ビールのアルコール度数はどのくらい?他のお酒との比較や高アルコールビールも紹介!
ビールのアルコール度数はどのくらいが一般的かご存じですか?今回はビールのアルコール度数に注目して、他のお酒と比較しながら、アルコール度数による味わいの違いや「高アルコールビール」の銘柄まで紹介します。
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目次
ビールのアルコール度数は?
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日本で発売されている一般的なビールのアルコール度数の平均は、4.5~5%程度です。より飲みごたえを追求した「ストロング」などと謳われているビール類もありますが、高くても7~9%程度で、じつは飛び抜けて高いわけではありません。
海外では、これよりも高アルコールのビールも多くありますが、日本の消費者にはアルコール度数が比較的低く、後味のスッキリしたビールが好まれる傾向にあるようです。
ビールと似たような味わいを持つお酒・飲料についても確認すると、発泡酒や第三のビールの平均的なアルコール度数は、ビールとそれほど変わらず4~5%ほど。また、近年の低アルコールに対する需要の高まりから誕生したビアテイスト飲料のなかには、0.5%のものもあります。
発酵時の糖度によって変わるアルコール度数
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ビールは、一般的に「麦芽」「ホップ」「水」に酵母を加え、発酵させて造ります。これに加えておもにビールの味を調整するために、政令で定められた物品(米、とうもろこしほか)が副原料として使用されることもあります。
ビールのアルコール分は、麦汁に酵母を加えて発酵させる工程で生まれます。発酵がうまく進むと、麦汁中の糖を酵母が分解して炭酸ガスとアルコールが生成されていき、ビールらしさが生まれます。
一般的にビールのアルコール度数は、麦汁に含まれる糖の濃度によって決まります。発酵させる際の糖の濃度が高いほど、酵母の働きが活発になってアルコールの濃度が高まるのです。逆に麦汁濃度が低ければ、アルコール度数が低めのビールに仕上がりやすくなります。このほか、発酵の進み具合や、熟成の長さなどもアルコール度数に関係しているといわれています。
ただし、日本の酒税法で、酒類は「アルコール分1%以上の飲料」、ビールのアルコール度数は「20度未満」と定義されているため、この基準以内でなければビールと名乗ることはできません。
アルコール度数によって変わる味わい
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ビールの味わいには、アルコール度数も関係しています。その傾向と、ほかのお酒のアルコール度数も確認しましょう。
アルコール度数の違いによる味わいの傾向
アルコール度数の違いはビールの味わいにも影響します。一般的にはアルコール度数が高いと飲みごたえのある味になり、アルコール度数が低いとスッキリした味になるといわれています。
ただ、一般に流通しているビールのアルコール度数は5%前後がボリュームゾーンで、高くても9%ほどで大差はありません。味わいもそれほど違いはなさいように思われそうですが、メーカーごとのこだわりや創意工夫により、多彩な味わいのビールが生み出されています。
ほかのお酒のアルコール度数
日本で一般的に流通しているビールと、ほかのお酒の平均的なアルコール度数を比較してみましょう。
一般的な日本酒は約13~15%(原酒は16~20%)、ワインは約12~15%、焼酎は約25~35%、ウイスキーやブランデーなどは40%前後 、ラムやウォッカなどのスピリッツには40%や60%を超えるものが多数あります。
アルコール度数5%のビールと比べると、日本酒やワインのアルコール度数はビールの約3倍、ウイスキーやブランデーは約8倍。アルコール度数96%のウォッカ「スピリタス」ともなれば、約19倍もの差があります。
こうして比較してみると、アルコール度数が低めの日本のビールは、アルコール初心者にとって始めやすいお酒といえるかもしれません。
「もの足りない」を解消する高アルコールビール
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日本ではアルコール度数が低めで飲みやすいビールが主流ですが、なかには「もの足りない」と感じる人もいるかもしれません。このようなニーズを受けて生まれたのが、「高アルコールビール」です。
高アルコールビールは大きく2種類に分類されます。
ひとつは「ストロングビール」と称する高アルコールビール類。前述したとおり、日本のストロングビール(第3のビール/新ジャンル)の平均度数は約7~9%と、平均的なビールの度数よりも高くなっています。なお、こういったストロング系のビールテイスト飲料は、醸造工程でアルコール度数の高いスピリッツ(蒸溜酒)を加えて造られることが多いようです。
もうひとつはベルギーやドイツなどの伝統的製造法で造られる高アルコールビール。「オールドエール」や「バーレイワイン」といったビアスタイル、そしてアメリカで拡がったIPAから派生したW-IPAといったビアスタイルが例に挙げられます。ワインのように熟成に時間をかけることで、豊かな風味と麦の甘味が引き出されたものが多くあるのが特徴です。
飲んでおいしい高アルコールビールをおすすめ
ここでは、日本で造られている高アルコールビールの銘柄をいくつか紹介します。一般的なビールとぜひ飲み比べてみてください。
「やばいやばい ストロングスコッチエール」ワインのような重みが特徴
