ラム酒とはどんなお酒? 原料や製法、産地などの基本情報とおいしい味わい方を解説

ラム酒とはどんなお酒? 原料や製法、産地などの基本情報とおいしい味わい方を解説
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ラム酒とは、世界4大スピリッツに数えられる甘い香りが特徴のカリブ諸島を代表するお酒です。今回は、カクテルのベースやお菓子作りにも使われるラム酒にフォーカスして、製法や特徴、種類、おいしい飲み方などを探りながら、その魅力を解剖していきます。

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ラム酒ってどんなお酒? まずは基本情報から

ラム酒ってどんなお酒? まずは基本情報から

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ラム酒とは? 一般的な用途を紹介

ラム酒は、サトウキビを原料に造られるスピリッツ(蒸溜酒)です。モヒートやピニャコラーダ、キューバリブレなどのカクテルのベースとしておなじみですが、カラメルを焦がしたような独特な甘味と苦味があるため、パウンドケーキやタルトといった焼き菓子やケーキ、チョコレートなどの風味づけにも重宝されています。また、ラム酒に漬けたラムレーズンのように、ドライフルーツの保存に使われることもあります。

ラム酒のアルコール度数やカロリー、糖質

一時は、映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』の海賊たちがガブ飲みしていたお酒として話題を呼んだラム酒。実際は、ボトルからストレートでごくごく飲めるようなお酒ではありません。

ラム酒の平均的なアルコール度数は、約40〜50度とやや高め。なかには75度を超える驚異的に度数の高い銘柄も存在するので、ボトルからラム酒をあおるように飲むと危険です。

また、甘い香りが特徴のラム酒は、カロリーや糖質が高い印象がありますが、カロリーは100グラム中227キロカロリー程度。糖質は、蒸溜の過程でほとんど取り除かれてしまうためゼロに近く、気にしなくてよいレベルです。

ラム酒という名前の由来

英語ではラム(rum)、フランス語ではロム(rhum)、スペイン語ではロン(ron)、ポルトガル語ではロム(rom)と呼ばれるラム酒ですが、その語源は諸説あります。

広く知られているのが、イギリスのデボンシャー地方で使われていた方言で、「興奮」を表す「ランバリオン(rumbullion)」が短縮されてラムになったという説。かつてイギリスの統治下にあったカリブ諸島のバルバドス島で、蒸溜酒に酔って大騒ぎする島民を見たイギリス人が、その様子を「ランバリオン」という言葉で表現したのが由来なのだとか。

ほかにも、サトウキビ属を表すラテン語「サッカルム(saccharum)」の語尾をとったという説があります。

ラム酒とは? 原料や製法から見た特徴

ラム酒とは? 原料や製法から見た特徴

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ラム酒の原料と製法

ラム酒は、前述のとおり、サトウキビを原料に造られる蒸溜酒です。厳密には、サトウキビから砂糖を精製する際の副産物である廃糖蜜(はいとうみつ)や、サトウキビの搾り汁が原料になります。

一般的な製法は、廃糖蜜や絞り汁を発酵させて蒸溜し、ステンレスタンクやオーク樽で貯蔵・熟成させて仕上げるというもの。蒸溜には基本的に連続式蒸溜機が用いられますが、単式蒸溜機が使われることもあります。

ウイスキーやブランデー、黒糖焼酎との違い

ラム酒は、色味が似たウイスキーやブランデー、同じサトウキビを原料にした黒糖焼酎などと比較されることがあります。それぞれの特徴から、違いを見ていきましょう。

【ウイスキーの主原料は大麦やトウモロコシ】

ラム酒とウイスキーの大きな違いはその原料。サトウキビを主原料とするラム酒に対し、ウイスキーは大麦やライ麦、トウモロコシなどを原料に造られます。また熟成期間も異なります。バーボンで2年以上、スコッチで3年以上の熟成年数が義務づけられているのに対して、ラム酒は3か月から1年程度でボトリングされるケースもあるようです。

【ブランデーの主原料は白ブドウ】

ブランデーはフランスを代表するお酒のひとつですが、さまざまな国で造られています。果実酒を蒸溜して造られるブランデーの原料は、白ブドウのほか、リンゴやサクランボなどさまざまな果実。なお、白ブドウが原料のブランデーは、サトウキビが原料のラム酒より甘さがやや控えめな印象です。またお菓子作りなどでは、ラム酒がないときの代用品としても活躍します。

