「サイドカー」はブランデーベースの定番カクテル! 名前の由来やアルコール度数、レシピを紹介

「サイドカー」はブランデーベースの定番カクテル! 名前の由来やアルコール度数、レシピを紹介
出典 : Andrei Mayatnik / Shutterstock.com

「サイドカー」はブランデーとホワイトキュラソー、レモンジュースをシェイクして作る定番カクテルです。ここでは「サイドカー」の発祥や名前の由来、アルコール度数、おいしい作り方、「サイドカー」のベースにおすすめのブランデー銘柄やアレンジレシピなどを紹介します。

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「サイドカー」は、カクテルグラスでたのしむ定番カクテル。まずは用語解説を含めた基本情報からみていきましょう。

「サイドカー」とは

シェイクした「サイドカー」をグラスに注ぐイメージ

Maksym Fesenko / Shutterstock.com

ブランデーをベースとしたカクテルの代表格ともいえる「サイドカー」は、約100年の歴史をもつクラシックカクテルのひとつ。材料や歴史、名前の由来、味わいなどの特徴から確認していきます。

ブランデー、ホワイトキュラソー、レモンジュースで作る定番カクテル

「サイドカー」は、ブランデーにホワイトキュラソーとレモンジュースを加えてシェイクし、脚つきのカクテルグラスに注いで供されるショートカクテルです。

「シェイク」とは、材料と氷をシェイカーに入れ、振って混ぜるカクテル技法のこと。氷と一緒に振ることで、比重の違いなどで混ざりにくい材料がひとつにまとまり、しっかりと冷え、口あたりがやわらかくなります。
「サイドカー」は「シェイクスタイルの基本」ともいわれるスタンダードなカクテルのひとつです。

ちなみに「サイドカー」のベースとなる「ブランデー」とは、ブドウやリンゴなどの果実から造られる蒸溜酒の総称。芳醇な香りと深みのある味わいが特徴で、高級酒として有名な「コニャック」や「アルマニャック」もブランデーの一種です。

また「ホワイトキュラソー」はオレンジの果皮で風味をつけた無色透明なリキュールのこと。発祥時はオレンジの原産がベネズエラ沖のキュラソー島だったことから、オレンジのリキュール全般をキュラソーと呼ぶようになりました。なかでも液色が無色透明なものが「ホワイトキュラソー」、琥珀色のものが「オレンジキュラソー」、青い色素で色づけしたものが「ブルーキュラソー」と呼ばれています。

当初はとても甘味が強かったといわれるホワイトキュラソー。その甘さを抑えてビターオレンジの風味を際立たせ「トリプル・セック(3倍辛い)」というコンセプトで人気を集めたのがオレンジリキュールの代表銘柄「コアントロー(COINTREAU)」です。

ブランデーとホワイトキュラソーにレモンジュースを加えることで、シンプルなレシピながら奥深い味わいのカクテル「サイドカー」ができあがります。

「サイドカー」のベースに使われる深い琥珀色のブランデー

Igor Normann / Shutterstock.com

「サイドカー」の歴史と名前の由来

さまざまなカクテルブックによって「サイドカー」の誕生は1920年前後とされていますが、ほかの多くのクラシックカクテル同様、その発祥地や考案者、カクテル名の由来には、じつにバラエティ豊かな諸説があります。

昨今、専門家の間で「サイドカー」のルーツとみなされているのは、1850年代にニューオリンズのバーで生まれた「ブランデー・クラスタ」。レモンの皮と砂糖でグラスのフチにクラスト(皮)を作り、そこにブランデー、オレンジキュラソー、マラスキーノリキュール、レモンジュース、シロップ、ビターズをシェイクして注ぐ、手の込んだカクテルです。

この「ブランデー・クラスタ」が1900年代の初めごろに海を渡り、「サイドカー」の先駆けとなったのではないかと推測されているのです。

そして今日まで続く「サイドカー」のシンプルかつ標準的なレシピを創出した人物に関する諸説には次のようなものがあります。

◆ハリー・マッケルホーン説
パリにある「ハリーズ・ニューヨーク・バー」のオーナーバーテンダーであるハリー・マッケルホーン氏が創出。

◆パット・マクギャリー説
ロンドンにある「バックス・クラブ」の初代バーテンダー、パット・マクギャリー氏が創出。

◆フランク・マイヤー説
パリの名ホテル「ホテル・リッツ」の「ル・プチ・バー(現バー・ヘミングウェイ)」の責任者であったフランク・マイヤー氏が創出。

一方、「サイドカー」というカクテル名については、「第一次世界大戦(1914〜1918年)中に活躍したサイドカーつきのバイクにちなんで名づけられた」、「この飲み方を好んだ常連の将校がサイドカーつきのバイクに乗っていた」など、こちらもさまざまな説が語り継がれています。

