広島のおすすめ日本酒14選! 飲み比べもたのしい多彩な味わいの銘酒が勢ぞろい【山陽の地酒】

広島県は、日本酒造りが盛んなことで知られる土地。40以上の蔵元が気候風土に合った多彩な銘酒を造り、とりわけ東広島市の西条地区は日本三大酒処のひとつに数えられることもある銘醸地となっています。今回は、広島県の日本酒の特徴や、おすすめの銘柄を紹介します。
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まずは、広島の日本酒の特徴からみていきましょう。
酒処・広島の日本酒の特徴とは?

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日本有数の酒処・広島県の日本酒は、芳醇な香りとふくよかな旨味が特徴ですが、甘口から辛口まで多彩な味わいのお酒がそろっていることでも知られています。
広島の日本酒を特徴づけているのは、おもに恵まれた気候風土と独自の「軟水醸造法」。具体的にみていきましょう。
魅力あふれる多彩な味わい
広島県は、東広島市の西条地区が日本の三大酒処のひとつに数えられることもある国内屈指の銘醸地。西条地区には、酒類の研究機関である独立行政法人酒類総合研究所もあります。
また広島県は、南北で気候が大きく異なる土地。南は瀬戸内海に面していて温暖な気候、北は中国山地がある豪雪地帯となっています。
日本酒の味わいは、造った土地の気候の影響も受けるため、ひと口に「広島の酒」といっても同じ味わいではありません。甘口、辛口、淡麗、濃醇と、じつに多彩で個性のある魅力的な日本酒が生まれる土地でもあるのです。

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「軟水醸造法」の誕生が多彩な地酒造りを可能に
約70パーセントを山地が占める広島県は、地盤の約40パーセントが花崗岩(かこうがん)からなるといわれています。花崗岩は水に溶けにくい性質を持つため、花崗岩が分布するエリアの湧き水は、ミネラル分の少ない軟水になります。
西条地区と同じ東広島市の安芸津町三津(あきつちょうみつ)には、かつて米の集積港がありました。原料米が入手しやすく、瀬戸内海の海運を活かすこともできたため、酒造業が盛んでしたが、付近一帯の水質はミネラル分が少ない「軟水」。当時酒造りの主流だった「硬水」に比べて発酵力が弱く、お酒をうまく造れない酒造家も多かったようです。
しかし、安芸津の酒造家のひとりである三浦仙三郎氏が明治時代に「軟水醸造法」と呼ばれる手法を確立したことで、発酵をコントロールしやすくなり、硬水を使った日本酒とは異なるきめ細かくふくよかな味わいの日本酒が誕生しました。
こうして軟水でも安定的な日本酒造りが可能になったことから、広島県では土地ごとの水を生かした多彩な日本酒がたのしめるようになりました。
ちなみに、「軟水醸造法」とは、麹をじっくり育てて米の糖化をしっかり行うことで発酵を促進させようというもので、「吟醸造り」の原点ともいわれています。
(参考)
徹底解剖! ひろしまラボ|なぜ、広島が三大酒どころに? 発展を支えた先人の功績
広島で有名な日本酒とは? おすすめの8銘柄を紹介
広島で有名な日本酒のなかから、「酔心」「幻」「亀齢」「賀茂鶴」「雨後の月」「宝剣」「白鴻」「龍勢」の8銘柄を紹介します。
醉心(すいしん)|辛口にして甘露な広島酒の代表格

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「酔心」は、三原市の酔心山根本店の日本酒銘柄。江戸時代から酒造りを行う蔵元が明治の半ばごろ、20数種あった銘柄を統一して誕生しました。厳選した米を軟水で仕込む、辛口にして甘露な伝統の広島酒の味わいが堪能できる銘柄で、料理との相性も抜群。なかでも米の旨味とすっきり辛口の飲み口が特徴の純米酒「醉心米極」は食中酒にぴったりです。
製造元:株式会社醉心山根本店
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幻(まぼろし)|リンゴ酵母も使われるブランド酒

