日本酒はカロリーが高いって本当? カロリーや糖質、太りやすい飲み方と太らない飲み方の違いを徹底調査
日本酒はほかのお酒よりカロリーが高くて太りやすいイメージがあるかもしれませんが、実際は焼酎などの蒸溜酒より少し高いだけで、気にするレベルではありません。ここでは、日本酒のカロリーや糖質、太りにくい飲み方のポイントなどを紹介します。
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目次
日本酒のカロリーはどのくらいなのでしょうか。太りにくい飲み方とあわせてみていきましょう。
日本酒100ミリリットル(ml)のカロリーは100キロカロリー(Kcal)程度
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日本酒のカロリーは、製法や種類、アルコール度数、算出方法によって若干異なりますが、100ミリリットルにつき、100キロカロリー+α程度です。
まずは、日本酒のカロリーをイメージしやすいよう、さまざまな角度からみていきます。
日本酒のカロリーの具体的な数値
以下は、日本酒の種類別にみた100ミリリットル中のカロリー(アルコール度数15.4度)です。
◇普通酒:約107キロカロリー
◇純米酒:約102キロカロリー
◇本醸造酒:約106キロカロリー
◇吟醸酒:約103キロカロリー
◇純米吟醸酒:約102キロカロリー
※文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)第2章(データ)をもとに算出(小数点以下四捨五入)
なお、日本酒に含まれるカロリーは、製法やアルコール度数、算出方法などによって若干異なります。
一般的な日本酒のアルコール度数は15度前後。上数値の算出に使われたものより度数が低めの商品も多いことから、この章では、日本酒100ミリリットルのカロリーを約100キロカロリーとして検証していきます。
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徳利1合のカロリーは?日本酒のカロリーを酒器別にチェック
日本酒のカロリーを認識しやすいよう、日本酒の酒器の一般的なサイズとカロリーを紹介します。
◇徳利(1合サイズ=約180ミリリットル):約180キロカロリー
◇お猪口(2勺サイズ=約36ミリリットル):約36キロカロリー
◇お猪口(3勺サイズ=約54ミリリットル):約54キロカロリー
◇お猪口(5勺サイズ=約90ミリリットル):約90キロカロリー
家飲み派の人は、愛用している日本酒の酒器の容量を量っておくとよいでしょう。何杯飲んだかで、その日のおよその摂取カロリーがわかります。
居酒屋さんで出てくるお猪口(ちょこ)や冷酒用グラスの容量は多種多様。また、升の中にグラスを入れ、日本酒をなみなみと注ぐ「もっきり(盛り切り)」は1合程度が主流ですが、こちらもお店によって容量が異なるので、注文する際に容量を確認しておくと安心です。
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100キロカロリーってどのくらい? 何分歩いたらチャラにできる?
日本酒100ミリリットルは100キロカロリーと聞いてもピンとこない人は、身近な食べ物のカロリーや運動で消費するエネルギーと比較してみるのも一手です。
身近な食べ物と比較
まずは身近な食べ物の100キロカロリー分の量をみていきましょう。
◇ご飯:75グラム弱(茶碗に半分程度)
◇食パン:6枚切り2/3枚、8枚切り1枚程度
◇牛乳:約150cc
◇パスタ:1/5〜1/6人前
◇目玉焼き:1個分
◇アイスクリーム:50グラム程度(ミニカップの半分弱)
身近な食べ物と比べると、日本酒のカロリーはさほど高くないと感じるかもしれませんね。
(参考資料)
文部科学省 食品成分データベース
運動消費カロリーと比較
日本酒100ミリリットル分のカロリーは、どのくらい体を動かせばチャラにできるのでしょうか。
(体重67キロの場合)
◇ウォーキング:時速4kmで約29分
◇ジョギング:時速8.3kmで約9分30秒
◇モップがけ:約24分
(体重54キロの場合)
◇ウォーキング:時速4kmで約35分
◇ジョギング:時速8.3kmで約12分
◇モップがけ:30分
100キロカロリーを運動で消費するのは意外に大変そうですね。
(参考サイト)
カシオ計算機|生活や実務に役立つ計算サイト「Keisan」
日本酒はお酒のなかでもカロリーが高い? ほかのお酒と徹底比較
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日本酒はカロリーが高めのお酒といわれることがありますが、ほかのお酒と比較するとどの程度高いのでしょうか。
お酒のカロリーとは? 日本酒のカロリーが高いといわれる理由がわかった!
