「八重椿(やえつばき)」こだわりの原材料で造る八丈島酒造の本格ブレンド焼酎【東京の焼酎】
「八重椿」は、伊豆諸島の八丈島で造られている焼酎です。八丈島では江戸時代の終わりから焼酎が造られてきました。伝統的な製法を守る蔵元の八丈島酒造が、原材料からこだわって造る焼酎「八重椿」。八丈島の紹介なども含めて、その魅力に迫ります。
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焼酎「八重椿」は八丈島生まれの「島酒」
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東京の焼酎「八重椿」のふるさと八丈島の特徴と、「島酒」のルーツから見ていきましょう。
「八重椿」が造られている八丈島とは
「八重椿」は、東京都の伊豆諸島・八丈島で造られている焼酎です。
八丈島は、都心から約290キロメートル南の太平洋上に浮かぶ火山島。北西に伊豆諸島の最高峰・標高約854メートルの西山(八丈富士)、南東に円形のカルデラを持つ標高約700メートルの東山(三原山)がそびえる、ひょうたんのような形をしています。
「東洋のハワイ」とも呼ばれる八丈島の気候は、島のそばを流れる暖流・黒潮の影響もあり高温多湿。降水量が多く、東山とその周辺には湧水も多数見られます。焼酎造りに欠かせない水に恵まれている島でもあるのです。
また、1年をとおして温暖な八丈島は自然も豊か。島内にはシダ類や焼酎「八重椿」の名にも冠されているツバキなどの常緑樹が生い茂っています。
「八重椿」は八丈島で造られる「島酒」
「八重椿」など八丈島で造られる焼酎は、「八丈焼酎」または「島酒」と呼ばれています。
その起源は、今から170年ほど前となる江戸時代末期の嘉永6年(1853年)。薩摩藩(現在の鹿児島県)の御用商人・丹宗庄右衛門(たんそうしょうえもん)が、密貿易の罪で八丈島に流されてきたことに始まります。
当時の八丈島では、貴重な米を使用する日本酒造りが禁じられていて、飲んでも酔えないような密造酒しかない状況でした。見かねた庄右衛門は、焼酎の本場である故郷の薩摩から蒸溜機や焼酎向きのサツマイモの苗を取り寄せ、島民に焼酎の製造方法を伝授。それがのちに伊豆諸島のほかの島々にも広まったといわれています。
「八重椿」の蔵元は原材料にこだわる
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「八重椿」の蔵元・八丈島酒造のかんたんな歴史と、原料へのこだわりに注目しましょう。
「八重椿」を造る蔵元は?
「八重椿」の蔵元は、八丈島の中心地・八丈町大賀郷(おおかごう)に蔵を構える八丈島酒造です。
八丈島酒造は、大正4年(1915年)に清五郎酒屋として創業しました。現在、八丈島に4つある酒造会社のうち、もっとも長い100年以上の歴史を持つ蔵元です。
創業当時は「八重」という名の焼酎を販売していました。昭和2年(1927年)に現在の社名となり、昭和43年(1968年)には「八重椿」を発売。以降、「島流し」「一本釣り」「江戸酎」と、焼酎銘柄を次々と世に送り出しています。
「八重椿」の蔵元は原材料にこだわる
「八重椿」の蔵元・八丈島酒造は原材料、とりわけサツマイモにこだわった焼酎造りを行っています。
土壌に海水由来のミネラル分が含まれているため、味の濃いサツマイモが育つという八丈島。蔵元はその地元産のサツマイモを100%使用しています。ひとつの品種に固執せず、白黄色芋系・紫芋系・橙色芋系のサツマイモをすべて使っているため、ほかに類を見ない味わいの焼酎になるのです。
また、高温多湿の八丈島は、作物が傷みやすい気候ともいえます。サツマイモは、少しでも傷んでいると特有の芋臭さや苦味が出るため、八丈島酒造では仕込みの際、手作業でサツマイモを丹念に選別しています。
サツマイモ以外でも、麦はオール国産の丸麦を使い、麹菌(こうじきん)は原材料の風味を活かす白麹菌を使用。こうしたこだわりの原材料をもとに、蔵元は昔ながらの製法でていねいに焼酎を造っています。
「八重椿」はどんな焼酎?