サイドカーつきのおもちゃのバイクに乗る子どもとその愛犬

Lucky Business / Shutterstock.com

「サイドカー」はフルーティーな味わいが魅力

「サイドカー」は、ブランデーの濃厚なコク、ホワイトキュラソーの芳醇な香り、そしてレモンジュースのさわやかな酸味が織りなす、調和のとれたフルーティーな味わいが人気のカクテルです。

使用する材料や作り方次第でさまざまな表情を見せてくれること。それも「サイドカー」というカクテルの魅力のひとつです。

たとえばブランデーのセレクトによって飲み口が重厚にも軽やかにもなり、ホワイトキュラソーの銘柄によって香りや甘さのアクセントが変化。またレモンジュースはカクテル用の加糖タイプなのか、搾りたてのフレッシュレモンなのかによって酸味が異なり、カクテル全体のバランスが変わってきます。

さらに「サイドカー」はシェイカーの振り方によって仕上がりの風味やテクスチャーにも変化が生まれるため、作り手の個性が出やすいカクテルともいわれています。

ベースの銘柄を変えてみたり、さまざまなお店でオーダーしてみたりして「究極のサイドカー」を追求するのもたのしそうです。

「サイドカー」のアルコール度数はやや高め

フルーティーな飲み口ながら、「サイドカー」はアルコール度数高めのカクテルです。

使用するブランデーやホワイトキュラソーの銘柄にもよりますが、このあと紹介する一般的なレシピで作る「サイドカー」のアルコール度数は、28〜35度くらいになります。

アルコールに慣れていない人はもちろん、慣れている人も、飲みすぎにはくれぐれも注意しましょう。

材料の割合で味わいが変わる!「サイドカー」のレシピ

材料が均一に混ざるまでしっかりシェイクされた「サイドカー」の様子

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「サイドカー」で使う材料の割合は、ブランデー:ホワイトキュラソー:レモンジュースが2:1:1。ただ前述のとおり「サイドカー」の歴史にはさまざまな説があり、年代や書籍によってレシピにも違いがあります。

たとえば1922年に出版されたハリー・マッケルホーン氏のカクテルブック『ABC of Mixing Cocktails』では、ブランデー:ホワイトキュラソー:レモンジュースの割合が1:1:1と紹介されています。

そして1930年に出版された『The Savoy Cocktail Book』ではブランデー:ホワイトキュラソー:レモンジュースが2:1:1とされ、これが現在の「サイドカー」の定番レシピとなっています。

<「サイドカー」の分量例>
ブランデー…30ミリリットル
ホワイトキュラソー…15ミリリットル
レモンジュース…15ミリリットル

<作り方>
1. シェイカーにブランデー、ホワイトキュラソー、レモンジュースを入れ、氷を入れます。
2. しっかりシェイクし、氷を除いてカクテルグラスに注ぎます。

<おいしく作るためのポイント>
◇しっかりシェイクすることで材料が均一に混ざり、よく冷えて強めのアルコールの角も取れやすくなり、口あたりがなめらかになります。
◇シェイカーがなければ氷を入れて思いきり振っても割れる恐れのないフタつき容器や水筒などで代用しましょう。
◇あらかじめグラスも冷やしておくと、おいしく仕上がります。

「サイドカー」に合うのはどんなブランデー? おすすめも紹介

「サイドカー」におすすめのブランデーをラインナップ

5PH / Shutterstock.com

「ブランデー」といっても、種類はさまざまです。ここでは、「サイドカー」に合うブランデーの種類や、オーセンティックなバーなどでも人気の高いブランデーの銘柄をいくつか紹介します。

「サイドカー」に合うブランデーの種類は?

「サイドカー」のベースに使われるブランデーの種類は多種多様。ブドウを原料にした「コニャック」や「アルマニャック」、リンゴが原料の「カルヴァドス(カルバドス)」が有名ですが、ほかにもさまざまな原料を用いたブランデーがあります。

なかでもバーなどでよく使われるのは「コニャック」ですが、「サイドカー」のベースに用いるブランデーの種類に決まりはありません。

また、「コニャック」などフランスのA.O.C.(原産地統制呼称)で管理されているブランデーには、「VS」や「V.S.O.P.」といった等級が表示されていますが、「サイドカー」はブランデーの香りとホワイトキュラソーのオレンジ風味、レモンの酸味との絶妙なバランスをたのしむカクテルなので、熟成年数が比較的短い「VS」でもじゅうぶんにたのしめます。
ブランデーそのものや「サイドカー」の味わいが気に入ったら、少し奮発してみるのもいいかもしれませんね。

