甲類焼酎の原料は何? 改めて調べてみた

甲類焼酎の原料は何? 改めて調べてみた
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甲類焼酎は、乙類焼酎(本格焼酎)のように芋焼酎や麦焼酎など原料名で分類されることがありませんが、何を原料に造られるのでしょう? 甲類焼酎の原料について調べることで、甲類焼酎の魅力やメリットが、より深く理解できるでしょう。

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甲類焼酎(連続式蒸溜焼酎)とはそもそもどんなお酒?

甲類焼酎(連続式蒸溜焼酎)とはそもそもどんなお酒?

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甲類焼酎とは連続式蒸溜で造られる焼酎のこと

「甲類焼酎」と呼ばれるのは、近代的な「連続式蒸溜」で造られる焼酎です。
焼酎はもともと、一度の原料投入につき一度だけ蒸溜を行う「単式蒸溜」で造られていました。明治の終わりに英国から導入された連続式蒸溜は、その名のとおり連続的に蒸溜を繰り返すことで、より効率的な生産を可能にするとともに、純度の高いクリアな味わいを実現。芋や麦、米など原料の風味を残した単式蒸溜による焼酎とは一線を画す味わいで、「ハイカラ焼酎」として人気を博しました。

甲類焼酎と乙類焼酎、酒税法上の分類は?

連続式蒸溜と単式蒸溜、異なる製造法で造られる焼酎は、税法上でも区分され、「新式焼酎」「旧式焼酎」と呼ばれました。
その後、昭和24年(1949年)の酒税法改正により、「甲類焼酎」「乙類焼酎」に区分されるようになりました。なお、2006年からは「連続式蒸溜焼酎」「単式蒸溜焼酎」が区分名となっています。
ちなみに「本格焼酎」とは、酒税法とは別に設けられた基準による表示で、乙類焼酎のなかでも芋、米、麦など定められた原料のみを使用し、水以外の添加物を使用しないなど、厳格な基準をクリアした焼酎だけが名乗ることができます。

甲類焼酎の原料の主体「糖蜜」とは?

甲類焼酎の原料の主体「糖蜜」とは?

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甲類焼酎の原料に関するルールを知ろう

酒税法では、甲類焼酎と乙類焼酎で原料の違いは定義されていません。ただし、焼酎全般について、ウイスキーやブランデー、ラムなど他の蒸溜酒と区分するため、「麦芽などの発芽させた穀類」「果実(なつめやしは例外)」「砂糖やハチミツなど含糖物質(黒糖は例外)」の使用は認められていません。
法律上では、甲類焼酎も乙類焼酎と同様に、芋や麦、米などを用いても問題ありません。しかし、甲類焼酎の持ち味は連続式蒸溜による無味・無臭に近いクリアな味わい。このため、糖蜜など低価格で調達できる原料を使用する場合がほとんどで、それが“リーズナブル”という甲類焼酎のもうひとつの魅力につながっているのです。

甲類焼酎の原料の主役は糖蜜

甲類焼酎の主原料となる糖蜜は、サトウキビの搾りかすで、「廃糖蜜」「モラセス」とも呼ばれます。
サトウキビは砂糖の原料となりますが、砂糖を精製したあとも、多くの糖分が残されています。これを集めたものが糖蜜として、調味料や甘味料、そしてアルコール飲料の原料に利用されます。
アルコールは糖を分解して作られますが、穀物を原料とする場合、まずはデンプン質を糖に分解する必要があります。糖蜜はもともと糖分なので、穀物原料よりも効率的に生産できます。加えて副産物なので原価も安いため、甲類焼酎の原料の“主役”となっています。

甲類焼酎の原料は意外に多彩

甲類焼酎の原料は意外に多彩

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甲類焼酎の原料は糖蜜以外もさまざま

甲類焼酎の主原料として糖蜜を紹介しましたが、どの商品も糖蜜100%とは限りません。
近年の甲類焼酎の主流は、糖蜜を原料としたクリアでピュアな焼酎に、トウモロコシや麦などを原料に樽貯蔵で熟成させた焼酎をブレンドしたもの。これにより、クリアでありながら、上品な風味も感じさせる甲類焼酎が誕生し、今日のような人気を獲得するに至ったのです。

甲類焼酎はピュアな味わいが持ち味なので、本格焼酎のように原料を意識しながら飲むことは少ないかもしれません。とはいえ、甲類焼酎の魅力を支えているのは、やはり原料や製法。これらを理解しておけば、より深くたのしめるかもしれませんね。

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