長野に行って飲んでみたい! おすすめの日本酒(地酒)【甲信越編】

長野に行って飲んでみたい! おすすめの日本酒(地酒)【甲信越編】
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長野県は北・中央・南アルプスなどの山々に囲まれた土地。良質な水源に加えて、「美山錦」をはじめとした県産の酒造好適米や、吟醸用に開発された「アルプス酵母」といった原料にも恵まれ、80以上の蔵が切磋琢磨し、個性を競い合っています。

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長野は全国で2位の蔵元数を誇る日本酒県

長野は全国で2位の蔵元数を誇る日本酒県

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長野県は、飛騨山脈(北アルプス)、木曽山脈(中央アルプス)、赤石山脈(南アルプス)と、「日本の屋根」と呼ばれる標高3000メートル級の山々が連なり、県土の80%が林野で占められている自然豊かな土地です。

雄大な山々を源とした澄んだ水、豊富な緑が生む澄んだ空気、夏は湿度が少なく冬は厳しい寒さといった気候条件。これらはまさに、酒造りに適した環境です。

長野の酒蔵の数が約80と、新潟に次ぐ全国2位の位置を占めているのは、それだけ長野の自然環境が酒造りに適している証だといえるでしょう。

長野県が酒造りに適しているのは自然環境だけではない

長野県が酒造りに適しているのは自然環境だけではない

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長野県は、自然環境だけでなく、経済環境から見ても酒造りに適した地域といえます。松本城の城下町や善光寺の門前町など、古くから人の往来も盛んで、流通の面からも、消費の面からも、日本酒が根づくのに好条件な地域でした。

さらに、「美山錦」を筆頭に「金紋錦」「ひとごこち」「たかね錦」といった県産の酒造好適米に加え、吟醸酒用の酵母「アルプス酵母」が開発されるなど、公的な研究機関の後押しもあって、長野の日本酒業界は進化・発展してきました。

とくに「アルプス酵母」はフレッシュなリンゴを思わせるフルーティな味わいをもたらし、長野の吟醸酒を特徴づける一助となりました。

長野の人気銘柄

長野の人気銘柄

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長野県には、おいしい酒が生まれる条件が整っています。各蔵がしのぎをけずって高みをめざしているなか、人気の高い銘柄をいくつか紹介します。

優秀な酵母「きょうかい7号」の発祥蔵【真澄(ますみ)】

諏訪大社の宝物「真澄の鏡」を酒名に冠した日本酒「真澄」を醸しているのは、寛文2年(1662年)創業という歴史をもつ宮坂醸造。この蔵付で生まれた酵母が、後に全国で広く使用される「きょうかい7号」となったことから、業界では高い知名度をもつ蔵です。
主力銘柄「真澄 純米吟醸 辛口生一本(きいっぽん)」は、透明感ある味わいを特徴とするこの蔵の商品のなかで、もっとも辛口の酒。作家・開高健も愛したことでも知られる長野を代表する日本酒のひとつです。

製造元:宮坂醸造株式会社
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全国区で人気の実力蔵【夜明け前(よあけまえ)】

「夜明け前」といえば明治の文豪・島崎藤村の代表作。そのタイトルが銘柄に冠されたのは、元治元年(1864年)創業の蔵元・小野酒造店のある辰野町小野地域が、藤村ゆかりの土地であることに由来します。商標登録にあたっては、藤村の嫡男の許可を得て「この名を使うからには、命に代えても本物を追求する」との約束を交わしたのだとか。
「夜明け前」の名を全国に知らしめた「夜明け前 大吟醸」は、フルーティで高貴な香りと、なめらかなのどごし、さらには豊かな米の旨味をあわせもつ、大吟醸のお手本ともいえる美酒。全国新酒鑑評会金賞の常連蔵の実力は、誰もが認めるところです。

製造元:株式会社小野酒造店
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“信州まぼろしの酒”と称される地酒【明鏡止水(めいきょうしすい)】

元禄2年(1689年)創業の大澤酒造は、日本最古の酒が発見されたという信州佐久の伝統蔵。ハイレベルな米のみを使用し、小規模な仕込みで、すべての工程に手を抜かず、真摯に酒と向き合う姿勢に日本酒ファンが熱い視線を送っています。
この蔵の定番商品「明鏡止水 純米吟醸」は、その名のとおり、一点の曇りもない、おだやかな香りが特徴。五味のバランスに優れ、米の旨味が静かにふくらむ逸品です。生産量が少ないことから、“信州まぼろしの酒”とも呼ばれています。

製造元:大澤酒造株式会社
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奥信濃を代表するまじめな地酒【水尾(みずお)】

「水尾」を醸す田中屋酒造店は、明治6年(1873年)創業の小さな蔵。長野県の北端に位置し、冬は2メートル級の積雪におおわれる奥信濃飯山の地を象徴するような、ひたむきな酒造りが特徴です。
代表銘柄である「水尾」は、仕込み水を得ている水尾山から命名したもの。原料米の約7割を、蔵から5キロ圏内にある契約農家から得ており、「地元の米と水で醸してこそ地酒」という信念を、ひたすらに追求しています。

