新潟に行って飲んでみたい! おすすめの日本酒(地酒)【甲信越編】

新潟に行って飲んでみたい! おすすめの日本酒(地酒)【甲信越編】
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新潟県は県民一人あたりの日本酒消費量が全国1位という“日本酒王国”です。“淡麗辛口”というスタイルで酒文化史に名を刻み、地酒ブームの発祥の地ともいわれています。県内各地に約90の酒蔵があり、越後杜氏が伝統の技術を発揮しています。

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新潟にはおいしい酒を造る三大要素、米、水、気候が揃っている

新潟にはおいしい酒を造る三大要素、米、水、気候が揃っている

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新潟県農業試験場で誕生した酒造好適米「五百万石」は、兵庫生まれの「山田錦」と並び“二大酒米”と称されます。その特徴的な名前は、新潟県の米生産量が五百万石を突破したことを記念して命名されたものだとか。

五百万石の特徴は「麹を造りやすく、もろみになっても溶けすぎない」こと。そのため、五百万石を原料とした日本酒は「すっきりとフルーティな味わい」に仕上がるとされ、全国の酒蔵から支持を集めています。おもに北陸地方で生産されていますが、五百万石の作付面積はもちろん新潟が日本一です。

こうした良質な米が豊富にあることに加え、新潟の日本酒の精米歩合は平均58.7%と、全国平均の67.6%を大きく上回っています。新潟の蔵が米を磨いて、雑味を減らすことにこだわっている証といえるでしょう。

米と同時に、日本酒の要素として欠かせないのが水です。周囲を高い山々に囲まれ、豪雪地帯でもある新潟は、良質な雪解け水が豊富。ミネラル分が少ない超軟水は長期低温発酵に最適で、さっぱりとした口当たりを生みます。

そして気候。豪雪地帯であり、冬が長い新潟の気候は、ゆっくりと発酵を進ませる長期低温発酵を可能にしています。また、雪によって空気中の分子運動が少なく、不純物を拡散させないことから、雑菌が少ないという利点もあります。

良質の米と水、酒を醸すうえで適切な気候。こうした好条件を、「越後杜氏(とうじ)」と呼ばれる技術者の技と努力、県独自の研究機関などが活かし、さらなる高みを追求しているからこそ、新潟の酒は高い評価を受け続けているのです。

新潟は酒蔵の数が日本一、多種多様な酒が楽しめる

新潟は酒蔵の数が日本一、多種多様な酒が楽しめる

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現在、新潟にある酒蔵の数は約90を数え、全国でもトップ。それだけに競争は激しく、各蔵が原料や酒造りの技術を切磋琢磨しています。

“淡麗辛口”のイメージで地酒ブームをけん引し、全国の日本酒ファンから支持されている新潟の酒ですが、蔵の数だけ個性があり、一括りにはできません。
同じ新潟県内でも、上越は甘口、下越は辛口、中越はその中間、と地域によって酒造りの傾向が別れていました。また、淡麗辛口の代表格「八海山(はっかいさん)」と、米の旨味を十二分に引き出したフルボディの「鶴齢(かくれい)」の蔵元がすぐ近くにあるように、同じ地域でも蔵ごとに異なる個性を発揮しています。

1990年前後の“淡麗辛口”ブームが去ると、近年はその対極にある“芳醇旨口”に注目が集まり、何年も寝かせることで深みを増す長期熟成酒も注目されています。こうした時代の要請や、蔵を継いだ若き後継者の新たな感性と最新の技術によって、各蔵はさまざまなタイプの酒を醸しています。

新潟の人気銘柄

新潟の人気銘柄

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新潟県の日本酒は“日本酒王国”と呼ばれる県だけあって、他県のものよりも全国的な知名度が高い銘柄が揃っています。なかでも代表的な人気銘柄を紹介します。

新潟が誇る淡麗辛口の代名詞【久保田(くぼた)】

天保元年(1830年)創業の朝日酒造が、昭和末期の1985年に新たに発売した銘柄が「久保田」です。創業時の屋号「久保田屋」から、初心と品質本意の酒造りへの決意をこめて命名されたこの酒は、“淡麗辛口”の代名詞として、またたく間に全国区の人気銘柄になりました。
久保田ブランドは「久保田 百寿(ひゃくじゅ)」「久保田 千寿(せんじゅ)」など、長寿をイメージさせる商品名が印象的ですが、なかでも最高峰が純米大吟醸「久保田 萬壽(まんじゅ)」。日本酒を飲まず嫌いの人にも自信をもって薦められる、“淡麗辛口”の代表格です。

