山梨の焼酎【武の井(たけのい):武の井酒造】八ヶ岳南麓の老舗蔵が手掛ける純米焼酎

山梨の焼酎【武の井(たけのい):武の井酒造】八ヶ岳南麓の老舗蔵が手掛ける純米焼酎
出典 : 武の井酒造株式会社サイト

「武の井」は、山梨県側の八ヶ岳(やつがたけ)のふもとにある、武の井酒造の焼酎銘柄です。日本酒と焼酎をともに主力としてきた蔵元は、近年は花から分離した「花酵母」を使う酒造りに力を入れています。蔵元が手掛けるほかの焼酎銘柄も含め、「武の井」の魅力に迫ります。

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「武の井」は八ヶ岳のふもとで造られている焼酎

武の井酒造株式会社公式フェイスブック

「武の井」を造る蔵元・武の井酒造を紹介します。

「武の井」を造る蔵元は?

「武の井」は、山梨県北杜市の武の井酒造で造られている焼酎です。

武の井酒造は、江戸時代末期の慶応年間に創業した老舗蔵。長年にわたり、普通酒を中心とする日本酒と焼酎の2本柱で酒造りを行ってきました。6代目蔵元・清水元章氏のもと、そのいとこの清水紘一郎氏が日本酒杜氏を、紘一郎氏の弟・大介氏が焼酎杜氏を務める現体制になって以降は、特定名称酒など付加価値の高い商品を中心とするラインナップとなっています。

現在、日本酒は「青煌(せいこう)」と焼酎と同名の「武の井」の2大ブランドで展開、焼酎には「武の井」のほか、「八ヶ岳の舞」や「太陽の恵み。」といった銘柄があります。

「武の井」の名の由来とは

「武の井」は、長野県から山梨県にかけ、2,500メートル級の山々が連なる八ヶ岳のふもとで造られています。付近一帯は八ヶ岳を源とする水に恵まれ、「八ヶ岳南麓高原湧水群」として環境省選定の名水百選にも選出されています。

この良水は、武の井酒造の酒造りに使われているだけでなく、焼酎「武の井」をはじめ、蔵元の社名や日本酒のブランド名にも冠されている「武の井」の由来ともなっています。「武の井」とは、創業者である清水武左衛門氏の名から取った「武」と、良水が湧く井戸の「井」を組み合わせたものなのです。

「武の井」の蔵元は焼酎にも花酵母を使用

Artush/ Shutterstock.com

武の井酒造が現体制になってから使用している「花酵母」について紹介します。

武の井酒造の兄弟杜氏は東京農業大学出身

武の井酒造の酒造りを担っている、日本酒杜氏の清水紘 一郎氏と、焼酎杜氏を務める紘一郎氏の弟の大介氏は、2人とも東京農業大学で酒造りを学んでいます。

東京農業大学には応用生物科学部醸造科学科(旧農学部醸造学科)があり、全国の蔵元の当主や杜氏のなかにも卒業生が数多く存在しています。

武の井酒造が使う「花酵母」とは

武の井酒造の日本酒杜氏・焼酎杜氏である清水兄弟が、東京農業大学で研究していたのが「花酵母」です。

花酵母とは、さまざまな花など自然界から分離培養された新しい優良清酒酵母の総称です。東京農業大学短期大学部醸造学科酒類学研究室の中田久保教授が、花酵母を分離する方法を確立しました。

その特徴は、日本酒の香味の個性をより増幅させること。ナデシコやツルバラなどから、それぞれ違った香りや味わいを生む花酵母がたくさん誕生しています。

花酵母を使用して個性のある高品質なお酒を造ろうと、東京農業大学の卒業生を中心に全国の蔵元が集まって設立されたのが花酵母研究会です。

武の井酒造の2人の杜氏もこの研究会に所属。日本酒のみならず焼酎造りにも、ナデシコ・シャクナゲ・ヒマワリ・アベリアなどの花酵母を使い、個性あふれる銘柄を造り続けています。

「武の井」の蔵元の焼酎銘柄を紹介

武の井酒造株式会社公式インスタグラム

「武の井」をはじめとする、武の井酒造の焼酎銘柄を紹介します。

武の井

武の井酒造株式会社提供

武の井酒造の社名を冠した焼酎銘柄「武の井」は本格焼酎シリーズで、山梨県産の米を使った純米焼酎がラインナップされています。

「武の井」は単式蒸溜機で造られる本格焼酎のなかでも、原料由来の香味がより反映される「常圧蒸溜」という方法で蒸溜されています。昔ながらの味わいを持つ20度、25度のほか、樫樽で7年以上も熟成させた35度の長期熟成焼酎や、花酵母を使用して醪(もろみ)を造り、蒸溜して最初に出てくる「初垂れ(はなたれ)」だけを集めたものなどもそろっています。

八ヶ岳の舞

武の井酒造株式会社提供

武の井酒造の「八ヶ岳の舞」は4合瓶(容量720ミリリットル)限定のシリーズ。蒸溜には、戦前から使用されている単式蒸溜機が使用されています。焼酎「武の井」同様に純米焼酎ですが、こちらは常圧蒸溜ではなく、すっきりしたキレのある味わいになるといわれる「減圧蒸溜」で造られます。

また、このシリーズには花酵母のひとつのナデシコ酵母が使われています。ナデシコ酵母の特徴は、洋ナシを思わせるフルーティーな香りとバランスのよいふくよかな味わい。「八ヶ岳の舞」シリーズでも、ナデシコ酵母由来の吟醸香と、米の旨味がしっかり感じられます。

太陽の恵み。

武の井酒造株式会社提供

武の井酒造が手掛ける焼酎「太陽の恵み。」シリーズには、違う種類の花酵母が使われている3つの商品がラインナップされています。アルコール度数はすべて25度。「減圧蒸溜」ならではの軽やかですっきりとした味わいと、花酵母に由来する香りが特徴です。

【太陽と石楠花(しゃくなげ)の恵み。】
バナナのような甘くフルーティーな香りとしっかりした味わいが特徴のシャクナゲ酵母を使用。

【太陽と向日葵(ひまわり)の恵み。】
フレッシュな果実を想わせる香りと、さわやかな清涼感のある飲み口が特徴のヒマワリ酵母を使用。

【太陽とアベリアの恵み。】
果実酒のような甘くフルーティーな香りとバランスが取れた味わい、後口にキレのよさを感じさせるアベリア酵母を使用。


武の井酒造には個性的なたくさんの焼酎がラインナップされています。花酵母による香味の違いを飲み比べてみるのもおすすめですよ。


製造元:武の井酒造株式会社
公式サイトはこちら

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