広島の日本酒【宝剣(ほうけん):宝剣酒造】異色の蔵元杜氏が醸す注目の酒

広島の日本酒【宝剣(ほうけん):宝剣酒造】異色の蔵元杜氏が醸す注目の酒
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「宝剣(寳劔)」は、明治創業の歴史を持つ宝剣酒造が、蔵内に湧き出る「宝剣名水」で醸す酒。5代目となる蔵元杜氏が“心の底からおいしいと思える酒”を追求し、磨き上げた「宝剣」の品質は「広島に宝剣あり」と、全国にその名を轟かせています。

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「宝剣」の造り手、土井鉄也氏がめざす酒造りとは?

「宝剣」の造り手、土井鉄也氏がめざす酒造りとは?

出典:宝剣酒造

「宝剣」の造り手、土井鉄也氏の異色の経歴

「宝剣(寳劔)」の造り手は、同じ名を持つ蔵元、宝剣酒造。その創業は明治5年(1872年)のことで、以来、約150年もの歴史を積み重ねてきた老舗蔵です。
現在、その酒造りを受け継ぐのが5代目となる蔵元杜氏の土井鉄也氏。中学時代から“ドイテツ”の異名で恐れられた暴れん坊で、高校中退後は土建屋で働いていましたが、父親の頼みで家業を手伝い始めることに。とはいえ、酒造りには興味がなく、その造り方すら理解していなかったのだとか。

「宝剣」の造り手が酒造りに目覚めるまで

そんなある日、父親が突然の脳梗塞で倒れます。思いがけず蔵元杜氏を引き継いだのは、土井氏が21歳のときでしたが、すぐに通用するほど酒造りは甘いものではありません。酒造家が酒を持ち寄って集まる試飲会で、「うちの酒が一番おいしくない」と気づいた土井氏は、そこから一念発起します。
「自分が心からおいしいと思える酒を造ろう」と、持ち前の負けん気で酒造りや利き酒の勉強に専念するなか、次第に酒質が向上。周囲の評価も高まり、「全国新酒鑑評会」や「SAKE COMPTITION」で上位入賞を果たすなど、全国区の銘柄へと成長しています。

「宝剣」の味わいを支える「宝剣名水」

「宝剣」の味わいを支える「宝剣名水」

出典:宝剣酒造

「宝剣」の酒名の由来となる「宝剣名水」とは?

「宝剣」や宝剣酒造の由来となったのが、蔵の敷地内に湧き出る「宝剣名水」です。
この名水は、弘法大師・空海が修行した霊山として知られる野呂山(のろさん)からの伏流水。江戸時代から続く歴史ある名水で、昭和63年(1988年)の調査によると、厚生省(現在の厚生労働省)の定める「おいしい水の要件」に合致した、たぐいまれな名水と絶賛されています。この清冽な宝剣名水が、宝剣の品質を支えているのです。

宝剣は「軟水醸造法」で醸したキレのある辛口酒

宝剣酒造が蔵を構える、広島県呉市の仁方(にがた)地域は、もともとミネラル分の少ない軟水が豊富な地域。かつては「軟水は発酵が進みにくいため酒造りには向かない」とされていましたが、明治中期に「軟水醸造法」が開発されると、ふくよかできめ細かな甘口の酒質が“広島の女酒”と呼ばれて評判と呼びました。
「宝剣名水」も軟水ですが、軟水醸造法を駆使して、しっかりと発酵させることで、伝統的な“女酒”とは一味違う、キレのある辛口の酒に仕上げています。

「宝剣」は広島産の酒造好適米「八反錦」を主体に造る、広島の地酒

「宝剣」は広島産の酒造好適米「八反錦」を主体に造る、広島の地酒

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「宝剣」に使用される「八反錦」は広島オリジナルの酒造好適米

「宝剣」がおもに使用するのが、広島県オリジナルの酒造好適米「八反錦(はったんにしき)」。麹菌が繁殖しやすい、「心白(しんぱく)」と呼ばれる中央部の不透明な部分が大きく、バランスのよい酒質が得られる米として評価が高い品種です。
「宝剣 純米吟醸 廣島八反錦」は、この八反錦を精米歩合55%まで磨き上げ、その魅力を最大限に引き出した1本。香りと味のふくらみ、キレのバランスが取れた絶品です。

「宝剣」は酵母も広島県オリジナルの「広島夢酵母」

宝剣酒造では、米だけでなく、酵母も広島産にこだわります。「宝剣 純米 広島夢酵母」は、広島県食品工業技術センターが「きょうかい9号酵母」を改良して生み出した「広島夢酵母」で醸した純米酒。酸味が控えめで、スッキリした清涼感のある味わいで、食中酒にピッタリです。
なお、この銘柄は、「SAKE COMPETITION 2019」において純米酒部門で3位を獲得。同時に「宝剣 純米 レトロラベル」が1位に輝くという快挙を成し遂げました。

「宝剣」は近年、その評価がうなぎのぼりの注目銘柄です。妥協することなく「うまい酒」を追求する土井鉄也氏の挑戦が、今後、どのような酒を生み出すのか、目が離せません。

製造元:宝剣酒造株式会社
広島県呉市仁方本町1丁目11番2号

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