ミントジュレップはバーボンウイスキーベースのカクテル! 名前の意味やおいしいレシピを紹介

「ミントジュレップ」はバーボンウイスキーで作るサマーカクテル。アメリカのチャーチルダウンズ競馬場で開催される、「ケンタッキーダービー」の公式ドリンクとして知られています。今回は、ミントジュレップの名前の由来やレシピなどについて紹介します。
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ミントジュレップは、バーボンウイスキーベースのさわやかなカクテル。その概要や、基本的な作り方などをみていきます。
ミントジュレップはバーボンウイスキーがベースのカクテル

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ミントジュレップは、バーボンウイスキーをベースにミントの葉や砂糖を加えて作る、アメリカ南部生まれのサマーカクテル。1861年の文献に登場していることから、1800年代後半にはすでに飲まれていたといわれています。
ミントジュレップの材料のバーボンウイスキーは、アメリカンウイスキーのひとつで、ケンタッキー州バーボン郡で生まれました。おもな原料は、トウモロコシ(コーン)やライ麦などの穀物と水、イースト菌です。トウモロコシの配合が多いと甘くまろやかになり、ライ麦が多いとスパイシーでドライ、かつオイリーなフレーバーになるといわれています。
バーボンウイスキーには、高価なプレミアムバーボンもありますが、お手ごろ価格で初心者にも飲みやすい銘柄もあります。コンビニやスーパーなどでも入手できるので、自宅で気軽にミントジュレップをたのしめます。
ミントジュレップ片手に競馬観戦が伝統

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ミントジュレップは、アメリカ競馬の最高峰レース「ケンタッキーダービー」の公式ドリンクとして知られています。そこで振る舞われているのが、スーパープレミアムバーボンの「ウッドフォードリザーブ」をベースとしたミントジュレップ。「ウッドフォードリザーブ」はケンタッキーダービーの冠スポンサーであり、オフィシャルバーボンに認定されています。
ちなみに、ケンタッキーダービーは、プリークネスステークス、ベルモントステークと並ぶアメリカの競馬の三冠競争のひとつです。毎年5月上旬に、アメリカのケンタッキー州ルイビルのチャーチルダウンズ競馬場で開催されています。ケンタッキーダービーは華やかな社交の場で、正装したセレブリティがミントジュレップを片手に集います。女性は「ケンタッキーダービーハット」と呼ばれる、つばの広い帽子をかぶるのが伝統です。

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ちなみに、ミントジュレップは映画にも登場します。たとえば、レオナルド・ディカプリオ主演の映画『華麗なるギャツビー』(2013年/米)では、登場するセレブたちが、夏の昼下がりに涼を求めてミントジュレップを飲むシーンが描かれています。
また、ショーン・コネリーが主演した映画『007/ゴールドフィンガー』(1964年/英)では、ケンタッキー州の牧場(アジト)に連行されたジェームズ・ボンドが、悪役のゴールドフィンガーに勧められ、自分好みのミントジュレップをオーダーするシーンがあります。
印象的な小道具として映画に登場するミントジュレップを、ぜひチェックしてみてください。
ミントジュレップとモヒートの違い

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ミントジュレップと同様に、夏にぴったりの飲み物に「モヒート」があります。たっぷりのクラッシュアイスにミントの葉を添えて提供されるモヒートは、見た目はミントジュレップにそっくり。
違いをいくつか挙げると、ミントジュレップはアメリカ生まれなのに対し、モヒートはキューバ生まれ。ミントジュレップはバーボンベースですが、モヒートは、ラムをベースに作ります。ラムはサトウキビの糖蜜や搾り汁から造られる蒸溜酒で、カリブ海で生まれました。ちなみに、モヒートは文豪ヘミングウェイが愛したカクテルとしても有名です。
このように、ミントジュレップとモヒートはルーツもベースとなるお酒も違いますが、ミントが香る爽快な飲み心地は同じ。機会があれば、清涼感あふれる味わいを飲み比べてみてくださいね。
ミントジュレップの意味と歴史

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ミントジュレップの名前の由来や歴史について紹介します。
ミントジュレップとはどんな意味?
ミントジュレップを英語で書くと「mint julep」で、直訳するとミント入りのお酒となります。「mint」はハーブの一種ペパーミントやスペアミント、日本のハッカ(コーンミント)などを指し、「julep」は「(薬用の)甘味シロップ」を意味します。カクテル用語では、「スピリッツやワインをベースに、ミントと砂糖を使った甘いカクテル」と定義されています。
もう少し「ジュレップ」について深掘りします。「ジュレップ」の語源はペルシャ語の「グルアーブ(gulab)」。「グル」は「バラ(ローズ)」、「アーブ」は「水」を指します。この「ローズウォーター」がアラビアで広まると、アラビア語で「ジュラブ(julab)」と呼ばれるようになります。のちにアメリカに渡って「ジュレップ」と変化し、定着したといわれています。

