トマト、レタス、牛乳、わさび…意外なものが原料に! 「変わり種焼酎」について知ろう

トマト、レタス、牛乳、わさび…意外なものが原料に! 「変わり種焼酎」について知ろう
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焼酎の代表的な原料として頭に浮かぶのは、麦や芋、米、そして、そば、栗、ゴマなどではないでしょうか。しかしそれ以外にも、焼酎に使われるものはたくさんあります。今回は、そんな意外なものを原料とした「変わり種焼酎」について詳しく紹介します。

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焼酎造りにはどんな原料でも使えるの?

焼酎造りにはどんな原料でも使えるの?

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焼酎の分類と、酒税法で定められている原料とは?

変わり種焼酎を見ていく前に、焼酎についてかんたんにおさらいしましょう。

焼酎には、おもに「甲類焼酎(連続式蒸溜焼酎)」と「乙類焼酎/本格焼酎(単式蒸溜焼酎)」の2種類があります。(このふたつをブレンドした「混和焼酎」もあります)。

甲類焼酎の原料はサトウキビやトウモロコシが多く、ほかに米や麦、テンサイ、タピオカなどで造られることもあります。一方、乙類焼酎は、甲類焼酎よりも多彩な原料で造られているのが特徴です。使用する原料によってさまざまな味わいをたのしめるのが魅力ですが、本格焼酎を造る場合は、酒税法で規定されている「国税庁長官の指定する物品」を使用する必要があります。

なお、酒税法では本格焼酎の原料として、米や麦、そばなどの穀類、芋類、清酒粕、黒糖のほか、49品が認められています。

焼酎の味わいが多彩な理由

焼酎は、昔から多種多様な原料を用いて造られてきました。その理由のひとつとして、焼酎の製造方法が関係していると考えられています。

「単式蒸溜焼酎」とも呼ばれる乙類焼酎は、単式蒸溜機を用いて造られます。蒸溜回数が1回だけなので、原料由来の風味がお酒に残りやすいのが特徴。そのため、原料次第でさまざまな個性をたのしむことができます。また焼酎は、デンプンが含まれていれば、基本的にどんな原料でも造ることが可能です。このような理由から、さまざまな焼酎が生み出されてきたのでしょう。

ただし、酒税法に合致しない場合は「焼酎」と名乗ることはできません。

さまざまな野菜が原料に! 変わり種焼酎1

さまざまな野菜が原料に! 変わり種焼酎1

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変わり種焼酎の原料:おなじみの野菜

変わり種焼酎の原料としてまず挙げられるのは、普段の食卓にも登場する野菜です。たとえば、本格焼酎では以下のような野菜が原料として認められています。

◇かぼちゃ
◇にんじん
◇トマト
◇ピーマン
◇アロエ
◇大根
◇タマネギ
◇ネギ

ほかにも、グリーンピースやよもぎ、ふきのとうなども原料として使用可能です。

また、本格焼酎の材料としては認められていませんが、レタスやトウモロコシなどで造られる乙類焼酎もあります。

野菜を原料とした焼酎の銘柄

野菜を使った変わり種焼酎の銘柄をいくつか紹介します。

【赤かぼちゃ焼酎 ちゃちゅちょ】

福島県の人気酒造が造る、かぼちゃを原料とした本格焼酎。奥会津金山町の特産である赤かぼちゃを使用し、赤かぼちゃらしさを出すことにこだわって造られました。赤かぼちゃ由来の甘い香りと、バランスのよい味わいが特徴です。

【にんじん焼酎 珍(めずらし)】

福岡県の研醸株式会社が造る、にんじんを原料とした本格焼酎。地元産のにんじんを使い、特許を取得している独自製法で造った焼酎は、フルーツのような味わいと香り、やわらかくてマイルドな舌触りが魅力です。

【草笛 トマト焼酎】

山梨県の戸塚酒造店が造る、トマトを原料とした本格焼酎。信州の高原で太陽の光をたっぷり浴びて育ったトマトを使い、フレッシュな酸味と甘味のある味わいに仕上げています。炭酸割りのほか、トマトジュースで割る飲み方もおすすめだそう。

【本格焼酎 ぴめんと】

宮崎県の落合酒造場が造る、ピーマンを原料とした本格焼酎。宮崎県の特産であるピーマンを、1本あたり約10個も使用しています。独特な辛味のあるスパイシーな甘味と、キレのある飲み心地が印象的です。

【花の露 朝の雫 アロエ】

福岡県の花の露が造る、沖縄県産の生アロエを原料とした本格焼酎。酒造好適米の山田錦も使用していて、やさしい甘さに仕上がっています。

こんなものまで原料に! 変わり種焼酎2

こんなものまで原料に! 変わり種焼酎2

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意外!? こんな食材も焼酎の原料に使われている

野菜だけでなく、以下のような材料も本格焼酎の原料として認められています。

◇牛乳
◇あずき
◇こんぶ
◇クマザサ
◇ひまわりの種
◇えのきたけ
◇抹茶
◇落花生
◇またたび

ほかにも、ウーロン茶やひしの実、のりなどを使った本格焼酎もあります。意外性のある原料で造られている焼酎も、どんな味がするのかぜひ試してみたいですね。

さまざまな原料で造られた焼酎の銘柄

前述の原料を使った変わり種焼酎のおもな銘柄には、以下のようなものがあります。

【牛乳焼酎 牧場の夢】

熊本県の大和一(やまといち)酒造元が造る、特産の牛乳を原料とした本格焼酎。ほんのり甘くて、ミルキーでなめらかな味わいが特徴です。こだわりの、牛乳で仕込む製法で、特許を取得しています。

【本格長期貯蔵焼酎 あずき】

福岡県の鷹正宗が造る、あずきを原料とした本格焼酎。22年以上の長期熟成によって生まれた味わいは、あずき餡のようなさわやかな甘味とやさしい余韻が特徴。あずきにはおめでたいイメージがあるので、贈り物としても人気です。

【礼文島 こんぶ焼酎】

北海道の合同酒精が造る、こんぶを原料とした混和焼酎。北海道礼文島産の希少なこんぶが使われていて、豊かな味わいに仕上がっています。

【笹焼酎 パンダのまんま】

長野県の芙蓉酒造が造る、クマザサを原料とした本格焼酎。北海道で育ったクマザサを使っていて、ほのかに笹の香りが立ち上る、さわやかな風味をたのしめます。可愛らしいパンダのラベルが目を引く商品です。

【ひまわり焼酎 向日葵】

福岡県の柳川酒造が造る、ひまわりの種を原料とした本格焼酎。ひまわりの種には滋養強壮があるといわれ、スポーツ選手などにも重宝されています。ひまわりのような華やかさとまろやかな風味のある焼酎で、飽きの来ない味わいです。

多様な原料で造られる焼酎は、バラエティ豊かなラインナップが魅力。さまざまなものを飲み比べて、原料由来の味わいをたのしむのもよいですね。変わり種焼酎にはレアなものも多いので、出会ったときにはぜひ試してみてください。

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