「カルヴァドス」は初心者にもおすすめのアップルブランデー! 人気の理由やおいしい飲み方を紹介

「カルヴァドス」は初心者にもおすすめのアップルブランデー! 人気の理由やおいしい飲み方を紹介
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カルヴァドス(カルバドス)は、リンゴを原料としたアップルブランデーの一種で、フランスのノルマンディー地方で造られています。甘酸っぱい芳醇な味わいは食後酒に最適です。今回はカルヴァドスの特徴や製法、おいしい飲み方、種類などについて紹介します。

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ストレートやロックはもちろん、カクテルにしてもおいしいリンゴのブランデー、「カルヴァドス(Calvados)」についてみていきます。

カルヴァドス(カルバドス)とは?

カルヴァドスはブランデーの一種

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カルヴァドスについて、知っておきたいポイントを紹介します。

カルヴァドスはリンゴが主原料のブランデー

カルヴァドスは、フランスで生産されているブランデーの一種。コニャック、アルマニャックと並び、世界三大ブランデーのひとつに数えられます。コニャックとアルマニャックはブドウを主原料としたグレープブランデーなのに対し、カルヴァドスはリンゴを主原料としたアップルブランデーに分類されます。

アップルブランデーは、リンゴを発酵させたアップルワイン(シードル)を蒸溜して造られます。おもな生産地はフランス北部やイギリス、アメリカなどです。

フランスのアップルブランデーは「オー・ド・ヴィー・ド・シードル」と呼ばれています。なかでも、世界遺産モン・サン・ミッシェルがあるノルマンディー地方のカルヴァドス県とその周辺で造られたものだけに「カルヴァドス」と名乗ることが許されています。

ちなみに、カルヴァドスはウイスキーと同じ蒸溜酒で琥珀色をしていますが、ウイスキーの原料は大麦麦芽などの穀類。見た目が似ていても、リンゴが原料のカルヴァドスとウイスキーでは風味が大きく異なります。

カルヴァドス用のリンゴ

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カルヴァドスはA.O.C.(原産地統制名称)認定のお酒

カルヴァドスは、フランスのA.O.C.(原産地統制名称)の認定を受けているお酒です。

A.O.C.は、Appellation d'Origine Contrôlée(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ)の頭文字を取った略称で、商品の品質を保証し、産地偽装を防ぐための制度です。厳しい規定に基づいて統制管理された高品質のワインやブランデー、農作物などに付与されます。

カルヴァドスも、生産地や製法などがフランスの法律で厳しく定められています。たとえば、A.O.C.認定されているカルヴァドスの産地は、以下の3つに分類されます。

◇カルヴァドス
◇カルヴァドス・デュ・ペイ・ドージュ
◇カルヴァドス・ドンフロンテ


この地区で生産されたもの以外は、「カルヴァドス」を名乗ることができません。

産地のほかにも、細かい規定があります。以下はその一例です。

◇リンゴの醸造酒シードルと洋ナシの醸造酒ポワレをアルコール度数72度以下で蒸溜
◇蒸溜期間は10月1日から翌年9月30日まで
◇熟成期間は、カルヴァドス・ドンフロンテは3年以上、残る2つは2年以上
◇アルコール度数最低40度で販売する

カルヴァドスの製法

カルヴァドスの製法

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ここでは、カルヴァドスの原料と熟成期間に注目して、製法の一部を紹介します。

カルヴァドスの原料の種類

カルヴァドスの主原料はリンゴですが、味のバランスを整えるために洋ナシの使用も認められています。洋ナシの醸造酒ポワレは30%までブレンド可能です。

なお、リンゴや洋ナシの品種も産地ごとに決められています。

◇カルヴァドス:リンゴ230種、洋ナシ121種
◇カルヴァドス・デュ・ペイ・ドージュ:リンゴ103種、洋ナシ30種
◇カルヴァドス・ドンフロンテ:リンゴ50種、洋ナシ116種


ちなみに、ノルマンディー地方には、「シードル街道(Route de Cidre)」と呼ばれる道があります。街道沿いにはたくさんのシードル生産農家が点在していて、おのおのがシードルを蒸溜したカルヴァドスも製造しています。リンゴの産地ならではの光景が見られ、試飲やお土産の購入もできることから、観光客に人気のスポットとなっています。

カルヴァドスは熟成期間で名称が変わる

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熟成期間によって名称が変わる

カルヴァドスは、リムーザン産やトロンセ産のオーク樽で熟成することで完成します。熟成期間は、前述のとおり2年以上や3年以上と定められていて、熟成期間の長さによって以下のようにランクづけされています。

◇最低2年熟成
VS(ヴイエス) 、Trois Etolles(トロワ・ゼトワール)、Trois Pommes(トロワ・ポンヌ)
◇最低3年熟成
Vieux(ヴュー)、 Réserve(レゼルヴ)
◇最低4年熟成
V.O(ブイ・オー)、V.S.O.P.(ブイ・エス・オー・ピー)、Vieille Réserve(ヴィエイユ・レゼルヴ)
◇最低6年熟成
Napoléon(ナポンオン)、Extra(エクストラ)、XO(エックスオー)、Hors d'Age(オー・ダージュ)、Très Vieille Réserve(トレ・ヴィエイユ・レゼルヴ)、Très Vieux(トレ・ヴュー)