出典:中尾醸造株式会社サイト
「幻」は、「誠鏡」で知られる中尾醸造の日本酒ブランド。昭和20年代に「皇室新年御用酒」に選ばれて以来、伝承されてきた独自の製法で造られます。純米大吟醸酒、大吟醸酒、吟醸酒には4代目当主が発見したリンゴ酵母を使用。なかでもほぼ手作業で造られる純米大吟醸酒はしっかりと味の乗った芳醇なお酒で、国内外で高く評価されています。
製造元:中尾醸造株式会社
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亀齢(きれい)|すっきりとした辛口の酒

出典:亀齢酒造株式会社サイト
「亀齢」は、日本三大酒処にも数えられる東広島市西条の蔵元、亀齢酒造の日本酒銘柄です。厳選した原料米と杜氏による酒造りの技から生まれる「亀齢」は、やわらかい甘口のお酒が主流となっている広島の日本酒のなかで、すっきりとした辛口のお酒として知られています。特定名称酒から普通酒までラインナップも豊富なブランドです。
製造元:亀齢酒造株式会社
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賀茂鶴(かもつる)|丹精込めた酒造りから生まれる銘酒

出典:賀茂鶴酒造株式会社サイト
「賀茂鶴」は、東広島市の西条地区に蔵を構える賀茂鶴酒造の日本酒銘柄です。自社精米されたこだわりの広島県産米を、伝統の技を受け継ぐ3人の杜氏が丹精込めて醸造します。「賀茂鶴」銘柄の代表酒といえば「大吟醸特製ゴールド賀茂鶴」。桜の花びら型金箔が入っている定番のロングセラー商品で、優雅な香りと芳醇な味わいの大吟醸酒です。
製造元:賀茂鶴酒造株式会社
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雨後の月(うごのつき)|品質第一の吟醸蔵で造られる芳醇淡麗の酒

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「雨後の月」は、品質第一を徹底する吟醸蔵、相原酒造の代表銘柄。香りがよく軽やかで品がある、芳醇淡麗な酒質が特徴で、国内外の鑑評会や品評会はもとより、嗜好を問わず多くの人々に高く評価されています。小説家・徳冨蘆花(とくとみろか)の随筆から取られた銘柄名には、光り輝く月のように、澄み切った美しい酒を醸したいという蔵人たちの想いも込められています。
製造元:相原酒造株式会社
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宝剣(ほうけん)|蔵元杜氏が醸す渾身作

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「宝剣(寶劔)」は、呉市の蔵元、宝剣酒造の日本酒銘柄。地元産の「八反錦」を中心とする原料米を蔵内に湧き出る「宝剣名水」で仕込み、手間と気持ちを込めて醸されます。蔵元杜氏による、一切の妥協を許さない少量生産の酒造りによって生まれる銘酒で、味わいがありながらも酒質がきれいなため、どのような料理にもよく合います。
製造元:宝剣酒造株式会社
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白鴻(はくこう)|料理とともにたのしめる酒

出典:盛川酒造株式会社サイト
「白鴻 特別純米 緑ラベル」は、普段の晩酌にぴったりな「日常の酒」として造られる盛川酒造の看板銘柄。飲むほどに味わいを感じさせるキレのあるお酒で、食中酒として料理とともにたのしめます。やさしい口当たりは広島の日本酒ならではの「軟水醸造法」から生まれるもの。「非日常の酒」と位置づけられた銘柄「沙羅双樹」との飲み比べもおすすめです。
製造元:盛川酒造株式会社
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龍勢(りゅうせい)|全量純米を貫く銘柄

出典:藤井酒造株式会社サイト
「龍勢」は、「夜の帝王」「宝寿」でも知られる藤井酒造の創業銘柄です。全量純米、生酛造りで醸される上品な香りの食中酒で、しっかりとした存在感がありながら自己主張が控えめなため、料理の味わいとの相乗効果がたのしめます。華やかな香りをあえてめざさなかったことで、さまざまな温度帯で堪能できるのも「龍勢」の特徴です。
製造元:藤井酒造株式会社
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広島の日本酒で注目したい6銘柄を紹介
数多くある広島の日本酒のなかで、注目したい6つの銘柄を紹介します。
天寶一(てんぽういち)|食と融合するキレのよい酒