以下では、「サイドカー」のベースにおすすめのコニャックを3銘柄紹介します。

【おすすめ①】レミーマルタン 1738 アコード・ロワイヤル|バランスのよい芳醇なフレーバー

歴史と気品が薫る「レミーマルタン 1738 アコード・ロワイヤル」

出典: レミーマルタンブランドサイト

レミーマルタンは2024年に創業300周年を迎えた歴史あるブランド。なかでも1738年の王室からの勅許を受けた「レミーマルタン 1738 アコード・ロワイヤル」は、独特なオークの香りをまとった気品あふれる1本です。レミーマルタン主催の「レミーマルタン バーテンダー タレント コンペティション ジャパン2022」では、この銘柄を使用したオリジナルの「サイドカー」がコンペのテーマとなり、大いに話題となりました。

同グループで扱うオレンジリキュールの代表銘柄「コアントロー」との相性も抜群。ブランドサイトでは「レミーマルタン 1738 アコード・ロワイヤル」と「コアントロー」、レモンジュースを3:2:1の割合でシェイクする「レミー サイドカー」を推奨。「レミーマルタン VSOP」もおすすめです。

国内販売元:レミー コアントロー ジャパン株式会社
公式サイトはこちら
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【おすすめ②】ヘネシー V.S|フルーティーな香りとバニラのニュアンスが特徴的なコニャック

手が届く高級コニャック「ヘネシーV.S」

出典:MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社

1765年設立の名門、コニャックの品質格付けシステム創出に深く関わったことでも知られるヘネシー。最高峰の「リシャール ヘネシー」から比較的手ごろな商品もあり、好みや予算で選べる幅広いラインナップが魅力です。

初めてのコニャック選びに迷ったら、リーズナブルな価格帯の「ヘネシー V.S」がおすすめ。リッチでクリーミーなテイスト、繊細なバニラのニュアンスが特徴的な1本です。エレガントで力強いコニャックの風味は「サイドカー」をはじめとしたさまざまなカクテルのベースにぴったり。多くのバーに並んでいるのも納得のブランドです。

国内販売元:MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社
公式サイトはこちら
ブランドサイトはこちら

【おすすめ③】クルボアジェ V.S.O.P|熟成感に富んだまろやかな香味

皇帝ナポレオン御用達のメゾン「クルボアジェ」のV.S.O.P

画像提供:CAMPARI JAPAN株式会社

1811年、時の皇帝ナポレオン・ボナパルトの手に渡り、後のナポレオン3世の時代には宮廷御用達の称号を授けられたという伝説をもつメゾン、クルボアジェ。「クルボアジェV.S.O.P」は、グラン・シャンパーニュ地区、プチ・シャンパーニュ地区をはじめとした良質なクリュ(畑)のブドウを厳選。繊細なマリアージュによって、ほのかな花の香りと複雑なコクを生み出しています。

ベースに使うブランデーの個性によって味わいが変わってくるのがカクテル「サイドカー」の特徴ですが、フルーティーで飲みやすく、まろやかな味わいを堪能するなら、この銘柄がおすすめです。

国内販売元:CAMPARI JAPAN株式会社
公式サイトはこちら

「サイドカー」のアレンジレシピ

カクテル「マルガリータ」

New Africa / Shutterstock.com

「サイドカー」のレシピは、ブランデー2:ホワイトキュラソー1:レモンジュース1。「ベースとなるスピリッツ2:リキュール1:柑橘系のジュース1」というレシピは、いわばカクテルの黄金比。この比率を覚えておけば、定番のクラシックカクテルをレパートリーに加えることができます。
ベースのお酒を変えて、さまざまな味わいをたのしんでみましょう。

◆ホワイトレディ
ジン+ホワイトキュラソー+レモンジュース

◆バラライカ
ウォッカ+ホワイトキュラソー+レモンジュース

◆マルガリータ
テキーラ+ホワイトキュラソー+ライムジュース

◆X.Y.Z(エックス ワイ ジィ)
ラム(ホワイトラム)+ホワイトキュラソー+レモンジュース

ブランデーを使うカクテルのなかでもっともスタンダードなカクテル「サイドカー」。ベースにするブランデーのチョイスやシェイカーの振り方などに個性が出やすいため、「バーテンダーの力量がわかるカクテル」ともいわれています。まずは自分で作ってみて、その後プロの味との違いを確認してみるのもたのしそうですね。

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