一般的に、熟成年数が長いほど、まろやかでコクのある風味になるといわれています。

余談ですが、カルヴァドスの生産地では、アルコール度数70%前後のカルヴァドスとリンゴジュースをミックスして熟成させた、「ポモー・ド・ノルマンディー(Pommeau de Normandie)」というリキュールも造られています。先ほど紹介したシードル街道沿いでも見ることができます。

明治屋 オンラインショップ

カルヴァドスの初心者にもおすすめの飲み方

カルヴァドスの飲み方

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初心者にもおすすめのカルヴァドスの飲み方を紹介します。いろいろな飲み方で、リンゴの風味を堪能してみてください。

カルヴァドスのカクテル

カルヴァドスは、カクテルにしてもおいしいブランデーです。

手軽に作れて食前酒にもぴったりなのは、いろいろな割り材で割るカルヴァドスのカクテル。たとえば、カルヴァドスのトニックウォーター割りは、本場ノルマンディーでも人気の飲み方です。また、ジンジャーエール割りも定番の飲み方。お好みでレモンやライムを添えるのもおすすめです。

ほかにも、リンゴジュース割りやソーダ割りなどもあります。お好みのアルコール度数に調整してたのしんでみてください。

一手間かけて味わいたいカルヴァドスのカクテルもあります。
「ジャック・ローズ」は、リンゴの風味とコク、酸味をたのしめるショートタイプのカクテル。カルヴァドス、ライムジュース、グレナデンシロップを2:1:1の割合でシェイカーに入れ、よくシェイクしてカクテルグラスに注ぎます。

「ノルマンディー・コーヒー」は、リンゴの風味とコーヒーの苦味がマッチしたホットカクテル。耐熱グラスにカルヴァドス30ミリリットルと、温かいコーヒー90ミリリットルを入れて混ぜ、生クリームをのせれば完成です。

食後酒にも最適なカルヴァドス

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カルヴァドスは食後酒に最適

一般的に、カルヴァドスは食後酒の位置づけで、ストレートやロックで飲まれています。リンゴの甘酸っぱい風味と口当たりのよさから、ストレートでも飲みやすいと感じるかもしれません。といっても、カルヴァドスのアルコール度数は最低40度。ストレートではアルコールの刺激が強すぎるという場合は、ロックを試してみてください。

カルヴァドスのストレートやロックとぜひ一緒に味わってほしいのが、同じノルマンディー地方で生産されているチーズです。カマンベール・ド・ノルマンディーやポン・レヴェック、カルヴァドスを染み込ませたブリーなどの種類があるので、機会があればマリアージュもたのしんでみてくださいね。

カルヴァドスの種類と味わい

カルヴァドスの種類と味わい

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カルヴァドスの銘柄のなかでも、ペイ・ドージュ地区のシャトーが造る質の高い商品と、それぞれの味わいを紹介します。

クリスチャン・ドルーアン(Christian Drouin)

ル ジン クリスチャン・ドルーアン セレクション

出典:明治屋オンラインショップサイト

「クリスチャン・ドルーアン」は、ペイ・ドージュ地区のなかでも北部の優良地にリンゴ園を持ち、上質なカルヴァドスを造り続けている老舗の造り手。リンゴ作りから蒸溜、熟成、ブレンディングまでを、一貫して自社で手がけています。
家族経営で、カルヴァドス造りの伝統にこだわり続けていて、毎年数々の品評会で高く評価されています。これまでのメダルの獲得数は、なんと300個以上。一度は飲んでみたい銘柄です。

国内販売元:株式会社明治屋
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カルヴァドス ブラーX.O./カルヴァドス ブラー グラン ソラージュ

カルヴァドスブラーX.O.

出典:サントリー株式会社サイト

ブラー社も、創業以来こだわりのカルヴァドスを造り続けている生産者として、世界的に有名です。

「カルヴァドス ブラーX.O.」は、8~15年熟成の原酒をブレンドしたカルヴァドス。アーモンドを焼いたような香ばしさや、リンゴのフルーティーな香り、熟成感のバランスがよく、ストレートやロックで飲むのに最適です。絹のようになめらか口当たりに魅了されます。

最低2年以上熟成させた「カルヴァドス ブラー グラン ソラージュ」は、フルーティーな香りとバニラのような味わいで、カクテルにぴったりのカルヴァドス。トニックウォーター割りは「ブラー・トニック」、ジンジャーエール割りは「ブラー・バック」と呼ばれ、愛飲家に親しまれています。

国内販売元:サントリー株式会社
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カルヴァドス ブラー X.O.
カルヴァドス ブラー グラン ソラージュ

シャトードブルイユ フィーヌ・カルバドス

フィーヌ・カルバドス

出典:ジャパンインポートシステムサイト

シャトードブルイユ社がペイ・ドージュ地区で造るカルヴァドスも、高品質なことで知られます。小規模ながら由緒あるシャトーは豪奢な建物で、格調高いテイスティングルームも備えています。

「フィーヌ・カルバドス」は同社が手がけるスタンダードな商品。リンゴのフルーティーさと、ボディの豊かさが特長です。ストレートで飲むのはもちろん、カクテルベースにもぴったりです。

15年熟成の「シャトードブルイユ15年」も、ぜひ手に取ってほしい1本。リンゴのみずみずしさやコクのある深い味わいが魅力で、多くのファンに愛されています。


国内販売元:株式会社ジャパンインポートシステム
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フランス北部のノルマンディー地方で生産されているカルヴァドスは、リンゴの風味が魅力的なブランデーです。機会があればノルマンディー産のチーズをお供に、ストレートやロック、カクテルでぜひ味わってみてくださいね。

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