【黒糖焼酎はサトウキビから作った黒糖が主原料】

ラム酒がサトウキビの廃糖蜜や搾り汁から造られるのに対して、黒糖焼酎はサトウキビの搾り汁を煮詰め、不純物を取り除いて固めた「黒糖」が原料になります。蒸溜方法も少し異なり、ラム酒は連続式蒸溜機と単式蒸溜機の両方が使われますが、黒糖焼酎は、日本の酒税法で単式蒸溜焼酎に分類されているように、単式蒸溜機のみで蒸溜されます。

ラム酒の起源や歴史、おもな生産地

ラム酒の起源や歴史、おもな生産地

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ラム酒の原料であるサトウキビのルーツ

ラム酒の発祥地は、キューバをはじめとするカリブ諸島(西インド諸島)だといわれていますが、かつてこの地域には原料のサトウキビは存在していませんでした。

ラム酒の原料をカリブの島々へ持ち込んだのは、1492年にアメリカ海域へと到着したジェノヴァの探検家コロンブスといわれています。彼が2度目の航海でカナリア諸島から持ち込んだことがきっかけで、サトウキビがカリブ海の島々に根づき、一大生産地となっていったのです。

これがのちに、ヨーロッパ列強の植民地政策から生まれた、奴隷制に深く関わる貿易の主要品目となっていきます。

ラム酒の起源

ラム酒の起源には諸説ありますが、16世紀ごろにヨーロッパ人がカリブ諸島で製造したのが始まりといわれています。

17~18世紀にかけて、ヨーロッパに喫茶文化が広まったことから、砂糖の生産量が急激に増加します。同時に、砂糖精製段階で生じる廃糖蜜を利用したラム酒などの製造も盛んに行われるようになりました。

ラム酒は、貿易の主要品目であったほか、砂糖の生産に携わる労働者の間でも飲まれていたといいます。また当時、船乗りたちを悩ませていた壊血病(かいけつびょう)の特効薬と信じられていたため、商船のみならず海賊船にもラム酒が常備されていたそうです。

ラム酒の種類とおもな生産地

ラム酒の生産地は、植民地を中心に広がっていきました。

なかでもスペインの植民地だったキューバは、バルセロナ生まれのワイン商、ドン・ファクンド・バカルディ・マッソによって1862年に設立された世界最大級のラム酒ブランド「バカルディ」が誕生した国として知られています。キューバ革命後はバミューダ諸島のハミルトンに拠点を移しましたが、現在もプエルトリコやバハマ、メキシコなど当時スペインの植民地だった土地で製造が行われています。

ほかにも、ジャマイカやガイアナといったイギリスの植民地だった国や、マルティニク、レユニオンなどのフランス海外県がラム酒の生産地として知られています。

日本では、19世紀に入ってから小笠原諸島でラム酒が飲まれるようになったといわれていますが、生産が始まったのは20世紀終盤のこと。なお、現在は鹿児島県や沖縄県、静岡県、滋賀県、高知県などでも造られています。

ラム酒の種類と代表的な銘柄

ラム酒の種類と代表的な銘柄

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ラム酒の分類

ラム酒は風味や色、製法によって以下のように分類することができます。

【風味による分類】

◇ライトラム
連続式蒸溜機で蒸溜し、樽やタンクで短期間熟成させた軽快な味わいのラム酒。おもにカクテルベースに使われます。スペイン系の生産地に多く見られるタイプです。

