徳島の日本酒【旭 若松(あさひわかまつ):那賀酒造】江戸時代から続く“米と水だけの酒造り”

徳島の日本酒【旭 若松(あさひわかまつ):那賀酒造】江戸時代から続く“米と水だけの酒造り”
出典 : Payless Images / Shutterstock.com

「旭 若松」は、家族で酒造りを行っている徳島県の小さな老舗蔵元、那賀酒造の銘柄酒です。ラインナップはすべて純米酒。「火入れ原酒」「火入れ加水」「生酒」のみを少量生産しています。知る人ぞ知る阿波の地酒「旭 若松」の魅力を紹介します。

  • 更新日:

「旭 若松」は小さな老舗蔵元が醸す日本酒

「旭 若松」は小さな老舗蔵元が醸す日本酒

kazoka / Shutterstock.com

「旭 若松」の蔵元は江戸時代創業の老舗

「旭 若松」を醸造する那賀酒造は、徳島県那賀町にある蔵元です。蔵は、水質がよいことで知られる那賀川の近くに建っています。
創業は、今から300年近くも前の享保10年(1725年)。あの“暴れん坊将軍”で知られる江戸幕府8代将軍、徳川吉宗が統治していた時代です。

当時、阿波国(現在の徳島県)では、藩が発行した「造酒札」(お酒の製造を認める証明書のようなもの)を持っていなければ、酒造りができませんでした。現在の那賀酒造にも、往時を思い起こさせる木製の「造酒札」が掲げられています。

「旭 若松」は、ラインナップが3種類だけの銘柄酒

「旭 若松」の蔵元、那賀酒造は、“米と水だけの酒造り”にこだわりを持っています。そのため「旭 若松」のラインナップは、醸造アルコールを添加していない純米酒のみ。純米酒の種類も「火入れ原酒」「火入れ加水」「生酒」の3種類に限られています。

このこだわりの純米酒を、杜氏蔵元を務める松浦章裕氏と松浦氏の家族だけで、真心込めて造り続けています。

「旭 若松」の醸造工程でも行われている「火入れ」と「加水」とは

日本酒の醸造で行われる「火入れ」とは、酒の保存性を高めるために行われる工程です。酒に熱を加えることで、雑菌の繁殖が抑えられ、品質や味わいを管理しやすくなります。

また「加水(割水)」とは、できあがった酒に水を加えて、アルコール度数や香味を調整するために行われます。この加水を行っていないものを「原酒」といいます。

「旭 若松」の純米酒のうち、「火入れ原酒」は火入れをした原酒に加水を行っていないもので、「火入れ加水」は火入れと加水を行ったものとなります。もう一種類の「生酒」は、火入れを行っていないお酒で、しぼりたてのフレッシュな味わいが魅力です。

「旭 若松」の蔵元がめざす、力強くどっしりとした純米酒

「旭 若松」の蔵元がめざす、力強くどっしりとした純米酒

Photo_SS / Shutterstock.com

「旭 若松」の蔵元は米にこだわる

「旭 若松」の麹の一部には、那賀酒造の自家田園で栽培した酒造好適米「雄町(おまち)」が使われています。また、那賀酒造では、原材料の米をすべて自家精米し、蔵元のいう「その年その年の米粒の顔」、つまり年ごとの米のでき具合を見ながら浸漬時間を決めるなど、米にこだわった酒造りが行われています。

那賀酒造が理想とする日本酒は、米の旨味が味わえる「力強くどっしりとした酒」。原料米の生産から丹念に酒造りを行い、長い年月で培われてきた経験をもとに、「旭 若松」の味を守り続けています。

「旭 若松」にも使用されている酒造好適米「雄町」とは

「旭 若松」にも使われている酒造好適米「雄町」は、食用米に比べて大粒で、「心白(しんぱく)」と呼ばれる中心部が大きく、吸水性がよいなどの特徴を持っています。

「雄町」は、江戸時代の末に現在の岡山県で栽培が始まった品種です。栽培が難しく、一時は生産がほぼ途絶えていましたが、昭和40年代に「雄町」の栽培が復活。再び酒造りに使われるようになって、その味わいのよさから、造り手の間でも見直されていきます。

「雄町」で造る日本酒には蔵元の個性が現れやすく、芳醇でコクのある、ほかにはない味わいに仕上がるのが魅力です。そのため、日本酒通の間でも高く評価されていて、「オマチスト」と名乗る「雄町」ファンも出現しています。

「旭 若松」が淡い黄金色のわけ

「旭 若松」が淡い黄金色のわけ

kitsune05 / Shutterstock.com

「旭 若松」の色の理由1:「ろ過」は最小限にとどめている

日本酒は無色透明の酒と思っていませんか? にごり酒やどぶろくなどは白く濁っていますが、それ以外の日本酒は無色透明な液体に見えます。しかしよく見てみると、日本酒に黄色っぽい色がついていることがありますよね。「旭 若松」も淡い黄金色をしています。この日本酒の色の正体は、お米の成分や醸造時の化学反応によるものといわれていて、銘柄ごとに濃淡が異なります。

日本酒の色の濃淡には、「ろ過」の工程が関係しています。活性炭素でろ過を行うほど、色がつきにくくさっぱりとした味わいになり、逆に、ろ過しなければ、醸造したての色や味に近い状態をたのしめるのです。

酒本来の旨味を大切にする那賀酒造では、活性炭素を使用したろ過を最小限にとどめているため、「旭 若松」本来の姿に近い、色と味わいを堪能できます。

「旭 若松」の色の理由2:生原酒を「熟成」で仕上げている

日本酒の最適な熟成期間は、年ごとの酒のできや精米歩合などによって異なります。「旭 若松」の蔵元は、「酒本来の旨さは熟成によって造られる」という考えから、出荷時期の見極めに心をくだき、丹念な成分検査と、きき酒などの官能検査を行って熟成期間を判断しています。

たとえば、「旭 若松 純米無濾過生原酒」は、生原酒なのに3年も熟成させています。それによって、ほのかな山吹色と芳醇な味わい、奥深いコク、濃厚な余韻などをたのしめる1本に仕上がるのです。

米味を存分にたのしめる「旭 若松」は、しっかりとした味わいのなかに豊かな酸味を備えた、地酒らしい骨太の地酒。旨味が一層ふくらむ、燗で飲むのもおすすめです。


製造元:那賀酒造有限会社
公式サイトはこちら

おすすめ情報

関連情報

日本酒の基礎知識
広告掲載について

ビア検(日本ビール検定)情報

イベント情報

おすすめ情報

Ranking ランキング

おすすめの記事