製造元:株式会社田中屋酒造店
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極小蔵の謙虚な心意気【十九(じゅうく)】

江戸文政年間(1820年ごろ)創業の尾澤酒造場は、信州新町にある小さな蔵。「和醸良酒」、すなわち「人の和が良酒を醸す」という信念のもと、小規模手造りならではの、きめ細かな酒造りを続けています。
その代表銘柄「十九」は、人間の一人前が「二十歳(はたち)」なら、自分たちはまだその手前だという謙虚な心から命名されたのだとか。濃い味の料理にも合う食中酒として、味もありながらキレもある旨口の酒をめざしています。

製造元:株式会社尾澤酒造場
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長野のそのほかの注目銘柄

長野のそのほかの注目銘柄

TK Kurikawa/shutterstock

長野県は全国2位の蔵元数を誇るだけに、これまで紹介した銘柄以外にも、全国から注目を集める銘柄が数多くあります。そのいくつかを紹介します。

山形の幻の酒「十四代」が目標【鼎(かなえ)】

信州銘醸は、江戸後期から明治初期にかけて創業した4つの老舗蔵が合併し、昭和33年(1958年)に誕生しました。美ヶ原高原を源とする依田川伏流水と、中山道の和田峠に湧き出る超軟水の「黒耀水」を仕込み水に、長野県産米を醸しています。
この蔵が目標としているのは“幻の酒”として全国の日本酒ファンを魅了する山形の逸品「十四代」。代表銘柄である「鼎」は、知る人ぞ知る存在ですが、甘く濃醇なメロンのような香りと米のしっかりとした旨味、甘さの後にくるキレが特徴で、いずれは「十四代」に匹敵する知名度をもつ酒になると期待されています。

製造元:信州銘醸株式会社
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350年以上続く小規模蔵の美酒【亀齢(きれい)】

寛文5年(1665年)の創業以来、350年以上も続く、信州上田の由緒ある蔵、岡崎酒造は年間の生産石高が100石程度という小さな蔵です。菅平水系の良質な水と、長野県産の酒造好適米にこだわりながら、手作業でていねいな酒造りを続けています。
この蔵を代表する銘柄が「亀齢」です。「亀の齢(よわい)のごとく長寿」という意味を込めた命名ですが、音読みにすると「きれい」になるとおり、上品で美しい味わいがたのしめる逸品です。

製造元:岡崎酒造株式会社
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長野最古の蔵で女性杜氏が手掛ける【川中島 幻舞(かわなかじま げんぶ)】

創業は戦国時代のただなか、天文9年(1540年)という、長野県最古、全国でも指折りの歴史ある蔵、酒千蔵野(しゅせんくらの)。武田信玄が「川中島の合戦」の折に、この蔵の酒を飲んだと伝えられていることが、代表銘柄の由来となっています。
現在、杜氏を務めているのは、蔵元の一人娘である千野麻里子氏。「川中島」の限定版となる「川中島 幻舞 純米吟醸 無濾過生原酒」は彼女の自信作です。長野県産の「美山錦」と県オリジナル酵母を使用して、米本来の旨味を引き出し、バランスよく仕上げています。

製造元:株式会社酒千蔵野
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信濃の自然の恵みを結集した酒【大信州(だいしんしゅう)】

大信州酒造は、明治21年(1888年)に創業した、松本市を代表する酒蔵です。社名にもなっている主力銘柄「大信州」には、酒造りを支えている信州の天恵を表現したものだとか。
その名のとおり、酒米には県内農家との契約栽培米を玄米で仕入れ、仕込み水には北アルプス連峰の天然水を使うなど、信州産の原料にこだわった酒造りを続けています。ほとんどの商品を無ろ過で提供することで、酒本来の芳醇な香りやお米の旨味、そして手造りの感動をそのまま届けています。

製造元:大信州酒造株式会社
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若き蔵元杜氏が醸す県内唯一の花酵母吟醸【積善(せきぜん)】

江戸末期創業の西飯田酒造店は、北アルプスに源を発する清流、犀川(さいかわ)のほとり、善光寺平で酒造りを続けています。主力銘柄である「信濃光(しなのひかり)」に加えて、気鋭の蔵元杜氏・飯田一基氏によって新たに開発された新銘柄が「積善」。その特徴は、花々から生まれた「花酵母」を長野県内で唯一、使用していること。
酒米には自社農園や地元契約栽培による山田錦、美山錦、ひとごこちなどを使用。季節感ある花酵母で仕込んだ吟醸酒は、個性的な味わいで、新たな日本酒ファンを生み出しつつあります。

製造元:株式会社西飯田酒造店
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長野県では、ここに紹介した銘柄に加えて、「渓流(けいりゅう)」「豊香(ほうか)」「信濃錦(しなのにしき)」「木曽路(きそじ)」「麗人(れいじん)」「七笑(ななわらい)」「大雪渓(だいせっけい)」などが人気です。

長野県は、ある面で新潟県や灘、伏見などにも匹敵する日本酒王国。水や空気、気候など、大自然の恩恵を武器に、各蔵が努力を重ねて理想の酒を追求しています。

長野県酒造組合
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