広島の日本酒【竹鶴(たけつる):竹鶴酒造】“安芸の小京都”竹原の老舗が醸す極上の食中酒

広島の日本酒【竹鶴(たけつる):竹鶴酒造】“安芸の小京都”竹原の老舗が醸す極上の食中酒
出典 : 竹鶴酒造公式フェイスブック

「竹鶴」の蔵元、竹鶴酒造は江戸中期創業の老舗で、広島県で唯一の全量純米蔵として知られる一方、ニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝氏の生家としても有名です。ここでは、「竹鶴」の魅力を、蔵元の歴史とともに紹介します。

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「竹鶴」の蔵元、竹鶴酒造の歴史と伝統

「竹鶴」の蔵元、竹鶴酒造の歴史と伝統

出典:竹鶴酒造公式フェイスブック

竹鶴酒造は江戸時代中期から続く老舗蔵

「竹鶴」の蔵元、竹鶴酒造は江戸時代中期の享保18年(1733年)、現在の広島県竹原市に創業しました。
瀬戸内海に面した竹原市は、古くから製塩業や酒造業で栄え、今も伝統的な街並みが残ることから“安芸の小京都”と呼ばれています。竹鶴酒造もまた、瓦屋根の旧家が建ち並ぶ一角に蔵を構えています。

「竹鶴」の酒銘は、ある瑞兆に由来

「竹鶴」の由来は、関ヶ原の合戦があった1600年以前にまでさかのぼります。蔵の裏にある竹藪に鶴が巣を作ったのを見た当主が「古来、松に鶴と聞くも、竹に鶴とは瑞兆なり」と喜び、姓を「竹鶴」に改めたのだとか。
江戸時代に入ると商人が姓を名乗ることが許されなくなり、「小笹屋(おざさや)」の屋号で製塩業を営んでいましたが、製塩業は夏が中心のため、冬の稼業として「酒株」を得て製造業に乗り出します。この際、酒銘を「竹鶴」とし、近代になって社名にも冠するようになりました。

「竹鶴」の蔵元、竹鶴酒造とニッカウヰスキー

「竹鶴」の蔵元、竹鶴酒造とニッカウヰスキー

出典:ニッカウヰスキーサイト

竹鶴酒造は、日本のウイスキーの父、竹鶴政孝氏の生家

竹鶴酒造は、NHK朝の連続テレビ小説「マッサン」のモデルとなったニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝氏の生家としても有名です。政孝氏は明治27年(1894年)、小笹屋・竹鶴酒造内の産室で誕生しました。政孝氏の父・敬次郎氏は竹鶴本家からすると分家に当たりますが、本家の当主が早世したため、後見人として酒造業を担っていました。その三男として生まれた政孝氏は、幼い頃から、酒造り現場の活気を目の当たりにしながら育ったのです。
なお、竹鶴酒造の建屋は当時の姿をそのまま残していて、「マッサン」の撮影舞台としても活用されました。

竹鶴政孝氏の情熱を育んだ、竹鶴酒造の酒造り

竹鶴政孝氏は、ウイスキーの本場・スコットランドに留学し、サントリー創業者の鳥井信治郎氏とともに日本初の国産ウイスキー造りを指揮。その後、北海道余市に蒸溜所を建設してニッカウヰスキーを創業するなど、ジャパニーズウイスキーの基盤づくりに大きな貢献を果たしました。
そんな政孝氏がウイスキー造りに傾けた熱意は、彼が生誕した当時の竹鶴酒造の状況とも無関係ではないでしょう。当時、竹原や隣町・安芸津の酒造業界では、兵庫・灘などに遅れを取っていた広島の酒を全国区にすべく、一丸となって品質向上に取り組んでいました。政孝氏の父・敬次郎氏も主要メンバーの一人で、当時の竹鶴酒造の蔵内には、よりよい日本酒を追求する熱気に満ち溢れていたことでしょう。

竹鶴政孝氏の言葉から、竹鶴酒造の酒造りの信念が見える

竹鶴政孝氏は、酒質の向上に真摯に取り組む父・敬次郎氏の姿を「神聖な気持ちで酒造りにぶつかっていった」「酒造りの厳しさは、私の血肉になっていた」と語っています。
敬次郎氏らの努力は「清酒品評会」などでの輝かしい成果として表れ、この地に全国の蔵元からの視察が絶えないほどの酒処に発展しました。
政孝氏が創業したニッカウヰスキーは、のちに「品質のニッカ」と評されるほど、品質へのこだわりで知られています。その根底には、酒処・竹原の、そして竹鶴酒造の酒造りに対する熱意があるのでしょう。

ジャパニーズウイスキーの味わいを造った竹鶴政孝氏

「竹鶴」は“理想の食中酒”をめざして醸される酒

「竹鶴」は“理想の食中酒”をめざして醸される酒

出典:竹鶴酒造公式フェイスブック

「竹鶴」が伝統手法を重視するのは「旨味」へのこだわりから

「竹鶴」をはじめとした竹鶴酒造の酒造りについて、現在の14代当主である竹鶴敏夫氏は、「コンセプトは“理想の食中酒”」と語ります。一口に食中酒といっても、料理の邪魔をしないタイプと、料理をよりおいしくするタイプがありますが、竹鶴酒造がめざすのは後者。そこで重視されるのが、料理の味わいを引き立てる「旨味」です。
旨味を損なわないよう、醸造アルコールを添加しない純米酒にこだわるとともに、人工的な加工や活性炭によるろ過などの処理は一切行いません。加えて、旨味を引き出すために熟成を重ねるとともに、料理のおいしさを閉じ込めない燗酒を推奨しています。
いずれも昔ながらの伝統的な手法ですが、単なるノスタルジーではなく、旨味を追求するうえで最適な手法だからこそ、大切にしているのだとか。そうした竹鶴酒造の姿勢は、木桶仕込みの生酛(きもと)造りを復活させたことにも表れています。

「竹鶴」はキレのよさを求めて、あえて温度管理をせずに醸す

「竹鶴」が理想の食中酒を生み出すうえで、「旨味」と並んで重視しているのが「キレのよさ」。そこで、あえて温度管理をしないことで、醪(もろみ)の活発な発酵を促しています。
温度管理は品質の均一化には有効ですが、“温室育ち”の醪ではキレが損なわれるというのが竹鶴酒造の考えです。
自然に任せた発酵では酸が増えますが、それもまた、洋食化した現代の味覚に適しているのだとか。「酸は少なくすべき」と言われていた時代から、いち早く酸の魅力を訴えてきたのも、竹鶴酒造の大きな特徴のひとつです。

竹鶴酒造は、竹鶴政孝氏の知名度を宣伝に利用することなく、「マッサン」人気から注文が殺到したときも、「これまで支えてくださった取引先に迷惑をかけられない」と、新規取引はすべて断ったのだとか。ブームに流されることなく、真摯に酒造りを続ける姿勢が、「竹鶴」の味わいを支えているのでしょう。

製造元:竹鶴酒造株式会社
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