福岡の日本酒【庭のうぐいす(にわのうぐいす):山口酒造場】土地の恵みから生まれる筑後の酒

福岡の日本酒【庭のうぐいす(にわのうぐいす):山口酒造場】土地の恵みから生まれる筑後の酒
出典 : 山口酒造場公式フェイスブック

「庭のうぐいす」は、福岡県久留米市の蔵元、山口酒造場の主要銘柄です。香りと味わいが見事に調和する日本酒「庭のうぐいす」は、地元の「水」や「米」など、土地の恵みによって育まれています。名の由来などとともに「庭のうぐいす」の魅力を紹介します。

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「庭のうぐいす」の蔵元の歩み

「庭のうぐいす」の蔵元の歩み

出典:山口酒造場公式フェイスブック

「庭のうぐいす」の蔵元は江戸時代創業の老舗蔵

「庭のうぐいす」は、福岡県の南西部に位置する久留米市の蔵元、山口酒造場の日本酒銘柄です。

山口酒造場の創業は、今から190年近く前となる、江戸時代後期の天保3年(1832年)に遡ります。代々商家を営み、大地主としても知られていた山口家の5代目、利七氏が、地元の久留米藩から許可を得て酒造業を開始したのが蔵の歴史の始まりです。

山口家が造る「庭のうぐいす」は、久留米藩御用達の銘柄となり、明治、大正、昭和と、時代が移り変わるなかでも、順調に生産量を伸ばしていきました。

「庭のうぐいす」の転機

「庭のうぐいす」の蔵元に大きな転機が訪れたのは、平成3年(1991年)のことです。この年の9月、大型の台風17号と19号が立て続けに九州北部に上陸。各地に甚大な被害をもたらし、山口酒造場も壊滅的な打撃を受けました。

ほぼすべての蔵の建て替えが必要になるほどの被害に、蔵元は当初、移転を計画。しかし、江戸時代から慣れ親しんだ「水」と「空気」は何ものにも代え難く、同地での再起を決意したのです。

再スタートにあたり、蔵元は設備の小型化を進め、原材料の「水」と「米」、そして「造り手」の特徴がより出やすい、小規模の日本酒造りに転換しました。現在は小規模体制で、味わい深い日本酒を世に送り出しています。

「庭のうぐいす」の名前の由来

「庭のうぐいす」を醸す蔵は、久留米市北部の北野町にあり、近くには京都の北野天満宮の分社である「北野天満宮」が建っています。

江戸時代の天保年間、清水が湧き出ていた山口家の庭の井戸には、同じ町内の北野天満宮からウグイスが毎日のようにやってきて、のどを潤したり水浴びをしたりしていたといいます。

当時の山口家の当主は、ウグイスも所望するこの清らかな庭の湧き水で酒造りを行うことを思い立ち、北野天満宮の天神様に恥じない日本酒を造ろうと決心。酒造業を始めたと伝わります。

「庭のうぐいす」という情趣あふれる銘柄名は、創業時のこうしたエピソードに由来しているのです。

「庭のうぐいす」は土地の恵みから造られる

「庭のうぐいす」は土地の恵みから造られる

出典:山口酒造場サイト

「庭のうぐいす」を生む土地の恵み1:水

「庭のうぐいす」の現在の仕込み水は、筑後川(ちくごがわ)の伏流水で、ろ過せずそのまま使われています。

筑後川は、関東の「板東太郎(利根川)」、四国の「四国三郎(吉野川)」と並び「三大河」と称される九州最大の河川で、「筑紫二郎(つくしじろう)」とも呼ばれています。

熊本県阿蘇郡瀬の本高原を源に、大分県をとおって福岡県に入り、久留米市一帯を含む国内有数の穀倉地帯、筑紫平野を貫流。その豊かな水で良質な米を育ててきました。

日本酒「庭のうぐいす」の味わいもまた、土地に恵みをもたらす筑後川の伏流水によって生まれたものなのです。

「庭のうぐいす」を生む土地の恵み2:米

「庭のうぐいす」には、福岡県糸島産の酒造好適米「山田錦」や、一般米ながら日本酒の醸造適性に優れている福岡生まれ福岡育ちの酒米「夢一献(ゆめいっこん)」がおもに使用されています。