合資会社ベアード・ブルーイングサイト
静岡県の人気クラフトブルワリー、ベアードビールが造る「やばいやばい ストロングスコッチエール」は、アルコール度数8%の高アルコールビール(季節限定商品)。「スコッチエール」は、スコットランドのエディンバラで開発されたビアスタイルです。
フルボディのワインのような重厚な味わいがあり、口に含むと高アルコールビール特有の熱さを感じます。ほのかな酸味を伴う余韻が、長く続くのが魅力です。
製造販売元:合資会社ベアード・ブルーイング 「ベアードビール」
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「プレミアムロック・ボック」麦芽の味わいが堪能できる
「八ヶ岳ビール タッチダウン」公式ショップ
「プレミアムロック・ボック」は、山梨県のクラフトビールメーカー・八ヶ岳ブルワリーが造る、アルコール度数7%の高アルコールビール。「ボック」は、ドイツのアインベック生まれのビアスタイルです。
厳選した麦芽やホップをふんだんに使用し、長期熟成を行うことで、コクと旨味が濃厚な奥行きのあるビールに仕上げられています。
飲み口が小さいチューリップ型のグラスで飲むと、よりこのビールの風味を堪能できます。
製造販売元:萌木の村株式会社 八ヶ岳ブルワリー
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「サミクラウス」クリスマスに飲みたい長期熟成ビール
日本ビール株式会社サイト
オーストリアの長期熟成ビール「サミクラウス」は、クリスマスシーズンにうってつけの高アルコールビール。「サミクラウス」はスイスの方言でサンタクロースを意味します。
アルコール度数は約14%。長期熟成によるとろけるような甘味やクリーミーでなめらかな口当たりが特徴で、アルコール度数の高さを感じさせない飲みやすさが魅力です。
ワインセラーなどで10年間の瓶内熟成が可能で、おおよそ5年くらいが飲みごろといわれています。
輸入元:株式会社 廣島
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販売元:日本ビール株式会社サイト
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「箕面(みのお)ビール W-IPA」リッチなストロングエール
株式会社箕面ビールサイト
大阪のクラフトビールメーカー、箕面ビールが造る「箕面ビール W-IPA」は、通常の2.5倍のモルトとホップで造られた贅沢な高アルコールビール。アルコール度数は9%です。
アメリカンホップの爽やかなアロマと、モルト由来の濃厚なフレーバー、ビール好きをうならせる苦味が、見事に調和しています。ウイスキーなどハードリカーを嗜む人にもおすすめ。あまり冷やさずに飲んでもおいしいビールです。
販売元:株式会社箕面ビール
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「栗黒(くりくろ) KURI KURO Dark Chestnut Ale」宮崎産和栗の風味がマッチ
宮崎ひでじビール株式会社サイト
宮崎県延岡市のクラフトビールメーカー、宮崎ひでじビールの「栗黒」はアルコール度数9%の高アルコールビール。ビアスタイルは「スタウト」ですが、副原料に宮崎県産の栗のペーストを加えることで、和栗由来の上品な香りと濃厚なコクがたのしめる黒ビールに仕上げられています。ラベルに、延岡市の文化財である能面がプリントされているのも特徴。
「栗黒」は長期熟成ビールのため、賞味期限の設定がありません。瓶内で数か月から数年熟成させると、まろやかさと重厚さがさらに増します。
製造販売元:宮崎ひでじビール株式会社
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ビールの純アルコール量の計算方法
Syda Productions/ Shutterstock.com
日本のビールのアルコール度数は低めだといっても、飲みすぎるのはよくありません。適切な量を守ってたのしむために、ビールに含まれるアルコール分を計算する方法を知っておきましょう。
ビールに含まれる純アルコール量は、以下の計算式で算出できます。
純アルコール量=ビールの量 × アルコール度数(%)※× 0.8(アルコールの比重)
※アルコール度数(%)は小数に変換して計算。例)5% → 0.05
たとえば、アルコール度数5%の500ミリリットル、350ミリリットルのビールで計算すると、以下のようになります。
500ミリリットル×0.05×0.8=20グラム
350ミリリットル×0.05×0.8=14グラム
なお、厚生労働省が推進する「健康日本21」では、成人男性の「節度ある適度な飲酒量」の目安として、1日あたりの純アルコール量は約20グラムに設定されています。女性は、女性ホルモンの影響を受けて肝機能障害になりやすいといわれているため、これよりも少ない10~13グラム以下にするのがベターです。
厚生労働省サイト 健康日本21(アルコール)
これを基準とすると、アルコール度数5%のビールは、男性なら1日あたり500ミリリットル缶1本以内、女性なら350ミリリットル缶1本は飲みすぎということになります。
ただしこれはあくまで目安なので、お酒に弱い人や体調が優れない場合などは、飲酒量を控えるようにしてください。
日本のビールは海外と比べるとアルコール度数が低めですが、幅広い需要に応えるために、より低アルコールのものから20度未満の高アルコールビールまで開発が進んでいます。適度な量を守り、さまざまな度数のビールをたのしんでみてはいかがでしょう。