「ブッシュミルズ」とは?歴史も味わいも深いアイリッシュウイスキーの特徴やラインナップを紹介

「ブッシュミルズ」とは?歴史も味わいも深いアイリッシュウイスキーの特徴やラインナップを紹介
出典 : アサヒビール

「ブッシュミルズ」は、世界5大ウイスキーのなかでも、スコッチウイスキーと起源を争うほどの歴史を誇るアイリッシュウイスキーを代表する銘柄です。初心者にも飲みやすいマイルドさをはじめとした、ブッシュミルズの魅力を紹介します。

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「ブッシュミルズ」に代表されるアイリッシュウイスキーの歴史

「ブッシュミルズ」に代表されるアイリッシュウイスキーの歴史

James Kennedy NI / Shutterstock.com

「ブッシュミルズ」に代表されるアイリッシュウイスキーは、スコッチ、カナディアン、アメリカン、ジャパニーズと並んで「世界5大ウイスキー」のひとつに数えられています。

「アイリッシュ」とは、「アイルランド共和国」という国を指すのでなく、英国領北アイルランドを含めたアイルランド島全域を指しています。この島におけるウイスキー造りは、“ウイスキーの代名詞”とされるスコットランドよりも早くに始まったといわれており、“ウイスキー発祥の地”として、今も世界中のウイスキーマニアが熱い視線を注いでいます。

18世紀ごろには、アイルランド全域に数百もの蒸溜所が存在し、ウイスキーの生産量で世界一を誇っていました。まさに、アイリッシュウイスキーこそがウイスキーの代名詞とされていた時代です。
しかし、二度にわたる世界大戦や、イギリスからの独立戦争、おもな輸出先であったアメリカの禁酒法など、アイルランドを取り巻く環境が大きく変化するなかで、次第にスコッチウイスキーに覇権を奪われることになります。

こうして衰退期を迎えたアイリッシュウイスキーでしたが、20世紀の終わりごろから、その奥深い味わいが改めてウイスキー愛好家の注目を集めるようになり、復興の兆しを見せつつあります。
蒸溜所の数も、1920年代には、わずかに2社が稼働するだけとなっていましたが、昨今では歴史ある蒸溜所が復活するとともに、新たな蒸溜所も加わり、再び活況を呈しています。

蒸溜所の増加にともない、ウイスキーの生産量も急激に拡大しているため、最近では日本でも目にする機会が増えています。バーなどでアイリッシュウイスキーを味わうチャンスがあれば、ぜひ、その歴史と伝統に裏付けられた奥深さをたのしんでください。

「ブッシュミルズ」を生んだ400年の歴史をもつ蒸溜所

「ブッシュミルズ」を生んだ400年の歴史をもつ蒸溜所

出典:アサヒビール

「ブッシュミルズ」がアイリッシュウイスキーの代表格として、圧倒的な知名度を誇っている理由は、その生みの親である「ブッシュミルズ蒸溜所」がもつ歴史と伝統にあります。

ブッシュミルズ蒸溜所は、アイルランド島の北端に位置する、アイルランドに現存する最古の蒸溜所です。その誕生は、今から400年以上も前の1608年といわれており、日本でいえば徳川幕府が成立したころといえば、その古さがイメージできるでしょう。

だからといって、こうした歴史の古さだけが、ブッシュミルズ蒸溜所の魅力ではありません。アイリッシュウイスキーの全盛期であった18世紀はもちろん、19世紀に入ってからも、伝統的な手法にこだわるウイスキー造りで存在感を発揮しました。
1850年代にアイルランドで「麦芽税」が導入されると、税金を払わずともすむよう、多くの蒸溜所は麦芽に代えて未発芽大麦を使用するようになりました。それでも、ブッシュミルズ蒸溜所はアイリッシュ伝統のモルト(大麦麦芽)ウイスキーにこだわり続けました。

そうした姿勢が認められたのが、1889年のパリ万博でのこと。ブッシュミルズは出展されたウイスキーのなかで唯一「金賞」を獲得し、これを機に世界的な人気を博すようになります。

