シングルカスクとは? ズバリひとつの樽のウイスキーを瓶詰めした商品! 味や類似商品との違いも解説

「シングルカスク」は、ひと樽の原酒を瓶詰めしたウイスキー。ひとつの樽から瓶詰めできる本数は限られるため、生産数が極めて少なく、希少性も価格も高いのが特徴です。今回はシングルカスクの特徴や高価な理由、「シングルモルト」との違いなどについて紹介します。
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目次
シングルカスクは、加水せずに樽出してそのままの魅力を味わえる「カスクストレングス」の商品が多く、通常のウイスキーよりもアルコール度数が高めです。そのほか、シングルカスクの特徴や類似商品との違い、おすすめの飲み方など、初心者にもわかりやすく解説していきます。
シングルカスクとは?

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「シングルカスク」とは、ひとつの樽の原酒のみを瓶詰めしたウイスキーのこと。「シングル(single)」は「単一」や「ひとつ」の意味で、「カスク(cask)」は「樽」を意味します。
シングルカスクの特徴は、ほかの樽のウイスキーとブレンドせずに瓶詰めされること。一般的にウイスキーは、複数の樽の原酒を混合して味わいが調整されますが、シングルカスクにその工程はありません。
また、通常ウイスキーは瓶詰めする前に加水してアルコール度数が調整されますが、シングルカスクの多くは、樽出しの度数のまま瓶詰めされます。
スコッチウイスキーの場合、樽入れ時のアルコール度数は63.5%程度が標準となっていて、瓶詰め時には40~46%程度に加水調整されます。加水調整されない場合、ウイスキーのアルコール度数は55~60%程度とかなり高くなります。
シングルカスクの味わいの魅力

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「シングルカスク」は、アルコール度数が高く、力強い味わいで、樽の個性をダイレクトにたのしめるのが魅力です。シングルカスクとしてボトリングされるものは、それひとつで主役になれる原酒。ブレンダーは、ひと樽ひと樽ていねいに風味を確かめ、大量のストックのなかからこれぞと思う樽をより抜きます。つまり、厳選された樽から生まれるシングルカスクは、とくに優れた風味をもつウイスキーなのです。
ブレンダーが樽を厳選する理由は、同じ蒸溜所の熟成庫で、同じ期間熟成させた原酒でも、樽によって香味が異なるから。自然素材であるオーク材の樽を使うため味を均一化するのは難しく、熟成庫の樽の貯蔵場所によっても風味が違ってきます。そのため、同じフレーバーには二度と出会えない可能性が高いのです。裏を返せば、一期一会の味をたのしめるのが、シングルカスクの醍醐味といえます。
シングルカスクが高価な理由は?

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ウイスキーを「シングルカスク」としてリリースする際は、ほかの原酒と混和せず、多くは加水もせずボトリングされるため、生産本数は限られてきます。
瓶詰め数は樽の大きさによって変わり、たとえばスコッチなどでよく使われているバーボンバレル(バーボン樽)の場合、約200リットル容量なので、700ミリリットル瓶で約285本となります。当然ながら、熟成中に、天使の分け前(エンジェルズシェア)として毎年数パーセントくらいずつ揮発するため、樽入れした原酒をまるまる製品化できるわけではありません。
人気ブランドのシングルカスクで、世界で数百本しかリリースされないとなれば、その希少性の高さからウイスキー愛好家の間で争奪戦となるのは自明です。また、前述したとおり、シングルカスクは厳選された上質の原酒を瓶詰めしたものなので、さらにプレミアム感が高まります。
以上のような理由から、シングルカスクの価格は一般的なウイスキーよりも高めになります。
シングルカスクに似ているウイスキーとの違いを知っておこう

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「シングルカスク」に似たイメージのウイスキーに、「シングルモルト」「シングルバレル」「カスクストレングス」があります。それぞれの特徴と「シングルカスク」との違いをみていきましょう。
シングルカスクとシングルモルトの違い
「シングルカスク」は「シングルモルト」の一種です。「シングルモルト」とは、単一の蒸溜所の原酒を瓶詰めしたウイスキーのこと。そのなかでも、ひとつの樽の原酒のみを瓶詰めしたものが、「シングルカスク」です。
「シングルカスク」と「シングルモルト」の大きな違いは、原酒をブレンドするかしないか。「シングルモルト」の場合、複数の樽の原酒をブレンドし、多くは加水調整したうえで瓶詰めされますが、「シングルカスク」では複数の原酒をブレンドすることはありません。
なお、「グレーンウイスキー」の場合も同じで、「シングルグレーン」は単一蒸溜所で造られた複数のグレーン原酒をブレンドし、多くは加水調整して瓶詰めされたもの。グレーンウイスキーの「シングルカスク」は、ひとつの樽の原酒のみが瓶詰めされたものとなります。

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シングルカスクとシングルバレルの違い
「シングルカスク」と「シングルバレル」はほぼ同じ意味で、ひとつの樽のウイスキーのみを瓶詰めしたものを指します。「バレル(barrel)」も「カスク」と同様に「樽」を意味します。
とはいえ、微妙な違いもあります。「シングルカスク」はおもにスコッチウイスキーで使われることが多く、「シングルバレル」はバーボンなどアメリカンウイスキーで使われることが多い呼び方です。