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ミントジュレップが生まれた経緯
「グルアーブ」や「ジュラブ」と呼ばれていたローズウォーターが地中海沿岸でも好んで飲まれるようになったころ、バラの花びらの代わりにミントが使われるようになりました。これが、ミントジュレップの起源といわれています。
アメリカに伝わった当初、ミント入りのジュレップ(苦い薬を飲みやすくする甘い飲み物)は、腹痛の薬として処方されていました。やがて芳香を放つ飲料を指すようになり、それからミント入りの清涼感あるカクテルを意味するようになります。ただ、初めはバーボンではなく、フランス産赤ワインやポルトガルのマデイラワイン、ブランデーなどにスパイスを入れて作られていたとか。
その後19世紀になって、バーボンベースのミントジュレップが飲まれるようになります。1861~1862年ごろの文献にミントジュレップのレシピが登場するので、少なくともそのころには飲まれていたと考えられます。

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なお、バーボンベースのミントジュレップが広まった経緯には諸説あります。ひとつは、1850年にケンタッキー州出身の米上院議員がワシントン滞在中に、ホテルのバーでミントジュレップを飲んだことでアメリカに浸透していったという説。もうひとつは、南北戦争(1861~1865年)後、バーボンが広く流通し始めてから、米南部でバーボンにミントを入れて飲まれるようになったという説。
ほかにも、1875年開催の第1回ケンタッキー・ダービーで、バーボンベースのミントジュレップが振る舞われて広まったという説があります。競馬場の裏手にミントがたくさん生息していて、都合がよかったそうです。
ミントジュレップのレシピと作り方

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ミントジュレップのレシピと作り方をみていきます。
ミントジュレップの基本的な材料
ミントジュレップのおもな材料は、バーボンウイスキー45または60ミリリットル程度と、ミントの葉10~15枚程度、砂糖またはガムシロップ小さじ約1~2杯、少量の水、クラッシュアイス(クラッシュドアイス)です。クラッシュアイスは、保存袋に氷を入れ、麺棒などで砕いたものでも代用できます。
専用のジュレップカップに作れば、より本格的な一杯に。なお、レシピによってはソーダ(炭酸水)20~30ミリリットル程度で割るスタイルもあります。
使用するバーボンは、「アーリー・タイムズ」や「ワイルドターキー」、「ジムビーム」「メーカーズマーク」「フォアローゼズ」「I.W.ハーパー」など、好きなものを選んでください。プレミアムバーボンの「ウッドフォードリザーブ」を使うとより本格的に! バーボン以外に、アイルランドの「ジェムソン」や日本の「ブラックニッカ」などでもおいしく作れます。

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作り方の手順
グラスに砂糖とミントの葉、少量の水を入れ、バースプーンなどでミントをやさしく潰しながら香りを出し、砂糖をよく溶かします。水は使わず、先にバーボンを注いでミントの葉を潰すレシピもあります。
次に、グラスにクラッシュアイスを詰め、お好みの量のバーボンを注いで、グラスの表面に霜がつくまでマドラーなどでよく混ぜます。お好みで、よく冷えたソーダ(炭酸水)を注ぎ、炭酸が抜けないように軽く混ぜます。
仕上げにミントの葉を飾れば完成です。レモンピールやスライスしたオレンジ、カットライムなどを飾るレシピもあります。
ミントジュレップのアレンジレシピ

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ミントジュレップは、バーボンの代わりに麦焼酎を使ったり、ミントの代わりに緑茶を使ったりして、和風のアレンジをたのしめます。
和風ミントジュレップ
バーボンの代わりに麦焼酎を使う、和風ミントジュレップもおすすめです。作り方は、グラスにお好みの量の麦焼酎を入れ、砂糖小さじ1杯程度を加えて混ぜます。そこにミントの葉を多めに入れ、マドラーなどで軽く潰して香りを出します。クラッシュアイスをグラスいっぱいに入れ、水または炭酸水を注いで軽く混ぜて完成です。
緑茶でミントジュレップをアレンジ
ミントではなく緑茶の茶葉で作る、ミントジュレップのアレンジカクテルも夏にぴったりです。
作り方は、グラスに茶葉小さじ1杯程度と、砂糖小さじ2杯程度を入れ、お湯約20ミリリットルを注いでお茶の香りを出し、砂糖を溶かします。クラッシュアイスをグラスにたっぷり入れ、バーボンウイスキー約60ミリリットルを注いでよくかき混ぜます。グラスに霜がつくまで混ぜたらできあがり。
ミントジュレップは、アメリカ生まれの夏にぴったりの冷たいカクテルです。コンビニなどで手に入るバーボンウイスキーで手軽に作れるので、この夏、試してみてはいかがでしょう。