また、蔵元の山口酒造場は、昭和の終わりから純米酒造りに力を入れ、有機栽培米にも取り組んで、契約農家を増やしてきました。

近年は、地元の農家の協力を得て、自社田でも農薬や化学肥料を控えた酒米作りを開始。蔵が建つ土地で、こだわりを持って育てられた米の旨味は、「庭のうぐいす」で余すところなく表現されています。

「庭のうぐいす」の多彩なラインナップ

「庭のうぐいす」の多彩なラインナップ

出典:山口酒造場公式フェイスブック

「庭のうぐいす」は世界に日本酒のすばらしさを伝える酒

「庭のうぐいす」の蔵元は、「造るのはnipponのこころです」という指針を掲げ、近年世界で愛飲者が増えている日本酒のすばらしさを、より多くの国々に伝えるために尽力しています。

平成9年(1997年)から、アメリカ向けの輸出を開始したのを皮切りに、これまでオーストラリア、韓国、香港、台湾、カナダ、シンガポール、タイ、フランス、マレーシアの各国に輸出。なかには一時撤退した国もありますが、そのうちのアメリカ向けの輸出を平成30年(2018年)に再開するなど、「庭のうぐいす」を通じて日本酒を海外に広める取り組みを続けています。

「庭のうぐいす」の彩り豊かなラインナップ

「庭のうぐいす」は、全国新酒鑑評会において、平成27年(2015年)から令和元年(2019年)まで5年連続で金賞を受賞するなど、国内での評価も高い日本酒です。フラッグシップ商品から定番酒、どぶろくまで、純米酒を中心とした彩り豊かな「庭のうぐいす」のラインナップを紹介します。

【庭のうぐいす 純米大吟醸 くろうぐ】

麹米に福岡県産の「山田錦」、掛け米に福岡生まれ福岡育ちの酒米「夢一献」を使ったフラッグシップ商品。精米歩合は45%。穏やかで気品あふれる香りとやわらかな味わいが広がる、うぐいすラベル最高峰の逸品です。

【庭のうぐいす 大吟醸 心】

「最高の酒を造りたい」という杜氏の想いを形にした1本。福岡県産の「山田錦」を38%まで磨いて使用。すっきりとしたフレッシュさのなかに上品な膨らみがある、洗練された香味の大吟醸。

【庭のうぐいす 純米吟醸】

麹米に「山田錦」、掛け米に「夢一献」を使用した「庭のうぐいす」の原点となる定番酒。精米歩合は50%。香り・甘味・酸味が見事に調和したフレッシュでフルーティーな香味がたのしめます。

【庭のうぐいす 特別純米】

精米歩合60%で、麹米に「山田錦」、掛け米に「夢一献」を使用。伝統の技を忠実に守り、シャープでドライかつ深みのある味わいを表現。「お替りしたくなる酒」を追求したもうひとつの定番酒。

【庭のうぐいす 純米吟醸 ぬるはだ】

40度程度の「ぬる燗」と35度程度の「人肌燗」の間になるように温めて飲んでほしいという願いから「ぬるはだ」と命名された1本。この温度で飲むと、酸味と旨味がバランスよく広がります。

【庭のうぐいす だるまラベル 特別純米酒】

ウグイスのラベルよりも歴史がある「だるまラベル」は、1~2年熟成させて米本来の旨味を引き出した辛口の酒。冷やでもいけますが、燗で飲めばさらに米の旨味が増す、キレのよい食中酒です。

【鶯印のどぶろく】

「どぶろく」とは、発酵した醪(もろみ)を濾さずにそのまま瓶詰めしたにごり酒のこと。古式製法に則り、可能な限り手造りで仕込んだ、アルコール分が低めの飲み飽きしない1本です。天然の乳酸たっぷりの、甘酸っぱくさわやかな飲み口がたのしめます。

【特撰梅酒うぐいすとまり】

梅農家でもあった母方の祖父のレシピを、現当主が再現したもの。自家製の酒粕焼酎と、当主の祖父ゆかりの大分県大山町産の梅を使い、熟成を重ねた絶品の味わいに仕上げています。

山口酒造場は、日本酒で「nipponのこころ」を伝えるべく、「庭のうぐいす」ブランドを国内だけでなく海外でも展開しています。ウグイスが集う湧水で仕込まれた、世界でも人気の「庭のうぐいす」を、ぜひ味わってみてくださいね。

製造元:株式会社 山口酒造場
公式サイトはこちら

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