出典:株式会社天寶一サイト
「天寶一」は、広島サミットで振舞われた日本酒「ローズマインド」の蔵元でもある天寶一酒造の日本酒ブランドです。料理の味を引き立てて食と融合する、キレのよさと米の旨味をあわせ持つお酒で、飲むほどに旨さが増していきます。仕込みに使われる超軟水とていねいな搾りが生み出す、心地よい余韻のあるやわらかな酸味も魅力です。
製造元:株式会社天寶一
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賀茂金秀(かもきんしゅう)|真に心をこめて造られるおいしい酒

出典:金光酒造合資会社サイト
「賀茂金秀」は、国内有数の酒処・東広島市西条地区の蔵元、金光酒造の日本酒銘柄。金光酒造は「こころに残るおいしいを求めて」をキャッチフレーズとする酒蔵で、蔵元杜氏により製造から貯蔵まで徹底した温度管理のもと、醸されています。とくに大吟醸酒や純米大吟醸酒には「千本錦」という広島の酒造好適米が使われ、華やかで上品な甘味のお酒を醸し出しています。
製造元:金光酒造合資会社
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竹鶴(たけつる)|伝統的手法で造られる食中酒

出典:竹鶴酒造株式会社サイト
「竹鶴」は、竹原市の竹鶴酒造が手掛ける日本酒銘柄。竹鶴酒造は全量純米酒の蔵元で、生酛造りや木桶仕込みといった伝統的な手法を用いる酒造りを行っています。食中酒として「食をおいしくする」ことをめざして醸される「竹鶴」は、「うま味」「きれ味」「酸味」がそろった味わい。燗酒でおいしい商品が多いことも特徴のひとつです。
製造元:竹鶴酒造株式会社
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千福(せんぷく)|こだわりの酒造りが生み出すさまざまな味わい

出典:株式会社三宅本店サイト
「千福」は、呉市に蔵を構える三宅本店の日本酒銘柄。「最高に旨い酒」を目指して行われているのが、伝統の技を活かし、厳選した米を上質な軟水で仕込むなどのこだわりの酒造り。濃醇で旨味に富んだふくよかな味わいをベースに、純米大吟醸酒から普通酒までさまざまな魅力を持つ商品がラインナップされています。
製造元:株式会社三宅本店
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富久長(ふくちょう)|復活させた米「八反草」も使われる広島の酒

出典:株式会社今田酒造本店サイト
「富久長」は、東広島市安芸津町の蔵元、今田酒造本店の日本酒銘柄です。おもに広島県産米と広島県酵母を使用。軟水醸造法を行い、繊細できれいな香りと穏やかでやさしい味わいをめざして造られます。ひと握りの種もみから復活させた「八反草」を使ったお酒は、温かみのあるやわらかな味わいと、心地のよい軽やかなキレ味の両方がたのしめます。
製造元:株式会社今田酒造本店
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賀茂泉(かもいずみ)|厳選された米を手造りで醸した酒

出典:賀茂泉酒造株式会社オンラインショップ
「賀茂泉」は、「純米醸造のパイオニア」として知られる東広島市西条の蔵元、賀茂泉酒造の日本酒銘柄。広島杜氏伝承の「三段仕込」を忠実に守り、選りすぐった地元広島県産の米を手造りで醸して造られます。また、活性炭素を使用するろ過は行わないため、芳醇で豊かな味わいとともに、美しい山吹色も「賀茂泉」の特徴となっています。
製造元:賀茂泉酒造株式会社
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国内屈指の酒処で、銘酒がずらりと並ぶ広島県。軟水醸造法を用いたお酒が多くを占める一方、それぞれの味わいの特徴には蔵元の個性が映し出されます。丹精込めて造られる広島の日本酒をぜひ堪能してみてくださいね。