異なるお酒を比較するにあたって、まずはお酒のカロリーの基本情報を押さえておきましょう。
お酒に含まれるアルコールは、1グラムあたり7.1キロカロリーを生じるといわれています。アルコールの量はアルコール度数が高くなるほど多くなるため、お酒のカロリーもアルコール度数が高いほど高くなります。
といっても、お酒のなかには、アルコールのほかに糖質やタンパク質などのエネルギー産生栄養素を含むものもあり、こちらのカロリーは原料や製法などによって変わってくるため、単純に比較することはできません。
ちなみに、糖質やタンパク質などのエネルギー産生栄養素を含むのは、日本酒をはじめとする醸造酒。醸造酒のカロリーは、アルコールが産生するカロリーと、糖質などのエネルギー産生栄養素のカロリーの合計で示されます。
一方、焼酎やウイスキーなどの蒸溜酒は、蒸溜の過程で糖質などの栄養素は基本的に取り除かれてしまうため、こちらはほぼお酒のカロリー=アルコールのカロリーです。
醸造酒にあって蒸溜酒に含まれない、糖質やタンパク質などのエネルギー産生栄養素は、それぞれ1グラムあたり4キロカロリーほどのエネルギーを産生します。日本酒が蒸溜酒に比べてカロリーが高いといわれる理由は、ここにあるようです。
なお、糖質とは炭水化物から食物繊維を除いたもので、「糖分」と同義ではありません。
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異なるお酒のカロリー比較には「純アルコール量」という単位を使う
醸造酒と蒸溜酒のように、異なるエネルギー産生栄養素を含み、またアルコール度数や飲み方も異なるお酒のカロリーを比較する際に役立つのが、「純アルコール量」というお酒の単位です。
純アルコール量とは、お酒に含まれるアルコール量のこと。お酒の量(ミリリットル)とアルコール度数がわかれば、アルコールの比重(≒0.8)という定数を用いてかんたんに算出できます。
酒の量(ミリリットル)× 度数または% / 100 × 比重(≒0.8) = 純アルコール量(グラム)
この純アルコール量は、厚生労働省が推奨する「節度ある適度な飲酒」の目安にも用いられる単位で、適量は20グラムとされています。以下では、純アルコール量が20グラムとなる量で、日本酒とそのほかのお酒のカロリーを比較していきます。
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蒸溜酒やワイン、ビールと日本酒のカロリーを比較
純アルコール量20グラムを基準に、日本酒をはじめとする酒類のカロリーと糖質、飲酒適正量を算出しました。
◇日本酒(普通酒):173 キロカロリー
アルコール15.4%・糖質7.9グラム・飲酒適正量162ミリリットル
◇日本酒(純米酒):165キロカロリー
アルコール15.4%・糖質5.8グラム・飲酒適正量162ミリリットル
◇日本酒(本醸造酒):171キロカロリー
アルコール15.4%・糖質7.3グラム・飲酒適正量162ミリリットル
◇日本酒(吟醸酒):166キロカロリー
アルコール15.4%・糖質5.8グラム・飲酒適正量162ミリリットル
◇日本酒(純米吟醸酒):165キロカロリー
アルコール15.4%・糖質6.6グラム・飲酒適正量162ミリリットル
◇焼酎:144キロカロリー
アルコール25%・糖質0グラム・飲酒適正量100ミリリットル
◇焼酎:144キロカロリー
アルコール35%・糖質0グラム・飲酒適正量71ミリリットル
◇白ワイン:164キロカロリー
アルコール11.4%・糖質4.4グラム・飲酒適正量219ミリリットル
◇赤ワイン:147キロカロリー
アルコール11.6%・糖質3.2グラム・飲酒適正量216ミリリットル
◇ウイスキー:146キロカロリー
アルコール40%・糖質0グラム・飲酒適正量63ミリリットル
◇ブランデー:146キロカロリー
アルコール40%・糖質0グラム・飲酒適正量63ミリリットル
◇ビール(淡色):212キロカロリー
アルコール4.6%・糖質16.8グラム・飲酒適正量543ミリリットル
◇ビール(黒):212キロカロリー
アルコール5.3%・糖質16グラム・飲酒適正量472ミリリットル
◇発泡酒:207キロカロリー
アルコール5.3%・糖質17グラム・飲酒適正量472ミリリットル
※上数値は、前出「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」のデータをもとに算出しています。
※各アルコール度数は、「日本食品標準成分表」のデータで設定されている前提条件です。
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結論:日本酒のカロリーは特別高いわけではない
日本酒のカロリーは、純アルコール量を基準に比較した場合、蒸溜酒よりも若干高めですが、ワインとはほとんど差がなく、ビールや発泡酒よりも低いことがわかります。つまり、日本酒のカロリーは特別高いわけではないということです。
170キロカロリー前後というと、コンビニのおにぎり1個分より低カロリー。少し早歩き(時速6.4km)をすれば、男性なら30分前後、女性なら36分ほど歩けば消費できるでしょう。
「日本酒を飲むと太る」は本当?