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シングルカスクとカスクストレングスの違い
「シングルカスク」と「カスクストレングス」は定義が異なります。
「カスクストレングス」とは、加水せず樽出しのアルコール度数のまま瓶詰めしたウイスキーのこと。「ストレングス(strengths)」は「強さ」の意味で、アルコール度数を指します。
わかりやすいように、「シングルカスク」と「カスクストレングス」の定義を以下にまとめます。両者の違いを比べてみてください。
◆シングルカスク
単一の樽の原酒を瓶詰めしたもの。加水調整することもある。
◆カスクストレングス
基本的に樽出しのアルコール度数のまま瓶詰めしたもの。加水調整なし。複数の原酒を混和することもあり。
なお、「シングルカスク」で加水調整していないものは、「カスクストレングス」と呼ぶこともできます。
高価でも飲んでみたい! シングルカスクウイスキー

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「シングルカスク」としてリリースされたウイスキーには、「ザ・グレンリベット シングルカスクシリーズ」や、「シングルカスク駒ヶ岳 本坊酒造」「アイル オブ ラッセイ シングルカスクシリーズ」などがあります。シングルカスクは高価でもニーズが高く、生産数も少ないため、リリース後すぐに完売するケースが目立ちます。極めて入手困難ですが、バーなどで出会ったときに試してみてはいかがでしょう。
ザ・グレンリベット シングルカスクシリーズ

出典:ザ・グレンリベット公式ブランドサイト
スコッチウイスキーの「ザ・グレンリベット」では、シングルカスクシリーズをリリースしています。
第10弾として2023年6月に発売されたのが、「ザ・グレンリベット シングルカスク 2023(#18103) 20年」。日本のモルトウイスキー好きのために、アメリカンオークバレルで20年熟成させた一樽をカスクストレングス、かつノン・チルフィルタード(冷却ろ過を行わない)で瓶詰めした、とても希少な1本です。129本限定で、業務店向けに販売されました。
一般向けには販売されていませんが、取扱いのあるバーなどでたのしめます。
国内発売元:ペルノ・リカール・ジャパン株式会社
公式サイトはこちら
「ザ・グレンリベット」ブランドサイトはこちら
シングルカスク駒ヶ岳 本坊酒造

出典:本坊酒造サイト
本坊酒造が手がける「駒ヶ岳」ブランドでも、さまざまなシングルカスクをリリースしています。
2024年4月に発売された「シングルカスク駒ヶ岳 AGED 9 YEARS Cask No.1842」は、シェリー樽で9年以上熟成したヘビリーピーテッドの原酒を瓶詰めしたもの。269本限定で発売されました。現在は生産が終了しています。
やはり希少な1本で入手は困難ですが、取扱いのあるバーなどで飲むことができるかもしれません。
なお、本坊酒造では、「駒ヶ岳」以外に「津貫」や「マルスモルト ル・パピヨン」でもシングルカスクをリリースしています。
発売元:本坊酒造株式会社
公式サイトはこちら
アイル・オブ・ラッセイ シングルカスクシリーズ 日本限定

画像提供:株式会社都光
「アイル・オブ・ラッセイ」は、スコットランドのヘブリディーズ諸島のひとつラッセイ島で造られているウイスキーの銘柄。「Scottish whisky Awards 2022」で最高賞の「Scottish Whisky Distillery of the Year」に輝くなど、世界で高い評価を受けています。
この「アイル・オブ・ラッセイ」初の年数表記ボトルが、2024年末から2025年2月にかけて日本上陸。6タイプの原酒をシングルカスクでボトリングし、数量限定でリリースされました。
おすすめは、アンピーテッドの原酒をチンカピンオークの新樽で5年間熟成させた「アイル・オブ・ラッセイ シングルカスク ナ・シア 5年 チンカピンオークカスク アンピーテッド」。252本の限定発売ですが、機会があったらぜひ味わってみたいものです。
国内発売元:株式会社都光
公式サイトはこちら
シングルカスクの飲み方

Jag_cz / Shutterstock.com
シングルカスクのおすすめの飲み方はストレート。まずは、ブレンダーが厳選した原酒の味わいを、そのままたのしむのがイチオシです。アルコール度数は一般的なウイスキーよりも高いため、ミネラルウォーターなどのチェイサーと交互に少しずつ口に含みながら、香りや味わいをじっくりと堪能してみてください。
次に試したいのが、ストレートウイスキーに少量の水を加える「ワンドロップ」と呼ばれる飲み方。スポイトやスプーンで水を数滴加えると、香味が変わります。ウイスキーの香りが開いて、よりフレーバーを感じやすくなるので、試してみてはいかがでしょう。
「シングルカスク」は、ひとつの樽のみを瓶詰めしたウイスキー。ブレンダーがより抜いた原酒は、高品質な味わいが魅力です。加水していないカスクストレングスはとくにアルコール度数が高くなるので、ミネラルウォーターなどと一緒に味わってくださいね。
