美田 豊醸(ほうじょう) 山廃純米】

山廃仕込みならではの酸味と、どっしりとした旨味のバランスが絶妙な1本。上品な酸味は揚げ物や濃い味つけの料理と好相性です。燗にすれば、さらに味がふくらみます。

【美田 古醸 山廃純米】

幻の米「穀良都」を使用。乳酸だけでなく酵母も添加せずに醸した純米酒。蔵に生息する自然の酵母を取り込むため、酒造年ごとに違った味わいがたのしめます。

【美田 辛醸(しんじょう) 山廃純米 大辛口】

米由来の甘味が出やすい純米酒でありながら、日本酒度+14という大辛口に仕上げた、蔵元の技術力の高さがうかがえる1本。旨味もしっかり味わえます。

【美田 愛醸 山廃純米吟醸】

「愛山」の特性をまるごと理解したうえで醸した山廃仕込みの純米吟醸酒。旨味と甘味を感じられるお酒で、燗で飲んでもおいしくたのしめます。

「美田」には、山廃仕込みを行わない酒もある

「美田」には、山廃仕込みを行わない純米吟醸酒もラインナップされています。

【美田 山田錦 純米吟醸】

福岡県糸島産の「山田錦」と9号系自社培養酵母を使い、吟醸造りでていねいに醸した逸品。豊かな旨味とさわやかな香り、そしてキレのよいあと口が特徴です。

【美田 純米吟醸 無濾過生 うすにごり】

3月に限定販売される、春らしい純米吟醸酒。香り高く、すっきりとした旨味をたのしめます。

【美田 上燗純米】

古酒をブレンドしたお燗用の純米酒。45度の上燗で飲むのがおすすめです。

山廃仕込みが特徴の「美田」は個性派ぞろいの銘柄です。紹介した商品以外にも、山廃仕込みでは珍しいにごり酒などもあります。「山廃仕込みは酸味の強い酒」と思い込んで敬遠していたとしたら、もったいないことになりそうなほど、さまざまな味わいが堪能できる日本酒です。

製造元:株式会社みいの寿
公式サイトなし
福岡県三井郡大刀洗町栄田1067-2

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