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八丈島で愛される「八重椿」の特徴を確認しましょう。
「八重椿」は香味に優れたブレンド焼酎
「八重椿」は、麦焼酎に芋焼酎をブレンドした珍しい焼酎ですが、酒税法などで定められている原材料と製法で造られているため、「本格焼酎」の呼称が認められています。
控えめなやさしい甘さが魅力で、飲み始めは麦が香り、のど元を過ぎたころにサツマイモの香りがふわっと漂う、麦・芋ブレンド焼酎ならではの香味をたのしめます。
また「八重椿」は、気圧を下げて蒸溜を行う「減圧蒸溜」で造った焼酎と、大気圧下で蒸溜を行う「常圧蒸溜」で造った焼酎がブレンドされているのも特徴。減圧蒸溜はクセが少なく軽快で飲みやすい焼酎を、常圧蒸溜は原材料の個性が際立つ複雑で飲みごたえのある焼酎を生み出す傾向があり、両者をブレンドすることで、飲み口がよく味わい深い「八重椿」が生まれるのです。
「八重椿」をはじめとする八丈島の焼酎の特徴
一般的に芋や麦、米焼酎は米麹で仕込まれることが多いのに対し、もともと米が貴重だった八丈島の焼酎には、おもに麦麹が使われています。麦麹を使用した焼酎には、原材料のよさが存分に引き出されつつも飲みやすいという特徴があります。
祝い事をはじめ、人が集まる機会に飲まれてきた八丈島の焼酎「島酒」は、島で暮らす人々の生活に欠かせないもの。麦麹に由来するさわやかな口当たりの「八重椿」もまた、大切な日にはもちろん、日常的にもたのしめる「島酒」のひとつなのです。
「八重椿」の蔵元の焼酎ラインナップ
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八丈島酒造では、「八重椿」以外にも焼酎を造っています。全ラインナップを紹介します。
「八重椿」の蔵元の焼酎:「島流し」
「島流し」は芋焼酎と麦焼酎のブレンド焼酎です。
麦焼酎主体の「八重椿」に対して、「島流し」はサツマイモ由来の香りと甘さが引き立つ芋焼酎がメイン。そこに少し麦焼酎をブレンドすることでまろやかさを加えています。
「島流し」というインパクトのある酒名は、八丈島がかつて流刑地(るけいち)だったことに由来します。流罪(るざい)と聞くと悲惨なイメージがありますが、八丈島に流されてきた人々は牢屋に入れられることもなく、島民と生活を共にしていました。知識人も多く、焼酎造りを島に伝えた丹宗庄右衛門のように、島民に愛された人もいたようです。「島流し」とは、彼らが刑期を終えて本国に帰り、幸せな人生を送ったことにちなんだ名でもあるのです。
「八重椿」の蔵元の焼酎:「江戸酎」
「八重椿」の蔵元が造る芋焼酎「江戸酎」は、3年熟成貯蔵の古酒で、毎年11月に発売される季節限定商品です。
原材料のサツマイモは、100%八丈島産。多種多様な芋を使用し、品種の配合は毎年微妙に変えているため、年ごとに味わいの違いもたのしめます。
口当たりがよく飲みやすい「江戸酎」をロックで飲めば、サツマイモ由来の甘い香りと、フルーティーで複雑な奥深い味わいを堪能できます。
「八重椿」の蔵元の焼酎:「一本釣り」
「八重椿」の蔵元・八丈島酒造が手掛ける「一本釣り」は、すっきりとしたあと味の麦焼酎。飲みやすさに定評があり、麦の香ばしさと豊かなコクがたのしめます。
国産の麦を100%使用した「一本釣り」は、口当たりがまろやかでどんな料理にも合います。水割りなどで飲む際には、レモンをひと切れ入れるといっそうさわやかな飲み口になるそう。
なお「一本釣り」という酒名は、島の漁師はもとより全国の漁師の豊漁を願って命名されたものです。八丈町の「町の魚」にもなっているハマトビウオ(ハルトビ)漁をはじめ、漁業が盛んな八丈島を象徴する銘柄です。
「八重椿」をはじめとする八丈島酒造の焼酎は八丈島以外でも入手可能です。蔵元のホームページに販売店リストが掲載されているので、丹精込めて造られる「島酒」の味わいをぜひ試してみてくださいね。
製造元:八丈島酒造合名会社
公式サイトはこちら
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