◇ミディアムラム
ライトラムより風味が強く、ヘビーラムよりは個性が控えめ。おもにフランス領植民地に多いタイプです。こちらもカクテルのベースに使われます。

◇ヘビーラム
単式蒸溜機で蒸溜された、風味豊かで香りも強い個性的なラム酒。イギリス系の植民地で発展してきた濃厚な味わいは、お菓子作りにも重宝されています。

【色による分類】

◇ホワイトラム
活性炭などでろ過を行い、淡色または無色透明に仕上げられたラム酒。カクテルベースに最適です。別名シルバーラム。

◇ゴールドラム
樽熟成ならではの薄い褐色が特徴。別名アンバーラム。ホワイトラムとダークラムの中間的な味わいです。

◇ダークラム
3年以上樽熟成させた濃い褐色のラム酒。焼き菓子などに用いられるほか、ロックやストレートで味わうこともあります。

【製法による分類】

◇インダストリアルラム(工業生産ラム)
廃糖蜜を原料として造られるラム酒。ラム酒の大半に、この製法が用いられています。

◇アグリコールラム(農業ラム)
サトウキビの搾り汁を原料に造られるラム酒。フランス領の植民地で開発された製法です。

ラム酒の人気銘柄

ラム酒の人気ブランドのなかから、日本で入手可能な銘柄を紹介します。

【バカルディ スペリオール】

世界最大級の出荷量を誇るホワイトラム。クリアな味わいでバーテンダーから絶大な支持を集める、カクテルベースにぴったりの1本です。

販売元:バカルディ・ジャパン株式会社
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【マイヤーズラム】

芳醇な香りと華やかな風味が特徴のジャマイカ産ダークラム。パティシエの間ではラムの王者といわれ、洋菓子やラムレーズン造りで重宝されています。

販売元:キリンビール株式会社
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【キャプテンモルガン スパイストラム】

カリブの海賊、キャプテン・ヘンリー・モルガンの名を冠した、プエルトリコ産のゴールドラム。バニラの隠し味が人気の秘密です。

販売元:キリンビール株式会社
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【パンペロ アニバサリオ】

芳醇でなめらかな味わいのベネズエラ産ダークラム。2種類のアメリカンオーク樽で長期熟成された複雑な味わいをたのしめる逸品です。

販売元:MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社
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【コルコル】

南大東島のサトウキビを原料に、無添加・無着色で造り上げた沖縄産のホワイトラム。サトウキビの糖蜜を使った赤ラベル「コルコル」と搾り汁を使った緑ラベル「コルコル アグリコール」、アルコール度数25度の「コルコル25」があります。


販売元:株式会社グレイス・ラム
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ラム酒のような味わいを楽しむ黒糖焼酎3銘柄

ラム酒のおいしい飲み方、使い方

ラム酒のおいしい飲み方、使い方

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ラム酒のおいしい飲み方

ラム酒には、ストレートやロック、ホット、カクテルなど、さまざまな飲み方があります。まずはシンプルな飲み方から紹介しましょう。

◇ストレート
銘柄独特の香りや風味を味わうには、ストレートがおすすめ。個性が強い銘柄は常温で、ライトタイプのラムはボトルごと冷やして飲むと、さっぱりとした味わいがたのしめます。

◇ロック
風味の強いヘビータイプなどは、ロックもおすすめです。シンプルな飲み方ですが、銘柄の個性を味わえます。

◇ホット
そのまま温めるかお湯で割って飲むと、香りがさらに際立ちます。レモンを少々絞ったり、シナモンやクローブなどのスパイスを入れたりしてもおいしくいただけます。

ラム酒ベースのカクテル

ラム酒をベースに、自宅でもかんたんに作れるおすすめカクテルを紹介します。

【モヒート】

キューバ生まれの爽やかなカクテル。ミントの葉とライム、砂糖をグラスに入れて、すりこぎ棒などで軽く潰し、氷、ラム、ソーダの順に入れて軽く混ぜて作ります。ラム酒やソーダの量はお好みで。

【ピニャコラーダ】

ラム酒、ココナッツミルク、パイナップルジュースを1:2:3の割合でシェイカーに入れ、クラッシュドアイスと一緒にシェイクした、カリブ生まれのロングカクテル。チェリーやパイナップルなどを添えると華やぎます。

【キューバリブレ】

氷を入れたグラスにライムを絞り、ラム酒、コーラを注いで作るキューバ生まれの定番カクテル。別名、キューバリバー。なお、ライムを省くと「ラムコーク」になります。

【ブラックローズ】

氷を入れたグラスにラム酒を注ぎ、アイスコーヒーで割れば、食後にぴったりのカクテルが完成。ガムシロップを加えてもおいしくいただけます。

ラム酒はカクテルベースやお菓子の風味づけとしておなじみのスピリッツですが、その香りや風味は製法によって大きく異なります。機会があったら種類ごとに飲み比べて、その魅力を堪能してみてください。


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