焼酎と日本酒の違いは?酒税法上の定義や製法、原料、アルコール度数、カロリーなどさまざまな角度から検証
焼酎と日本酒はいずれも日本の「國酒(こくしゅ)」ですが、前者は蒸溜酒、後者は醸造酒という顕著な違いがあります。今回は焼酎と日本酒の違いを酒税法上の定義や原料、製法、アルコール度数、カロリーや糖質、飲み方、味わいなどさまざまな観点から紹介します。
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目次
焼酎も日本酒もどちらも日本を代表するお酒「國酒(こくしゅ)」ですが、違いをはっきり認識していない人も少なくないようです。ここではいろいろな方向から焼酎と日本酒の違いをひもときます。
焼酎と日本酒の決定的な違いは、焼酎=蒸溜酒、日本酒=醸造酒ということ
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焼酎と日本酒の定義上の違いからみていきます。
酒税法上の分類の違いは? まずは焼酎と日本酒の定義を確認
お酒は酒税法で以下の4種類に大別されます。
◆発泡性酒類
◆醸造酒類
◆蒸留酒類
◆混成酒類
焼酎はウイスキーやブランデー、スピリッツなどと同じ「蒸留酒類」の一種で、酒税法では以下のように定義されています。
出典 国税庁 お酒に関する情報|焼酎に関するものアルコール含有物を蒸留した酒類のうち、
A:連続式蒸留機で蒸留したもので、アルコール分36度未満、
B:単式蒸留機で蒸留したもので、アルコール分45度以下
のもので、ウイスキー、ブランデー、ウオッカ、ラム、ジンなどに該当しないものをいいます。
なお、焼酎はAに該当する「連続式蒸留焼酎」と、B に該当する「単式蒸留焼酎」の2品目に区分されますが、いずれも「蒸留酒(蒸溜酒)」の仲間です。
一方、日本酒はワインなどの果実酒と同じ「醸造酒類」の一種です。酒税法上は「清酒」と呼ばれ、以下のように定義されています。
出典 国税庁|酒税法における「清酒」の定義以下の酒類で、アルコール分22度未満のものを「清酒」といいます。
イ:米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの
ロ:米、水及び清酒かす、米こうじその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの(イ又はハに該当するものを除く。)。但し、その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が米(こうじ米を含む。)の重量をこえないものに限る。
ハ:清酒に清酒かすを加えて、こしたもの
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製造方法の違いは? ポイントは「蒸溜」するかしないか
焼酎と日本酒のもっともわかりやすい違いは製法にあります。
日本酒などの「醸造酒」は、穀類や果実などの原料を酵母でアルコール発酵させて造られます。一方、焼酎をはじめとする「蒸溜酒」は、原料を発酵させて得られた醸造酒(発酵液/発酵醪)を蒸溜して造られます。
つまり、焼酎と日本酒の決定的な違いは、製造工程で「蒸溜」を行うかどうかにあるということです。
日本酒は米、焼酎は種類ごとに異なる原料で造られる
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焼酎と日本酒は原料も異なります。
日本酒はおもにお米から造られるのに対して、焼酎は米、麦、そばなどの穀類や芋類、酒かすなど、さまざまな原料が使われます。麹の原料も日本酒は米のみですが、焼酎の場合は米や麦、芋など複数の選択肢があります。
品目別にくわしくみていきましょう。
<焼酎と日本酒の原料>
◆連続式蒸留焼酎の原料:麦や米、とうもろこしなどの穀類や糖蜜
◆単式蒸留焼酎の原料:米や麦、そばなどの穀類、さつまいもなどの芋類、清酒かす、黒糖など
◆日本酒の原料:米
なお、焼酎には原料として使用できない物品が酒税法第三条で定められています。というのも、ウイスキーやブランデー、ラム酒などの蒸溜酒と区別する必要があるからです。発芽させた穀類(麦芽など)や果実、砂糖や蜂蜜、メープルシロップなどの含糖質物などが該当しますが、いずれも「法令で定めるものを除く」といった例外が細かく設けられています。
(参考資料)
e-GOV|酒税法
焼酎と日本酒のアルコール度数の違い
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焼酎と日本酒はアルコール度数も違います。
定義のところで確認したように、酒税法では品目ごとにアルコール度数の上限が定められています。
<焼酎と日本酒のアルコール度数上限>
◆連続式蒸留焼酎:36度未満
◆単式蒸留焼酎:45度以下
◆日本酒:22度未満
焼酎は「蒸溜」の工程でより純度の高い蒸溜液を抽出するため、蒸溜を行わない日本酒に比べてアルコール度数は高くなります。
焼酎も日本酒も水を加えてアルコール度数を調整してから出荷されるため、多くの場合は上限よりも低いアルコール度数で飲まれます。なかには12%程度に調整して販売される焼酎もあるので、必ずしも焼酎のほうが日本酒よりアルコール度数が高いとはいえません。
以下は、市場に流通している焼酎と日本酒のアルコール度数の目安です。購入の際の参考にしてください。
<一般的な焼酎と日本酒のアルコール度数>
◆連続式蒸留焼酎
アルコール度数20度や25度のものが主流。
なかには上限に近い35度程度の商品もあります。
◆単式蒸留焼酎
アルコール度数20度や25度のものが主流。
蒸溜後水を加えないアルコール度数40度前後の「原酒」や、水を加えずそのまま飲むことを想定したアルコール度数12度程度の商品も人気です。
◆日本酒
15〜16度のものが主流。
焼酎と日本酒はカロリーや糖質量も違う?
