今さら聞けない!? ウイスキーの基本的な造り方を知ろう!

今さら聞けない!? ウイスキーの基本的な造り方を知ろう!
出典 : Suslik1983/ Shutterstock.com

ハイボールブームやテレビドラマの影響もあり、注目度が高まっているウイスキー。飲み方や原料は知っているけれど、製造方法はよく知らないという人も多いのではないでしょうか。今回は、ウイスキーの造り方について、基本的な流れを紹介します。

  • 更新日:

ウイスキーの造り方:製麦・仕込み・発酵

ウイスキーの造り方:製麦・仕込み・発酵

Shkee/ Shutterstock.com

ウイスキーの造り方:製麦(モルティング)

製麦とは、ウイスキーの原料である大麦を、モルト(大麦麦芽)に変える作業のこと。一般的な製麦の工程を見てきましょう。

まず大麦を仕込み水に浸し、空気に触れさせるという作業を何度か繰り返して、根が出てきたら発芽室に運んで発芽させます。その後、発芽を止めるために大麦を乾燥させます。

製麦作業を行う理由は、収穫したままの大麦では発酵が進まないからです。一方、発芽した大麦は酵素を生成して糖化しやすくなり、発酵に適した状態になります。

ウイスキーの造り方:仕込み(糖化)

仕込みの工程では、まず製麦で乾燥させた麦芽のゴミなどを取り除き、粉砕します。それから、「マッシュタン」と呼ばれる糖化槽に入れて、仕込み水を温水にしたものを加えて混ぜ、お粥状にします。お粥状にすることで、麦芽の中の酵素が働きだし、麦芽のでんぷんが糖分へと変化しやすくなるのです。

糖化が終わったら、ろ過して「麦汁(ウォート)」という液体を造ります。仕込みの目的は、次の「発酵」に必要な「麦汁(ウォート)」を造ることにあります。

ちなみに、仕込みの工程のほかにもさまざまな場面で使われる仕込み水は、ウイスキーの品質を決める大きな要素のひとつ。ウイスキー蒸溜所の立地を選定する際、土地の水質のよさが求められるのはこのためです。

ウイスキーの造り方:発酵

麦汁をウォッシュバックという槽に入れ、酵母を加えて「発酵」させます。発酵とは、仕込みで造った麦汁をアルコール分7~9%ほどの発酵液にする工程のこと。アルコール発酵でできる発酵液のことを、「醪(もろみ、ウォッシュ)」といいます。

発酵工程で重要な役割を担うのが「酵母」です。酵母には、麦汁の中の糖分を分解して、アルコールと炭酸ガスを造り出す働きがあります。なお、酵母の種類や発酵条件によって、さまざまな香り成分が造られます。

また、発酵させる時間はウイスキーの味わいに影響します。一般に、発酵時間が長いと酸味のある醪ができて、ウイスキーは軽やかな味わいになり、発酵時間が短いと酸味の少ない醪ができて、重厚な味わいのウイスキーになるといわれています。

ウイスキーの造り方その2:蒸溜・熟成・ブレンド

ウイスキーの造り方その2:蒸溜・熟成・ブレンド

Lukassek/ Shutterstock.com

ウイスキーの造り方:蒸溜

発酵の工程で造られた醪を、蒸溜します。蒸溜は、水とアルコールの沸点の差を利用して、アルコール成分を分離させる技術です。水の沸点が100度に対してアルコールは約73度前後で沸騰しますが、この性質を利用し、最初に揮発した蒸気を冷やして液体化させるとアルコール分の高いスピリッツを抽出することができます。なお、この時点でのアルコール度数は、一般的に65~70度といわれています。

モルトウイスキーの場合、銅製で丸い形の「単式蒸溜機(ポットスチル)」で蒸溜するのが一般的。単式蒸溜機は、1回ずつ蒸溜を行うタイプの蒸溜機で、スピリッツに原料由来の成分が残りやすいのが特徴です。この単式蒸溜機に醪を入れて蒸溜を行う作業を、最低2回は繰り返します。

ウイスキーの造り方:熟成

蒸溜したてのスピリッツのことを「ニューポット」、または「ニューメイク」といいます。できたばかりのニューポットは無色透明をしています。

そして、このニューポットを樽の中でじっくり寝かせる工程が、「熟成」です。樽に詰めて長期間熟成させることで、樽由来の成分が溶け出し、ウイスキー特有の美しい琥珀色へと変化していきます。

樽の種類や貯蔵場所、熟成期間など、さまざまな条件によってウイスキーの味や香りに個性が生まれるため、熟成はウイスキーの仕上げ段階における重要な工程といえます。

ウイスキーの造り方:ブレンドとヴァッティング

世界に流通するウイスキーの約9割は、複数種類のウイスキーをブレンドした「ブレンデッドウイスキー」といわれています。3年や5年、10年の熟成を終えた原酒は、当然ながらそれぞれに仕上がりが異なります。これらの品質を一定に保つため、「ブレンダー」と呼ばれる専門家によって、「ブレンディング」や「ヴァッティング」の作業が行われます。

なお、モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドすることをブレンディング、モルトウイスキー同士をブレンドすることをヴァッティングといいます。

ウイスキーの銘柄名には、産地名ではなく人の名前が冠されることも少なくありません。これは、熟練のブレンダーが、卓越した技術によって複数のウイスキーを掛け合わせ、調和した味わいを生み出しているからだといわれています。

ウイスキーの造り方その3:加水・後熟・瓶詰

ウイスキーの造り方その3:加水・後熟・瓶詰

Jake Hukee/ Shutterstock.com

ウイスキーの造り方:加水

加水とはその名のとおり、完成したウイスキーに水を加えることを指します。加水は、アルコール濃度を下げて刺激を弱めるために行われますが、なかにはまったく加水しないウイスキーもあります。

実際には、加水したウイスキーのアルコール濃度が40~43度程度なのに対して、加水を行わない「カスクストレングス」のアルコール度数は約60度。「カスクストレングス」は無調整ならではの力強い味わいをたのしみたい人におすすめです。

ウイスキーの造り方:後熟

ブレンドやヴァッティングを行い、加水したあとに、再び樽に詰めて寝かせることを「後熟(マリッジ)」といいます。後熟の目的は、複数の原酒をブレンドしたウイスキーをなじませ、風味を高めて、品質を安定させることにあります。瓶詰を行う前に、数週間~数か月、長いもので2年ほど寝かせてバランスを整えるのが一般的です。

ウイスキーの造り方:瓶詰

商品の顔ともいえる瓶にウイスキーを詰めます。ウイスキーの種類によっては、ここで「冷却ろ過(チルフィルター冷却ろ過)」が行われます。澱(おり)や白濁が生まれないように行う作業ですが、樽熟成本来の味わいをたのしんでほしいという思いから、あえて冷却ろ過を行わないもの(ノンチルフィルタード)もあります。

こうして、瓶詰めされたウイスキーは出荷されます。なお、ワインとは異なり、瓶詰め後に熟成が進むことはありません。

ウイスキーは、さまざまな工程を経て造られるお酒です。ウイスキーの造り方を知ることで、ウイスキーがいっそう身近に感じられるかもしれません。いつものウイスキーも、よりおいしくたのしめるかもしれませんね。

おすすめ情報

関連情報

ウイスキーの基礎知識
広告掲載について

ビア検(日本ビール検定)情報

イベント情報

おすすめ情報

Ranking ランキング

おすすめの記事