ワインのアルコール度数はどれくらい? ワインによって違うのはなぜ
ワインのアルコール度数は一般的に12%前後が主流ですが、種類によって様々です。その違いは原料となるブドウの糖度が大きく関係しており、ブドウの糖度が高いほど発酵をすすめることができ、アルコール度数も高くなる傾向にあります。
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ワインのアルコール度数はどれくらい?
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ワインのアルコール度数の目安は?
厚生労働省の発表によると、ワインのアルコール度数の目安は約12%とされていますが、なかには平均よりもアルコール度数の高いワインや低いワインもあります。
ワインを種類別に見てみると、非発泡性のスティルワインは9~15%、スパークリングワインは11~12%、醸造過程でアルコールを加えるシェリーやポートワイン、マディラなどの酒精強化ワインは15~22%くらいがそれぞれの平均的なアルコール度数といわれていますが、当然、これらは目安で、銘柄によってアルコール度数はさまざまです。
ワインのアルコール度数には幅があるので、購入する際にはボトルの裏ラベルを確認してみるとよいでしょう。
ワインのアルコール度数は酒類のなかで高い?
ワインのアルコール度数は、ほかのお酒と比べて高いのか低いのか、気になる人もいるはず。
厚生労働省が提示するおもな酒類のアルコール度数の目安は、以下のとおりです。
◇ビール:5%
◇ワイン:12%
◇清酒:15%
◇焼酎(35度):35%
◇ウイスキー・ブランデー:43%
一概にはいえませんが、酒類のなかでは、ワインのアルコール度数は中程度から低めくらいといえます。
ワインによってアルコール度数に高低差がある理由
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ワインのアルコール度数はブドウの糖度によって差が出やすい
ワインのアルコール度数に影響する要素のひとつとして、ブドウの糖度が挙げられます。ブドウの糖度には、品種と産地が関係しています。その理由を見ていきましょう。
【ブドウの品種が糖度に影響する理由】
ワインは、ブドウの果汁に酵母を加え、アルコール発酵させることで完成するお酒です。酵母にはブドウの果汁に含まれる糖を分解してアルコールを生成する働きがあり、エサとなる糖が多いほど発酵が進みます。
そのため、糖度の高い品種(ブドウ)で造ればアルコール度数が高くなりやすく、糖度が低い品種を使えばアルコール度数が低くなりやすいといわれています。
【ブドウの糖度に産地が影響する理由】
ブドウの糖度は、栽培される土地の気候や日照時間によっても変わってきます。温暖で日照時間が長い地域では糖度が高くなり、涼しく日照時間の短い地域では糖度が低くなる傾向にあるのです。
つまり、品種の違いだけでなくブドウの産地やその年の気候の違いも、ワインのアルコール度数の高低差に関係しているといえます。
発酵方法や収穫時期もワインのアルコール度数を左右する
ワインのアルコール度数には、発酵方法(発酵させる量)や収穫時期も関わっています。どのように関係しているのか、見ていきましょう。
【発酵方法が影響する理由】
一般的に、赤ワインを造るときは、ブドウの果汁に含まれるすべての糖をアルコール発酵させるのに対し、白ワインを造るときは、赤ワインよりも低温で発酵させ、糖が残った状態で発酵を止める場合が多いです。赤ワインのほうが白ワインよりもアルコール発酵させる量が多いため、アルコール度数が高くなる傾向にあります。
【収穫時期が影響する理由】
収穫時期を1週間以上遅らせる「遅摘み」という手法をとると、ブドウの果実に糖分が凝縮されます。糖度の高いブドウの果汁を発酵させることで、アルコール度数の高いワインが造れます。
ちなみに、「遅摘み」はもともと甘口ワインを造るための手法でしたが、近年はアルコール度数を高めることを目的に用いられることも増えているようです。
度数が高いワイン・低いワインのおすすめ銘柄
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アルコール度数が高いことで知られるワイン
アルコール度数の高いものから低いものまで、世界にはさまざまなワインがあります。ここではまず、アルコール度数が高めのワインを紹介します。
【伝統製法で造られるアマローネ】
イタリア北部のヴェネト州で造られる高級辛口赤ワイン「アマローネ」は、かつては王侯貴族のみが味わえたという希少なワインです。収穫後に陰干しして糖度を高めたブドウを使用するため、アルコール度数は15~16%と高め。独特な苦味を持つ濃厚な味わいと豊かな香りが魅力で、世界中のワイン愛好家に愛されています。
アマローネの生みの親とされる、ドミーニ・ヴェネティの「アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ」などが有名です。
【シラーズ種のワイン】
オーストラリアのシラーズ種で造られる赤ワインも、アルコール度数が高いことで知られています。たとえば、世界的な評価を得ているワイナリー、モリードゥーカーが造る赤ワイン、「ザ・ボクサー」のアルコール度数は16.5%程度です。
アルコール度数が低いことで知られるワイン
近年はアルコール度数の低いワインにも注目が集まっています。ここでは、低アルコールワインを紹介します。
【モスカート種の白スパークリングワイン】
「モスカート」とはマスカットのことで、さわやかな香りと甘さが魅力です。数あるなかでも、イタリア北部のピエモンテ州で造られる甘口の白スパークリングワイン「モスカート・ダスティ」が有名。微発泡のため飲みやすく、アルコール度数も5~7%と低めのため、ワイン初心者にもおすすめのワインといえるでしょう。
とくに、サンテロ社の弱発泡性ワイン「ドゥエ!!」は、アルコール度数2%とかなり低く造られています。
【リースリング種の白ワイン】
シャープな酸味と豊かな果実味が魅力のリースリング種は、フランスのアルザス地方やオーストリアなどでも栽培されていますが、とくにドイツ産のリースリング種で造られる白ワインはアルコール度数が約7~8%と低めな傾向にあります。
リースリングワインとして、ドイツ・モーゼルの老舗、シュタッフェルター・ホフが造る「リースリング・トロッケン」などが知られています。
ワインのアルコール度数は、ブドウの品種や産地、醸造方法、収穫時期などによって違ってきます。アルコール度数が高いワインにも低いワインにもそれぞれに魅力があるので、飲み比べて味わいの違いを確認してみるのもたのしいですよ。