枡酒(ますざけ)とは? 枡で飲む理由や容量、スマートな飲み方も徹底解説!

枡酒(ますざけ)とは? 枡で飲む理由や容量、スマートな飲み方も徹底解説!
出典 : kitsune05 / Shutterstock.com

枡酒とは、枡に入れた日本酒のこと。枡に入れて売るお酒という意味もあります。今回は、枡酒の概要、枡で日本酒を飲む理由、枡酒と「升酒」の違い、枡が使用されることもある「もっきり」について、枡の種類、枡酒のスマートな飲み方などについて紹介します。

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はじめに枡酒の概要からチェックしていきます。

枡酒とは、枡に入れた日本酒のこと

枡酒は枡に入れた日本酒

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枡酒(ますざけ)とは、枡に入れた日本酒のこと。枡に入れて販売するお酒を指す場合もあります。

液体や穀物などの分量をはかる容器の枡を酒器として使い、枡のなかに日本酒をなみなみと注いで飲む機会は、今の時代、あまりないかもしれません。しかし、枡酒には多くの魅力があります。以下で紹介していきましょう。

日本酒を枡で飲む理由

日本酒を枡で飲む理由

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枡で日本酒を飲む理由のひとつには、縁起のよさが挙げられます。枡の「ます」という読みが、「福が増す(ます)」「家業がますます繁盛する」といった縁起のよい言葉を連想させるため、新年の振る舞い酒や結婚式などお祝いの席で枡酒が飲まれているのです。

また、ひのきなどを材料とする木製の枡で日本酒を飲むと、木のよい香りを感じることができます。国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所によると、ひのきや杉で作られた枡に日本酒を注いだときの香りには、気分を安らかにしたり華やかさを感じさせたりする効果もあるようです。

木のよい香りをたのしむだけでなく、心身を癒やす可能性もある枡酒をぜひ試してみてくださいね。

枡酒と「升酒」に違いはあるの?

枡と升の違い

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「枡に入れた日本酒」あるいは「枡に入れて販売するお酒」という意味では、枡酒と「升酒(ますざけ)」に違いはありません。

ちなみに、「升」は中国大陸から伝わった漢字で、尺貫法の容量の単位に使われたり、「昇」という漢字と同じ「のぼる」という意味や「世の中がよく治まる」という意味で使われたりします。

一方、「枡」は日本で作られた国字で明確な字源は存在しませんが、単位と容器を区別するために作られたと推測されます。木へんを付していることから、もともとは木製の容器であったことが伝わりますよね。

「升」が常用漢字なのに対して、「枡」は常用外漢字。官公庁が発信する文書やサイトでは、「升」が使われることが多いようです。

居酒屋で提供される「もっきり」はグラス酒、それとも枡酒?

もっきりと枡酒の関連性

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「もっきり」で提供された日本酒のうち、グラスに入っているお酒は「グラス酒」、グラスを置いた枡のなかにあふれたお酒は「枡酒」と考えてよいでしょう。

そもそも「もっきり」とは、枡のなかや小皿の上に置いたグラスに、なみなみとあふれさせてお酒を注ぐ、日本酒の提供スタイルのことです。

居酒屋さんではおなじみとなっていますが、「もっきり」スタイルで出されたお酒をどう飲めばよいか、悩むこともあるかもしれません。「もっきり」のスマートな飲み方については以下の記事で詳しく紹介しているので、参考にしてみてください。「もっきり」の語源などの情報も掲載されています。

枡酒の枡には種類があるの?

枡酒の枡の種類

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枡酒で使う枡には、さまざまなサイズがあります。また、材質や加工方法の違いにより、木目が見える「木枡」と塗りが施された「塗り枡」の2種類に大別されます。

枡酒で使う枡は一合枡が主流

枡酒を飲むときに使う枡は、一合枡が主流です。

枡にはさまざまなサイズがあります。ある枡専門店のサイトには、内容量54ミリリットルの小さな「三勺枡」から、内容量5,400ミリリットルのかなり大きな「三升枡」まで多彩なサイズが掲載されています。

なかでも、内容量180ミリリットルの一合枡は、もっともよく使われるサイズの枡です。

なお、枡のサイズでも使用されている「勺(シャク)」「合(ゴウ)」「升(ショウ)」はいずれも尺貫法の体積の単位。とりわけ「合」と「升」は、「一合枡」「一升瓶」など日本酒の酒器や容器に使われることが多い単位です。以下の記事には尺貫法の詳しい説明があります。

枡酒に使われる塗りの枡

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ひのき製の枡のほか、塗りの枡などもあり

枡には、大きく分けて「木枡」と「塗り枡(塗枡)」の2種類があります。

「木枡」は、ひのきや杉などで作られる木製の枡で、木目が見えているのが特徴です。

「塗り枡」は塗りを施したもの。プラスチックの一種であるABS樹脂で作った枡にウレタン塗装したもののほか、木製で漆塗り(うるしうぬり)の高価なものなどもあります。

塗り枡の多くは、外側が黒、内側が赤く塗られていて、華やかさや高級感があります。

枡酒のスマートな飲み方は?

枡酒の飲み方

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枡酒は、親指以外の両手の指で枡を下から支えて持ち、縁から飲むのがスマートな飲み方といえます。

まずは枡の持ち方からチェック!

枡は上述のとおり、親指以外の両手の指で枡を下から支えて持ちます。このとき両手の親指を、上の縁にのせるようにするとバランスが取れて、よりスマートに映ります。

枡にはたっぷりお酒が注がれていることが多いので、枡を上からわしづかみしたくなるかもしれませんが、スマートな持ち方とはいえないので気をつけましょう。

いよいよお酒飲む際には、角からではなく縁から飲むのが正しい飲み方とされています。とはいえ、縁から飲もうとするとお酒がこぼれやすくなるため、下唇を縁につけて、大きな音が立たないようにそっとすすって飲んでみましょう。

正しさを優先するなら縁から、飲みやすさ、こぼれにくさを考慮するなら、持ちやすいように枡を手に取って角から飲むほうがよいといえます。TPOに応じて飲み方を使い分けるのもスマートな飲み方かもしれませんね。

枡酒は塩をつまみに飲むのもおすすめ

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枡酒は塩をつまみに飲んでみよう

枡酒のおすすめの飲み方といえば、塩をつまみに飲むこと。枡の角に塩を盛って、なめながらお酒を味わいます。

日本酒には、味覚を構成する甘味、酸味、苦味、旨味、塩味の「五味」のうち、塩味以外のすべてが含まれているといわれています。塩をつまみに日本酒を飲めば、足りなかった塩味が補われるため、お酒がいっそうおいしく感じられるのです。

また、塩をつまみにすることで、日本酒の甘味や旨味が引き立てられることもあり、塩は昔から酒のつまみとされてきました。

海水を煮詰めたものや岩塩など、塩にもさまざまな種類があります。塩に合わせて日本酒の種類を変えてみたり、同じお酒を飲んでいる途中で塩の種類を変えてみたりして、枡酒+塩の飲み比べをたのしみましょう。

おちょこ、ぐい呑み、グラスなど、日本酒を飲むときに使う酒器にはいろいろな種類があり、近年ではワイングラスも使われるようになりました。そうしたなか、枡を使う枡酒も根強く支持されています。たとえば、枡の生産が盛んな岐阜県大垣市の養老鉄道などでは「枡酒列車」を企画。好評を博しています。チャンスがあればぜひ乗車を検討してみてくださいね。

(参考)
養老鉄道株式会社|企画列車「枡酒列車」を運転します! ~イラストレーターさんとのコラボも始めます~

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