【ワインの造り方】意外とシンプルなワイン造りの工程を解説

【ワインの造り方】意外とシンプルなワイン造りの工程を解説
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ワインの作り方をしっかり説明できる人は、どれくらいいるでしょう? じつは、ワインの作り方は、日本酒やビールなど、ほかのお酒と比べると単純な工程で作られています。ここでは、基本的なワインの作り方を、赤・白・ロゼ・スパークリングワインといった種類別に紹介します。

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ワインの作り方と工程はとてもシンプル

ワインの作り方と工程はとてもシンプル

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工程が単純なワイン作りでは、ブドウの品質が鍵になる

ワインは、ほかの酒類と比べて、とてもシンプルな手順で作られます。ワインの原料となるブドウには、アルコール発酵のもととなるブドウ糖が多く含まれているため、あまり手を加えなくても、自然にお酒へと変化するためです。
工程がシンプルだからこそ、ワインの仕上がりはブドウの品質に大きく左右されます。「ワイン作りは8割までブドウで決まる」と言われるのは、そうした理由からなのですね。

ワインの作り方と基本的名な工程をおさらい

ワインの作り方について、基本的な工程の流れをざっくりと説明しましょう。
まず、ワインの原料となるブドウを粉砕、もしくは圧搾し、果汁をアルコール発酵させます。
発酵が終わると、樽やタンクに詰めて熟成させ、ろ過して濁りを除いたワインを瓶詰めすれば完成です。とは言え、ワインは瓶内でも熟成が進むので、本当の意味で完成を迎えるのは、開栓してグラスに注ぎ、口にする瞬間とも言えるのかもしれません。

赤ワイン・白ワインの作り方と工程の違いとは?

赤ワイン・白ワインの作り方と工程の違いとは?

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赤ワインと白ワインは作り方で分類される

ワインの作り方は、ワインの種類によって異なります。ごく大まかに言えば、黒ブドウを原料に、果汁だけでなく果皮や種を一緒に漬け込んで作るのが赤ワイン。白ブドウを原料に、果汁のみを発酵させて作るのが白ワインです。ただし、黒ブドウを原料にした白ワインもあるなど、例外もあります。
では、赤ワインと白ワイン、それぞれの作り方を詳しく見ていきましょう。

【赤ワインの作り方と工程】

赤ワインの一般的な作り方は、収穫した黒ブドウを破砕して果梗を取り除いた(果汁と果皮と種が混ざった)状態でタンクに入れ、5~15日かけてアルコール発酵させます。
この間、果皮や種から色素や渋味、香りが抽出されますが、これを「マセラシオン」と言います。
アルコール発酵とマセラシオンが完了したら、乳酸菌の働きにより酸味を和らげる「マロラクティック発酵」を行います。発酵が完了したら、樽やタンクで熟成させます。

【白ワインの作り方と工程】

白ワインの一般的な作り方は、まずはブドウを圧搾して得られた果汁を低温で数時間置き、不純物を沈殿させる「デブルバージュ」という作業を行います。その後、上澄みの果汁に酵母を加え、アルコール発酵させます。
一部の白ワインでは、この発酵後に「マロラクティック発酵」を行う場合や、熟成中に撹拌して澱に含まれる旨味成分を抽出する「バトナージュ」を行う場合もあります。

ロゼワインの作り方と工程

ロゼワインの作り方と工程

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ロゼワインの作り方はおもに3種類

ロゼワインの作り方として、よくある誤解が「赤ワインと白ワインを混ぜる」というもの。美しいピンク色からの連想でしょうが、じつは、この製法は「伝統的な製法を脅かす」という理由から、シャンパーニュを除きEUでは禁止されています。
ロゼワインの作り方は、「セニエ法」「直接圧搾法」「混醸法」の3種類が主流です。それぞれ簡単に説明しましょう。

【セニエ法】

赤ワイン用の黒ブドウの果汁を果皮や種とともにタンクに入れてマセラシオンし、薄く色づいたところで上澄みの果汁のみを発酵させます。

【直接圧搾法】

赤ワイン用の黒ブドウを使い、白ワインのように果汁だけで発酵させます。ロゼの色は、搾汁の際に果皮のアントシアニンが果汁に若干混ざることでもたらされます。

【混醸法】

黒ブドウと白ブドウが混ざった状態で赤ワインと同様に発酵させるやり方で、おもにドイツで見られる製法です。

ロゼワインと並んで注目されるオレンジワインの作り方とは

近年では、ロゼワインと並び、ややオレンジがかった色をしたオレンジワインも注目されています。
オレンジワインは、原料に白ブドウを使いながら、赤ワインのように果皮や種を一緒に漬け込んで発酵・醸造します。
ちなみに「オレンジワイン」という名称は2000年代になって登場しましたが、その製法自体は古くから存在し、一説には“世界で最古”とも言われています。

スパークリングワインの作り方と工程

スパークリングワインの作り方と工程

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スパークリングワインの作り方は国や地域によって異なる

スパークリングワインの作り方は、国や地域によって、さまざまな手法があります。大きく分けると、ワインに糖分と酵母を加えて二次発酵させて生じた炭酸ガスを瓶内に封じ込める方法と、炭酸ガスをワインに直接吹き込む方法の2種類になります。
前者の製法は、作業工程の違いによってさらに4つに分けられます。シャンパーニュなどに用いられる「トラディショナル方式」、ガイヤックなどに用いられる「メトード・リュラル」、ゼクトなどに用いられる「トランスファー方式」、スプマンテなどに用いられる「シャルマ方式」で、それぞれの違いを飲み比べてみるのもワインのたのしみですね。

赤・白・ロゼにスパークリングといった多彩なワインは、それぞれ多様な製法を駆使して作られます。どの工程も基本的にシンプルですが、いずれもブドウそのものの魅力を最大限に引き出す工夫がされているのですね。

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