山口の日本酒【雁木(がんぎ):八百新酒造】蔵元の原点回帰から生まれたこだわりの酒

山口の日本酒【雁木(がんぎ):八百新酒造】蔵元の原点回帰から生まれたこだわりの酒
出典 : 八百新酒造サイト

「雁木」は、140年以上の歴史を持つ山口県の蔵元、八百新酒造の代表銘柄です。ラインナップは純米酒のみというこだわりの酒「雁木」。その魅力を、銘柄名の由来、八百新酒造の酒造りへのこだわりや工夫、「雁木」に込めた思いなどとともに紹介します。

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「雁木」は「純米酒」&「無ろ過」にこだわったブランド日本酒

「雁木」は「純米酒」&「無ろ過」にこだわったブランド日本酒

Nishihama / Shutterstock.com

「雁木」は純米酒オンリーの銘柄

「雁木」は、山口県を代表する蔵元、八百新酒造が造る日本酒銘柄です。商品ラインナップは純米酒のみ。現在の定番酒は、「ノ壱(のいち)」「ノ弐(のに)」「ひとつび」「みずのわ」「ゆうなぎ」「鶺鴒(せきれい)」の6商品で、いずれも原料米として山田錦を使用しています。

八百新酒造は、雁木を醸造するうえで「雁木流」という流儀を定めていますが、そのひとつに、「酒造りとシンプルに向き合う」ことを挙げています。米の可能性をそのまま引き出すため、シンプルに米・米麹・水だけで造る。そうしたスタンスから生まれた純米酒オンリーの銘柄が「雁木」です。

「雁木」は「無ろ過」にもこだわった酒

「雁木」のもうひとつのこだわりは、必要以上に手を加えないこと。「雁木」を醸す際、活性炭素を使って余分な雑味などを除く「ろ過」が行われないのは、もろみを搾り終わったあとに手を加える必要がないくらい完成度の高い日本酒が生まれているからです。

醸造アルコールを足すことなく、活性炭素を使う「ろ過」で色や香りを余計に引くこともしない。「雁木」は、真正面から酒造りに取り組む蔵元のひたむきな心意気から生まれた、こだわりのブランド日本酒なのです。

「雁木」の名に込められた、原点回帰への思いとは

「雁木」の名に込められた、原点回帰への思いとは

出典:八百新酒造サイト

「雁木」の銘柄名に由来する雁木とは

雁木とは、船着き場に造られた階段のこと。潮の満ち引きで水面が上下しても接岸できることから、水に浮かぶ浮桟橋が登場するまで、各地の港などでよく見られました。雁木はその昔、人や荷が陸に上がったり、行先をめざして船出したりする「水際のターミナル」だったのです。

明治10年(1877年)創業の八百新酒造が蔵を構えたのは、山口県岩国市中を流れる錦川の支流・今津川のほとり。当時そこにも雁木がありました。蔵元も創業期にはこの雁木を活用し、錦川上流から船で運ばれてきた原料米の荷揚げを行っていたと伝わっています。銘柄名の「雁木」は、この雁木に由来しているのです。

「雁木」の名に込められている蔵元の思い

八百新酒造は、創業から140年以上、雁木のある水際で「酒」という命を生み出してきました。品質のよい純米酒が評判となり、大繁盛した時期がある一方、戦中戦後の混乱に巻き込まれ、苦しい時期をしのいだこともありました。

しかし、平成12年(2000年)、蔵元杜氏の現当主が試行錯誤の末に、ようやく納得のいく酒を造り上げます。その渾身の純米酒こそが「雁木」。創業当時の精神への原点回帰と、新たな船出に思いを込めて、「雁木」と名付けたのです。

現在、蔵元が建つ今津川の河畔には、ターミナルとしての雁木はありません。しかし、「おいしい酒を生み出し世に送り出す、雁木のようなターミナルでありたい」という蔵元の思いは、その名にしっかりと刻まれています。

「雁木」は「最後にもう1杯飲みたくなる酒」をめざす

「雁木」は「最後にもう1杯飲みたくなる酒」をめざす

出典:八百新酒造サイト

「雁木」の味を守る「触感」と「IT」

「雁木」の味を左右する麹造りは、2昼夜にわたって行われます。
蒸米を混ぜ、ほぐし、さばく作業は、なんといっても触感が頼り。手から伝わる温度や湿り具合、弾力や肌触りなどから、米のコンディションを読み取っていきます。そして、種麹を散布する最高のタイミングを、文字どおり“つかみ取る”のです。

また、日本酒造りはよく、微生物である麹や酵母との共同作業ともいわれます。微生物は生き物ですから、人間の都合にいつも合わせてくれるわけではありません。そこで八百新酒造では、微生物の観察にIT技術を活用。変化する温度データを蔵人それぞれが各自のスマートフォンで時間差なく確認できるようにしています。

人の手から伝わる触感と、最新のIT技術で「雁木」の味を守っているのです。

「雁木」を醸造する際にどうしても必要な“ひと手間”とは

「雁木」を仕込むときも、蔵元は、ひと手間の工夫を惜しみません。
一般的に日本酒の仕込みは、初添・仲添・留添の3段階に分けて仕込む「三段仕込み」という手法で行われます。ひとつの大きなタンクに、原料の麹・蒸米・水を段階的に2倍量ずつ仕込んで酵母を増やしていくのです。

「雁木」もこの三段仕込みを行っていますが、初添のときだけ別の小さなタンクで仕込んでいます。なぜ、移し替えの手間を増やしてまで、こうした工夫を行っているのでしょうか。それは蔵元が、仕込む量の少ない初添の段階では、大容量のタンクは大きすぎると考えているからです。原料の量に対してタンクのサイズが合っていないと、麹と酵母がイメージどおりに調和せず、理想的な仕込みができないのです。

移し替えの工程は、蔵元が求める「雁木」の味を醸すのに欠くことのできない、大事なひと手間として捉えられています。

「最後にもう1杯飲みたくなる酒」をめざし、さまざまな工夫を凝らして造られる「雁木」。蔵元が初めて世に送り出した「ノ壱」などの定番酒のほかにも、スパークリングなど季節限定酒もたのしめます。夏は「雁木」のスパークリングで涼を、冬は「ノ壱」の人肌燗で暖を求めてみてはいかがでしょうか。

製造元:八百新酒造株式会社公式
公式サイトはこちら

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