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焼酎と日本酒は、カロリーや糖質にも違いがあります。文部科学省が公表している「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに、それぞれのカロリーと糖質をみていきましょう。
<焼酎・日本酒100ml中に含まれるカロリー>
◆連続式蒸留焼酎(アルコール度数35度)
カロリー:203kcal
糖質:0g
◆単式蒸留焼酎(アルコール度数25度)
カロリー:144kcal
糖質:0g
◆日本酒(普通酒/アルコール度数15.4度)
カロリー:107kcal
糖質:4.9g
※「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」では100g中の成分が紹介されています。焼酎と日本酒では比重が異なりますが、ここでは100g≒100mlとしています。
(参考資料)
文部科学省|日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
アルコール度数が異なると正確な比較ができないので、水で割ってアルコール度数を15.4度に調整した場合の焼酎100mlのカロリー&糖質も算出しておきましょう。
◆連続式蒸留焼酎(アルコール度数15.4度)
カロリー:87.5kcal
糖質:0g
◆単式蒸留焼酎(アルコール度数15.4度)
カロリー:87.5kcal
糖質:0g
◆日本酒(普通酒/アルコール度数15.4度)
カロリー:107kcal
糖質:4.9g
カロリー、糖質ともに焼酎のほうが低いことがわかります。
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カロリーを構成する「炭水化物(糖質+食物繊維)」「たんぱく質」「脂質」などの栄養素は、蒸溜の段階で取り除かれてしまうため、焼酎のカロリーは「アルコールのカロリー」だと考えられています。
一方、製造工程で蒸溜を行わない日本酒には、原料に含まれる糖質がそのまま残っています。したがって、1gあたり4kcalほどのエネルギーを生成する糖質の分だけ、カロリーが多くなるのです。
焼酎と日本酒のカロリーや糖質については、以下の記事で詳述しています。焼酎を薄めた場合のカロリーの算出方法なども確認できるので、参考にしてみてください。
焼酎と日本酒の飲み方の違い
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焼酎と日本酒は飲み方も異なります。
焼酎は、アルコール度数の高さから、水などで薄めて飲まれることが多いお酒。日本酒のようにストレートでたのしむこともありますが、ロックや水割り、お湯割りなどの飲み方も浸透しています。なかでも連続式蒸留焼酎(甲類焼酎)は、お茶やソーダ、フレッシュジュースなどのノンアルコール飲料を加えて飲まれるケースも多く、割り方のバリエーションはとても豊富です。
一方、日本酒はストレートで飲むのが一般的。常温はもちろん、冷やしたりお燗にしたりと、温度帯ごとに異なる香りや味わいをたのしむお酒です。
もちろん例外はあります。最近では原料の個性が生きた単式蒸留焼酎(本格焼酎)や日本酒などの「國酒」をベースに作るカクテルも注目を浴びているので、多彩な飲み方をたのしんでみてくださいね。
焼酎と日本酒の味わいの違いは?
Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)
焼酎も日本酒も、原料や製法によって味わいは異なるため一概にはいえませんが、以下のような傾向があるとされています。
◆連続式蒸留焼酎
連続式蒸溜機で繰り返し蒸溜されるため、クセのないピュアな味わいに仕上がります。スッキリとしていて飲みやすいのが特徴。
◆単式蒸留焼酎
単式蒸溜機による1〜2回の蒸溜で抽出されるため、原料の個性が残りやすい。芋で造る芋焼酎、麦が主原料の麦焼酎、米から造る米焼酎など、種類によって香りや味わいが異なります。
◆日本酒
米の品種や製法によって味わいが異なりますが、米と米麹、水だけで造った純米酒は米の旨味やコクが、醸造アルコールを添加した日本酒はスッキリ軽快な味わいが特長です。醸造アルコールを添加したお酒のなかでも吟醸酒や大吟醸酒は、華やかな香りが魅力です。
焼酎と日本酒は、飲み方も味わいも大きく異なるお酒ですが、どちらも日本らしさを象徴する「國酒」です。国内はもちろん、海外でも注目度が高まりつつあるので、この機会に両者の違いを確認しながら、それぞれの魅力に触れてみてはいかがでしょうか。