アイリッシュウイスキーが衰退期を迎えた1920年代にも、ブッシュミルズ蒸溜所は「ミドルトン蒸溜所」とともに、ウイスキー造りの伝統を守り続けてきました。
近年のアイリッシュウイスキーの復興も、ブッシュミルズ蒸溜所の存在があったからこそであり、“ウイスキー発祥の地”を誇りとするアイルランドの人々にとって、その存在は特別なものとなっています。
こうした歴史ゆえに、ブッシュミルズはジャック・ヒギンズの「鷲は舞い降りた」などの文学作品にも取り上げられ、アイリッシュウイスキーを代表する存在となっているのです。

ブッシュミルズの味を支える伝統の3回蒸溜

ブッシュミルズの味を支える伝統の3回蒸溜

出典:アサヒビール

ブッシュミルズ蒸溜所のウイスキー造りの特徴は、前述したようなモルト(大麦麦芽)へのこだわりだけではありません。

スコッチウイスキーのようなピート(泥炭)によるスモーキーな香りづけをしない「ノンピート」は、ブッシュミルズのクセのないマイルドな飲み口を支えています。

また、バーボン樽、シェリー樽、ワイン樽、ラム樽など、多様な樽から高品質なものだけを選んで熟成させることで、樽ごとにそれぞれ異なる奥深い香りを与えています。

なかでも最大の特徴といえるのが、アイリッシュウイスキーの伝統である「3回蒸溜」です。細長いネックをもつ銅製の小型ポットスチル(単式蒸溜器)を使い、3度にわたって蒸溜を繰り返すことで、飲みやすいライトな味わいを造り出しているのです。

ブッシュミルズの多彩なラインナップを味わい尽くす

ブッシュミルズの多彩なラインナップを味わい尽くす

出典:アサヒビール

ブッシュミルズ蒸溜所では、「ブッシュミルズ」の銘柄で、さまざまなウイスキーを提供しています。その代表的なラインナップを紹介しましょう。

まず、定番といわれるスタンダード商品が「ブッシュミルズ」です。3回蒸溜によるモルト原酒と、軽やかなグレーン原酒をブレンドしたブレンデッドウイスキーで、スムースな口当たりが特徴。白いラベルから「ホワイトブッシュ」とも呼ばれています。

同じくブレンデッドウイスキーの「ブラックブッシュ」は、シェリー樽とバーボン樽で長期熟成させたモルト原酒を、少量のグレーンウイスキーとブレンドしたもの。熟した果実の香りと重厚な味わいが魅力です。

さらに、シングルモルトとしては「10年」「16年」「21年」がラインナップされており、熟成期間の長さに応じて、その香りや味わいが複雑さと深みを増します。
「21年」は数量限定生産の希少品ですので、もし目にする機会があれば、貴重なチャンスを逃さないでほしいものです。

「ブッシュミルズ」だけじゃない、アイリッシュウイスキーの名品を飲みくらべ

「ブッシュミルズ」だけじゃない、アイリッシュウイスキーの名品を飲みくらべ

Lasse Ansaharju/ Shutterstock.com

「ブッシュミルズ」がアイリッシュウイスキーの代表格であることに議論の余地はありません。だからといって、当然ながらブッシュミルズだけがアイリッシュウイスキーではありません。
ブッシュミルズでアイリッシュウイスキーの魅力に気づいたら、ぜひ、ほかの銘柄も味わってみてください。

まず、おすすめしたいのが、ブッシュミルズ蒸溜所とともに、衰退期のアイリッシュウイスキーを支えたミドルトン蒸溜所の代表銘柄「ジェムソン」。出荷量ではブッシュミルズを上回り、アイリッシュウイスキー全体の7割を占めるともいわれています。

このほか、大麦の風味が魅力な「タラモアデュー」、スコッチウイスキーのようなスモーキーさを感じさせる「カネマラ」、歴史ある蒸溜所の銘柄を復活させた「ターコネル」、骨太な味わいがウイスキー通に熱烈に支持される「レッドブレスト」など、ひとくちにアイリッシュウイスキーといっても、それぞれに異なる個性をもった銘柄がそろっています。

機会があれば、これらアイリッシュウイスキーの逸品を集めて飲みくらべてみれば、その歴史の奥深さをたのしめるのではないでしょうか。

アイリッシュウイスキーのなかでも最古の歴史をもつブッシュミルズを味わうということは、アイリッシュウイスキーの奥深い歴史を味わうことでもあります。その口当たりのよさをたのしみながら、400年の歴史に想いを馳せてみませんか?

国内販売元:アサヒビール
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