製造元:朝日酒造株式会社
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本醸造でも吟醸酒並みの造り【八海山(はっかいさん)】

“淡麗辛口”の地酒ブームの火付け役で、「久保田」とともに新潟の酒を代表するのが「八海山」です。日本一おいしいコシヒカリの産地としても有名な魚沼の地で、大正11年(1922年)に創業した八海醸造では、「いくら飲んでも飽きない酒」を目標に、原料や手間を惜しまない酒造りを続けています。
その姿勢は「八海山 特別本醸造」が精米歩合55%、長期低温熟成といった吟醸酒並みの造りで仕上げられていることに現れています。フルーティな飲み口と、のどを通った瞬間に雪が溶けるように消えていく感じが、本当の酒好き、日本酒通から、女性や日本酒初心者にまで好まれています。

製造元:八海醸造株式会社
新潟の日本酒【八海山(はっかいさん)】質と量をともに追求した酒

広く長く愛されてきた日常酒【菊水(きくすい)】

菊水酒造は城下町・新発田市を流れる加治川近くに蔵を構え、明治14年(1881年)に創業しました。その酒造りの姿勢は「おいしいお酒を、少しでも多くの人に、少しでも多くの場面で呑んでいただきたい」というもの。その姿勢が顕著に現れているのが、1972年発売の「ふなぐち菊水一番しぼり」です。
辛口の酒として人気を集めた「菊水」の生原酒を、アルミ缶に詰めて発売した、今なお続くロングヒット商品。生産履歴の確かな国産米を100%使用した本醸造の生原酒は、豊かな味わいの濃厚な酒で、日常酒として親しまれています。

製造元:菊水酒造株式会社
新潟の日本酒【菊水(きくすい)】いつも身近におきたい酒

洗練された味わいがクセになる【緑川(みどりかわ)】

八海山と同じ魚沼地区に蔵を構える緑川酒造は、明治17年(1884年)創業の老舗蔵。「緑川」もまた、新潟を代表する“淡麗辛口”の酒です。代表的な「緑川 純米吟醸」は、地元産五百万石を55%精米。低温でじっくりと熟成することにより、口当たりまろやかで飲みやすく、純米らしい味のふくよかさ、フルーティな吟醸香のバランスが絶妙です。そのていねいな造りと、厳選された特約店での対面販売を志向する姿勢により、熱烈なファンを増やしています。

製造元:緑川酒造株式会社
新潟の日本酒【緑川(みどりかわ)】売り方にまで妥協しない酒

地酒であることにこだわる蔵【麒麟山(きりんざん)】

蔵元のある土地で作られた米を原料とし、その土地から湧き出す水を使い、その土地の蔵人によって醸され、その土地の人が生活の一部として慣れ親しむ――。これが、新潟県と福島県の県境に近い山紫水明の地・阿賀町津川で文政年間(1818~1830)に創業した麒麟山酒造が定義する地酒のありかたです。毎日楽しむ日本酒であるためには、飲み飽きしないすっきりとした“淡麗辛口”。それが町のシンボルになっている山の名を冠した「麒麟山」がこだわる味です。
地元の農家と一緒に、また社員自らも酒米作りに取り組むなど、原料も人も“オール地元産”にこだわる姿勢は、地酒ファンであれば応援せずにはいられません。

製造元:麒麟山酒造株式会社
新潟の日本酒【麒麟山(きりんざん)】飲み飽きしない辛口の酒

新潟のそのほか注目銘柄

新潟のそのほか注目銘柄

funny face/shutterstock

“淡麗辛口”だけにとどまらない、日本酒王国・新潟のそのほかの人気銘柄・注目銘柄を紹介します。

米の味を引き出した“旨口”の酒【鶴齢(かくれい)】

豪雪地帯であり、コシヒカリの産地としても有名な魚沼のなかでも、とくに上質の水が流れる塩沢地区で300年もの間、絶えることなく酒造りを続ける青木酒造。雪国がもたらす恵みと、越後杜氏による伝統の技によって醸された「鶴齢」は、“淡麗辛口”ではなく米本来の旨味を残した“淡麗旨口”。その銘柄は魚沼出身の随筆家・鈴木牧之が命名したと伝えられています。
象徴的な商品「鶴齢 特別純米 山田錦」は、山田錦のふくよかな旨味を最大限に引き出し、ほのかな余韻とキレを両立させていて、味の濃い料理にもよく合います。