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それでは、日本酒の「太りやすい」というイメージはどこからきているのでしょうか。日本酒のカロリーを分析しながら、その理由を探ります。
日本酒の糖質は焼酎やウイスキーなどの蒸溜酒に比べて少し高め
日本酒が焼酎などの蒸溜酒に比べて太りやすいといわれているのは、糖質が含まれているからです。糖質はエネルギー源となる栄養素ですが、過剰に摂取したり、エネルギーとして消費されなかった場合は中性脂肪として蓄積されるといわれています。
といっても、「節度ある適度な飲酒」の目安である純アルコール量20グラム以内の量を守っていれば、日本酒から摂取する糖質の量は多くて8グラム程度。ご飯100グラムの糖質約35グラム、りんご100gの糖質約14グラムなど、身近な食べ物と比較しても、さほど高くはないことがわかるでしょう。
糖質制限が必要な人は、上記の数値を参考に1日の糖質量を計算してください。
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日本酒のカロリーはおもにアルコールと糖質!糖質のカロリーに注意
前述したように、日本酒に含まれるアルコールが産生するエネルギーは、1グラムにつき7.1キロカロリー。たとえば上で紹介した、「日本酒(普通酒)173キロカロリー」の場合は、
アルコールによるエネルギー:20 × 7.1=142キロカロリー
アルコール以外の成分によるエネルギー:173-142=31カロリー
となります。アルコール以外の成分とは、糖質やタンパク質などです。
アルコールのエネルギーは、糖質やタンパク質、脂質などの栄養素とは違って、体に蓄えられにくいことから、「エンプティーカロリー」などと呼ばれています。全体の70パーセント程度は体内に吸収されると熱になり、酸素消費量が増えて優先的に消費されるそう。
142キロカロリーの70パーセントといえば、約100キロカロリー。太りたくない人は、残りの約42キロカロリーと、糖質などの成分が産生する約31キロカロリーの合計73キロカロリー分をウォーキングなどの運動で消費してはいかがでしょう。
(参考資料)
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット|アルコールのエネルギー(カロリー)
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日本酒は料理と相性がよくて、食べすぎてしまうことがある
「日本酒を飲むと太る」と感じる最大の理由は、おつまみを食べすぎてしまうことでしょう。お米を主原料に造られる日本酒は、さまざまな料理と引き立て合うため、食が進みがち。いつもの料理がさらにおいしく感じられて、食べすぎてしまった結果、太ってしまうというケースが多いようです。
「日本酒は飲みたい、でも太りたくない」という人は、低カロリー・低糖質のおつまみを選ぶよう習慣づけたいものです。
日本酒の適量(飲酒適正量)を知って、健康的な飲酒を心がけよう
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厚生労働省では、「健康日本21」のなかで、通常のアルコール代謝を有する日本人の「節度ある適度な飲酒」は1日平均純アルコールで20グラム程度としています。
この数値を基準に、本記事では日本酒やほかのお酒のカロリーや糖質、飲酒適正量を紹介しましたが、「純アルコール量20グラム程度」はすべての人にとっての適量というわけではありません。
たとえば、厚生労働省では、「節度ある適度な飲酒」として、以下のことに留意するよう促しています。
出典 https://www.mhlw.go.jp1)女性は男性よりも少ない量が適当である
2)少量の飲酒で顔面紅潮を来す等アルコール代謝能力の低い者では通常の代謝能を有する人よりも少ない量が適当である
3)65歳以上の高齢者においては、より少量の飲酒が適当である
4)アルコール依存症者においては適切な支援のもとに完全断酒が必要である
5)飲酒習慣のない人に対してこの量の飲酒を推奨するものではない
お酒の適量は人それぞれ。自分に合った量を見極め、健康的にたのしみたいものです。
(参考)
厚生労働省「健康日本21(アルコール)」
日本酒のカロリーは、ほかのお酒と大きく異なるわけではありませんが、料理との相性がよすぎる分、おつまみを食べすぎてしまう傾向があります。末長く日本酒をたのしめるよう、おつまみの種類や飲酒量を見直してみてはいかがでしょうか。