製造元:青木酒造株式会社
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希少酒米の原種を管理し醸す蔵【高千代(たかちよ)】

魚沼にある日本百名山のひとつ「巻機山(まきはたやま)」の麓で明治元年(1868年)に創業した高千代酒造。この蔵の井戸から湧き出るのは、山に降り積もった雪が100年かけて大自然にろ過された、不純物の極めて少ない極軟水です。その水を仕込み水に、米本来の旨味を活かして造られているのが「高千代」です。
その味わいは新潟県で主流の“淡麗辛口”とは一線を画す味わい。原々種の管理を県より移譲された希少酒米「一本〆(いっぽんじめ)」を魚沼の農家で契約栽培し、独自に仕入れた扁平精米機で精米して醸す「巻機(まきはた)」は、国際味覚審査機構(iTQi)で7年連続最優秀賞(三ツ星)を受賞、酒米「一本〆」のふくらみのある旨味とキレのよさは世界に認められています。

製造元:高千代酒造株式会社
公式サイトはこちら

越後杜氏の頂点・山川譲の醸す酒【白龍(はくりゅう)】

天保10年(1839年)創業、白鳥の湖として有名な瓢湖(ひょうこ)のある阿賀野市(旧水原町)にある白龍酒造。主力銘柄の「白龍」は分家して酒造業を営む前の本家が回船問屋だったことから、海の安全を守る神としてまつられる白い龍にちなんで命名されました。地元産の良質な米と、阿賀野川の良質な伏流水、現役最年長の越後杜氏・山川譲氏の卓越した技術と熱意ある蔵人によってすっきりとまろやかな酒を醸しています。
福井県にも「白龍」という銘柄がありますが、こちらは吉田酒造によるもの。混同しがちなので注意しましょう。

深い絆で結ばれた兄弟が生み出す、地域に愛され続ける酒「白龍酒造」

460年を超える伝統の技と味【吉乃川(よしのがわ)】

扇状に広がる越後平野の“扇の要”に相当する長岡市で、460余年の長きにわたって酒造りを続けている吉乃川酒造。蔵の井戸から湧き出る水は、信濃川の伏流水と東山連峰の雪解け水が地中で深く交わり、少量のミネラルをバランスよく含んだ軟水。この水を「天下甘露泉」と名付けて、仕込み水として使用しています。原料米には、地元・新潟生まれの酒造好適米「五百万石」を蔵人自らが栽培して“究極の蔵人栽培米”とし、越後杜氏が伝統の技で醸しています。

製造元:吉乃川株式会社
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佐渡の小さな蔵元の淡麗ではない美酒【至(いたる)】

佐渡島の真野地区にある明治創業の逸見酒造は、佐渡で一番小さな酒蔵です。主要銘柄である「真稜(しんりょう)」は、小さな蔵ならではの全工程手造りの日本酒です。「素顔のままのお酒を飲んでほしい」という思いから、ろ過に使用する炭を極力抑え、酒本来の色味を残すこだわりで、地元ファンに愛されてきました。
その「真稜」ファンからの「贈答用に使えるお酒が欲しい」という要望に応えて造られた限定品が「至」です。テレビ番組で某アイドルが「お気に入りの日本酒」として紹介したことを機に、全国から問い合わせが殺到。たちまち品薄・品切れ状態になっているのだとか。

製造元:逸見酒造株式会社
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ほかにも、「根知男山(ねちおとこやま)」「〆張鶴(しめはりづる)」「柏露(はくろ)」「越乃景虎(こしのかげとら)」「雪中梅(せっちゅうばい)」「上善如水(じょうぜんみずのごとし)」「真野鶴(まのつる)」「麒麟(きりん)」など、新潟県の酒は百花繚乱です。


酒造りに恵まれた環境のなかで、伝統の技と心意気で醸しだされる新潟県の酒。過剰にもてはやされた“淡麗辛口”一辺倒のブームは去りましたが、日本酒王国の酒造りは健在です。

新潟県酒造組合
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